ほぼ30代からの心理学

加害者意識の問題 〜乗り越えていく許しのプロセス〜

加害者意識を感じると、とてつもなく苦しくなる私たち

加害者意識と罪悪感で苦しむ女性

例えば

「パートナーを裏切って深く傷つけてしまった」
「自分の浮気や不倫が原因で、家族を壊し、その心を深く傷つけた」
「大きなミスを起こし、職場に多大な損害を与えてしまった」
「経営していた会社が倒産。社員を路頭に迷わせた」
「自分のSNSでの失言で炎上。それにより関係各所が被害を受けた」

このような状態に陥ると、非常に心苦しく、まるで自分が許されない存在のように感じることがあるやもしれません。

その苦しさは半端ではなく、まるで人生が終わったように感じられることもあるかもしれませんね。

そもそも僕たちの人生で起きる問題は、2つに分けられます。

「被害者意識から生じる問題」と「加害者意識から生じる問題」です。

どちらの問題も悩ましいことに違いはないですが、加害者意識から生じる問題は、大きな苦しみをもたらすことがあります。

まさに孤立無縁。

この世のすべての人から責められる、どこにも救いがないような気分になってしまうこともしばしば起こります。

もちろん個人差はありますけどね。

そこで今日はこの加害者意識と、それを乗り越えていくプロセスにフォーカスし、コラムを書いてみたいと思います。

よろしければどうぞ。

加害者意識は「他害という意味での罪悪感」

加害者意識

「加害者意識」とは痛烈な「他害・加害から生じるの罪悪感」です。

この「加害者意識から生じる罪悪感」がもたらす感覚を例えるならば、

  • 大罪を犯した
  • 取り返しのつかないことをした
  • 自分がとんでもない悪人のように感じてつらい
  • 加害者である自分は許されない
  • 罰されるべきだ
  • 自分は大切な人を傷つけた、許されない、償いきれない
  • 自分なりに頑張ってきたけれど自分は誰の役にも立たないのか

このような思いを「誰かを傷つけた、幸せを奪った、相手の権利を害した」といった事実や思いとともに感じることが多くなります。

人によっては、加害の事実を何度も想起しては、自分を責め続け、時には現実から逃避したくなります。

どこか自分に絶望し、自分の存在自体を疑い続けてしまう理由になることが多いです。

https://www.asanohisao.jp/archives/2461228.html

加害者意識は「幸せや豊かさを遠ざける」

また、加害者意識の問題に陥ると、「自分から幸せや豊かさを遠ざけてしまう」と状態に陥ります。

例えば

  • 自暴自棄になる
  • 自身の健康を害するような行動を続ける
  • 引きこもるなど人を拒絶し遠ざける
  • 人の支援や援助から遠ざかる

など、まるで「自分に罰を与え苦しめるような自己破壊的な行動の動機」となることもあります。

具体的には

  • 燃え尽きるように休まない
  • ハードワークを続ける
  • ジャンクフードばかり食べる
  • 食事を取らないことが増える
  • 孤立し人の助けを求めない
  • 病気になる
  • 他の問題ばかりが起こる

といった状態になることが少なくないです。

また自分を愛することもないですし、愛する人のそばにいることも遠ざけ、一人になりたいと感じる人も少なくないものです。

一人になることで、罪悪感をとりあえず感じないように抑え込むことができるからですね。

また、次第に感情が麻痺して「何も感じない」という状態になる方もいます。

例えば

  • 何を食べても美味しくない
  • 何をしていても楽しくない
  • 希望を感じない
  • やる気が出ない
  • やるべきことしか見えない
  • 物事に意味が見いだせない

