こんにちは、心理カウンセラーの浅野寿和です。
「夫婦関係が冷え切ってしまった、あるいは激しくぶつかり合ってしまう…」。
一度こじれてしまった夫婦関係を、なんとか修復したい。そう願ってこのページにたどり着いた方もいらっしゃるかもしれませんね。
「どうしたら、あの頃のような関係に戻れるんだろう?」
「夫婦関係を修復するために、私にできることは何かないだろうか?」
カウンセリングの場でも、こうした切実なご相談を本当によくお受けします。
昨今では、インターネットや書籍で「夫婦関係 修復の方法」に関する情報もたくさん見つけることができます。
ですが、「なかなか関係が良くならないんです」と、途方に暮れてご相談に来られるケースも、残念ながら少なくありません。
情報として得られる「夫婦関係を修復する方法」に、間違いはないのかもしれません。
でも、その方法が「うまくいくかどうか」は、あなた自身の「心のあり方」、つまり心のコンディションに大きく左右される、という側面があるんです。
そこで今日は、「夫婦関係 修復」というテーマを、「あなた自身の心のあり方」という視点から深掘りし、関係を修復できる人に共通して見られる、ある大切な心理的特徴についてお伝えしたいと思います。

Index
なぜ「夫婦関係の修復」は情報だけでは難しいのか?
例えば、お店で店員さんに「ありがとうございました」と言われた時。
心からの笑顔で言われれば気持ちよく受け取れますが、すごく疲れた顔で、義務的に言われたら、同じ言葉でも全く印象が違いますよね?
それと同じで、夫婦関係の修復に向けたあなたの行動も、その時のあなたの「心の状態」によって、相手への伝わり方や、関係性に与える影響が変わってくるのです。
この店員さんの例のように、どんなに正しい方法や言葉を選んだとしても、それを伝える側の心の状態が不安定だったり、本心とは違う無理をしていたりすると、相手にはその「違和感」が伝わってしまいます。
夫婦関係の修復のために「相手の話を傾聴しましょう」と学んでも、心の中で相手を疑っていたり、自分の怒りを抑え込んでいたりすれば、表面的な傾聴はむしろ不信感を招くかもしれません。
「感謝を伝えましょう」と実践しても、心が疲弊しきっていて、本心からの感謝が湧いてこなければ、それは相手にとって空虚な言葉に聞こえてしまうでしょう。
このように、テクニックや情報だけを頼りに夫婦関係を修復しようとしても、土台となる「自分自身の心の状態」が整っていなければ、なかなか良い方向へは進みにくいようですす。
夫婦関係を修復できる人の特徴:「自分の感情」を信頼している
では、こじれた関係性を乗り越え、再び温かい関係性を築いていける人には、どのような心理的な特徴があるのでしょうか?
様々なケースを拝見してきた中で、僕が強く感じている共通点があります。
それは、「自分の感情を信頼している・信頼できるようになっていった」ということです。
「え?感情的になったら、余計に関係が悪化するんじゃないの?」
そう思われるかもしれませんね。ここでの「自分の感情を信頼している」とは、「感情に任せて怒鳴ったり、泣きわめいたりする」こととは全く違います。
それは、「今、自分自身が感じている“素直な気持ち”や“感覚”を、良い・悪いでジャッジせず、まずは『そう感じているんだな』と、ありのままに受け入れている」状態を指します。
例えば
「夫に対して、こんなことで怒りを感じるなんて、私は心が狭いのかな…」
と自分を責めるのではなく
「あぁ、私は今、怒っているんだな。何がそう感じさせるんだろう?」
と自分の感情を客観的に捉え、その背景を探ろうとする。
あるいは
「夫をまだ愛している、という気持ちがある」
と感じるなら、その気持ちを疑うのではなく
「私の中には、まだ彼への愛情があるんだな」
と素直に認める。
そんな姿勢のことです。

