ほぼ30代からの”仕事に活かせる”心理学

期待しないトレーニング|人に期待しない考え方・方法を身につける心理習慣

歩き出す女性

こんにちは。心理カウンセラーの浅野寿和です。

今日の記事は読者相談。「おひるねさん」からいただいた話にお答えしています。

最近、日々漠然と感じるストレスの元は「人への期待」なんじゃないかと思うようになりました。 彼氏のためにとった行動が、逆に嫌がられたり……。

「共感してくれるはず」という思いが外れると、傷ついてしまいます。

でもこれは、相手が悪いというより、自分が勝手に傷ついてるのかなと。

そこで「期待しないトレーニング」を意識して人と接してみようと思ったのですが、 本当にそれでいいのか? 見返りを求めず接することは成長に繋がるのか?

また、人に期待すべき場面というのはあるのでしょうか?

ネタ募集ネーム:おひるねさん

とても大事なご相談をありがとうございます。

「人に期待しすぎて疲れる」
「裏切られてしまって、もう誰も信じたくない」
「期待しないって、冷たいことなんでしょうか?」

そんなふうに、“期待”にまつわる悩みを感じている方は、きっと少なくないと思います。

特に恋愛や職場、家族との関係など、心を通わせたい相手との関係においては、「期待してしまう自分」との付き合い方に悩まれる方も多いのではないでしょうか。

今日は「期待」にまつわる心理構造をわかりやすくお伝えしながら、「期待しないトレーニング」の実践方法もご紹介していきます。

なぜ私たちは「期待しない」が難しいのか?

たとえば恋愛関係において、「相手の言葉に一喜一憂してしまう」「約束を守ってくれるか気になって仕方がない」と感じた経験、ありませんか?

仕事であれば「期待したような評価を得ることができずにフラストレーションを抱える」といった経験です。

他にも「ダイエットしたくてサプリを買ったけれど、期待した効果が出ず失望する」もそうですね。

それって裏を返せば、「こうあってほしい」「これくらいは分かってほしい」という“期待”が、心の中にあるということ。

でも、期待すること自体は悪いことではありません。

僕たちは誰かを信じたいし、信じられる関係を築きたい。だからこそ、「こうしてくれるはず」という希望を抱く。それは自然なことです。

ただし、その期待が「過剰」になると、問題が起こります。

たとえば、

  • 「彼はきっとこうしてくれるはず」と思い込む
  • 「ちゃんと評価されたい」と強く願う
  • ダイエットサプリの効果を嘘だと思い込む

これは、自分の力を信じきれなかったり、報われたい気持ちが強くなっているサイン。つまり、自分の足りなさを人に埋めてもらおうとしている状態です。

その結果、「期待通りじゃない」とがっかりしたり、イライラしたり。

でも、ここで大事なのは「相手が悪い」ではなく、「自分が何を求めていたのか」を見つめ直すことです。

期待が強くなればなるほど、心が“他人の行動”に振り回されやすくなる。

この構造を理解しておかないと、私たちは無意識のうちに「期待=苦しさ」のサイクルに巻き込まれてしまうんです。

「期待しない」ために必要なのは“諦め”ではなく、視点の切り替え

「期待しない」と聞くと、「もう何も望まない」「傷つかないように心を閉ざす」といった“諦め”を連想する方も多いかもしれません。

でも、僕が提案する「期待しないトレーニング」は、そうした諦めとは全く違います。

むしろ、信じることをあきらめずに、自分を取り戻していくプロセスです。

大切なのは、

“他人の反応をコントロールできない”という現実を理解しながらも、「自分はどうありたいか」「どんな関係を築きたいか」を見失わないこと。

たとえば、相手が連絡をくれないとき、「嫌われたのかも」と感じるよりも、「私はちゃんと相手を信じた」「できることはやった」と受け止める視点に立つ。

その切り替えができると、「期待が叶うかどうか」に振り回されるのではなく、「自分がどう関わったか」という視点で満足できるようになっていくんです。

この視点の切り替えが、まさに“期待しない”という在り方を支える力になります。

「期待しない」ことで、むしろ関係は良くなる

「期待を手放す」と聞くと、関係が冷めたり、距離ができるように感じるかもしれません。

でも実際には、「期待しないこと」で生まれる“心の余裕”が、良い結果、関係性を作ることがあるんです。

たとえば、相手があなたの期待通りに動かなくても、「それでも信じよう」「きっと相手にも事情がある」と思える。

その余裕があることで、相手もプレッシャーから解放され、自然な形であなたと関わるようになる。

つまり、「こうしてほしい」という思いを押し付けないことで、かえって信頼される存在になっていく。

これは、特に“頑張りすぎる人”ほど大切な視点です。

相手を思うからこそ期待が強くなり、結果として自分を追い詰めてしまう。

でも、少し肩の力を抜いて関わることで、逆に関係性は深まることがあるんですよ。

“期待しない”とは、愛さないことではなく、「信頼のかたちを変えること」なのかもしれません。

期待しないトレーニングの心理学

「あなたは、周囲に期待したり、期待に応えようとして、思い通りにいかずに疲れていませんか?」

私たちは自然と「こうしてくれるだろう」「こうあるべきだ」と誰かや状況に期待してしまいます。

でも、現実はそう甘くない。期待と現実のズレが、失望や苛立ちにつながってしまうこと、ありますよね。

特に「こうあるべきだ」と思っていたのにそうならなかったときのショックは、結構きつい。だからこそ、「期待しないトレーニング」という考え方が、心を守るために有効なんです。