そんな感覚が強まり、無気力になることも多いです。

加害者意識は「無力な自分」という自己概念をつくる

また、加害者意識で苦しむ人の中には、ひどい無力感を感じて苦しみを抱えている方もいます。

これは「誰かを傷つけた」といった加害の概念ではなく

「誰も愛せなかった」
「誰の役にも立っていなかった」
「自分という存在は何の意味もない」
「自分が今までやってきたことは、何の意味もなかった」

そんな「無力感」のことを指します。

これがひどい自分への嫌悪感となり、自分を許すことも受け入れることもできない状態を作る理由となります。

この無力感に陥ると、例えば仲間や家族からの「励まし、支援・愛」も「無力で情けない自分への同情」と感じることが増えます。

もしくは、周囲の支援や愛情の意味を理解できても、受け取る気にはなりません。

受け取ってはいけない、と感じるのです。

それこそ「無力感」の影響で、「無力な自分が支援を受け取って立ち直れるわけがない」と考えてしまい、更に自立、孤立を深める場合も少なくないのです。

無力感の具体例

例えば、自分からパートナーや仲間を裏切ってしまったという事例。

本当は裏切るつもりはなかった。しかし今では自分のことも信頼できない。

しかし今の自分がどうパートナーや仲間に償えばいいのかもわからない。

一体、自分は何をしたくて生きているのか、今までの自分は一体何だったのか。

それぐらい考えてしまうこともあるかもしれませんよね。

例えば、家長である自分が仕事を失ってしまったという事例。

仕事を失うにはそれなりの要因があるにせよ、仕事を失う無力な自分を許せずにいる。

かつ、家族に不安や迷惑を与えている自分が情けなく、意味のない存在のように感じる。

まさに心が痛く、いたたまれなくなってしまい、「自分がいないほうが相手のためになるのでは」と感じるようになってしまう。

「加害者意識の問題」ほど表面化しにくく支援が届きにくい

更に、加害者意識を長く抱え続けていると

どうしても「もうこれ以上苦しみたくない」という気持ちを感じやすくなります。

強烈な罪悪感と無力感と自分への疑いをミックスしたような感覚を感じるので

まるで「もういっそ死んでしまったほうが楽になれるのではないか」ぐらい感じることもあるでしょう。

だからこそ、

どうしたらいいかわからない
自分の気持ちは誰にも話せない
この苦しみはもう終わることはない

などと感じるものなんですよね。

いくら自分の過ちを反省しても

「自分が無力で、情けなく、誰かを傷つけた」という思いが消えないのです。

だから「誰に分かってもらっても同じだ」としか感じない。

このような「他者への信頼」を感じられない感覚が強まる傾向があります。

つまり、「被害者意識(被害を受けた)」による問題と比較するならば、「加害者意識の問題」ほど表面化しにくく、そこに対する支援が届きにくい性質があります。

そのため、加害者意識を抱えている方ほど誰にも頼れず、癒やし方も分からない状態に陥りやすいのです。

これこそが「加害者意識」がもたらす最大の苦痛である、と僕は考えています。

加害者意識を乗り越えていくプロセス

加害者意識を抜け出すトンネル

さて、ここからは「加害者意識を乗り越えていくプロセス」についてお伝えしていきます。

実は、加害者意識の強まると「かりそめの平和」と呼ばれる

「喜びもないけれど、苦しみもさほど感じない平和感」

を求める人が多いんです。

ただ、それを求めても加害者意識が拭えるわけでもなく、慢性的に退屈で、喜びもなく、何も変わらない、しかし苦痛が少しだけ軽減する。

そんな日常に身をおく人が少なくありません。

なにかに積極的にチャレンジすることも諦めますし、自分の楽しみや趣味でさえ、どこか「消化剤」のように用いられることが多くなります、

だから、加害者意識を乗り越えるためには

「目的」を設定し、諦めず素晴らしい自分を取り戻す勇気が必要にもなります。

(ここが最も怖いわけですけど。)

加害者意識を乗り越えるには「目的」と「乗り越える勇気」が必要

また、加害者意識を乗り越えるには、できればより大きな「目的」を持つ必要があるとも言えます。

実は、どんなに加害者意識が強い状態であっても

「自分の価値や能力、魅力や才能は失われているわけではない」

のです。

つまり、自分には問題を乗り越え、再起を図る力が残っている場合が多いものです。

また、その心の奥底には、誰かを幸せにしたい、喜ばせたい、笑顔にしたい、という気持ちが存在することも多いです。

実際、強い自責の念・加害者意識で悩まれている方は、「誰かを喜ばせよう」と行動・チャレンジされてきた方が少なくないのです。

つまり、加害者意識とは「自らがチャレンジ・行動・実践」をしたことによって生じるもの(行動しなければ感じない)という側面もあるといえます。

しかし、あまりに強い罪悪感、無力感、絶望の前にそれを全く信頼できなくなっているわけです。

だからこそ、例えば

  • 自分の能力や経験への信頼を取り戻すこと
  • 今までの自分を理解し受け止め許すこと
  • 加害者意識を感じた事実から何かを学び取ること
  • 「自分にとっての本当の幸せ」への再チャレンジを許すこと

