ほぼ30代からの”仕事に活かせる”心理学

人に期待しないトレーニング 〜期待を手放し生きやすさを感じるための心理学〜

「人に期待しないトレーニング方法」について、相談したいと思い、投稿させていただきました。

最近、日々漠然と感じるストレスの元はなんだろうと考えていたところ、人への期待なんじゃないかと思うようになりました。

例えば、彼氏ために(もしくは彼氏と私のために)とった行動が、逆に嫌がられたり、相手も私と同じような気持ちに違いないという思いこみや期待から外れると傷ついてしまいます。

相手が悪いという事ではなくて、きっと自分が勝手に傷ついていることだと思います。これは見返りというものなのでしょうか?

そこで、相手に期待しないということは、自分は傷つかなくてよいし、相手にも私の不機嫌なリアクションを見せなくても済むので、「期待しないトレーニング」を意識して人と接していけばよいのかなと思いました。

見返りや共感(相手からの良い反応)を期待ぜずに人と接していく事は、人として成長に繋がるでしょうか。
それでも、人に期待すべき場面というのはあると思いますが、それがどういう時なのか分からないんです。

よろしくお願いします。

ネタ募集ネーム:おひるねさん

おひるねさん、ネタのご協力ありがとうございますm(_ _)m

とってもいいご質問をいただいたなと思っています。ありがとうございます。

それでは解説編へ。

期待の心理とは

僕たちは「なにかに期待する」という気持ちを抱きますよね。

これは「期待の心理」と呼ばれるものです。

ただ、「期待の心理」は「失望の母」とも呼ばれています。

要は、僕たちがなにかに期待するとき、失望を味わいやすくなる、ということです。

よって、あまりに強い期待は、私達が日常を過ごす中で感じる・ストレス、フラストレーションの理由にもなります。

そもそも期待は「自分の中で欠乏しているものに対する欲求」という側面があります。

よって、「他者への要求」を生みますし、「完璧主義」になってしまう理由の一つとも考えられています。

この「期待」が一つの理由となって、恋愛や夫婦関係、仕事や対人関係に問題や軋轢などが起こることも少なくありません。

もちろん自分自身が持つ期待を実現のために努力することで自信がつく側面もあるのですが、どこか「期待」が強く心にある状態には常に不安定さもあるものなんですね。

人に期待してしまう心理とその特徴

人に期待しすぎてしまう人の心理の特徴は

「自分に対して不十分さを感じている」という部分にあります。

言い換えるなら

自分をアテにできないと感じているので、未だ満たされない欲求や感じた不安を解消しようと「自分以外の誰か(なにか)に期待する」というわけです。

もちろん自分をアテにできないと感じる必要はないんです。

自分は自分として認めていればいいんですよ。

ただ、意識の中で「私は不十分なところがある」とか「今の自分は力不足だ」と感じすぎているとき、その不足感を満たそうと、人やモノなどに期待する気持ちが出てくるのです。

典型例は「ダイエットサプリへの期待」でしょうか(^^;

