自分らしさ・生き方に悩むとき

大切な人を傷つけた罪悪感から抜け出すには? 心を癒やして前に進むための心理学

「大切な人を傷つけてしまった」
「どうして、あんなこと言っちゃったんだろう……」

そんなふうに、ふとした瞬間に思い出しては、胸がギュッと痛くなること、ありませんか?

「言いすぎてしまった」
「あんな態度を取るつもりじゃなかった」

そんなふうに、思いやりのある人ほど、後から強く自分を責めてしまうことがあります。

相手に謝ったはずなのに、自分を許せない。

むしろ、謝ったことさえ「自分のためだったんじゃないか」と思えてしまって、余計に自己嫌悪が深くなっていく。

そんな状態に、陥ってしまう人がいます。

そこで、今回は「大切な人を傷つけた罪悪感」について、その心理と対処法をコラムにまとめていきます。

大切な人を傷つけた罪悪感が消えない理由

大切な人を傷つけた罪悪感のシンボル

私達がつい人を傷つけてしまったとき。

後悔と苦しみの中で、強い力で自分自身を責めていることが多いものです。

このとき、私達は強い「加害者意識」や「罪悪感」を感じています。

「加害者意識」や「罪悪感」は、自分は悪だ、毒だ、最悪の人間だという感覚をもたらしますから、感じているだけでとても苦しくなるのです。

なぜ「自分を責める」状態が続いてしまうのか

また、僕たちは

「誰かを愛されないことよりも、誰かを愛せない、相手に愛が届かないことのほうが苦しい」

と感じます。

だから、大切な人を傷つけた自分のことを、自分自身が許せなくなってしまうことが多いんです。

この自分自身が許せない状況が続くことが長く苦しみを感じる理由になるんですね。

「加害者になりたくない人」ほど苦しむ理由

不思議なことに、こういう罪悪感に強く苦しむのは、「本当に悪気がなかった人」のほうが多いようです。

「できることなら、こんな思いさせたくなかった」
「本当は、もっと優しくしたかった」
「自分なんかに関わらなければ、あの人も傷つかなかったのに」

そんなふうに考えてしまうのは、あなたがもともと「人を大切にしたい」気持ちを持っているから。

加害者になりたくなかった。

それなのに、自分のせいで誰かが傷ついた。

だからこそ、苦しいですよね。

”大切な人を傷つける”という行為に隠れた深層心理

ただ、「大切な人を傷つける」ことは、自分自身をさらに不幸にし、孤独に追いやり、罪の意識を感じさせ、嫌悪するための「手段」とも言えます。

言い換えるなら自分への罰、なのですね。

だから、ちょっと不思議な話のように聞こえるかもしれませんが

そもそも不安や怖れ、罪悪感や自己嫌悪が強い状態にある人は、大切な人を攻撃し、傷つけた瞬間に「気持ちが安定」するのです。

その一瞬だけ、ほっとする感覚を得るのです。

これ、経験した方はお分かりになるかもしれません。

実は、大切な人を攻撃する、という行為をとった瞬間だけ、一瞬罪悪感や恐れなどが解放されます。

つまり、そもそも抱えていた罪悪感や怖れなどの感情を解放するために、「大切な人を傷つけている」という見方もできるのです。

ただし、その後、冷静になったときに押し寄せる後悔は大きすぎるものなのですけれども。

人を傷つけたなら、実は“自分も傷ついていた”ということ

あなたが大切な人を傷つけたなら、その時点、もしくはそれ以前から

「すでに自分が傷ついている(罰を受けるべきだと深層心理で感じている)」

という可能性は否定できないものです。

これは「加害者意識」「罪悪感」を向き合う際、とても重要な視点になります。

どこかで「相手を傷つける」背景には、実は“心の限界”があったのかもしれません。

たとえば、

  • 我慢し続けていたけど、もう無理だった
  • 気づいてほしかったけど、伝え方がわからなかった
  • ずっと一人で抱えてきた寂しさや怒りが、別の形で出てしまった
  • 自分自身の状態がすでに限界で余裕などなかった