こういった「自分の目的」を取り戻せるまで気持ちを整理することができるかどうか。

ここが加害者意識を抜け出す最初のポイントになることが多いです。

時には謝罪・補償も必要です

あまりにひどい加害者意識があり、実際に傷つけた当事者がいるなら、まず謝罪や補償が求められるでしょう。

ただ、きちんと謝罪と補償を行ったのであれば、いつまでも罪の意識に固執していても前には進めません。

稀に「あなたのせいで傷ついた」と何度も責めてくる人もいるかもしれませんが、自分が誠心誠意謝罪し、できる補償もしたのであれば、まずは一旦それまでと考えてみましょう。

自分を受け入れ許すこと

次は「許し」です。

強い加害者意識を抱えていると

「自分が許せず受け入れることができない状態」に陥ります。

このとき、自分自身の

  • 問題を乗り越え再起を図る力
  • 今まで培った経験や能力
  • 心の奥底に存在する誰かを幸せにしたい、喜ばせ笑顔にしたいという気持ち

これらも許せず、ときには「全く価値のないもの」になっているのです。

だから、まずそういった自分が持てるものをもう一度信頼するために

「自分を見つめなおし、許す」

という視点が求められます。

許せない誰かを許す

加害者意識があるということは、「加害の意識」が強いわけですが、純粋に加害の意識だけを持っている人なんてほぼいません。

心のどこかで、「こんな自分にしたのは誰かのせいだ」と、嫌い、恨み、責めている人(観念)がある場合も少なくないのです。

例えば、自分自身が浮気や不倫をする方の深層心理には、どこか「家族を顧みない親」との葛藤を抱える人の場合があります。

「家族に迷惑をかける親」「パートナーを裏切り傷つける親」「子供を愛さない親」

そんな親のことを深層心理で、嫌い、恨み、否定し、「親のようにはなりたくないと思っていた」などが代表的なものですね。

ただ、もし「自分が浮気などでパートナーを裏切った」とすると、「今の自分がまるで親のような存在」となっていることになります。

つまり「絶対になりたくない自分」になった自分を許せずにいるのです。

だから、「自分は誰にも許されない」と強く思い込み絶望してしまうのです。

もし、加害者意識を手放すことを考えるなら

「自分が嫌い、憎み、責めている人(観念)」がいるなら、その人を理解し、許すことが求められる場合も少なくありません。

このプロセスはたしかに最初はとても苦しいです。許すと決めるだけでも葛藤するでしょう。

ただ、本当に受け入れる、許す、と決めると、スーッと心が楽になっていきます。

どこか葛藤が溶け、人を責める気持ちを手放せる分だけ

「もしかすると自分を(今後の行動次第では)許し、愛し、理解してくれる人がいる可能性があるかもしれない」

そういった思いをいだきやすくなるのです。

加害者意識を乗り越える勇気を持ちましょう

加害者意識を乗り越えていくプロセス

最後になりますが、加害者意識を乗り越えるためには、心理面と行動面でのチャレンジが必要になることが多いです。

まず、自分を受け容れて許し、実際に「もう一度自分のほんとうの幸せにチャレンジする」ことで乗り越えていけるでしょう。

ただし、加害者意識は本当に苦しいものです。

だから、乗り越えたくてもその勇気が出ないことも多々あります。

が、あなたが本当に勇気を持って前に進むとしたら、そこで得られる恩恵は今までに感じたことがないほどの大きなものとなることが多いんです。

とはいえ、強い加害者意識を感じているときほど「早く抜け出したくて焦って失敗する」ことも多いものです。

だから、ここはじっくりと構えて、自分の気持ちを整理する時間ってとても大切だと思うのです。

たとえ今から半年、1年かけて見つめ直しの時間をとっても、そのとき前向きな自分になれているなら、それは大きなメリットになるのではないでしょうか。

むしろ最も怖いことは、今の状態が長く続くことじゃないでしょうか。

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