こんにちは。

心理カウンセラーの浅野寿和です。

今日は、「親密な関係を怖れる心理」についてのコラムです。

「僕たちは親密な関係を怖れることがある」。

そう聞くと、みなさんはどう思われますか?

えー、そんなことってあるの?と思いますか。

それとも「なんか分かるかも・・・」と気づきますか。

こういう矛盾って、なぜ起きるのかと考えるほど、分からなくなりますよね。

実は、この現象は

”心の反応”として起きていること

そう説明することができるのですね。

そこで今日は、「親密な関係を怖れるー親密感への恐れー」について解説してまいります。


親密になると、なぜか避けたくなったり、気持ちが冷めてしまうことがある

たとえば、こんな経験はありませんか。

  • 長く関係を続けるほど、相手がうざく感じはじめる
  • 相手が頑張ってくれる姿を見ると、気持ちが引いていく
  • 追いかけていた相手が自分を好きになった途端、冷めてしまう
  • 大切に思えば思うほど疲れてしまい、関係を壊したくなる
  • 一緒にいると試したくなる/気をつかいすぎる/急に距離を取りたくなる
  • 親密になりたいのに、気づけばケンカばかりしている
  • 好きなはずなのに、距離が近づくと他の人のことを好きになろうとする
  • 大切にされるほど、なぜか逃げたくなるし、苦しい気持ちになる
  • 結婚したいのに、付き合う相手は既婚者ばかりだ
  • 幸せになりたいのに、パートナーは借金がある人ばかり
  • 付き合った人が高確率で浮気する、そもそも二股だった
  • 困ったことがあっても、身近な人には相談できない
  • パートナーと一緒に住んでいると気持ちが落ち着かなくなる

こういうとき、多くの人は「私が変なのかな」と考えます。

これ、親密さに触れたときに、心が“怖れ”を感じている反応とその結果、なんですよね。


「親密感への怖れ」とは何か

心理学の領域では、親密な関係や親密感そのものを怖れる傾向を、

親密感への怖れ(親密さへの怖れ)」と呼ぶことがあります。

分かりやすく言えば、

「近づきたいのに、近づくと怖い」

という反応です。

このブログでよく出てくる「幸せが怖い」という感覚も、ここに重なることが多いですね。

頭では「うまくいっているなら嬉しいはず」と思うのに、

心は「このまま進むのが怖い」とブレーキを踏む。

その結果、関係が壊れたり、壊しにいったり、妙な緊張感のまま続いたりします。

▶関連記事:親密感とは〜親密感はすべてを癒やす〜

※「親密感」という言葉の整理は、別記事(親密感の解説)とセットで読むと分かりやすいかもしれません。


親密感への怖れがあると、恋愛で何が起きやすいのか

親密さへの恐怖が強いとき、

恋愛で起きやすいのは、ざっくり言えば次の3つです。

  • 近づくと苦しくなる(冷める/疲れる/急に距離を取りたくなる)
  • 相手を確かめたくなる(試す/不満を言い続ける/執着する)
  • 自分を守る方向に走る(攻撃的になる/黙る/コントロールしようとする)

ここで大事なのは、

これが「相手を嫌いだから」といった感情面の判断の話ではなく、

親密さに伴う何かを“感じたくない”という反応であることも多い、という点です。

つまり、好き・嫌いや、関係の問題というより、

関係が深まるときに出てくる心の反応なのですね。


親密感への怖れの代表的な6つのタイプ(一覧)

親密感への怖れにはいくつかのパターンがあると言われています。

ここでは、代表的な6つを「地図」としてまとめます。

参考:Weeks & Treat(2001)Couples in Treatment: Techniques and Approaches for Effective Practice

「依存」への恐怖

これは「パートナーに依存することができない人が持つ怖れ」のことです。

「依存する人は弱い人だと思い込んでいる」という場合や、
「依存することでパートナーの重荷になることを恐れている」という場合がそれにあたります。

なので、パートナーの依存も「悪」と認識し、パートナーの依存を嫌うため、親密な関係を作ることが難しくなるのです。

「感情」に対する恐怖

これは、「感情表現」や、「感情をパートナーと共有すること」への怖れです。

親密さを構築するには、喜怒哀楽、様々な感情共有されることが必要です。

ただ、論理的な思考や合理性を重視する人の場合、自他の負の感情が否認しやすい。

結果、パートナーの負の感情を容認できず、相手を攻撃したり、問い詰めてしまい、親密な関係を構築することが難しくなるのです。

「怒り」に対する恐怖

これは「怒りを表現することで相手を傷つけること」への怖れです。

相手から怒りを向けられることを過度に怖れているので、適切な自己表現ができなくなってしまうのです。

結果、パートナーとの間で自己犠牲を重ねてしまうのです。

人によっては「自らを服従的な立場に追いやってしまう」というわけです。

コントロールを失うこと・コントロールをされることへの恐怖

これは「親密になることで自由が奪われたり、束縛・干渉されるという不安を感じている」状態です。

人によっては、「自分がパートナーにのみこまれてしまう怖れ」や「自分がなくなってしまうような深い不安」を抱いている場合もあります。

よって、パートナーをコントロールする位置に立ち、関係の主導権を握らせないように、様々なコントロールを仕掛けます。

パートナーの価値観を否定する、
パートナーの努力や権威性を貶す、
パートナーの考え方が間違っていると指摘する、など・・・。

結果、パートナーと親密な関係を構築することが難しくなるのです。

▶関連記事:コントロールの心理

自分をさらけ出すことへの恐怖

これは「自分をパートナーにより深く知られることを怖れている状態」です。

自分のことを相手に知られると「相手からの評価が否定的なものに変化するのでは」と怖れているわけです。

このような怖れを抱える例としては、

  • 身体的なコンプレックスの問題を抱えている
  • 家族や家柄、学歴など生育歴にコンプレックスを抱いている
  • 自分自身の過去を知られることへの怖れを抱いている

