■カウンセリングサービスの浅野寿和です。いつもありがとうございます。
さて、今日から1つ連載記事を書かせていただきます。
タイトルは『想いを伝える、ということ ~妻と僕ともう一人の父の話~』
この連載テキストは、2011年7月に開催された「カウンセリングサービス・名古屋感謝祭」で好評をいただき、「ダウンロードサービス・きくまる」でもお聴きいただける、私の講演を一部テキスト化したものです。
全8回の予定・今回が第1回目です。毎週土曜にアップさせていただきます。よろしければご覧くださいませ。
■僕と妻が出会い、結婚を意識し、僕が妻の父(義父)に出会ったのが5年前。
初見で「いかにも昭和」な佇まいの彼は・・・既に大きな病を抱えていました。
病名は「癌」です。
(この辺の話はカウンセリングサービスWEBのコンテンツ・心理カウンセラーのコラムに書かせていただいております。)
長い闘病生活が続く義父。
入退院を繰り返しつつも、しかしそれなりに元気で過ごしていた義父なのですが・・・。
ただ、彼の体力は徐々に衰えていき、彼の中で病は徐々に、そして大きく進行していたのでした。
・・・ある時、うちの妻に一本電話がかかってきたのです。それは義母からの電話でした。
義母は妻にこう伝えたのです。
「お父さん、今度手術するのよ」
その電話を横で聞きながら、僕は義父の病状があまり良くないのか、と思ったものです。ついに来たか・・・と。
僕の横で義母の電話を聞いて驚き、そして沈んだ声のまま返答する妻。
そして義母は妻に電話の中でこう続けます。
「でも心配しなくていいからね。お父さんも、こっちに帰って来なくていいって話しているから。あなたはそっちでがんばりなさい。」
妻の実家は僕たちの住む街からかなり距離がある場所。すぐに帰ることができる場所ではありません。
しかし、いくら彼女の両親が、帰ってこなくてもいいと言ったからとはいえ、彼女の実の父親が癌に侵されて手術するのです。
たとえ両親に来るなと言われても、妻は義父の元に駆けつけるだろうって僕は思っていたのです。
きっと電話を置いた彼女の口から「すぐ帰りたい」という言葉が出るものだと。そう思っていました。
しかし、妻の口から出た言葉は僕の想像とは違ったのです。
「私、お父さんのところに行かないから。」
その言葉に驚いた僕は、とても自然に彼女に問いかけたのです。
「どうして?どうして帰らないの?」
短くも長く感じる沈黙の後、彼女はこう僕に話します。
「・・・・お父さんがこなくていいっていうから。私、帰ってはいけないような気がする。」
次回へ続く。
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