甘すぎない恋愛心理学

【読者相談】「深い話になると、なぜか黙る彼」と関係を育てていく方法

我慢する女性

浅野先生へのご質問。

前回「アプリをやめない彼と、別れずに向き合うために 〜彼を責めずに伝える方法」というタイトルで、ブログの読者相談に取り上げていただいたモカです。

浅野先生のアドバイスの通り、楽しさを共有しながら、彼との関係を穏やかに続けていました。

7月中旬に知人から「最近マッチングアプリが原因の法的措置とか示談が増えているよ」という話を聞き、不安になりました。

彼は、ブログに取り上げていただいてからもアプリは退会していません。

彼の職業柄、法的措置などに至ったら大変だと不安になり、私は彼に「もうアプリのことを話さない予定だったけど、最近マッチングアプリが原因で法的措置に至るケースが増えているらしくて心配になりました。アプリをどうしたい?私との関係はどう向き合いたい?ゆっくり教えてほしいです」と聞いてしまいました。

「整理する」と返信はあったものの、その後、連絡が途絶えてしまいました。
私もピリピリしていたので「考えるのが難しいなら、一旦関係を終わりにしましょう」という旨のLINEを送ってしまいました。

彼からは「実家の都合ですぐに連絡できない。今の状態で急かされるとメンタル的にきつい」という返信がありました。

私は彼の状況を知らなかったので「急かしてごめんね」と返信をしました。

彼も「こっちこそ未読にしていてごめんね」と返信がありました。

思えば、交際してからの4年半。
彼は親密になりそうになったり、彼の心の中に入るような深い話題を、LINEでは既読スルーにして、数日後に日常会話(趣味の話など)に話題を転換してしまう傾向のある人です。

回避型といいますか……。

私自身は、こういう回避傾向があったとしても彼のことを好きだし、ゆっくり関わりたいと思っています。

回避傾向の強い彼との関係を進めるためには、まず何から始めていけばいいのでしょうか?

※7月中旬の件で、私もかなり感情消費状態になっていたので、しばらくはゆっくり心身を労りながら過ごすつもりです。

ネタ募集ネーム:モカさん

モカさん、ネタのご協力ありがとうございますm(_ _)m

ご質問拝見しました。(回答が遅くなってしまい申し訳ありません)。

さて、今回は

「回避傾向の強い彼との関係を進めるためには、まず何から始めていけばいいのでしょうか?」

というご質問ですね。ありがとうございます。

正直、僕はちょっとだけ驚いたんですよね。

4年半という長い時間、丁寧に関係を続けてきたお二人に、「回避傾向」という言葉が使われていることに。

それだけ、モカさんが“ちゃんと向き合おうとしてきた人”なんだな、と感じました。

そして、もしかすると、彼の態度に傷ついたり、こちらが「どうしてあんなふうに伝えてしまったんだろう」という葛藤の中にいらっしゃったのではないかと感じました。

その上で、僕はご質問を拝見して、こう考えています。

お二人が「何か伝えること」自体が、関係を壊す原因ではないのだろう、と。

伝え方やタイミングにズレが生じることはあっても、根本にあるのは「関係を育てたい」という気持ちであって、それは伝わっているのではないか、と。

そうではなく、伝えられた側が「相手の気持ちを受け止められなかった」ときに、距離ができる。

そんな構図が見えてきたのですよね。

そして、その背景には、確かに「回避傾向のある人特有の反応パターン」が関係していることもある、と言いますかね。


回避傾向のある人が「既読スルー→日常会話」に切り替える理由

モカさんが書いてくださったご質問を拝見すると、確かに彼は「親密な話になると既読スルーし、日常会話に切り替える」傾向があるようですね。

深い話になると、自分が試されるような感覚になったり、「正解を出さないと責められるのでは」といったプレッシャーを感じやすい人のようにも見えます。

回避傾向のある人にとって「深い話題」は、自分の心を開くことよりも、「自分が試される場所」になってしまいやすいんです。

・・・まぁ、「え、なぜそう解釈するの?」という疑問を持たれることもあろうかと思いますけども。

んー。妙な例えですけど、相手は「地雷原を歩く兵士」のような心理になっていて、「どこで地雷(責め)を踏むかわからない」と感じている状態とも言えます。

その結果

  • その場で答えることが難しくて「沈黙」で逃げる
  • 忘れたふり・リセットするように“趣味の話”で戻ってくる
  • 真面目に向き合うと“壊れるかも”という恐れから、日常の安全ゾーンに逃げる

といったパターンが繰り返されることも少なくない、といいますか。

これは「こちらの気持ちが軽んじられている」と感じるかもしれませんが、心のしくみだけ見つめると「感情の処理回路が追いついていない」ということなんです。


では、そんな彼と関係を続けたいなら、どうしたらいい?