ここでいう「期待しない」とは、諦めや無関心ではありません。

むしろ「人は人、自分は自分」と線引きする意識や、「自分で自分を満たす力」を育てるという前向きな姿勢。自分の感情を他人の反応に預けすぎず、自分の軸を取り戻す方法でもあります。

そのためには、期待の心理を正しく理解することが大切です。

2つの期待の心理

期待には、大きく分けて2種類あります。

  1. 不足感からの期待:「私は足りていない」と感じることから生まれる、他人や外の世界への依存的な期待。
  2. 良い結果への期待:誰かの幸せや成功を願う、祈りのようなポジティブな期待。

今回取り上げる「期待しないトレーニング」は、主にこの1番目の「不足感からの期待」に対して有効です。

期待しないトレーニング4つの方法

では、期待でしんどくなる自分を整える「期待しないトレーニング」の4つのヒントを紹介します。

1. 「べき思考」をゆるめる

「〇〇すべき」「〇〇しなきゃいけない」という思考が強いと、無意識に他人にも「こうしてくれるはず」と期待してしまいます。

まずは自分の中の“べき”を点検してみましょう。

  • 朝に3つの“べき”を書き出す
  • 「それ、やらなかったら何が起こる?」と問いかけてみる
  • 「〇〇したい」に言い換えてみる

自分軸に戻すリハビリみたいなものです。

2. 自己ベストを尽くす

人に認められたい、結果が欲しい……そんなときほど、「今日の自分が出せるベストは何か?」に意識を向けてみてください。

  • 「今日は納得できる仕事をする」と心に決める
  • 他人の評価を一旦横に置いて、自分の満足感を優先してみる

「足りないから期待する」のではなく、「自分の手の届く範囲で誠実にやる」という視点が、不足感を整えてくれます。

3. 他人のせいにしない

「わかってくれてもいいのに」「どうして伝わらないの?」

そんな不満が湧いてきたときは、「それだけ期待してたんだな」と気づくチャンス。

相手がどうしたかではなく、「自分が何を期待していたのか」に目を向けてみましょう。

  • 「私が何を望んでいたのか」
  • 「本当はどうしたかったのか」

他人の反応に感情を預けすぎないことが、自分を守る第一歩になります。

4. 自分を満たす時間を持つ

期待が暴走するときって、心がカラカラに乾いていることが多いんです。

  • おいしいものを食べる
  • 好きな音楽を聴く
  • 興味のあることを学ぶ

些細なことでも、自分の心を満たしてあげましょう。

これは「自分の人生を楽しむ」ということでもありますね。

いい意味で「自分で自分を満たす」時間を意識的に持つことが、期待しない習慣を支えてくれます。

「期待=全部悪」ではない

ここでひとつ、再度、誤解を解いておきたいのですが

「期待しないトレーニング」は「期待=悪」と言っているわけではありません。

むしろ「良い結果への期待」は、人間らしい感情であり、成熟した愛のかたちです。

たとえば、

  • 推しの活躍を願う
  • 子どもの合格を祈る

こうした「期待」は、たとえ裏切られたとしても「その人を信じた証」として心の成長を促してくれます。

だから、「応援する気持ち」や「人の幸せを願う心」までは、どうか手放さないでくださいね。

続けるコツ:小さな達成を認める

「期待しないように」と思っても、またつい誰かに期待してしまう。

それでOKです。

大切なのは、「前よりちょっと冷静に対処できたな」とか「ベストを尽くせたな」とか、小さな変化をちゃんと見つけてあげること。

  • 自分を責めない
  • 小さな成功を喜ぶ
  • できなかった日は「ま、しゃーない」で終わる

そうやって、自分を大事にしながら、ゆるく続けてみてください。

「期待しないトレーニング」は、我慢でも放棄でもなく、“自分の人生に主導権を取り戻すための実践”なのです。

🟣 補足コラム:”誰かのために生きてきた人”の自分軸論

「人に期待しすぎてしまう」の背景には、“誰かのために生きてきた”という人生観があることもあります。

その生き方を否定せず、自分軸として再定義していく視点について、こちらの記事でも詳しく解説しています。

🔗 “誰かのために生きてきた人”の自分軸論

関連記事はこちら

まとめ:期待を手放し、もっと楽な自分へ。もし一歩踏み出す勇気が湧いたら

いかがでしたでしょうか。

この記事では、人に期待しないためのトレーニング方法をお伝えしました。

ただ、心の深い部分にある期待を手放すには、時に少し時間が必要かもしれません。

その期待は

「あなたが本当に欲しくても得られなかった」

と感じているものかもしれないからです。

もしあなたが

「どうしても期待してしまう自分を変えたい」「もっと誰かにじっくりと話を聞いてほしい」

とお感じなら、一人で悩まず、ぜひ一度ご相談ください。

ABOUT ME
浅野寿和 | 心理カウンセラー/トレーナー
恋愛や夫婦関係、仕事、対人関係、生き方の”こじれ感”を「甘すぎない心理学」で解決。ただ、気持ちを受け止めるだけでなく、背景にある心理構造や関係性のパターンを整理し、「現実的で納得できる選択」を一緒に探っていきます。 臨床実績9000件/東京・名古屋・オンライン対応。
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