自分の努力だけでは痩せられない、と思えば、ダイエットサプリに過剰な期待をし、思うように痩せなければがっかりする、というね。

このときの心理状態は

  • 自分の実力を過小評価し、自信を感じられない
  • 未だ十分な実力(自信)が備わっておらず、実力を身につける必要がある

このどちらかとなります。

自分の力で痩せられると思えているなら、そこまでサプリに期待しないでしょう。

また、自分が痩せるノウハウを知らなければ、サプリに期待しすぎてしまうでしょう、ということですね。

相手に見返りを求めてしまう場合も期待しすぎている可能性がある

また、「自分に対して不十分さを感じている」と、「相手に見返りを求める」という形での期待を強めてしまうことがありますね。

もちろん誰しも多かれ少なかれ「相手からの見返りを求めるもの」なのですが、それが過剰な期待になってしまうと、生きづらくなってしまうわけですね。

自分の与えているものに不十分さを感じているので、相手からその不十分さを埋めるための評価・対価を示してもらいたくなるのです。

これは、他者から好意的に評価されたいという期待、となることもありますね。

それはまるで期待というより、「相手への要求」のようにも、「依存心」とも感じる場合があるでしょう。

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期待しないトレーニングはどんな場合に有効か

人に期待する男女

期待しないトレーニングが必要になる場合は

「自分自身が感じている不足感からの期待を抱えているとき」となります。

例えば、

  • 人に(パートナーや親、上司や仲間など)に〇〇してほしい!と期待しすぎて辛くなる
  • 自分の力では不足していると思うから、夢や目標があっても諦めてしまう。
  • もっと周りの人の期待に応えられるよう頑張なきゃ!と自分を追い込みすぎてしまう

そんなときに有効です。

このような期待は、その通りにならないと、は自分や他人に「失望」します。

これが「傷つく」と感じる理由になります。

不足感からの期待が強くなると「べき思考」が強くなる

このような期待の心理が強くなるとき、僕たちはいわゆる「べき思考」を強める傾向があります。

自分にも他人にも「こうするべき」「こうしなきゃ」と考えがちになるのです。

これは他人軸の発想ですね。

「他人にも自分にも不足しているなにかを期待して、こうするべき、こうしなきゃ」と考えているわけです。

自分が心から「〇〇したい」と感じているわけではないのです。

なお、「〇〇したい」と感じることこそ、自分軸の発想ですね。

つまり、何かを期待すると傷ついてしまうという問題があるならば、不足感からの期待について見直すといい、ということになります。

ここからは「人に期待しないトレーニング方法」についてお伝えしていきます。

人に期待しないトレーニング、その4つの方法

期待しないトレーニング

「不足感による期待をしないトレーニング法」は

べき思考を手放す」「自己ベストを尽くす」「他人のせいにしないという意識を持つ」「自分の心を満たす

の4つの要素でできています。

もう少し詳しく解説しますと、「不足感からの期待の心理」は

  1. 「べき思考」(〇〇しなきゃという考えが生み出す他人軸的発想)
  2. 「力不足感」(能力・知識・経験などの不足・無力感)
  3. 「自信のなさ・不安」(他人への依存心と相手との境界線(距離感)の曖昧さ)
  4. 「満たされていない欲求」

などの感情を自分が抱えていることを示すのですね。

だから、自分の中にあるこの3つの要素を整えていくことを考えればいいわけです。

「べき思考」に気づき、手放す

まずは普段から「べき思考」が強くなっていることに気づいて、それを手放すことです。

「べき思考」が強くなると、どうしても期待の心理にハマりやすくなります。

「私はこうしなきゃいけない」「こうするべきだ」という考え自体が、いわば他人軸の発想なのです。

例えば

「私は仕事に集中しなければならない」と考えているなら、それは「自分がしたいことではない」という意味で他人軸の発想だと言えるのです。

これを「私は仕事に集中したい」と考えたとき、自分軸の発想となるのですね。

まず自分がこの「べき思考」にハマっていないか、自分の日常の考え方をノートやスマホに書き出すなどしてチェックしてみてください。

その上で、「〇〇すべき・しなきゃ」という思いを「〇〇したい」という形に書き換えてみるのです。

それでしっくり来るかどうかを確かめたうえで、しっくりこないことは手放してしまいましょう。

また、日頃から、自分が取り組むことに関しては「私は〇〇したい」と思うようにクセづけてみましょう。

自己ベストを尽くす

恋愛であれ、仕事であれ、対人関係であれ、目の前の出来事に「自己ベストを尽くす」という意識を持つことです。

これは「自分自身の力不足感から人に期待してしまう人」にとって有効なトレーニングです。

言い換えるなら

  • 何事に対しても「自分のベストを尽くせばよい」と考える
  • 自分を高めたい場合は、自分に無理のない程度の目標を設定して取り組む
  • 他者などに認められたいという気持ちより「相手のために与える意識」を持って行動する

ということになります。

普段から、今日の自分の「自己ベスト」を尽くそうと考えて行動することを習慣づけてみてください。

これはあくまで「自己ベスト」であって、相手にとってのベストではないところがポイントです。

今日の自分にできることを行う。そして、それで良いと自分を認める。

このとき「〇〇するべき」「〇〇しなきゃ」と考える必要はないんですよ!

