夫婦のための心理学

愛せなくなることへの怖れから恋愛がうまくいかなくなる、という話

「愛せなくなることが怖い」から恋愛がうまくいかなくなる場合もある

愛せなくなることへの怖れを抱く女性

「愛せなくなることへの怖れ」と「愛されないことへの怖れ」

どちらも辛いものには違いないですよね。

ただ、僕たちは

「離婚や死別、失恋などで誰かをもう愛せない状況になる」とか

「パーナーとの関係で気持ちが伝わらなくなった」
「つらい気持ちを我慢しすぎて限界だった」
「感情が溢れてしまって好きな人なのにもう愛せなくなってしまう」

なんて経験をすると

「その辛さを無意識的に避けるように恋愛や深い男女の関係を持とうとしなくなる」

なんてことが起こるケースがあるんです。

この手のご相談をいただくと、ご相談者様ご自身の葛藤も深いものになっていることが多いんですよね。

多くの人が「好きなら愛せばいいし、好きならむしろ愛したい」と思うものでしょうから。

しかし、愛せなくなることが怖くて、好きな人と深く関われないとしたら・・・。

今日はそんな「愛せなくなることが怖い」というテーマのコラムです。

よろしければどうぞ。

「愛せなくなることへの怖れ」を心理的に解説する

僕たちは愛されたい存在でありながら、同時に「愛せないことで苦しむ存在」でもあります。

例えば、パートナーとの突然の別れや死別。

別れや死別などの喪失体験が辛いのはもちろんですが

「もうパートナーと会えないし、触れ合うこともできないし、相手のためになにかしてあげることもできない」

と思うことも、かなり辛いことではないでしょうか。

もう愛してあげられない。

もう関わることもできない。

想像するだけで辛いですよね。

このような辛い経験をした人の中には

「もう愛せない、という辛さ」を無意識的に避けて、心のバランスを取ろうとすることがあります。

それはまるで「愛し合うこと、愛し合う関係を回避する」といった感じになるわけです。

これは、その人に愛がない、ということを示しているのではなく

愛する、という行為に、愛せない痛みがくっついてしまっている状態、というとわかりやすいでしょうか。

もう大切な人を失いたくない、とか。

自分の気持ちが溢れてしまって、好きな人なのに愛せなくなってしまうことは避けたい、とか。

それぐらい、愛する人との過去が、どこかで幸せな思い出でありながら、同時に痛みを思い出させたり、二度とあんな辛い思いはしたくないと思えるほど

未だ未消化な感情や記憶が存在していたり

もう会えなくなってしまった愛する人を、心の中で再配置することができずにいるのかもしれません。

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「愛せなくなることへの怖れ」と感じるもう一つの理由

また、「愛せなくなることへの怖れ」は

何も「また過去と同じように好きな人を愛せなくなる辛さを感じたくないと思うから」とは限らないと僕は考えています。

例えば、「自分自身のイメージ、自分の価値を失うような感覚」をお墓ている方も少なくないんですよ。

僕たちにとって、大切な人を愛せている状態は、ある意味で自分から愛を与えているという意味で「自分自身の価値」を感じている状態とも言えるんです。

そもそも

「好きな人を愛すること、与えることができている私」でいるからこそ

幸せを実感できたり、自分自身の存在理由をより深く感じ取ることだってできるもの。

そんな状態にあった人が

突然愛する対象を失ったり

本当は愛したいんだけど気持ち的に無理になってしまった

なんて経験をすれば

「自分自身の価値を見失ったような状態」になることも十分にありえることだと僕は思うのです。

まるで「素晴らしい自分を喪失したような感じ」といいますかね。

すると、

「また誰かを好きになって(また大切な人を失ったときに)自分自身を見失ってしまうぐらいなら、もう愛する人を作らない方がいい」

なんて思う人がいても不思議ではないんです。

特に協調性がある人、内向的なタイプの人、好きな人とガッツリ向き合うタイプの人の中に、このような気持ちを抱えておられる方がいるようですよ。

愛せなくなることへの怖れから恋愛がうまくいかなくなる事例

では、実際にどんな状態が「愛せなくなることへの怖れの影響を受けた関係」なのでしょうか。

最も多い例が「恋愛相手にこちらを積極的に愛してくれない人を選ぶ」という恋愛でしょうか。

例えば

相手が依存的な人
相手が極端に自立的な人
連絡しても返事がない人
そもそも深い関係になれない人

などなど。

その恋愛がいい悪いという話ではなく、相手にこういった人を選ぶ人の中には

無意識的に「愛せなくなることへの怖れ」を抱えていて

その怖れをあまり刺激されない恋愛や男女関係を求める、なんてケースも実際にあるわけです。

気持ちとしては「好き」なんです、相手のことが。

だから、全く遊びの恋愛なんてしないし、毎回好きになったら気持ちを込めて関わるんです、相手と。

ただ、今より深い関係になっていくと、愛せなくなることへの怖れが発動する。

だから、怖れを感じない距離で関係性を結べる人を選んでいる、といいますかね。

もちろん多くの方がそんな自覚を持って恋愛されているとは限らないと思うんですよ。

ただ、よくよく内面を見つめていくと・・・という話なんです。

愛せなくなることへの怖れを手放すには

よくよく考えてみると、これってめちゃくちゃ切ない話なんですよね。

愛した経験が痛みを呼び、その痛みが怖れを呼び、結果人と深く関わることができなくなってしまうわけですから。

そんなみなさんのご相談をうかがうたびに、なんとかお力になれればと思うばかりなのです。

最後に、「愛せなくなることへの怖れ」を手放す方法について、少しだけ触れておきたいと思います。

愛せなくなることへの怖れを手放す第一歩って、実は気づくことなんです。

実は愛したい気持ちの裏で、愛せなくなることが怖くて

相手との距離を詰められなくなっていたり、恋愛に積極的に慣れなくなっているんじゃないか、とかね。

とにかく「if」でいいので、もしそうだったら?と考えてみることです。

ただ、この手の怖れは、実際に記憶に残るほどの大きな喪失体験をしない限り、なかなか気づけないものでもあるので、気になった場合はカウンセリングなどで扱うほうがいいかもしれません。

もし、あなたが今の恋愛関係にどこか心の距離を感じたり

好きな人とか変わっているのに幸せを実感できなかったり

いつも距離のある人ばかり選んでしまうとしたら

「私が愛せなくなることを怖れているのかも?」と一度自分に投げかけてみてもいいのかもしれません。

ただ、必定以上自分を疑う必要はないんです。

少し客観的に自分を見つめてみるといいと思いますよ。

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