ほぼ30代からの心理学

癒着の心理 〜癒着とはなにか。その手放し方も解説します〜

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癒着の心理とは

「癒着の心理」とは、私と誰かとの境目がわからなくなってしまい、相手の感じている感情を自分のものと感じていたり、相手を一人の人間として認識できずにまるで自分のことのように感じたり、時には扱ってしまう状態のことを言います。

そこで癒着を表す比喩としてよく用いられるのが

「まるで二人が接着剤でくっ付けてしまっているような状態」

というもの。

癒着のあるところでは、どこか自分の気持ちや、望み、生き方やその価値観などが、「自分でもよくわからなくなる」のです。

それゆえに、どこか愛する人に対して犠牲的な姿勢で向き合うことも増えます。

また、自分の望む人生を生きていないような感覚を覚えることも多いです。

いつも他の誰か(例えば家族や両親、特に母親)の目を意識しすぎて、自分のとりたい行動をとれずにいたり。

人に対して言いたいことを伝えることが難しくなる、などの生きづらさを作ることが少なくありません。

よって、私達カウンセラーは、この癒着が心理的な理由で起きている問題があるとしたら、その癒着を解消し手放すことをおすすめすることが多いものです。

ただ、そもそもこの癒着はなかなか手放せず、問題が慢性化することも少なくないのですね。

癒着が生じる理由

癒着は、本来「信頼」「絆」「心のつながり」でつながるべき人とのつながりや、物や事柄との向き合い方がうまくいかなかったときに生じるものです。

言い換えるなら、本来は信頼や絆が感じられなかったときに、孤独や分離状態にならないために、致し方なく癒着する、という形で生じることが少なくありません。

親子関係で例えるとすると

親と子が、それぞれが癒着ではなく、お互いの個と個を認め、お互いにそれぞれ思い、考え、気持ちなどが存在するということを尊重することで、信頼や絆が形成されます。

このとき、お互いの違いを認められているという部分が、適切な境界線が引けている状態、つまり癒着していない状態なのです。

が、親がまるで我が子とのように子供を心配するとしたら、子どもの思い、考えなどは尊重されないことにもなるやもしれません。

また、子供も親に自分自身の思いや考えなどを認められないことでつらい思いをしますが、しかし一人では生きけない、と思うことから、親に従ったり、親の顔色をうかがいながら生活しはじめることもあるでしょう。

ここにはお互いがお互いを大切に思う気持ちはあるのでしょう。

ただ、個と個を認める、というような信頼や絆がない状態です。

この状態を癒着状態と呼ぶことがある、ということなのですね。

癒着を作る感情について

癒着を作る感情としては

  • 罪悪感(〇〇すると悪い気がする)
  • 怖れ(〇〇にしがみついていないと怖い)
  • 孤独感(誰もいなくなるような気がする)

などの感情が挙げられます。

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罪悪感と無価値感 〜心理学の用語解説〜罪悪感と無価値感 「罪悪感」とは、「自分は罪な存在」「罰せられるべきである」「幸せになってはいけない」などという感覚をもたらす感情...

そこに罪悪感があるから癒着する、恐れがあるから癒着する、孤独感を感じたくないから癒着する、ということです。

よって、なかなか「癒着している」事に気づいても「癒着を手放す」となると、ココロが苦しくなったり、ひどい罪悪感やそれゆえの葛藤を感じたり、不安、漠然とした怖れを感じることもしばしば起こります。

少し想像してみてください。

あなたがもし何かしら「しがみつかなければ不安だ」と感じているとて、そのしがみつきを手放したらどうなると感じるでしょうか。

そしてあなたの周囲に、「そんなに不安なら、しがみついていいよ」とあなたに伝える人がいたならば、あなたはそのしがみつきをやめるでしょうか?

きっとやめないのです。

つまり癒着を維持することは、自分が不安を感じないための補償行為(埋め合わせの行動)となっている事例も散見されます。

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補償行為 〜心理学の用語解説〜補償行為 「補償行為」とは、愛に基づくのではなく、怖れ、罪悪感、無価値感などから行われる行為のことを言います。 https://...

