こんにちは。

心理カウンセラーの浅野寿和です。

今日はネタ募集コーナーにお寄せいただいたご質問にお答えします。

テーマとしては

「親密感に怖れを抱く人」

その心の構造と、どう関わるといいか、について、少し整理してみようと思います。

相手のことを「もっと理解したい」と思うほど、

なぜか関係がしんどくなっていく。

もしそんな感覚に心当たりがあるなら、少し立ち止まって読んでみてください。

いただいたご質問はこちら

浅野さんに質問です。

先日お答えいただいたKMです。

浅野さんの言葉にとても心が救われて涙が出ました。
本当にありがとうございました。

彼のことをもっと理解したいのですが、親密感に怖れを抱く人の心理を教えていただきたいです。

彼の場合は、幼少期に母親から厳しく育てられ、本来ののびのびした明るく無邪気な性格を抑え込まれたこと、自分は母親に嫌われていたと今でも思っていること、虐待だったと感じていることが一番大きな原因だと思います。

そういった経験が親密感の怖れに繋がる心理や心の構造を知りたいです。
具体的にどの様なことに怖れを感じて、どういった時にそれが出るのかも知りたいです。

彼は高校を卒業から1人暮らしを始め、20代前半で1回目の結婚をしているのですが、それは親への反発もあったと言っていました。

大人になった彼は家族と定期的に会っており、父親や母親の誕生日にはご飯に連れていくなど仲は良く、とても良い息子だと思います。
ただ、私の前では、家族だけど気を使うとは言っていました。 

これから先、彼が怖れを解消するためにはどのようにすればいいのでしょうか?

今、彼には時間が必要だと思っていますが、時間が経てば消化出来るものでもないと思うのですが…
そのために周りが出来ること、彼の怖れを和らげる接し方や距離感、言葉なども知りたいです。

