夫婦のための心理学

「まだ別れたくないって、どうかしているよ」と夫に言われたとき処方箋

夫から「まだ別れたくないってどうかしているよ」と言われて辛い、というご相談

まだ別れたくないって、どうかしているよという夫

夫や彼から「まだ別れたくないって、どうかしているんじゃないの」なんて言われて

もう気持ちが折れそうだ、なんてご相談をいただくことがあります。

例えばこんなケース。

私は今、夫との関係修復を試みている最中です。

以前は仲が良かった夫との関係ですが、今は完全に冷え切っていて、夫は別れを考えている様子。

私は夫との関係を修復しようと、カウンセリングやセミナーに出て努力しているのですが

夫は私に

「まだ別れたくないとか、どうかしているんじゃないのか。」

といいます。

そう言われると本当に気持ちが折れそうになるんです。

私の努力って何の意味もないし、もう関係を修復することは難しいのかも、と思えてしまって。

確かにそう言われてしまうと、心が折れちゃいそうになりますよね。

人によっては「夫との関係を修復しようとしている私が間違っている」ように感じるかもしれませんし。

ただ、こういった状況を抜け出して、関係修復された方を僕は何人も知っていますし、そのサポートも担当させていただいたことがありますよ。

確かに別れることになった方もいますけど、乗り越えた方もいるというわけです。

そこで今日は

「別れたくないってどうかしているよ」と夫に言われたときの処方箋

について考えてみたいと思います。

よろしければどうぞ。

「別れたくないってどうかしているよ」と夫が伝える理由を考える

さて、まずは、なぜ夫が

「まだ別れたくないってどうかしているよ」

と言うのか、について考えてみたいわけです。

その事情を理解せずに上手に関わることはたしかに困難なことだと僕は思うからです。

少し耳が痛い話も含まれているかと思いますが、よろしければご覧ください。

他に好きな女性がいるから

あまり良い話ではないですが、夫が他の女性を好きになっている(浮気相手がいる)場合も、同じように話すことがあります。

悲しい話かもしれませんが、これ、意外と夫婦トラブルに多いケースでもあります。

だからといって、夫の浮気を積極的に疑う必要がある、という話ではないのですけどね。

人はバツが悪いときほど、他罰的というか、相手を拒絶するわけです。

言い換えるなら、自分に都合の悪いことがあると、意識の矛先を他人に向けることがあるってことなんですけどね。

もう愛情がなくなったから

これは、夫の中で妻への愛情が枯れた場合です。

この場合の「どうかしているよ」の意味は

「君はいつもこちらの気持ちを理解しようとしないし、話を聞こうとしない」です。

だから、夫側もあまり強く「どうかしている」と言わず、半ば諦めの気持ちで伝えていることが多いのかもしれません。

なお、大変残念なのですが、この場合は、夫ではない次のこと、を考えた方がいいケースが多いようです・・・。

夫側が「期待のズレが大きい」と感じている

夫側が「妻の期待と、自分の期待のズレが大きい」と感じている場合にも、同じようなことが起きますね。

これはまさに「チリツモ型の不信感」なのです。

夫には夫の、妻には妻の、パートナーに対する期待があるものです。

それはお味噌汁の作り方から、家庭内での行動、お互いに対する愛情のかけ方まで、様々な期待があるもので、それで普通と言いますか。

ただ、どちらかが相手の期待に応えているとき、自分の期待は後回しになるわけです。

また、相手に対する期待は、常に叶うとは限らず、実際に応えてもらえない期待もたくさんあるのです。

そんな「お互いの期待が満たされない状況」が続くことで

「妻とは価値観が合わないのかな」とか
「妻は自分のことしか考えていないのでは」といった

いわば不信感を抱くようになることもあるわけです。

で、ですよ。

この状況がある程度の期間続いた結果、夫側が「もう関係継続は無理」と思った場合。

妻が夫に「まだ好き・一緒にいたい」と伝えると、その理由がわからないわけです。

「好きならこちらの気持ち(期待)を理解しようとするだろう」と夫が考えるからですね。

よって、「別れたくないってどうかしてる」と言ってしまうわけです。

ただし、夫側が女性心理を理解しているかどうかは別

ただし、この話は

「夫側が妻側(女性心理)を理解しているかどうかは別の話だ」

と言わざるを得ません。

要は、

「お互いの期待が満たされないことへの不満」と

「パートナーを好きだとか愛する気持ち」が共存する

ということを夫側が理解しているわけではない、と言う場合も多々あります。

これはすべての男女で起きることではないと思いますが、しかし多くの女性の心理と男性の心理の違い、ともいえます。

男性は事実で物事を理解するので

