恋愛の心理学

ケンカするとすぐに「もういい、さようなら」と言う彼。関係を続けるか迷っています。

浅野さま はじめまして。

私には数年お付き合いしている彼がいます。

彼はケンカになると、すぐに「もういい。さようなら」と言い、その場から逃げてしまいます。そして翌日、翌々日ごろには「言いすぎた」と、別れ話をしたことをなかったことにするのです。これまで何度も同じこと繰り返されましたが、その度に深く傷ついてきました。

さすがに3回目あたりで「さよなら」や「別れる」などの言葉は、本当に思ったとき以外は決して言ってはいけない。また、途中で話を投げ出すこともいけない。と伝えましたが、簡単には治らず、5回目ごろに、さすがに私も我慢ができなくなり別れを伝えました。

そこで、彼はおそらく初めて深く反省し「変わる努力をする、別れたくない」と、行動パターンを改めはじめました。とはいえ、すぐに人は変わるわけもなく、幾度かやはり途中で逃げそうとしましたが、自分でも反省をしている様子が垣間見え、努力が伺えたので許してきたつもりです。

そんなある日、やはり一方的に話を投げ出すことがありました。私は、もう傷つくどころか呆れてしまい、本気で別れようかと距離を置いている状況です。しかし、これまでの情もあり、本当に別れていいものなのか悩んでいます。

ちなみに彼は、私がされて傷ついたことや辛かったことなどを伝えると、「僕は、そんなことを君に言われて悲しい」などと、私の気持ちを受け止めるふりをしながらも、自分がいかに辛いか悲しいかを被せて伝えてきます。そこには、まったく悪気もないし、むしろお互いの気持ちを伝え合うために必要な言葉だと信じて疑いません。

長文になりましたが、アドバイスを頂けますと幸いです。

ネタ募集ネーム:ルピナスさん

ルピナスさん、ネタのご協力ありがとうございますm(_ _)m

今日はあなたのご質問にお答えしますね。

なるほど、今おつきあいされている彼はケンカになると「もういい、さようなら」と言って逃げてしまうんですね。しかし翌日には前言撤回となると。

これが何度も続けば確かに別れを考えることにもなりそうですよね。

しかし、これまでの情もあり、本当に別れていいものなのか悩まれている、ということでなにかアドバイスがあれば、ということですね。

承知しました。

いただいたご相談を読ませていただくと、ルピナスさん自身も彼のことを受け止めよう、理解しようとされている様子も伝わってくるようですし。

なにより僕の中で最も響いた言葉は「すぐに人は変わるわけもなく」という部分ですよ。この一言にあなたのどんな思いが込められているんだろうと想像しながら読ませていただきましたよ。

では、参考になればと思いつつ、お伝えできることをまとめていきますね。

ケンカするとすぐに「もういい、さようなら」と言う彼の心理

まず一般的な話から始めますね。

恋愛や夫婦関係の中だけでなく、どんなことでも自分が悪いのかも?と思える状況になると「あーもういい、もういいから」「もういいよ、さようなら」と言いはじめる人っていますよね。

その言動がいいかどうか別にして、ですけど。

このような言動を取る人ほど「自分が思ういい自分でいられないことが嫌だ」と感じている可能性があります。

「自分」というものが「自分にとって」も、「他者にとって」も、「いい自分でいることに価値がある」と思い込んでいる可能性があります。

逆に、自分が「いい自分でいられない」と感じると、その場(その関係・相手)を切り離したくなるのです。

この状態を心理的に見ると、自分の非や、それに伴って感じる罪悪感が受容できないとか、自分を否定されたくない気持ちが強い、と言えるでしょうね。

このような人に多く見られる傾向は「自分が思ういい自分でいれば問題なんて起きないし、人からも責められず、迷惑をかけることもない(だろう)」という推測が内面に存在していることでしょうか。

恋愛にしろ、対人関係にしろ、人との関わりというのは「どんな自分でいかに相手と関わるか」によってその関係の良し悪しが決まる側面がありますよね。

ただ、今回の彼のようなタイプの方は「自分がどのような状態でいればいいか」に意識が向きやすいようなのです。(彼がそうだとは言い切れないのですが)

例えば、彼女とケンカしても、彼女と愛し合うにしても「自分と彼女が今、どのような状態にあって、どのように関わると前向きな方向に向かうのだろうか」とはあまり考えないといいますか。

