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人付き合いが苦手だと「人が苦手」だと思いがち
カウンセリングでいただくご相談の殆どは対人関係の問題です。
恋愛も夫婦問題も対人関係ですからね。
職場の問題も嫁姑問題も友達付き合いも同じです。
自分自身が気分良く人と関わり続けるにはどうしたらいいでしょうか?というご相談であり、そこには共通した心の動きがある、といえるのです。
それほどまでに多くの方が「人との関わり」について悩まれているわけですね。
そしてお悩みを抱えている方の多くが、人付き合いが苦手な私は、きっと「人が苦手なのだ」だと思いがちなのです。
ここにハマるとなかなか人付き合いに対する苦手意識が変えられなくなってしまうのですよね。
人付き合いが苦手=人と関わるときに感じる感情が苦手
「私、昔から人付き合いが得意じゃなくて。友達もそんなに多いほうじゃないんです。
自分なりに気を使って人に接しているつもりですけど、うまくいかないことも多くて・・・。
どこか人が苦手なんだなと思うんです。
でも、それじゃ生きづらいじゃないですか?なんとか直せるものなら直したいと思うんです。
ただ、昔から続く苦手意識はなかなか消えなくて。これ、なんとかなりますか?」
僕の答えは「そういった意識をお持ちなら、きっと大丈夫ですよ。
ただし、問題解決のためにはある誤解を解く必要はあるかもしれません」とお伝えしています。
多く、人付き合いが苦手だとおっしゃる方は「人が苦手、人が嫌い」とお感じなのです。
相手にどう思われているだろう?
相手に嫌われていないだろうか?
相手は自分を受け入れてくれているのだろうか?
相手に関わったら迷惑じゃないか?負担になるのではないか?
このように感じているうちに、いつしか「人付き合い=面倒なもの、大変なもの」という思い込みを持たれている方が多いのです。
そこで生まれる「人が苦手」という意識が、どうすれば人と上手に関われるだろう、私なりに頑張っているのに・・・という思いにつながるわけです。
それゆえに、面倒な人付き合いなんてしたくないなーと思い、あまり人と関わらず一人で過ごすことが増え、その気楽さに依存しちゃうこともあるのかもしれません。
ただ、実際には「人と関わることで感じる感情」を苦手にしているというケースが圧倒的です。
実は、人が苦手、なのではなく、人と関わることで感じる感情がネガティブなものになっているので、苦手にしているです。
そして、人付き合いが上手くいかないことを「不本意だ」と思っているから、悩むわけです。
つまり、実は人と関わることに大きな意味を見出しているから悩むのですよね。
人が苦手という思いこそ防衛反応
「私、自分なりに気を使って人と関わっているつもりです。
でも、いつも疲れちゃって、人と関わる気持ちにならなくなるんです。やっぱり私って詰めない人間なんでしょうか。」
「私は人前で何も言わなくなるタイプなんです。
何か表現することが面倒に感じて、いつも会社でも黙っていることが多いんです。」
「私って、短時間ならいいんですけど、長く他人といると凄く疲れちゃうんです。
人からは気の使いすぎだ、と言われるんですが、私にとって気を使わないって難しい。みんなどうしているんだろうって考え込んじゃいます。」
こういったお話もたくさん伺います。
これは一つの「人付き合いで感じる感情を感じないように」する防衛的な反応なんです。
「必要以上に気を使う」「黙って何も話さない」という手段を使って、人と関わるとあまりいい気分を感じないので、そうならないように手を打っているわけですね。
しかし、多くの場合、この「人付き合いが苦手な理由」を使って、自分で自分を責めてしまうわけですよ。だから更に落ち込んでしまうんです。
ただ、「どうして自分はこういった行動を取るのだろう?」と悩まれている方は多いのですが、
「どうしてここまで人付き合いで嫌な気分になるのだろうか」と考えられることは少ないようです。
相手にいい影響を与えられないと思うから、人が苦手なのです
僕たちにとっての悩みとは「うまくいかないこと」なのです。
なにより自分が「人の役に立ちたい」と願っているから、うまくいかないことが悩みになるわけですよね。
もし、人のためにならなくてもいいと思っているなら、人との付き合いで悩んだり、嫌な感情を感じる必要はないわけです。
それぐらい僕たちは人と関わりたいし、愛したいし、いい影響を与え合いたいと願っているものですよ。(この考え方が自分を見つめる大前提であり、この考え方から外れると、自分はひどいやつだ、自分はダメな人だとエゴや罪悪感に飲み込まれるので要注意です。)
が、それがうまくいかないことで辛い気持ちを感じ、その感情を切り離すために人との距離を取るのです。
人付き合いが苦手だという方は、よくこうおっしゃってくださいます。
「特定の気が置けない人とは仲良くできるんですけどね。そうではない人は途端に苦手になっちゃいます。だから人付き合いはいつも限定的なんです。」
これが意味することは
「特定の気が置けない人」=「私と関わっても(私の影響を受けても)嫌な顔をするどころか、普通に接してくれる人、もしくは、いい気分を感じてくれる人」
ということだと僕は考えます。
以前のコラムでも書きましたけど、僕たちは自分の影響を受けてくれる人の影響は、喜んで引き受けようとするものです。
自分が相手に関わっても、相手が嫌な気分を感じないこと。
それが自分が人と付きあえるかどうかの条件なんだ、ということなんですよ。
つまり「人つきあいが苦手だ」という気持ちは
かなりの確率で人は私と関わってもいい気分を感じないだろう(嫌な気分になるだろう)という思い込みがある、ということを示しています。
そして、人付き合いが苦手だというお悩みの深層心理には
自分は人のお役に立ちたいのだ、という善意と
しかし、本当にお役に立てているのだろうか?という疑
いが存在していることを示します。
自分で自分を誤解して、自分はもしかすると価値のない存在なのではないか?と感じていると、人付き合いで悩むということなんですね。
自分と関わることで、相手に喜んでもらえるだろうか?