「こちらの期待に気づいていない妻→こちらに興味ない→好きではない」

とシンプルに理解する人が多いもの。

しかし、一度心から「この人のことが好き」とスイッチの入った女性の皆さんの気持ちは、よほどのことがない限り、消えることはありません。

「その気持ちが消えたら、もう元の気持ちには戻れない」

そう思うからこそ、必死に関係修復に取り組まれている方を僕はたくさん知っています。

が、その感覚、多くの男性にとっては理解しがたいもののようです。

夫側の無力感が強すぎる

夫側の無力感が強すぎる場合にも同じことが起こります。

この場合

「こんな無力な俺のことをまだ好きだなんて、君はどうかしている」

と伝えているわけです。

「そんなことで関係を諦めるぐらいなら、そもそも夫婦になってねーわ。あたしの愛情をナメてんじゃねーぞ♡」

なんて、啖呵切りたくなる女性の皆様もいらっしゃるのではないでしょうかねぇ。

ただ、そのお気持ちは理解できるにしても・・・

あまりに強く愛情を伝えようとすると、夫から反発される可能性大、のケースです。

なぜなら夫側は「俺は君のことを幸せにできない」と悩んで頭を抱えているからです。

よって、まるで引きこもり、自分を傷つけるように「俺のことはもう放っておいてくれ」と言わんばかりの行動を取るのですね。

その根っこには、妻への罪悪感がたんまり存在している、とも言えるのです。

その罪悪感は「自分なんてちっぽけだ」といった自分の無力感を隠すものであったりもするのです。

妻が無理して夫を好きでいようとしている風に見えているという問題

さて、ここからが今日のコラムの本題です。

このブログでもなかなか書かなかった話なんですけどね。

夫が「別れたくないってどうかしている」と伝える場合

「妻が無理して夫を好きでいようとしている風に見えている」
「今の妻の姿が幸せには見えない」

という場合がとても多いのです。

また、夫側から見た「妻が無理して好きでいようと努力している姿」は

自分が押し殺している感情と一致するので

「とにかく妻の姿を見たくない」「妻と関わりたくない」

と感じてしまうことが多いんです。

これも非常に意外と多いケースの一つです。

心理的には「スプリット」という心理によって生じている、と考えることができるんですよ。

スプリットとは

心理的な「スプリット」の意味としては

「自分が置かれた過酷な状況に対する認識などから、自分自身の心の安定を脅かす悪いイメージを持った負の感情の部分だけが無意識の領域の内へと抑圧されていくこと

となります。

妻側の心理としてのスプリット

このスプリットという現象を、今回のケースに置き換えて表現すると

「妻が自分の心の安定のために、自分自身が抱えている夫へのネガティブな気持ちが抑圧されていく」

となります。

恋愛でも夫婦関係でも、なんとか別れを回避したいと思うと、何より「関係修復したい気持ち」を優先したくなるかもしれません。

僕はそのお気持ちを否定するつもりは毛頭ありませんよ。

ただ、このときの妻の心理として

  • 夫との関係を取り戻すために頑張りたい
  • 夫のことが信じられないし、本当は責めたい気持ちがある

という相反する感情を抱く場合が多いんです。

が、関係修復を望む妻としては「夫が信じられない、夫を責めたい」という気持ちを持ち出すわけにはいかないのです。

その気持ちを夫にぶつければ関係は悪化するから、というより

夫を信じられない、責めたいという気持ちにかられてしまうことで、妻の気持ちが不安定になってしまうからです。

よって、関係修復を望む妻の心理として

「夫が信じられない、夫を責めたい」という気持ちはなかったことになり(妻自身も自覚できないほどに切り離される)

夫のことが好き、信じたい、関係を取り戻したい、という気持ちばかりがフォーカスされる

という状態になるのです。

その妻の様子が、夫には

「自然体ではない」「無理して好きでいようとしている(本当は苦しいはずなのに)」

と映ることも有り得る話。

だから、実際のカウンセリングでも

奥さんが、超頑張り屋で努力家で男性性的エネルギーを使って「なんとか夫のことを愛し続けよう」とされているからこそ

夫から「どうかしているんじゃないか」と反発的な言動を向けられてしまう、なんてお話をうかがうことも少なくないんです。

夫側の心理としてのスプリット

ただ、スプリットは夫の心理としても起きる可能性がありますね。

今回のケースでの夫側の心理としては

  • 妻のことが好き、妻との関係を大切にしたい
  • 妻に不満がある、妻との関係に限界を感じている

このような形になっている、といいますか。

で、夫が妻への好意を優先させると、結果「今までと同じ(辛い・嫌な)ことが繰り返される」となり、夫側の心が不安定になるので

夫の中で妻への愛情は抑圧され、なかったことになり(実際にはあるんですが)