とにかく「自分がどのような状態でいればうまくいくのか」を優先してしまう傾向があるわけです。

だから、彼女に責められたり、お互いの気持ちが上手く通じ合わないことで、自分が思ういい自分でいられないと感じ「もういい、もういいから!」と伝えてしまうのでしょう。

いい自分でい続けたい人が常に「自分をよく見せたいだけ」とは限らない

このような態度を見せる人は、常に自分をよく見せたいだけ、プライドが高いと見られることが多いでしょうが、僕としては「うーん、検討の余地あり」と見ています。

実際、いわゆる自己顕示欲から自分をよく見せたい気持ちが強すぎて、自分ばかりよく見せて、他者を否定的・拒絶的に扱う人もいるでしょう。

が、いい自分でい続けたい日とのすべてがそうだとは見ていないんですよね。

例えば、「自分が思ういい自分でいられないと、自分を必要としてくれる人(愛してくれる人)はいなくなる」なんて思い込みを持っている人がいるとしたらどうでしょう。

そんな思い込みがあるからこそ「いつもいい自分でいなきゃいけない」と思いこんでいる人がいるとしたらどうでしょう。

このような人ほど、自分が思ういい自分でいられなくなる状況が生じるたびに、そこから離れたくなるのではないか、と僕は見ているんです。

これは「無価値感」の影響だと考えることができます。

無価値感とは「そもそもの自分にたいした価値はない」という感覚をもたらす感情です。

もし、この無価値感の影響で「いい人でいないとまずい・誰にも必要とされなくなる」という怖れを抱えやすい状態にある人がいる場合。

「いい人でいないとマズいのに、いい人でいられないかもしれない」といった怖れを刺激されるような状況に置かれると

「あぁもう自分なんてものは愛されもしなければ、必要とされてもいないんでしょ(怒)」

と、まるで逆ギレのような態度を見せることがあるんですよ。

そう考えると、この場合の「もういい・さようなら」は、どこか自分が責められたり、他者から自分の問題を指摘されるような状況ができたことで「自分はもう愛されないんじゃないか」という怖れを感じ、その怖れを受け止めきれないときに出てくる言葉ではないか、なんて考えたりもします。

もちろんそれが彼の本心かどうかは別なんでしょうけどね。

むしろ、彼はあなたとの関係を継続したいし、あなたのことは失いたくないのかもしれません。ただ、自分にあなたの気持ちを引き止めておけるなにかがあるわけではない、と感じているのかもしれませんね。

もしそうであれば、の話。

あなたが彼との関係を継続させていきたいと思われるならば、どこか彼を励ますような言葉かけを増やしたり、「ありがとう」という彼の言動を受け取る言葉を増やしたり、彼に自信を感じてもらうような接し方をすることも選択肢の一つになりますね。

相手に必要とされなくなるかもしれないという怖れは、十分な逆ギレの要因となる

そう考えると、ルピナスさんの彼って、もしかすると「あなたに愛されなくなってしまうような自分にはなりたくない」って思っている可能性があるんじゃないかな、と僕は思うわけでございます。

そう考えると僕としては、普段からのお二人の対話や、時には衝突の様子がどのようなものなのか、が非常に気になるところではあるんです。

相手へのお願いにしても、相手に気持ちを伝えるにしても、例えば「もう分かってよ」「どうして分かってくれないの」的な表現に近いやりとりを続けると、無価値感の強い人にとっては「相手から『おめーに愛される価値はないわ』と言われている」ように解釈する人もいるのでね。

だから「もういい、さようなら」と言いはじめる人も出てくるわけでしてね。

「相手に必要とされなくなるかもしれない」という怖れは、十分な逆ギレの要因となると僕は思うのです。

また、この手の怖れを抱えている人ほど、いわゆる「論点のすり替え」を頻繁に行うことがあるのですよ。

今回のご質問で言えば以下の部分がそれに当たります。

【彼は、私がされて傷ついたことや辛かったことなどを伝えると、「僕は、そんなことを君に言われて悲しい」などと、私の気持ちを受け止めるふりをしながらも、自分がいかに辛いか悲しいかを被せて伝えてきます。】

これもまた「相手に必要とされなくなるのではないか」という怖れが強いからこそ起きることと考えられそうです。

いわば、自分の怖れの解消に意識が向きすぎていて、まぁ相手をなんとかなだめたい、説き伏せたい、こちらの事情を理解させたい、と考えてしまうのかもしれませんね。

このような状態を一言でまとめると「相手の気持や二人にとって大切なことと向き合えない状態」と言えなくもないのでしょうが、しかしそこにも何かしらの事情があるのだろうと考えることもできるかな、と思います。