相手はいい気分になってくれるだろうか?
相手の助けになっているだろうか?
それほどまでの善意がありながらも、しかしその善意を伝える自信が感じられないから、人付き合いで悩み、人のお役に立てないことでつらい気持ちになり、だから人と距離をとっているということなのです。
※過去に人から傷つけられてひどい目にあった、というケースの場合はもう少し違う見立てが必要ですが、基本的には同じような解釈ができます。
自己肯定感を高め、自己概念に興味を持つ
人付き合いの問題の本質が「自分の善意を伝える自信が感じられないこと」にあるなら、ここで扱うべきテーマって「自己肯定感」であり「自己概念」なのです。
根本的に人付き合いに関して見直すなら、実は対人関係の技術・テクニックを考えるよりも先に、自分自身を見つめるほうが得策なんですよ。
もちろん対人関係の技術・テクニックを磨くと、うまく人と付き合えるようになります。
ただ、そもそも対人関係の技術・テクニック自体が「人に与える」行為そのものです。
人にどう思われるか、や、人に好かれるために存在しているものではなく、「相手にいい気分を感じてもらいたい」「相手に喜んでもらいたい」という思いの塊なんです。
だから、自己肯定感が感じられなかったり、自己概念が「自分は愛されるにふさわしくない」となっていると、対人関係の技術・テクニックによって、まるで心のアレルギー反応のような葛藤、違和感や嫌悪感を感じることになるわけです。
自分は相手の喜びになれないのに、相手を喜ばせようとしている。
自分は愛される価値がないのに、相手と関わろうとしている。
自分はもっと頑張るべきなのに、相手に依存しようとしている。
そんな思いにかられて、人と関わることが苦しくなるのです。
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そこで、まず自分自身の自己概念、自己肯定感について扱うと、次第に人付き合いに対する葛藤や苦手意識が低減していきますよ。
「自分は自分として素晴らしい」と、過去の傷・誤解など葛藤の理由となるものをクリアリングしながら学び、感じ続けていくプロセスです。
ただ、自己概念がネガティブになっていると、こういった話が、よくわからないな?と感じたり、読んでいるだけで急に眠くなることがあるんですよね(笑)
いや、心理的抵抗を感じるという意味なんですけどね~。
それぐらい僕たちは「今の自分に合わないこと」を受け入れたくないし、今の自分を変えたくないと感じるものなんですよ。
だから僕のブログの内容も、読んでみて「よく分からない」「なんだか頭に入ってこない」という方がいても不思議ではないな、と思っています。
しかし、もしあなたが本気で「人付き合いの苦手意識を手放したい」と思われるなら、ぜひ何度も読んで心に定着させていただきたいですし、問題解決の時間短縮のためにプロのサポートが必要だと思われたら、あなたのタイミングでカウンセリングやセミナーをご利用くださいね。
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あなたが自己肯定感を高めたり、自己概念を癒やすことができてくると、いわゆる対人関係のテクニックも技術ではなく、心から与えるという意味で上手に使えるようになります。
お仕事なら、接客一つとっても、心からお客様に向き合えるようになります。
パートナーシップなら、心からパートナーを愛せますし、相手の愛情も強く感じられます。
対人関係なら、ハートで人と向き合い、いい関係を構築できます。
何より与えることで自分自身が良い気分を感じますから、毎日が楽しくなってきますよ。
こうなってくると日常の中によい愛情の循環ができるので、毎日がとても楽になっていきます。
そもそも人は誰しも価値があって、愛されるにふさわしい存在であるはずなのです。
だから、人と関わることでいい気分を感じてもいいはずなのです。
が、過去に、自分が誰かを喜ばせることに失敗した、人を傷つけてしまった、などの自分を罰する理由を持っていると、どうしても人と関わることに抵抗感を感じるものです。
それは多く「私は愛されなかった」と認識される傷でもありますが
実は「自分なりに愛してもうまくいかなかった」という傷であることが多いものですよ。
もしあなたが人付き合いが苦手だと思うなら、
もし自分を罰する理由があるなら、それはどんな理由だろう?
もし自分が自分をより良い存在だと感じられないなら、それはどうしてだろう?
自分をより素晴らしい存在だと感じるには、どうしたらいいのだろう?
そう考えて取り組んでみてください。
人にどう思われるかよりも先に、「自分が自分をどう感じているか」が何より優先されること、と考えていただくといいと僕は思います。
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