そしてそこに癒着する理由が生じます。

典型的な例としては「家族(親)を見捨てるようで、家から出られない」。

見捨てるわけではないのですけれど、そう感じてしまうところが、癒着の問題の厄介な部分です。

しかしその思いの根っこには「自分が不安」「自分が罪悪感を感じる」といった部分が隠れていることが多いものです。

だから家族や親を信頼するという発想が生まれないんですね。

癒着を手放す方法

ここからは「癒着を手放す」ために必要なことに付いて解説していきます。

癒着していることに気づく

まず、今の自分が癒着していることに気づくことです。

例えば、仕事でも恋愛でも結婚生活でも

生きづらさを感じる、犠牲的な生き方をしているように思う、毎日喜びがない気がする

そんな気持ちがあるなら、もしかして自分は癒着しているのではないか?ということに気づいてみることがポイントです。

癒着は目に見えないものであり、長い間癒着してきた人にとっては当然の感覚なのでなかなか気づきづらいものかもしれません。

が、一度癒着について知り、丁寧に見つめてみることがおすすめです。

感情・わだかまりを解消する

あなたの中にある「わだかまり」を解消することも一つの癒着を解放するアプローチです。

癒着を作る原因となっている「不安・罪悪感・怖れ」などを感じている自分を見つけて、解放していくことですね。

代表例が、いわゆるインナーチャイルド的なイメージで、その内面にいる私と対話をしたり、イメージを使って触れ合い繋がることです。

不安などを感じている自分を責めず、まず私を見つけて肯定してみることですね。それが感情やわだかまりの解放につながることも少なくありません。

罪悪感を手放すアプローチ

そもそも癒着は罪悪感ガ伴うことが非常に多いのです。

例えば

  • 相手の気持ちに従わなければいけない(そうじゃないと大変なことになる)
  • パートナーや子供を愛するなら、自分のことを差し置いてでも犠牲的であらねばならない
  • 仕事と向き合うなら、自分のことは横においてでも犠牲をしなければならない

そんな気持ちにかられる事が少なくないのです。

もちろんそんな思いの根っこには愛がある、といえるでしょう。

しかし愛で癒着は起きません。言い換えるなら、主体的に自分が愛や幸せを選び、自分を幸せにしているなら、癒着は起きないのです。

つまり、愛のようで愛ではない、そんな罪悪感がそこに存在することが多いのです。

よって、カウンセリングなどでは愛について考えていただくことが多くなるのです。

ある意味、罪悪感を解放するために、自分自身の過去を振り返って自分自身の罪の意識があるなら、それを書き換えたり。

今の自分を愛してくれる人の愛を受け取ったり、といったプロセスを進んでいただくことも少なくありませんよ。

ここでのポイントは

自分は悪い存在だ、とか、誰かを傷つける存在だ、とか、今のままの自分ではダメだ

といった罪悪感的な発想を手放していくこと。

それによって癒着を丁寧に剥がしていくことが可能になるんですよね。

感謝の気持ちを持つ

感謝は相手だけでなく自分を許す行為でもあります。

理解した相手の事情を元に、あなたがその相手に伝えたいことをちゃんと表現することです。

特に感謝をする行為は、あなたがあなた自身を負の感情から解き放ち、癒着の理由となっている感情を手放していくことにもつながります。

これらは「私がよりよく生きるために」行うと良いことで、いわゆる道徳的な観点だけで行うとわだかまりが消えないこともあります。

もしあなたが癒着・しがみつきを手放したいと思われるなら、自分を解放するために実践してみてください。

すると、あなたのココロが「誰かのせい(影響)」ではなく、「自分として生きる」方向を捉えやすくなっていくでしょう。

そして、癒着を手放したとき、あなたは自分自身の心に大きな自由を感じられるでしょう。

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