などがこれに当たりますね。

また、過去に自分誰にも受容されなかった「心の痛み」を抱えている人の場合、なかなか自分をさらけ出すことが難しくなります。

いわば、自己開示することが難しいので、信頼関係が深まらないというわけですね。

見捨てられること、拒絶されることへの恐怖

これは「パートナーがいつか自分を見捨てるのではないか・拒絶するのではないか」という怖れを抱いている状態です。

本当は信頼したいパートナーを「この人はどうせ自分を見捨てる」と常に否定的な結果を予測し,相手と距離をおくようになるのです。

もしくは、相手の愛情を常に確認しようとしがみつくという行動をとる人もいます。

この6つは「どれが正しい」ではなく、自分の反応を言葉にするための分類だと思ってくださいね。


なぜ、この怖れが生まれるのか(2つの軸)

親密さへの恐怖は、「この理由があるから必ず怖れる」という単純なものではないのですが、整理すると次の2つの軸にまとめやすいです。

1)環境・文化・学習の影響

親密な関わり方は、実は“学習”の要素が強いんですよね。

たとえば、普段ハグの文化がない人が、ハグに照れたり距離を感じたりするように、親密さへの反応には「慣れ/学習」の側面が残ります。

家庭環境が厳しく、褒められたり優しくされた経験が少なかった場合、優しさに触れたときに、嬉しさより先に「怖さ」や「戸惑い」が出ることもあります。

このタイプは、安全な範囲で“慣れていく”ことが鍵になることが多いです。

2)過去の「親密さから離れた理由」の影響

もう一つは、過去に親密さの中でつらい経験をして、

「もう二度とあの感じは味わいたくない」

という形で、心が距離を取る方を選んだケースです。

  • また傷つくぐらいなら、親密さを望まないほうがいい
  • 近づくと振り回されるから、最初から線を引いたほうが楽
  • 依存して自分を失うのが怖い

こういう“撤退の学習”があると、親密さが近づくほど、心が先回りしてブレーキを踏むことがあります。


親密さを怖れる人ほど、実は「自分」を怖れている

ここが、このテーマのいちばん大事なところかもしれません。

親密さが怖い人は、相手が怖いというより、

親密になったときに出てくる“自分の反応”が怖いことが多いんです。

たとえば、

  • 依存してしまう自分が出てきそうで怖い
  • 甘えたくなる自分が出てきそうで怖い
  • 怒りや不満が止まらなくなりそうで怖い
  • 見捨てられ不安で壊してしまいそうで怖い

だから、親密さが近づくと、心の中で「急ブレーキ」が起きる。

「やめとけ」「近づくな」「壊せ」と、内側が言い始める。

この状態は、自己概念(自分をどう扱っているか)ともつながっていて、

“親密さを受け取れる自分”として自分を扱えていないときに起きやすいように思います。


親密感の怖れとの向き合い方

親密さへの恐怖を手放していくときは、ざっくり次の3段階がベースになります。

  • ① 気づく:いま自分が怖がっている、という事実を掴む
  • ② 否定しない:怖がる自分を責めずに、理由があったと理解する
  • ③ 小さく試す:親密さを“一気に”ではなく、小さく安全に経験し直す

そして「最初の一歩」だけ書くなら、これです。

「怖いよな。で、私はどうしたい?」

怖さを消すのではなく、怖さを抱えたまま、自分に主導権を戻していく感じですね。

特別になろうとせず、好意で人と関わってみる

親密な関係を怖れる人ほど、「特別さ」を欲する傾向があります。

簡単にいえば

「人と自分は違うなにか特別なものがあれば、人と関われる」

と考えがちなのです。

もちろん特別な技術や能力を身につけることは素晴らしいことです。

その技術や能力を使って、ぜひ人や社会、自分を幸せにしてあげてほしいと思います。

が、「自分を隠すもの」にすると、親密さを怖れてしまいます。

特別さの鎧を着るのではなく、本当に仲の良い人、気の合う人と心を許しながら、

相手を信頼しながら関係性を築く意識を持ってみましょう。

「自分の良い悪いを知っても、普通に付き合ってくれる人がいる」

その感覚を学ぶこと。

それはいつからでもはじめられる。心理学はそう語っていますよ。


関連記事

ここから先は、テーマによって扱い方が変わります。

気になるところから読んでみてください。


最後に

親密感への怖れは、分かりにくく、気づきにくいものです。

そして、気づきにくいからこそ、「自分はダメだ」と結論を出しやすい。

でも、ここまで読んで「なんか分かるかも」と思ったなら、

それは、もう整理が始まっているのかもしれません。

親密さを怖れる自分を、いきなり変える必要はありません。

まずは、自分の中で何が起きているのかを、言葉にして眺められる状態を作る。

それが、次の選択を雑にしないための土台になることがあります。

今回の記事が、そのための地図になれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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