深読みさんと忍耐女子

察しすぎて疲れる、“深読みさん”の生きづらさにどう備えるか?

深読み女子

こんにちは、心理カウンセラー浅野寿和です。

毎週金曜は「深読みさんと忍耐女子」にまつわるコラムをアップ。

今日は「深読みさんが疲れる理由と、上手な対処法」について考えてみました。

その一言で、なぜか一日がつぶれる深読みさん

「ごめん、今ちょっとバタバタしてるから、また後で返信するね」

例えば、相手からのこの一言だけで、地味に半日つぶれるタイプの人、いません?

「そんなに気にしなくていいよ」と言われても、気になってしまう。

わかってるんです、そんなこと。でも、“察知センサー”がもう勝手に動いてしまうんです。

「今ちょっと忙しいから後でね」

なんてこともない一言の裏にある相手の気持ちを探っては

「何か気に障ること、言ったかな」
「この前の私の態度、感じ悪かったかも」
「いや、そもそも、もう距離を置きたいのかもしれない」

そう考えてしまう人、いません?

まだ起きてもいない「できごと」に勝手に気を回して、自分の心だけ疲れていく。

いや、僕も昔はよくやってたんですけどね(笑)

でもさすがに、自分のことをよく知ると止まるようになりますし。

ま、「今返せない=お前のこと嫌いになった」だったら、世の中の人間関係全部崩壊してるよな、って思います。

深読みさんの「才能」と「すり減り」の関係

いわゆる“深読みさん”って、感受性のアンテナが高性能なんですよ。

ちょっとした間、言葉の抑揚、まなざしの向き方。

それらを秒速でスキャンして、脳内の過去ログと照合して、「あ、これは地雷かも」って予測する。

しかもその予測が、だいたい当たってるからややこしい(笑)

で、当たるとどうなるか。

「やっぱり私が何か悪かったんだ」「私が嫌われているんだ」って、自分のせいにしてしまう。

ま、これも一つの不適応スキーマかもしれませんけど、そう思うクセがついてますからねぇ。

これ、半分くらいは「才能」なんですけど、同時に使用方法を間違えると「自分が消えていく構造」を作るんですよね。

なぜ深読みは“やさしさ”であり“生存戦略”なのか

たとえば子どもの頃、

「怒られたわけじゃないけど、なんとなく親の顔色を見て行動してた」
「なんか空気を読んで、“やらかさない子”をやってた」

そういう経験をした人に多いこのパターン。

人の顔色(かつては親や友達などの顔色)を伺うことが、要は「サバイバルスキル」だったんですよ。

まぁ「サバイバルスキルであるからして、癒着は避けられぬ」という切ない現実もあるのですけどね。

相手の感情を先読みして、「こうすれば波風立たない」って動くこと。

それを長年やってたら、そりゃクセにもなるし、性格っぽくもなるわけですわなぁ。

それを大人になってから「気にしすぎ」の一言で片付けられても困る、というか。

逆に、外側から「親子関係に原因がある」と断定され(それ自体はあながち間違っていないのかも、だけど)

「〇〇を許しましょう」だとか「自己価値を上げましょう」なんて話を延々とされても、現実の気の使いすぎ問題が解決するわけでもなく(笑)

自分自身の日常で起きる「現実としての心の反応」を、どうしていくかを考えたとき、僕としては「ちょっとズレてる」と思うんです。

なんだろう・・・。

風邪っぴきの人に絆創膏を渡しているよな「ズレ」を僕は感じるときがある。

絆創膏が間違っているわけじゃないし、むしろ「ないと困る」。

でも、「今それ?」って感じ、というかね。

絆創膏も、絆創膏を渡す人もきっと間違っていない。

でも、こちらからすると「え、こっちのこと見えてます?」ってなる。

これって深読みさんが常に感じている日常感覚じゃないでしょうか?

この話の背景にある難しい話は抜きにして(難しい話が知りたかったら講座かカウセリングに来てね)

結局、深読みって、「自分の心の反応が自分をきちんと守れていない状態」になっている事が少なくないわけで。

その状態で無理をして他人をどうこうするって、深読みさんには”試練”になりやすい。

だから、「その前にやっておくことがあるよ」ってのが僕の見解。

脳の中では何が起きてる?

