ほぼ30代からの心理学

悪意なき加害  〜望まないトラブルを起こす心理〜

悪意なき加害とはなにか

「悪意なき加害(者)」とは

自分なりに相手のことを考えてとった言動・態度・考えなどが

逆に「相手の考え、行為、価値観を否定する」カタチで作用してしまい

悪意はないのだけれど相手を傷つけてしまう人(状態)

を指します。

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これは普段から自立されている方に多い心理パターンです。

僕も日々、カウンセリングの現場で「悪意なき加害」について考えさせてもらうことも少なくないのです。

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具体例1

例えば、彼のことが好きで愛情を注いでいる忍耐女子の皆様は、彼を傷つける意図などまったく持てずに、自分なりに愛し続けますよね。

彼が困っていたらそっとアドバイスをする。

彼が一人で悩む姿をみて「一人で悩まなくていいよ」と伝える。

私がいるから甘えていいよ、とも伝えていた。

その言葉や思いに悪意なんて全く感じられないですよね。

ただ、「パートナーに迷惑をかけたくないなぁ」とか「自分なりのやり方で今の状況を克服したい」と思う彼にとっては、「彼女に自分のやり方、価値観、考えを否定された」と捉える場合があるわけです。

その彼にとっては「彼女の好意は嬉しい」と感じながらも、彼女に「自分の弱さを見られている」「自分の弱さを引っ張り出されてしまうようで困惑する」と感じるかもしれません。

特に「彼女の前では強い男でいたい」と思う男性なら、そう感じるかもしれませんよね。

切ない話ですし、彼にとってはありがたいことなのかもしれないけれど、しかしどこかで「自分が負けたような感覚」を感じるのかもしれません。

具体例2

また参考までに、恋愛以外での事例を挙げますと、『上司が部下に「〇〇のようにすれば成功する」とアドバイスをした』というケースがそれに当たります。

上司が部下にアドバイスを与えた。

そのアドバイスに込められているものは、まさしく上司が出世するために取り続けた行動(その指針)でもあった。

ただ、上司はいわゆる「あまり人の意見や目を気にしないタイプ」であった。

しかし、その部下は他者との調和を重んじるタイプで、人の目を気にする傾向があった。

上司は良かれと思って部下に「このようにすれば成功する」と伝え、そう行動するように要求したが、部下はそれによって「自分の価値観を否定されたような気分」になり、上司に対して不信感を抱くようになった。

このような事例を挙げればキリがないわけですが、私たちは「自分の成功体験、努力、やり方、正しさ」を「誰かの幸せのために参考になれば」と思い、与えることがありますね。

もちろんその思いを否定的に見る必要はないのかもしれません。

しかし、私たちは「人と違う要素」を持つものです。

必ずしも自分の成功体験が他人の成功体験とイコールで結びつくとは限りません。

そこを意識せず、たとえ善意からであっても「こうするといい」と相手に伝えたとき、相手にとっては「自分が負ける」ような感覚を覚える場合があり、これがお互いの信頼関係を壊す理由になることがあるわけです。

悪意なき加害は自立の人がハマる罠

さて、では「全く悪意がないのにどうして加害者になってしまう」ようなことが起きるのでしょうか。

その理由はとてもシンプルで「自立」が強まっているからです。

ここでの自立とは、防衛的な意味合いでの自立です。

「もう誰にも傷つけられたくない」「誰にも振り回されたくない」「自分は自分で生きていきたい」という気持ちが強く、他者の価値観を受け容れることができなくなっているのです。

このような気持ちが強い人ほど「悪意なき加害のパターン」にハマりやすくなります。

人が自立するプロセスから見た悪意なき加害

自立が強いタイプの方は、その子供時代(依存時代)に

「親や家族、友達や周囲に対して何かを期待しても自分の思うような愛情や理解、信頼を得ることはできなかった」

というハートブレイク(傷心)を経験していることが多いものです。

中には

「いい子になれば(周囲の人間に合わせれば)愛情や理解、信頼を得られるのでは」

という犠牲的な努力をされた方もいるでしょう。

しかし、それでも自分が望むように「愛してもらえない」「理解されない」としたら。

きっと人に対する期待を捨てない限り傷つき続けることになるわけですよね。

その結果、

「自分を譲って相手の期待に応え続けたり、こちらから何かを期待して失望したり、振り回されるなんてことはもう懲り懲りだ」

という気持ちを持つようになります。

依存時代に傷ついた分だけ強く自立する

このように、僕たちは依存時代に傷ついた分だけ強く自立するのです。

そして、自立するからには、必死になって頑張って、自分なりのやり方、生き方、価値観、成功を手に入れていくわけです。

このプロセスで得られるものがいわゆる「自信」「自分にとっての成功法則」なのです。

その後、大切な仲間や愛する人と出会ったとき、相手に差し出すものは

自分の体験から導かれた価値観・やり方・方法など」

いわば「自分にとっての成功法則」なのです。

そこでは

『自分にとって価値のあるものだから、相手の役に立つはずだ』

と認識されるでしょう。

ただ、それがそのままのカタチで「相手の役に立つか」「相手の価値観に沿うものか」に関する検討がなされないと

自分なりの成功法則や愛情を与えることで

パートナーや仲間、相手の価値観との衝突が起きてしまうのですね。

その結果

「自分なりに相手のことを考えて与えたのに、どうして分からないんだ!」

と、怒り、相手との対立が深まります。

これが終わらないケンカ、対立、別居、別れ・離婚、相手へ不信感を抱く、などの理由になるのです。

つまり、自立が強く、その深層心理で「孤独感」「分離感」「ネガティヴな競争意識」が強まったままでいると

善意から与え、ただ相手を思って愛しているだけなのに、それが悪意なき加害となってしまう、といえるのです。

考えてみると悲しい話ですが、しかし自立側の心理の罠としてよくあることなんですね。

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