恋愛の心理学

【読者相談】アプリをやめない彼と、別れずに向き合うために 〜彼を責めずに伝える方法

悩む女性

浅野さんへのご質問

ブログを読むことで勉強にもなるし、励みにもなっています。

今回は4年半交際している年上の彼とのことで質問があり、メッセージを送らせていただきました。

私と彼はマッチングアプリで出会い交際を続けています。

私はアプリを退会しましたが、彼はまだ退会をしていません。

▼ご質問全文はこちら(クリックで表示)

4年半ずっと退会をしていないのは知っています。

でも、喧嘩をすることなく、お互いの時間を確保しながら、穏やかな関係を続けられていたのでアプリのことは黙認していました。

ある日、知人女性(仮にAさんとします)と会った時に「彼氏の写真見せて」とAさんに言われたので、私は見せました。

Aさんは私と彼が穏やかに過ごしていることを知っていました。 Aさんは「この人(私の彼氏)とマッチングしたよ!彼氏いない歴とか聞かれた!私にめっちゃ足跡を残していたよ」と言われました。

更に「私がもう一度(私の彼が籍を残しているアプリ)に登録してサクラになるよ。浮気の証拠掴もう」と言われ、深く傷つきました。

Aさん自身の恋愛が上手く行っていないと、誰かを貶める発言を繰り返す側面を持った人でした。

また、足跡が仮にあったとしても彼のプロフィールページに行けば情報は見られるし、Aさんは「チャットの内容は残っていない」と言っていたのでマッチングの信憑性はかなり低いと思いました。 ただ、深く傷ついたことは本当でした。

私は信頼できる人に相談しました。 その人からは「彼女に対して誠実な行動ではない。彼女を安心させるのが男の努め。関係に温度差があるのが悲しいんでしょう。ならばアプリを退会させるのが大切なこと」と一般論と正論を言われ、これまた傷つきました。

それでも私は彼と話し合うことを選びました。Aさんからの言葉、相談した人の圧力もあり、流されてしまった部分もあります。

相談した方と台本を作り、話し合いに望みました。

「私とは恋愛要素で一緒にいる?それとも友達の感覚?」「アプリは退会してほしいなあ。一緒にいるなら信頼して関係を築きたい」と私らしくない言葉を彼に直接いってしまったのです。

彼は困惑していました。

でもその中で「一緒にいるのは恋愛要素が強い。アプリにはあんまりログインしてないし、会ったりしてないよ」と言いました。

実はアプリのことを直接顔を見て話すのは4年半の交際期間で初めてでした。

LINEでは何度か「アプリに登録しているの不安になるな」というのは伝えていましたが。

彼の困惑している姿を見て『彼は私を傷つけている自覚はある。でもアプリをやめることにも踏み切れないし、そもそもどうしてアプリを続けているのか彼自身がわかっていない』ように感じました。

なので、話し合いの最後に「アプリを続けるかやめるかは彼さんに任せるよ。私からはあれこれ言わないね。でも他の人に会ったりするのは傷つくし悲しいからやめてほしいな。あれこれ考えると私も疲れちゃうし、一緒に楽しいことをしていくほうが幸せだもの」と伝えると、彼はホッとしていました。

彼の意志でやめてほしい、という思いがあり、彼がアプリを続けることを黙認していました。

私都合でやめてもらっても、アプリの再登録や他のアプリに登録できるので、それをあとから知った方が傷つくと思ったからです。

彼の意志でやめるなら、彼の中で折り合いがついたということにもなると思ったからなのです。

質問は「アプリを続けることは彼女を傷つけているとわかっている。アプリをやめるのに躊躇いを持っている。でも彼女との関係は手放したくない彼と、これからも仲良くしていくにはどうしたらいいでしょうか?」ということです。

複雑な背景ですが、解説していただけたら嬉しいです。

ネタ募集ネーム:モカさん

心理カウンセラーの浅野寿和です。この度はネタのご協力ありがとうございます。

では、いただいたご質問に僕なりにお答えしますね。

まず最初にお伝えしたいこと

まず、モカさんの言葉から伝わってきたのは

“自分の気持ちだけで相手を動かそうとはしなかった”

という、非常に成熟した、誠実な態度です。

「相手の意志で選んでほしい」 「関係をこわすようなことはしたくない」

そうしたお気持ちが、伝える言葉の節々ににじんでいました。

まずはその選び方に、心から敬意を表したいと思います。


彼を「信じたい」気持ちと「信じていいのか」への迷い

彼の言動に、あなたはきっとずっと矛盾を感じていたのではないでしょうか?