自分自身の気持ちの整理をはじめると、決断しやすくなる

さて、ここからは「なにかアドバイスを」という部分に対してお答えしていきます。

確かに、今の彼を理解して全部受け入れて愛してあげることも選択の一つですよね。

ただ、だからといってあなたの気持ちが整理できていなかったり、あなたも彼の言動でいろいろ思うことがあるなら、そこを我慢して相手を受け入れることもまた悩ましい選択になるかもしれません。

これは「もしかすると」の話なんですけどね。

あなたが今の関係を続けると更に深く傷ついてしまうかもしれない、と感じていないでしょうか。

僕はこの記事の冒頭部分に、あなたの「すぐに人は変わるわけもなく」という言葉が響いた、と書いたわけですが、そう書いた理由がここにあるのです。

既にあなたは彼のことを何度も受け入れようとされていたのはないか。

そして、今もすぐに変わらない彼のことも受け入れる方向でお考えになったのかな?と。

そういったあなたのお気持ちも、そしてあなた自身の行動の結果も無視できないものだと思うんですよ。

だから僕のオススメは、まず「自分の気持ちを整理すること」です。

自分自身が無理をしない、可能な限り納得した決断を下すためにも、今の自分の気持ちをアウトプットして客観的に眺めてみてはいかがでしょうか。

具体的にはノートに書き出す、人に聞いてもらう、といったことが挙げられます。

また、今のあなたの素直な気持ち、誰かに聞いてもらうのもありですよ。

いろいろ考えすぎてしまったり、自分の本当の気持ちを置き去りにしながら考えると、なかなか答えが出ないことも少なくありません。

「あ、もう別れる!」と決めても、次の瞬間「でもなぁ」と思いやすいといいますか。

これは自分自身で、自分が感じている気持ちに蓋をしているときに起こりやすいことです。

丁寧に色んな気持ちを認めて、解放していくと、次第に「本当はどうしたいんだろう」という気持ちに行き着きやすくなり、「これからどうするか」は決めやすくなりますよ。

最後に(ちょっとした余談)

ちなみにここからの話は今日のご質問に対する回答ではなく、完全な余談です。

ルピナスさんに向けて書いているわけではなく、今回の記事の内容に関連した内容をブログの読者の皆さんに参考にしていただければと思いながら書いております。

実際のカウンセリングでも「別れるべきかどうか迷っています」というご相談をいただくことは稀ではありません。

もちろん悩まれるにはそれだけの事情があるのですから、悩み、迷うことがあってもいいわけですし、逆に悩むぐらい重要な決断なんだと理解していいと思うんです。

ただし、どんな恋愛関係であっても、最も避けたい選択は「相手の様子が〇〇だから別れるという決断を下すこと」かもしれませんね。

例えば、僕たちが誰かとお付き合いして、しかし「もうこの人とはいられない」と思うとき、その別れる理由を相手に求めることが多いわけです。

特に相手のことがまだ好きだと思えるときならなおさらに。

ときには「相手がこんな人だからもう無理なんだ」とか「相手が問題を起こしたから仕方がないんだ」と、自分の本心を打ち消していくように決断をしようとする方がいますよ。

確かにそのお気持ちも理解できますし、実際、相手に関係を継続できなくなるだけの事実があったのならば、その事実をないがしろにすることもできないでしょう。

しかし「相手が〇〇だったから私は別れるしかない」という決断を下せば下すほど、実は自己価値や自己肯定感が下がりやすくなってしまいます。

「自分の意思で決めるという意識」が持てないとき、自分で決めていないからこそ、その自分を肯定することが難しくなるのです。

例えば、相手がこうだから仕方がなかったんだ、と思うとしたら、それは自分で決めていないし、自分を責めている状態なんですよ。

だから、別れても、別れなくても、どちらにしてもモヤモヤするし後悔することになっちゃうことが多いようです。

 

もし、相手と別れないなら、自分の決断として決めればいいんです。

もし、相手と別れるなら自分の決断として決めればいいんです。

そして、状況や自分の気持ちのあり方で変わっていくこともあるわけですから、その時はまた別の決断を下せばいい、ということなんです。

もちろん、決断を下す際、一人で思い悩む必要はありません。

たしかに最後に決断を下すのは自分ですが、事前にたくさんの情報を集め、学び、誰かに相談してみたり、自分の気持ちを整理しておくとより良い決断につながっていくんですね。

そう考えると、自分がどうするかを自分で決めることが、自分自身の納得感につながるものなんですよね。

もしあなたがなにかに迷ったときは「自分で決めることで納得できる」とお考えいただくといいのではないでしょうか。

あ、もちろんその決断までのサポートならばいつでもお引き受けしますよ〜。

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