自分の気持ちに素直になって「〇〇したい」と思うことを選んで実践していきましょう。

また、パートナーや仲間、友人と楽しんだり、相手をいい気分にさせるように接することもいいですね。

このように自己ベストを尽くす意識を持つことは、不足感からの期待を手放す「土台」の要素になります。

他人のせいにしない意識を持つ

これは、自分の感情や行動の結果を他人のせいにしない意識を持つことです。

自責・他責的態度をやめるということでもありますね。

これは「自信のなさ・不安から人に期待してしまう人」に有効なトレーニングです。

僕たちがなにかに期待しすぎて傷ついてしまうとき、他人への依存心と相手との境界線(距離感)が曖昧担っていることが多いんです。

だから、その曖昧さを解消するためにも

自分の中で生じる期待、または自信のなさなどは

あくまで自分が感じていること」と捉える意識付けは大切なんです。

もちろん自分を責める必要もありませんよ。

いわば

「そう感じてもいい。けど、人のせいにしない」

という意識を持ってみることです。

自分の期待通りにならないことを「自分の責任だと思い込みすぎる」とか、「他人の責任と思う」としたら、自分の不足感はきえないどころか、自分自身が人の影響で失望し続けることになるんですよね。

その結果、人に期待して傷つくことが嫌だと感じ、他者との適切な距離感も取れなくなり、相手に依存しすぎたり、仕事、恋愛、対人関係で問題が生じやすくなりますから要注意ですね。

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自分のしたいことを日常に取り入れる

分の好きなこと、やりたいこと、楽しめることを日常に取り入れることです。

いわば「自分を満たしてあげること」なんですね。

特に、「満たされていない欲求から人に期待してしまう人」には有効な方法です。

例えば

  • 美味しいものを食べる
  • 趣味を楽しむ
  • 恋愛を楽しむ
  • 興味のあることを学ぶ
  • リラックスできる手段を持つ、など

これはトレーニングと言うより、人生を楽しむことに近いですね。

一人で悶々となにかに期待するより「楽しめる、満たされるため」に行動するわけです。

とってもシンプルですね。

「良い結果への期待」は期待したほうがトレーニングになる

この「期待しないトレーニング」は、自分の心を整え、行きやすさを感じる意味で大変な価値があります。

ただ、期待には「不足感からの期待」だけでなく、「何かしら良い結果への期待」という側面も存在します。

例えば、「推しのチームが勝ちますように」や「友達が幸せになりますように」という、解釈次第では「祈り」「応援」とも言えるかもしれませんね。

カウンセリングの現場にいますと、「期待するとろくな事がない。全て良くない」と思い、「良い結果への期待」まで否定しようとされている人がいるのです(^^;

確かに期待が裏切られるとつらいし、残念に感じますが、この「より良い結果への期待」までも否定的に認識するのは誤解だと思いますよ。

この期待まで否定すると

  • どこかさみしい人
  • 合理的すぎる冷たい人
  • 自分しか興味のない幼い人
  • 人の幸せや成功を願えない人
  • どこかとっつきにくい近づきたくない人

そのように誤解されかねず、ときには「未成熟な人間」であるかような印象を与えかねませんので要注意です。

むしろ、良い結果への期待に関しては、期待したほうが失望に強くなります

たとえ、期待が裏切られ自分が失望し傷ついても、それでも人の幸せを本気で願えることは、「人間としての成熟さ・懐の深さ」だからです。

だから、あなた自身が、自分の、そして大切な誰かの一番の支援者になってみてください。

すると、自然と「人にどんな期待をしても失望しない強い自分」になれますよ。

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