ちなみに、この状態、脳的に見ると、まず「扁桃体が稼働中」って話なんです。

つまり、脳の“危機管理センター”がずーっとセンサーON。

そして「この空気、やばいかも」ってなると、自律神経が緊張モードに切り替わる。

同時に、思考担当の前頭前野あたりがかなり稼働していて、相手の考えや感情の動きをコピーもしくは、分析している。

結果、「なんも起きてないのに、気づいたら疲れてる」ってことが、普通に起きる、なんて考え方もできるのですね。

かなりざっくり書きましたけど、そんな感じといいますか。

もちろん、これ、いいか悪いかの話ではないですよ。

そういった反応が起きているという話なのです。

「また深読みしてる…」と気づいたときにできること

だからこそ、深読みさんが深読みしすぎて疲れたときは

「うわ、また変な深読みしちゃった」ではなくて

「お、私、今日もお疲れさま」くらいのノリでいた方がいい、と僕は思います。

いつも真面目に他人の考えと向き合っている深読みさんは、自分の反応とも真面目に向き合いすぎる、というか。

それもまぁ、慢性的なストレスによるものなのか、それとも、それが個性・特性というかの違いはあるにせよ(サラッとすごいこと言った(^^;)

自分を疑いすぎると辛いし損するので、緩い感じでちょうどいい、のではないでしょうか?

で、深読みしそうになったときの合言葉として使えるのは、これかな、と思います。

「それって、誰のもの?」

相手が言ってるか、自分が言っているか。

その違いをきちんと明確にする。

それだけで深読みが止まるわけじゃないのは知ってます(笑)

でも、止まらないにしても境界線というか、ブレーキにはなると思う。

少なくとも飲み込まれなくなるというか、息ができるようになるというかね。

深読みさんのための、“心の自由時間”のつくり方

実は僕もこの傾向があるので、定期的に「外側の情報を遮断する日」をつくってます。

とにかく脳の情報量を減らす。いろいろ考えない。

人の情報を入れることは、ただ情報を入れるのではなく、相手の感覚やら、その考えに至った背景などの刺激も入っちゃう感じがするんですよ、僕はね。

だから、それが「よく分かる」と感じると同時に、なんか求めてないものまで感じちゃうというか。

なので、人が嫌いなわけでも、情報を知りたくないわけじゃないけど、少し距離を置くことができた方が物事うまくいく、というかね。

自分のことを言っているようでアレなんですが(^^;、実は深読みさんは人から得ている情報量が多いので、ある意味いろいろ器用にこなせる人が少なくない。

だから、ある程度「誰の顔色も見ない」「誰の気分も察しない」でいても、そこそもそつなく日常をこなしていける人も多いです。(すべての人がそうではないけど)

僕にご相談に来てくださってる方の多くが、日常を生きる(食っていく)というレベルで困っている人は少ない、という現実がそれを物語っていると思う。

しかし、その日常がしんどいから辛いんですよね。

なので、そういう「クールダウンデー」を意識的に設けることがいい感じ。

ただ・・・女性の場合はそれが逆に不安になる人もいるんですね。

「誰にも気づかれない」「誰からも連絡来ない」ってなると、それはそれで心細くなってしまうこともある。

だから僕のカウンセリングでは、その人の“安心のかたち”を一緒に考えていくんです。

何がその人にフィットするかは、話してみないとわからない。

例えば、一人でカフェにいれば(人がいるので)安心できる人もいますし。

逆に、人が多いと刺激になって疲れる人もいる。

パートナーと一緒にいれば安心という人もいるし、パートナーがそばにいることすらプレッシャーになる人もいる。

そのあたりを丁寧に見つめて、自分に合った対処法を見つけることはとても大切なこと。

あと、そもそもの話をすれば「同じ感覚を共有できる人と会って話す」というコミュニケーションはとても大切。

ある程度の「人との関わり」は心の安定に必須項目なのでね。

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最後に:空気を読む前に、自分の気持ちを読もう

深読みさんは疲れているけど、やさしい人も多いです。

でも、そのやさしさが「ひとり相撲」になってしまったとき、
それはもう自分を守る道具じゃなくて、自分をすり減らすナイフになる。

だからこそ、こう問い直してみてほしいんです。

「誰の気分を読もうとしてる?」

「それ、本当に読む必要ある?」

空気を読むより、自分の気持ちを読めるようになったとき、はじめて“心の自由時間”ってやつが始まるんですよ、きっと。

「今日は何を感じてるかな」って、まずは自分に聞いてみることから、ゆっくり始めてみてください。

ABOUT ME
浅野寿和 | 心理カウンセラー/トレーナー
恋愛や夫婦関係、仕事、対人関係、生き方の”こじれ感”を「甘すぎない心理学」で解決。ただ、気持ちを受け止めるだけでなく、背景にある心理構造や関係性のパターンを整理し、「現実的で納得できる選択」を一緒に探っていきます。 臨床実績9000件/東京・名古屋・オンライン対応。
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