妻への不満や、今の関係への限界ばかり感じることになるんです。

それぐらい夫にとって「今までの関係が辛かった」ということなのかもしれません。

「まだ別れたくないってどうかしているよ」と夫に言われたときの処方箋

さて、ここからは

「別れたくないってどうかしているよ」と夫に言われたときの処方箋

について考えていきます。

先に申し上げておきますが、最もNGな行為は

「夫の気持ちを変えようと、相手のご機嫌をとったり、妻側の愛情をぶつけていくこと」

になります。

これは、先に書いたスプリットの心理をご理解いただくことで、ご納得いただけるのでではないか、と思います。

夫の発言の深い意味を理解してみる

確かに、「まだ別れたくないってどうかしている」と言われたらキツイです。

僕が妻からそう言われてもめっちゃキツイと思います。

なぜなら、妻に対する愛情があるから、です。

つまり、妻側が「夫との関係をなんとか修復したい」と思わないと、気持ちが不安定になるように

夫側は「妻との関係をここで終えよう」と思わないと、気持ちが不安定になってしまうのです。

これは夫側に愛がないからだ、という話とは限らず

「本当は愛を持って接したい相手に、冷たい態度を取らないと自分の気持ちの安定が保てない」

という、なんとも切ない話だと理解されてみるといいと思います。

だから、関係修復に取り組むなら、この事実に気づいた側から

「相手の気持ちを変えようとせず、理解し、相手を受容しながら接すること」

に取り組むことがとても重要なんです。

また、関係修復の望む妻側が「二人の関係を良好にすること」が重要になるわけですね。

そのサポートを僕はせっせとさせていただいている、というわけでございますm(_ _)m

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妻側の感情を整えていく

そもそもこのような恋愛や夫婦問題は

相手への愛情が枯れた・無くなった、愛想が尽きた、という場合を除き

「お互いが、相手を愛する気持ちを持つことで、自分の気持ちが不安定になる」

という、めっちゃ切ない状況によって生じているのです。

だから、お互いのマインドが整わないでいることで、より問題が大きくなったり、深刻化したり。

ときには、問題が地下に潜ってしまって仮面夫婦化することも有り得る話なんです。

実際にいただくご相談からも

「頑張って関係修復を!と思えば思うほど、なんだか執着みたいな気持ちになり、なかなか結果が出ない」

なんてお声を伺います。

だからこそ、妻側の感情を整えていくこともまた重要な要素なのですね。

特に「頑張って頑張って関係修復に取り組んでおられる方」ほど、気持ちの面での消耗感も激しくなりますし。

また、自分自身が抱えている様々な感情を押し殺す時間が長くなって、自分自身でも自分の気持ちが分からなくなりやすいんです。

そんなとき

ゆっくり丁寧に「今の自分の気持ち」を大切にするカウンセリングなどの時間は、

いいも悪いもなく自分の気持ちを素直に整える時間になりますし

それこそ燃え尽きそうになりながら「頑張って関係修復しよう」と思わないカタチで関係修復を狙っていく手段にもなりえます。

その理由(の一つ)は、先に書いたスプリットの事例からご理解いただけるのではないかと思うのです。

最後に

繰り返しになりますが

「まだ別れたくないってどうかしている」と言われた、といった恋愛や夫婦問題は

相手への愛情が枯れた・無くなった、愛想が尽きた、という場合を除き

「お互いに相手に対する素直な気持ちを持つことで、自分の気持ちが不安定になる」

という、めっちゃ切ない状況によって生じているのです。

だから、

自分の気持ちをどう整え、私が夫の気持ちをどう整えるか

という問題は非常に大きな課題なんですよね。

ちなみに、このようなご相談をいただいたときから、僕は稀に

「今はとても悲しいし苦しいですよね。その気持ちは着実に解放していきましょう!

ただ、今はご理解いただけないかもしれませんけど・・・。

もしかすると、そのうちご主人さんに対する不信感や怒りが出てくるかもしれませんけど、その時は驚かないでください。

かつ、それは相手にぶつけないで(今度は私が別れたろう!とか、他の男と浮気してやろう!とか実践する前に)

まずは僕のところに持ってきてくださいね〜( ̄ー ̄)ニヤリ」

なんてお話をさせていただくこともあるとかないとか。

それもまた大切なプロセスのひとつなんです。

いい気持ちも、そうではない気持ちも、感じるものなのだから、丁寧に扱う。

それが結果的に、自分らしい自分で夫と向き合うことに繋がっていきますからね。

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