モカさんがすでに書いてくださっているように、

今は一旦「感情の消耗モード」から離れ、回復期に入る時期だと僕も思います。

その選択は、とても正しいと思いますよ。

その上で、次に関係を育てていくとしたら、以下の点が大切になるかもしれません。

ということで、僕なりにいくつかご提案させていただきますね。


1:「問い」ではなく「余白」で関係をつないでみる

彼のようなタイプは、「どうしたい?」「この関係をどう考えてる?」といった問いに対して、“詰められた”ように感じてしまうことがあります。

だから、黙るというか、こちらの気持ちを引っ張り出されるような感じ、を感じる人もいるのですね。

いいか悪いかは別にして。

なので、一つの対策として「あなたはどう感じてる?」ではなく、

「私はこう感じてるけど、今すぐ返事は要らないよ」

「あなたのペースで考えてもらえたら嬉しい」

というこちらの言葉を置くようなイメージや、「余白」のある表現を使うと、心が逃げずに済む人も多いのです。

もうちょっと突っ込んだ書き方をすると、相手の「アラートサイン」を解除するような関わり方をするってことなんですけどね。

ただまぁ、「あなたのペースで」というと、なかなか返事が帰ってこないこともあるんですよねぇ・・・。

そこは、また聞いてみる、確認するというプロセスが必要になるかもしれません。

ただ、このタイプの人は、いわゆる「愛を持って相手を攻め落とす」という方法がなかなか使えないので(^^;

どちらかというと「相手があなたと一緒にいたくなる=そこに安心感がある」といういイメージで接するといいかもしれませんねぇ。


2:「言葉でつながる」ことを過剰に目的にしない

これは一般的な考え方ですけど、いわゆる回避傾向の人は、「言葉で深く話し合うこと」を怖がる傾向がありますよね。

言葉ってファクト、なんですよ、相手とつながるという意味での。

そもそもここでの「回避傾向」って、人とのつながりからの回避傾向を意味するもの。

なので、回避傾向がある人ほど、「言葉のやり取り、いわば口約束のようなものを、何度も反故にする」という経験を積んでしまう事が多いんです。

結果、約束を守ってない、相手にきちんと反応していないという、罪悪感を積み重ねていく。

もちろん「反応しないのは相手の問題」と言ってしまえば、正解というか、それまでなんですよ。

ただ、モカさんは

私自身は、こういう回避傾向があったとしても彼のことを好きだし、ゆっくり関わりたいと思っています

と書いてくださっていますよね。

その前提でお話するならば、共有の場=「言葉や感情ばかりを出す場」にしないというアプローチも効果的です。

  • 一緒に映画を見る(その感想を述べ合う)
  • 無理なくできる雑談を積み重ねる(結論は出なくていい)
  • 無言の時間を「何かしなきゃ」と思わない

こういった“感情を動かさずに共にいられる場”を増やすことで、「この関係は安心できる」と思いやすくなるかもしれませんね。


3:「沈黙=拒絶」と思わないための、自分の安心を整える

どうしても既読スルーや反応の薄さに心がザワつくときは、「私はまた“拒絶された”のかな」と感じてしまいがちです。

でも実際には、“彼の内側の処理の遅さ”であることも多い。

そう割り切れるようになるには、自分側の安心感を整えることが大前提です。

これは、「彼に変わってもらう」よりも、「自分の反応を理解する」ことで進みやすくなる部分でもあります。

・・・もちろん、そうやって「自分の安心感」を整えることって、簡単じゃないですよね。

特に、「言葉がこない時間」が積もると、過去の痛みや不安まで一緒に浮かんできてしまう。

そんなときは、自分の中の“揺らぎのクセ”を一緒に見つめていくサポートもできます。

カウンセリングって、そういう「自分の反応のパターンを理解する場所」でもあるので。


最後に:答えを焦らない関係は、ゆっくりでも深まっていく

最後になりますが、今回モカさんが見せてくださった「一歩引いて、自分の気持ちを整理する姿勢」は、いま恋愛や関係性で悩んでいる方にとっても、すごく参考になるんじゃないかなと思います。

「深める」よりも、「壊さない技術」が関係を育てることもある。

そんな視点を、これを読んでくださった誰かにとっても、持ち帰っていただけたら嬉しいです。

そして、まずは焦らず、まずは自分の安心から整えること。

それが、次の一歩につながっていくと僕は思いますよ。

なにか参考にしていただければ幸いです。

ABOUT ME
浅野寿和 | 心理カウンセラー/トレーナー
恋愛や夫婦関係、仕事、対人関係、生き方の”こじれ感”を「甘すぎない心理学」で解決。ただ、気持ちを受け止めるだけでなく、背景にある心理構造や関係性のパターンを整理し、「現実的で納得できる選択」を一緒に探っていきます。 臨床実績9000件/東京・名古屋・オンライン対応。
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