愛深き忍耐女子シリーズ

誰かのために生きてきた人の“自分軸”論

忍耐女子のシンボル・祈る女性

「それがあなたの軸なんです」

そうちゃんとお伝えしたくて、テキストを書き起こしました。

はじめに

最近、「もっと自分軸で生きよう」とか、「他人の期待ではなく、自分の気持ちを大切にしよう」といったメッセージが当たり前のように広がってきましたよね。

とても大切なことだと思います。

でも、それを「もっと自分勝手に」「もっと好きに生きなよ」と言われても、しっくりこない人がいるのは、当然なのかもしれません。

そして、この世界にはいろんな性格の人がいるように、このしっくりこない感は、同じタイプの人でないとなかなか共有しきれないかもしれません。

僕がこれまで出会ってきた方の中にも、「誰かのために生きること」が自然なスタイルの人たちがたくさんいました。

そういう方にとって、自分軸とは「他人と切り離された自己中心的なあり方」ではないのです。

むしろ、「誰かを思って生きることそのものが、自分の軸に深く関わっている」

今日は、そんな視点から、自分軸を語ってみたいと思います。

誰かのために生きてきた人の特性と心理

たとえば、パートナーの浮気に気づいて、痛烈に傷ついた方がいました。

その人は心が柔らかく、敏感で、繊細。

けれど同時に、仕事も家事もきちんとこなし、日々の生活をしっかり生きている方でした。

僕が感じたのは

その傷の深さは、単に「傷つきやすい性格だから」ではないということ。

相手のために捧げてきた“想い”が壊された痛みだったのです。

そこに、その人の“軸”があった。

僕はそう思いました。

パーソナリティと気質から見る「人のために生きる」性格

そもそも「誰かのために生きる」ことが自然な人には、いくつかの背景があります。

一つは、生まれ持った気質(テンペラメント)として、他人の感情に敏感で、自然と「どうしたら相手が心地よくいられるか」に注意が向くタイプ。

こうした人にとって、自己主張よりも“和”や“配慮”が先に立つのは、ごく自然な感覚です。

もう一つは、育ちのなかで「人の期待に応えることが大事」「ちゃんとしているのが当たり前」というパーソナリティ(後天的性格)を身につけてきた人。

家族や学校、職場などで求められてきた役割を引き受けてきた結果、それが“自分らしさ”になっているパターンです。

心理学でいうと、ビッグファイブ理論のうち「協調性」や「誠実性」が高い人たち。

社会の中でうまくやっていくための力を備えていて、周囲との調和を自然と優先できる人たちです。

少し自己開示も

実は、僕自身がそういう人間です。

昔、前に所属していた組織の代表から「浅野はカウンセリングさえできていればごきげんなタイプ」と言われたことがあります。

カウンセリングが好きだから、というよりも、「人のために一生懸命になっているとき、心が自然と満たされる」感覚があるんですよね。

だから、カウンセリングができない時間が続くと、好きなことができないというより、自分の特性で感じられる“喜びの数”が減ってしまうような感覚があって

……それが正直、一番つらかった。

で、そんな僕だからでしょうか。

不思議なもので、僕のところには、なぜかこうした「人のために生きることが喜び」な人が集まってきます。

だからこそ、僕自身もそこに意味を見出すようになったのかもしれません。

もうね。こりゃしょうがない(笑)

でも僕は、それを誇りに思っていますよ。

無理をすると「しっかり孤独」に陥る

ただ、この特性を無理に押し通してしまうと

「しっかり孤独」や「大丈夫マイスター」になってしまうことがあります。

つまり、誰かのために頑張りすぎて、肝心の“自分の気持ち”を見失ってしまうんです。

これが自己犠牲になるので、そうなるのは仕方ないにしても、オススメはできないかな、と。

それでもなお、「自分軸を持たなきゃ」と焦って、自己主張の練習をしてみたり、「もっと好きに生きよう」としても、なんだかうまくいかない。

そのたびに「私はやっぱりダメだな」と感じてしまう。

そういう悪循環に陥る前に

大事なのは、「誰かのために生きてきた自分」を否定しないこと。

そこに自分らしさを喪失しない生き方があるように思うのです。

それでも、しっかりとした「自分軸」は持てる

そもそも自分の軸の取り方ってさまざまあるはずで、一つの答えで整う話ではないはず。

きちんと自分軸を語っている方は、そこも踏まえて語っておられるように思います。

そして僕は、「誰かのために生きてきた」その在り方をまるごと受け止めたうえで、自分の価値を認め、選び取る視点を持つこと。

それが本当の意味での「自分軸」じゃないかなと思うのです。


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おわりに

この国には、「誰かのために」と日々を生きてきた人がたくさんいると思います。

それは決して、時代遅れでも、不器用でも、劣った生き方でもありません。

むしろ、人間の根本的な優しさと力強さの表れでもあると、僕は思うのです。

その生き方を否定せずに、それを“軸”として整えていく。
そんな考え方があってもいいじゃないですか。

この記事が、どこかの「誰かのために生きてきたあなた」の支えになれば、うれしいです。

ABOUT ME
浅野寿和 | 心理カウンセラー/トレーナー
誰かのために生きてきた人へ。“私の幸せ”に向かう再起動の力を。恋愛・夫婦・仕事のすれ違いに、あなたらしく向き合うためのカウンセリングをご提供します。 臨床実績9000件/東京・名古屋・オンライン対応。
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