ほぼ30代からの心理学

投影の法則 ~感情は外側ではなく内側にある~

投影の法則

投影の法則のシンボル

投影の法則とは

「私たちは全員、心の中にあるフィルターを通して外の世界を眺めている」という概念のことです。

映し出すものは、自分の感情、過去の体験、出会った人物像など、さまざまなのですね。

この投影を分かりやすく例えるならば

「私たちは、自分の心が作り出した色付きのサングラスを通して、外に起こっている出来事や物事を見ている」

となります。

 

例えば「今日雨が降っている」としましょう。

この雨を「鬱陶しいな」と思う人もいれば、「恵みの雨だ」と思う人もいるでしょう。

例えば、あなたが少し強面な男性を見たとしましょう。

このとき、「もう怖すぎる」と思う人もいれば「お父さんが同じような人だったので平気」と思う人もいるでしょう。

 

このように「実際の出来事や物を、自分なりの色づけで見ている」という考え方が投影なのです。

投影を取り戻す、ということ

この「実際の出来事や物を、自分なりの色づけで見ていること」に気づくことを、投影を取り戻す、と呼ぶことがあります。

このように自分の投影に気づいて取り戻すことができると、物事を冷静に判断できたり、自分の感じ方だけで判断しなくなるという大きなメリットがあるのですね。

例えば、

付き合いにくいと感じる上司がいたとして、自分が過去の誰か(例えば父親)を上司に投影しているとしたら。

この「投影している」ことに気づくことができれば、困難と思われる人間関係も、今の自分が作り出している人間関係のルーツを見直すことで、それは人間関係を大きく変えていく視点にすることができます。

つまり、父親との関係を改善することで、上司との間で感じる付き合いにくさが軽減する可能性があるということなんですね。

投影を使って自分の価値を見つけることもできる

そもそも僕たちは知らない感情は感じません。

言い換えるなら、「自分の中にある気持ちしか周りに感じない」のです。

もし、あなたが誰かの事を「優しい」と感じるなら、

それは自分が「優しさ」がわかっているということを示します。

自分の中に「優しさ」があるから、誰かのことを「優しい」と理解できるのです。

確かに、人によって「優しさ」の基準や感じ方は違うかもしれません。

ただ、「優しさ」がない人には、決して「優しさ」は感じられないのです。

このように、投影を上手に使うと、自分の価値を見つけることもできるのですね。

投影は「自分や他人を理解し許すために使える」

繰り返しになりますが、そもそも僕たちは知らない感情は感じません。

もし、今、自分の周りに

「嫌だなと思う人」「苦手だなと思う人」「許せないと思う人」がいたとしましょう。

この場合、相手のことが嫌いで、苦手で、許せないと思うわけですよね。

ただ、このときに「相手は嫌な人間で性格が曲がっている」と断定的に認識するとしたら、それこそ大きな誤解となってしまいます。

心理学では、このような認識のことを「根本的な帰属の誤り」「対応バイアス」と呼びます。

※「根本的な帰属の誤り」「対応バイアス」とは、個人の行動を説明するにあたって、気質的または個性的な面を重視しすぎて、状況的な面を軽視しすぎる傾向のことです

もし、このような状況で

「その人自身を嫌っているのではなく、自分の中に同じように嫌な部分があるから嫌っているのかもしれない」

そう思えるならば(ちょっと気分は悪いですが(^^;)

相手を誤解し続けたり、相手を批判して変えようとするのではなく(コントロールの心理)

コントロールの心理 〜思い通りにならないと気がすまない?〜人をコントロールしたい! 〜思い通りにならないと気がすまない?〜 今日はコントロールの心理に関する解説です。 僕たちさまざまな「...

自分を変えること、自分の嫌な部分を受け容れていないことが、この問題を作っていると解釈することができるようになります。

この視点を持ったときにはじめて

自分の感情や感覚が「他の誰かのせい」ではなく、「自分の見方次第」に変わります。

これは「自己肯定感」、どんな自分も肯定する感覚を養うためにも大切な考え方なのです。

 

安心感と投影の法則〜自己肯定感を高める〜

さて、僕たちが安心感を感じ、自分のことが好きだと感じながら生きていくことを考えるなら

「自分で自分を受け容れる」ことが欠かせないでしょう。

これは一つの「投影の法則」なんですよ。

もし自分が自分のある一部を嫌いだ、と思っていると

投影の法則で

「自分でも嫌っているのに、人が受け入れてくれるわけないでしょ」

「そんなの愛じゃなくて慰めや同情なんじゃないの?」と感じるわけです。

相手の気持ちを確かめる前にね。

つまり

自分が自分を受け容れていない部分が多く存在すれば

「自分のことを受け容れてくれる人はいない」と感じるわけです。

しかし、

自分を自分で受け入れ、認め、嫌な部分があったとしても

「自分は自分で捨てたものではないよね」と思えるようになると

その投影で「人も受け容れてくれるかもな~」と感じやすくなるものです。

だから、人は自分を受け容れてくれる安心感を感じられる、ともいえます。

それがあなたの内なる安心感や、自己肯定感につながっていくのです。

このような自分を癒やすことを考える際に「投影の法則」を知り、理解すると、スムーズに進むことができるでしょう。

ABOUT ME
浅野 寿和
カウンセリングサービス所属心理カウンセラー。名古屋を中心に東京・大阪・福岡で〜旅人のように〜カウンセリング・セミナーを開催。心理学は現実で使えてなんぼ、がポリシー。
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