穏やかで優しい

でも、アプリは退会しない

だから「信じたい」と「信じていいのか」が、いつもせめぎ合っていた。

それを人に話したとき、 「退会してもらえばいいじゃん」 というシンプルな正論にぶつかって、さらに苦しくなってしまった。

でも、恋愛って正論だけでは動かないんです。

正しさがすれ違いを深めてしまうことも、あるんですよね。


男性心理の視点からみた「退会しない理由」

では、なぜ彼は退会しないのでしょうか?

この話はいわば一般論で、彼のお気持ちを断定する話ではないのですが

今回のようなケースの場合、いわゆる「浮気したい」だけではない事が多いでしょうか。

むしろ

もっと曖昧で、自分でも明確に言語化できない何かがあるからこそ、退会できない

という場合も少なくないようです。

たとえば、

  • 「自分の自由を制限されたくない」

  • 「自信がない。手放すのが怖い」

  • 「親密になることが怖いと無意識的に感じている」

  • 「関係の責任を100%引き受ける準備ができていない」

そんなマインドが、彼の「退会できなさ」(今の関係から意識をそらす場所を求める気持ち)に現れている場合もあります。

でもここで大切なことは

彼が「あなたと別れたいわけではない」という可能性も示されていること。

だからこそ、あなたの中で「受け入れられない気持ち」と「関係を壊したくない気持ち」がせめぎ合うのですよね。


関係を壊さないための“見方”と“言葉の選び方”

彼の「曖昧さ」や「無自覚さ」に対して、 「私はこうしてほしい」と伝えること自体はまったく間違っていません。

むしろ、よく頑張ってお伝えになられましたね。と思います。

でも、そこに“正しさ”だけを乗せてしまうと、 彼は「責められている」と感じ、防衛的になってしまう可能性もあります。

なので、モカさんが最後に選んだ「任せる」という言葉は、 とてもよい着地方法だったと思います。

「あなたの中で整理がついたら、そのときに選んでほしい」

これは、彼の自尊心と関係性を同時に守る、深い言葉です。


終わらせたくないからこそできる、もう一歩の歩み寄り

では、この先どうすればいいのか?という話ですよね。

僕からひとつご提案するなら

「ふたりの関係が続くことの喜び」や「彼と過ごすことの楽しさ」を、 日々の中で少しずつ共有してみてください。

それはあなたの気持ちを彼に伝えることかもしれないし、二人で過ごす時間を楽しく豊かなものにすることかもしれない。

それを彼と共有できるように過ごしてみること。

稀に「彼といろいろあったのに、何事もなかったかのように楽しく過ごすって、逆効果なんじゃないですか?」というご質問をいただきますが

それは「コチラからは何も言わず、メッセージも出さず、ただ我慢して黙認したとき」の話だと思います。

そもそも今回のご質問を僕が拝見して、モカさんは彼が傷つかないように、関係がこじれないように配慮を重ねられ、お伝えになるべき気持ちも伝えられているようです。

男性が“無自覚な葛藤”を手放すには、それを見つめ直す時間と余白が必要です。

無理に方向づけようとせず、関係の中で“安心できる土台”があると感じたときに、少しずつ変化が訪れることもあります

つまり、もし彼が「アプリ」を手放す日がくるとしたら、 それは

“他の場所で何かを探さなくても、ここにある”

と、心の底から思えたときだと思うのです。

その日が来るのを、様子を見ながら、関わりながら待ってみる、ということも、 関係性の作り方のひとつなのかもしれません。


最後に

モカさんの文面からは、彼への誠意、 そして“自分の気持ち”と“相手の気持ち”を丁寧に見つめようとする姿勢が伝わってきました。

そんなあなたの思いを、彼がどこかでちゃんと受け取ってくれること。

僕も祈っております。

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ABOUT ME
浅野寿和 | 心理カウンセラー/トレーナー
誰かのために生きてきた人へ。“私の幸せ”に向かう再起動の力を。恋愛・夫婦・仕事のすれ違いに、あなたらしく向き合うためのカウンセリングをご提供します。 臨床実績9000件/東京・名古屋・オンライン対応。
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