「感情への信頼」が夫婦関係修復にもたらすもの
なぜ、「自分の感情への信頼」が夫婦関係の修復に繋がるのでしょうか?
それは、この信頼が、関係改善に必要な様々な「力」をあなたに与えてくれるからです。
柔軟な対応力
自分の感情(愛情、悲しみ、怒りなど)を否定しないので、例えば「愛情の伝え方が間違っていたかも」と気づいた時に、自分を過度に責めずに、素直にやり方を修正できます。
「私が悪かったんだ…」と自己否定に陥るのではなく、「次はこうしてみよう」と前向きな行動に移しやすくなります。
相手への深い共感力
自分の感情を大切にできる人は、相手の感情にも想像力を働かせやすくなります。
「なぜ彼はあんな態度をとるんだろう?」と一方的に決めつける前に、「何か辛いことがあったのかもしれない」「私には見えていない気持ちがあるのかもしれない」と、相手の心に寄り添おうとする視点が生まれます。
健全な自己表現
自分の「悲しい」「寂しい」「怒っている」といった感情をきちんと受け止められると、それを相手のせいにするのではなく、「私は今、こう感じている」という形で、より建設的に相手に伝えることができます。
不必要に自分を犠牲にしたり、逆に相手を攻撃したりするコミュニケーションが減っていきます。
心の回復力
自分の感情を信頼できると、傷ついた時にも「辛いと感じる自分はおかしくない」と受け止められます。
その結果、必要以上に落ち込んだり、痛みを長引かせたりせず、心の回復が早まります。
「自分の感情」を信頼できないと、修復はなぜ遠のくのか?
逆に、もし私たちが自分の感情を信頼できていないとしたら、どうなるでしょうか?
まず、パートナーのことを正しく感じたり、理解したりすることが非常に難しくなります。
なぜなら、相手を「感じる」主体は、他の誰でもない「自分自身」だからです。
その自分自身の感覚や感情を「どうせ私の勘違いだろう」「こんな風に感じる私がおかしいんだ」と疑ってブロックしていたら、相手の本当の気持ちや、関係性の微妙な変化をキャッチすることはできませんよね。
「なんだかよく分からないけど、うまくいかない…」という、納得感のない状態が続いてしまいます。
さらに、自分の感情を信頼できないと、非常に傷つきやすくなります。
自分の「好き」「嫌い」「嬉しい」「悲しい」といった感覚が間違っているように感じてしまうので、自分の心の置き所がなくなり、常に不安定な状態になります。
パートナーの些細な言動にも過剰に反応してしまったり、自分を守るために心を閉ざしてしまったりしがちです。
もっと辛いのは、傷ついていること、辛いと感じていること自体を「間違いだ(こんなことで傷つく私がおかしいんだ)」と感じてしまうことです。
これでは、自分の痛みに自分で寄り添うことすらできません。
何を信じたらいいのか分からなくなり、他人のアドバイスでさえ、「あなたには分かるかもしれないけど、私には無理だ」と、更なる自己否定の材料にしてしまうことさえあるのです。
夫婦関係修復の秘訣:「自分の感情」を見つめる目を持つこと

いろいろと書いてきましたが、僕が考える「こじれた夫婦関係を修復する秘訣」の一つは、やはり
「自分の感情を信頼して、ありのままに受け入れ、見つめる目を持つこと」です。
それは時に「自分の気持ちを整理する」とか「自分の感情を整える」とも言われますが、根っこは同じです。
「私は今、こう感じているんだな」
「理由や善悪は一旦置いて、この感覚を大切にしてみよう」
そんな風に、頭で考えること(思考)よりも
「今、ここで、自分が感じていること(感情・感覚)」に、丁寧に意識を向け、気づくこと。
それを否定せずに信頼してみること。
これが、修復への道への第一歩になります。
もし、自分の感情と向き合う練習をしてみたいと思ったら、まずは「今感じている気持ちを、評価せずにそのままノートやスマホに書き出してみる」というセルフワークがおすすめです。
「私は〜と感じている」「〜な気がする」と書き出し、「そう感じているんだね」と、少し離れたところから自分を見つめてみる。
これを続けるだけでも、自己理解は着実に深まっていきますよ。
ただし、あまりに辛い感情は一人で抱え込まないで
とはいえ、自分の感情を受け入れるといっても、あまりにも辛い、苦しい感情に一人で向き合うのは、大変なことです。無理に引き受ける必要はありません。
特に、長年の夫婦関係の中で積み重なった複雑な感情は、一人で整理しようとすると、かえって混乱してしまうこともあります。
そんな時は、どうか一人で抱え込まず、信頼できる友人や、私たちのような専門家に話してみてください。
安全な場所で、誰かに話を聞いてもらうだけでも、心は少しずつ軽くなっていくものです。
(人に話す際は、ただ意見を言うだけでなく、あなたの気持ちに寄り添ってくれる人を選ぶのがコツですよ)
まとめ
こじれてしまった夫婦関係を修復したいと願う時、私たちはつい「相手をどう変えるか」「どんなテクニックを使うか」という外側の方法に目を向けがちです。
しかし、様々な情報や方法を試しても状況が変わらないのだとしたら、一度立ち止まって、あなた自身の「内側」、特に「自分の感情への信頼」という点を見つめ直してみる価値があるかもしれません。
あなたが感じている愛情も、寂しさも、怒りも、悲しみも、それは全て、かけがえのないあなた自身の「真実」の一部。
その感情を信頼し、受け入れ、大切に扱うこと。それができた時、あなたはもっと柔軟に、そして力強く、パートナーと向き合い、関係性を再構築していくことができるはずです。
「私が、夫(妻)のことを本当はどう思っているのか」
その気持ちさえ信じられなくなったら…それは、とても辛いことですよね。
あなたの感情は、決して間違っていません。
その感情を信頼する勇気が、夫婦関係修復の、そしてあなた自身の幸せへの、大切な鍵となることを願っています。
もし、「自分の感情への信頼」を取り戻したい、一人では難しいと感じる場合は、カウンセリングがお手伝いできることもあります。
いつでもご相談くださいね。

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