こんにちは。心理カウンセラー浅野寿和です。
「失恋がこんなに辛いのはなぜだろう」
そんな実感とともにカウンセリングルームに起こしいただく方がいらっしゃいます。
失恋とは、恋愛が終わるという事実以上に、自分の中の何かが壊れてしまったような感覚をもたらすもの。
立ち直れないほどに落ち込んで、ふだん冷静な自分ですら驚くほどの喪失感に呑まれてしまうことがあります。
ここでは「失恋」をテーマにしていますが、「長く続いた関係の終わりや、離婚といった“心の別れ」にも、似たような痛みが伴うことがあります。
そして、その痛みの深さには“ある傾向”が関係しています。
それは、「誰かのために生きてきた人」が経験する失恋です。
Index
「誰かのために生きてきた人」にとっての恋愛の意味
もともと、他人の気持ちに敏感で、空気を読み、相手を思いやることが自然になっている人がいます。
こうした人にとって恋愛は、「誰かを大切にする」という人生の延長のようなもの。
- 相手を喜ばせたい
- 相手に尽くしたい
- 関係を壊さないように気を遣いたい
そうやって、無意識に自分の気持ちより“二人の関係”や“相手の都合”を優先してきた時間があります。
失恋によって何が失われるのか
このタイプの人にとっての失恋は、 単に「誰かと離れる」だけではありません。
むしろ、もっと深いところで、
「自分が担っていた“支える役割”が奪われること」が大きなダメージになります。
よく「失恋は、アイデンティティの一部が欠けるような体験だ」と言われます。
まさにそれで、 “支える”という行動によって、自分自身を形作っていた人が、それを突然失う。
自分の存在意義ごと揺らいでしまうんです。
自分の愛を信じていた人が直面する苦しみ
相手のことを思って尽くしてきた。 我慢して、二人の未来を信じて頑張ってきた。
それを、「これが私の愛のかたちだった」と信じてきた人にとっては、 失恋は単なる関係の終了ではなく、
「自分の存在が否定されたような感覚」
を引き起こすことがあります。
だからこそ、
- 別れた事実をどうしても受け入れられない(執着)
- 本気で好きな人に近づくのが怖くなる(親密さへの恐れ)
そんな反応が出てくるのは、不自然なことではないのです。
回復の始まりは「自分のために生きる」視点
ただ、こういった経験は、きちんと癒やすと
「自分自身のための恋愛、結婚」へ向けての回復につながることも多いです。
時間をかけて痛みを受けとめ、整えていく中で、
「私は誰かのために尽くしてきたけど、私自身はどう生きたいのか?」
という問いが立ち上がってくるわけです。
ここが「再起動」のポイントであり、はじまりなんです。
ただ、ここで僕がよく思案することがあるんですよ。
この回復のプロセスで
「あなたのその愛は間違っていなかったんですよ」という言葉を
自分自身だけでなく、カウンセラーや支援者が使いすぎると
「自分のために生きる」という視点がぼやけてしまうことがある
という点です。
あなたが誰かのために生きたことは肯定されるべき事実でありながら
それを強く肯定することがあなたらしい人生を阻害してはならない・・・。
そう僕は思うのです。
なぜなら、あなたにはあなたの幸せを生きる権利があるからですね。
その両方を大事にしながら、心を整えていく。
そこに「再起動の力」が生まれてくると、僕は考えています。
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おわりに
手痛い失恋をきちんと癒していく過程は、
「誰かのために生きてきた人」が「自分の人生と向き合う入口」になることもあります。
ただ、それは「もっと自分を大切にして、自分のために生きよう」というメッセージだけをお伝えしたいわけではないのです。
あなたが「誰かのために生きられること」も、また紛れもない才能であり、守られるべき価値です。
だからこそ、「自分のため」と「誰かのため」
「そのバランスを、とってみない?」
というのが、僕の提案なのです。
誰かのために生きる人は、この世界を静かに、美しくしている人。
そんな人が辛い人生を歩むのではなく、きちんと幸せを実感できるようになること。
それが、僕の支援のあり方です。
そしてもし今、あなたが失恋の痛みの中にいるなら。
その痛みを否定せず、言葉にして、少しずつ整えていく時間を持ってみてください。
あなたのための時間を、これから始めてもいいんじゃないでしょうか。
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