人を傷つけたとき、その言動の根っこには、「本当はわかってほしかった」「愛していた」という切実な想いがあることも多いのです。

その行動は「心の傷」を伝えてしまった結果かもしれない

このような話を聞くと、誠実な人ほど「自分が傷ついていたことなど言い訳に過ぎない」と思うかもしれませんね。

ただ、深層心理的に見ると、「心の傷は伝えるもの」なのです。

こちらが傷ついて、苦しいから、相手を傷つけてしまう。

つまり、あなたが深く傷ついていないなら、傷つけることはなかったのかもしれない。

この考え方、事実はとても重いですが、実際の臨床現場で取り入れられている考え方でもあります。

そのことを知り、きちんと自分に目を向け、心のケアをしていくことが、罪悪感から抜け出すための第一歩になることが多いんですね。

「自分を罰するという償い」は”逆効果”

そう考えると、あまりに強い後悔から「自分を罰する」という償いを考える人もいるでしょうか、それは明らかに逆効果である、と言えます。

いくら自分を傷つけても問題は解決しない。

いや、むしろまた問題を再現する可能性が高まってしまう。

だから、自分を罰しても、相手との関係も、心の中も、前に進めないんです。

少なからず、あなたが傷つけた相手のために誠実に行動することもできなくなるのです。

罪悪感を整えるための3つのステップ

人を傷つけた苦しみを手放す方法

罪悪感を抱いたときこそ、大切にしてほしい視点があります。

ここからは、罪悪感を整えていくために参考になる、3つのステップをご紹介します。

  1. 「謝罪」:ちゃんと謝罪する(でも相手の反応はコントロールしない)
  2. 「反省」:同じことを繰り返さないように、自分の感情や言動のクセを見直す
  3. 「癒やし」自分の傷つきを無視せず、自分癒やしに取り組む

1:「謝罪」(コントロールせずに伝える)

まずは「1:謝罪」です。これなしに次には進めません。

相手をコントロールせず(相手が謝罪を受け容れるかどうかも確認して)、可能であれば、誠実にこちらの謝罪の意思を伝えましょう。謝れないと、より罪悪感は強まります。

2:「反省」(自分を責めるのではなく振り返る)

次に「2:反省」です。これは事実を受け止めて改善ずることです。

間違っても自分を責めることではありません。しかし、反省すると自分を責めてしまうこともあるでしょう。ただ、それでも着実に自分の言動を振り返ることは大切なことです。

3:「癒やし」(自分の傷を理解し、整えていく)

最後が「3:癒やし」です。自分の傷つきを放っておかないことです。

先程も書きましたけれど「心の傷は伝えてしまうもの」です。

いくら反省しても、自分自身が傷ついていてはまた傷つけてしまうことにもなりかねないのです。

そのために、

  • 自分はどんな傷つきを抱えているのか。
  • 何がどう作用して傷つけてしまったのか。

できれば、心の専門家とともに自分自身と向き合い、傷を理解し、癒やす時間を作ってください。

自分を責めるよりも、自分を整えていくこと。

それこそが、いちばん誠実な“償い”になると僕は考えています。

人を傷つけた経験を”学び”につなげること

傷つけたという事実があると、「また同じことをしたらどうしよう」と思い、人との関わりを避けたくなることもあるでしょう。

ただ、「自分は毒だから誰とも関わらないようにしよう」と誓っても、問題は解決しません。

むしろ、自分に期待することすら諦めてしまうようになります。

人を傷つけた経験があるからこそ、次は、もっと人を大切にできる。

もっとちゃんと、自分の想いを届けられる。

そのための学びとして、この経験を“学び”にしていくこともできるんです。

もっと深く理解したい方は、こちらの記事もおすすめです

最後に:あなたは「悪い人」になったわけではない

大切な人を傷つけた罪悪感を学びに変える

最後に、これだけはお伝えしたいです。

人を傷つけたことと、あなたが“悪人”かどうかは、別の話です。

誰にでも、ミスはある。

言葉のすれ違い、感情のすれ違い、状況のすれ違いもある。

でも、そこから何を学ぶかで、人は、いくらでも変わっていけます。

だから、自分を責め続けるよりも、「今から、どう生き直すか」を考えるほうが、ずっと大事です。

あなたは、まだ終わってなんかいない。

むしろ、ここからが本番なのかもしれません。

ABOUT ME
浅野寿和 | 心理カウンセラー・トレーナー
恋愛や夫婦関係、仕事、対人関係、生き方の”こじれ感”を「甘すぎない心理学」で解決。ただ、気持ちを受け止めるだけでなく、背景にある心理構造や関係性のパターンを整理し、「現実的で納得できる選択」を一緒に探っていきます。 臨床実績9000件/東京・名古屋・オンライン対応。
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