心理学としても気になるので、教えていただけますと幸いです。

ネタ募集ネーム:KMさん


前回の記事がお役に立てたなら幸いです。

こちらこそありがとうございますm(_ _)m

では、今回のご質問へのご回答です。

「もっと理解したい」という気持ちについて

はじめに、ひとつお伝えしておきますね。

今回のご質問には、ご質問者さんのパートナーである「彼」の体験について書かれていますが、僕はここで、彼本人を評価したり、決めつけたりするつもりはありません。

あくまで、

「もし、こういう体験をしてきた人がいたとしたら、心の中では、こんなことが起きている可能性がありますよ」

「こういった体験を持っている人と、どう関わればいいかについて考えてみましたよ」

という視点でお伝えしますので、そのようにご覧いただけたらと思います。

さて、このご質問を読んでいて、僕が強く感じたのは

ご質問者さんの

「相手を変えたい」ではなく

「相手を理解しようとしている」という姿勢でした。

これ、当たり前のようでいて、実は簡単なことではないんですよね。

なぜなら、しんどい関係の中では

人はつい、

  • なぜ分かってくれないのか
  • どうすれば変わるのか
  • 私が間違っているのか

という方向に意識が引っ張られがちだからです。

それでも「彼の心の中で何が起きているのかを知りたい」と思った。

その姿勢そのものが、すでに親密さの一部だと、僕は感じたところです。

その一方でこんなふうにも思うんです。

「彼の怖れを理解したい、という気持ちの横で、ご自身は今、何を引き受けすぎていそうでしょうか?」

もし、これを読んで“少し胸がザワッとしたならば”、ここからの内容がお役に立てるかもしれません。


親密感への怖れは「人嫌い」ではありません

まず、よく誤解されやすい点から。

親密感への怖れを持つ人は、

人が嫌いなわけでも、冷たいわけでもありません。

むしろ、

  • 人と近づきたい気持ちがある
  • 関係を大切にしたい
  • ちゃんと分かり合いたい

そんな思いを持っている人も、とても多いです。

ただ問題は、

「近づいたときに、心の中で何が起きるか」

こちらにあります。


もし、幼少期にこんな体験があった人がいたとしたら

ここからは一般論として書きますね。

もし、ある人が

  • とても厳しく育てられた
  • 感情を自由に出すことが許されなかった
  • 「嫌われている」「受け入れてもらえない」と感じる体験が多かった

そんな環境で育ったとしたら。

その人の心の中では、無意識のうちにこんな学習をすることがありますね。

親密な関係は、安心できるものではない。

たとえ近しい人でも、近づくと傷つくかもしれない。

この学習は、頭で考えた結論ではありません。

ある意味”体感”として、心に刻まれているものです。

だから大人になってから、

  • 深い話になると緊張する
  • 距離が縮むと逃げたくなる
  • 家族や恋人でも、どこか気を使ってしまう

そんな反応が出ることがあります。

これは「愛情がない」からではなく、心が自分を守ろうとしている反応なんですよね。


表面的に仲が良くても、心が楽とは限らない

ここから書く話は、解釈の方法次第では若干ショックな話に聞こえるかもしれませんが、

そういった意図でお伝えしているものじゃない、とご理解いただきながらご覧くださいね。

ご質問の中に、

今は家族と仲が良く、良い息子に見える

というお話がありました。

ここ、とても大事なポイントかな、と僕は思うんですね。

多くの人は、毎日を生きる中で

  • 社会的にうまく関われている
  • 関係が破綻していない

という状態を作ることはできたりするんです。

でもそれと、

  • 心が緩んでいる
  • 無防備でいられる
  • 心を許し、信頼して関わる

という状態は、必ずしも一致しているとは限らないんです。

ここがポイントであり・・・解釈次第ではショックを受けてしまう部分です。

が、こう考えてください。

「たとえ、心が緩まなくても、無防備でいられなくても、心を許し、信頼して関わることができなくとも・・・

その人はその人なりの思いを持って接している」。

そこに悪意があるとお伝えしたいわけじゃないのです。

そうせざるを得ない事情(反応)があるのかも、とお伝えしたいんですね。

よって、いいか悪いかは別にして

関係は良好でも、心はずっと緊張している

ということも、十分あり得るんです。

これは「そうやって生き延びてきた」というだけのことだったりします。


「時間が経てば解消するのか?」について

ここ、ごまかさず正直にお伝えしますね。

  • 時間とともに薄まる怖れもある
  • でも、時間だけでは動かない怖れもある

ちょっと深い話を書くとすると、

実はこのような関係って、

「親密な関係を恐れている側」と同じ感情が、相手方にも生じている

なんて見方もできるんですけどね。

ま、それはそれとして・・・。

ここで必要な視点としては、

この手の怖れは感じないようにするものでもなく

頑張って「克服するもの」というより

安全な関係の中で、少しずつ緩むもの”ということでしょうかね。

たとえば、

仕事で苦手な取引先に気合で向かう、ということは、やろうと思えばできるのかもしれません(もちろんできない場合もありますよ)。

いわば、一時的な関わりですからね。

ただ、親密さというのは、深く長い関わり合いの中で育まれる性質のあるもの。

なので、

相手に気を使って深く関わらなければ、それ以上の関わり合いは望めない、

という場合もありますし。

その時々で、

お互いの気持ちが安全に関わり合える”温かな関係”を積み重ねた結果、

気づいたときには素敵な関係になっていた

ということもあります。

この話を「愛着の回復」という専門的な文脈で眺めると、

愛着が回復するのは「大きな理解」や「劇的な変化」が起きたからではなく、

その時々で、

  • 不安になっても壊れなかった
  • 距離ができても戻れた
  • 無理にわかり合わなくても関係が続いた

そうした安全なやり取りが少しずつ蓄積された結果だと考えられます。

だから多くの場合、「何かが決定的に変わった瞬間」があるというより、

振り返ったときに

「あれ、前より安心していられるな」

と気づく、そんな形になることが多いのです。

なので、相手の事情を知ったとて

無理に向き合わせたり、「もう大丈夫でしょ」と押したりすると、

かえって相手の防衛は強くなります。

一方で、

  • 一貫した態度
  • 予測できる関わり
  • 近づいても、離れても責められない関係

こうした中で、心は少しずつ学び直していき、結果いい関係になることもありますよ。


周りができること・やらなくていいこと

ここで、大切な線引きを一つだけお伝えしておきます。

この話を

「解消させるべき問題」として扱うか、

「関係の中で揺れながら変化していくもの」として扱うかで、

見える景色はかなり変わります。

心理的に見て、”やらなくていいこと”を挙げるとすれば、

  • 相手の怖れの原因を特定しようとすること
  • 私の手で直してあげようとすること
  • すべてを理解しきろうとすること

理解しようとすることと、相手の心を引き受けることは、別だからです。

一方で、”やってもいいこと”があるとすれば、

  • 距離が縮んだら、素直に喜ぶ
  • 距離ができたら、追いかけすぎない
  • 自分の立ち位置を見失わない

僕たちは、

こうした関わりの一貫性の中で、

少しずつ「安心」を学び直していくことがあります。

ここで言う安心とは、

いわゆる「気持ちを説明し合って得られるもの」というより、

「この人は、こう関わってくる」という、実感や予測の積み重ねのことです。

ただし、それを与える側が、苦しさを抱えたまま耐え続ける必要はありません。

そのしんどさは弱さではなく、きちんと手当てされるべき優しさだと僕は思うのですね。


こちらの記事も参考にどうぞ

最後に

「彼を理解したい」という気持ちは、とても誠実なものだと思います。

でも同時に、

どこまで理解しようとするか

どこからは相手の領域か

この線を考えることも、同じくらい大切です。

分かろうとすることと、背負い込むことは、全くの別物ですからね。

この記事が、

相手を責める材料ではなく

自分を責める理由でもなく

少しだけ、みなさんの立ち位置を見直すヒントになれば幸いです。

では、今日はこのあたりで。

ABOUT ME
浅野寿和 | 心理カウンセラー/トレーナー
恋愛・夫婦・仕事・生き方の中で、「ちゃんとやってきたはずなのに」そんな感覚を抱えやすい人のご相談を多くお受けしています。 個々のご相談を心理学の視点で整理して、明快に言葉にしていくカウンセリングが人気。 キャリア17年・臨床実績10,000件/東京・名古屋・オンライン対応。リピーターさまが多いカウンセラー。口癖は「どんなことにも事情があるよね」。
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