価値観が違うパートナーと幸せに過ごす方法 ── 主導権争い(パワーストラグル)を手放すための心理学
こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
今日は恋愛・夫婦関係のなかで、避けたいけれど、避けても通れないような気がする
「価値観の違い」「価値観の衝突」
について扱っていきます。
「二人の価値観が違う」。
それ自体は、別に珍しいことでもないはずなのに。
なぜか、ふたりの間で「譲れない戦い」みたいなものが始まってしまう。
話し合っているつもりが、いつのまにか勝負というか争いになってしまう。
気づけば、どっちが正しいか、どっちが分かっていないか、みたいな話になっている。
そして終わったあとに、どっと疲れる。
仲が悪いわけじゃないのに、好きなのに、尊敬もしているのに、消耗だけが残る。
価値観が違うパートナーとの関係に悩み、「このまま一緒にいていいのか」と感じている方は少なくありません。
この記事では、
価値観が違うパートナー同士がハマりやすい「主導権争い(パワーストラグル)」を
心理学的に整理しながら、そこから抜けるための考え方をお伝えしていきます。
「相手を変えるため」の話ではなく、
二人の関係の“足元”を整える話だと思って読んでみてください。
・・・そうじゃないと、また対立しかねませんので(^^;
Index
価値観が違うパートナーとのケンカは「消耗戦」になりやすい
カウンセリングでよくあるご相談のひとつに、こんなお話があります。
彼(パートナー)との価値観の違いで、意見の衝突が増えています。
普段は仲が悪いわけではないし、お互いを尊敬している感覚もあります。
でも、些細なことで譲れなくなってケンカになり、疲れ果ててしまいます。
どうしたら仲良く過ごせるようになるのでしょうか。
こういうとき、当事者の頭の中ではだいたい同じことが起きています。
- 分かってほしい(理解されたい)
- 認めてほしい(否定されたくない)
- 私のほうが間違ってない(正しさを守りたい)
そして、相手側でも同じことが起きていることが多い。
つまり、ふたりとも「正しさ」と「尊厳」を守ろうとして、気づけばぶつかってしまうんですね。
僕はこういうお二人を見ると、いつも思うんです。
「愛情深い方たちだなぁ」と。
だって、どうでもよかったら争わないですからね。
ただ、その愛情が“競争・争い”の形で出てしまうと、関係はどんどん消耗していきます。
そこで、この記事の提案はこれです。
「主導権争いを手放して、「ふたりの幸せ」を作り直していく。
その方向へ意識を切り替えてみませんか」。
主導権争い(パワーストラグル)とは「正しさの争い」
価値観が合わないパートナー同士の対立を、
主導権争い(パワーストラグル)と呼ぶことがあります。
これは「どちらが正しいか」「どちらの価値観を採用するか」を巡って起きる
「心理的な力比べ」のことです。
ざっくり言えば、こういう状態です。
- 「私のやり方が正しい」
- 「いや、俺のほうが正しい」
- 「分かってくれないのが問題」
- 「分からせようとするのが問題」
これ、表面だけ見ると「頑固者のぶつかり合い」みたいに見えるかもしれません。
でも実際は、もう少し深い動機が混ざっていることが多いのです。
主導権争いは、たいてい“関係を壊したいから”起きるのではなく、
“関係を守りたいのに、守り方が戦いになってしまう”ときに起きやすい。
だからこそ、消耗します。
相手を大切に思っている分だけ、勝ち負けの話になるとつらいんです。
主導権争い中は「自分の幸せ」が見えなくなっている
ここ、かなり重要です。
主導権争いにハマっているとき、
人は「相手のこと」ばかり意識しているようで、
実は、「自分の内面」に意識が向いています。
- 相手がどう思っているかを気にしながら、実は自分の価値観を通そうとする
- 相手がどう変わるべきかばかり考えて、自分のスタンスは変えない
- 相手が何を分かっていないかばかり見て、自分の考えは正しいと思ってる
- 相手がどれだけ反省したかを気にして、自分が責められないか気にする
実は、相手を見ているようで「自分を見ている」のですが、
そこがちょっと気づきにくい部分なのですよ。
なので、主導権争い中は、
「幸せになる意識」ではなく、
「正しさを通す意識」に寄ってしまうことが多いのです。
するとどうなるか。
勝ったとしても、手に入るのは
- 正しい感じ
- 主張が通った感じ
- 相手を言い負かした感じ(あるいは、黙らせた感じ)
で、終わるんですよね。
実際、相手がどう思っているのかは一切わからない・・・。
本当は欲しかったはずの
- 親密感
- 安心感
- 信頼
- 「味方でいてくれる」感覚
こういうものが、置き去りになりやすい。
だから、
勝っても虚しい。
負けたら悔しい。
つまり、どっちに転んでも消耗しやすいわけです。
なんのために自己主張したのか、
なんのために相手のためにエネルギーを注いだのか、
そこがわからなくなる。
すると、次第に「無意味感」に襲われるわけです。
最初は、自分が「何をしても意味ないな」と感じる。
それが次第に「今更、二人で何かをしても意味がない」と思うようになる。
ちょっと怖い話ですが、しかし現実に起こり得る話なんです。
主導権争いが起きるのは「信頼するのが怖い」から
では、なぜ人は「正しさ」にしがみつくのでしょうか。
それは多くの場合、信頼するのが怖いからです。
ここで言う信頼は、いわゆる「相手を信じよう」みたいな綺麗な話だけではなくて、
「相手に委ねた結果、うまくいかない可能性をも引き受ける」
という意味を含みます。
日々、自分を信じて頑張る人ほど、
パートナーシップの中でも心のどこかでこう思っていることがありますよ。
- パートナーを大切にしたいと思っている。
- つまり、自分の価値観は正しいんだ
- 自分はアテになる存在だ
- だからこそ、自分のやり方を批判されたくない
- 雑に扱われるなんてまっぴら
- またケンカして相手の感情のゴミ箱になんてなりたくない
・・・おー。
文字にするとなかなかの迫力ですが(^^;
それゆえに、関係の中でも「正しさ」を武器にして自分を守ろうとするわけです。
これは自分を信じて生きている人にとっての”自然な防衛”です。
ただ、その防衛が強くなるほど、関係は「正しさの応酬」になりやすい。
そして皮肉なことに・・・
主導権争いの抜け道は、「信頼が怖い」その地点のど真ん中にあります。
つまり、
あなたはこの関係で、何を守ろうとしているのでしょう。
そして、本当は何を手に入れたいのでしょう。
ここを見失うと、戦いだけが残ってしまうというわけです。
相手を思って「負けよう」としても幸せになれない
主導権争いに疲れてくると、次に出てくるのがこの発想です。
「もういいや、私が折れる」
「ケンカしたくないし、譲っておこう」
一見、大人な対応に見えます。
でもこれ、心の中で起きていることを丁寧に見ると、
“負けて平和を買っている”だけになってしまうことがあるんですね。
この状態は、表向きは静かでも、内側ではずっと燃えています。
- 本当は分かってほしかった
- 本当は大事にしてほしかった
- 本当は尊重されたかった
それが積み上がると、ある日ふっと限界が来ます。
「もうこんな関係、やってられない」ってなる。
だから必要なのは、単なる妥協ではなく、
「信頼する」という覚悟のほうなのだと思います。
- 任せると決めたなら、任せてみる。
- 相手のやり方でいくと決めたなら、その結果を一緒に引き受ける。
うーん、嫌ですよねぇ。怖いですよねぇ。
今、パートナーとの対立真っ最中の方にとっては、
「んなことできるか!」
「何を今更・・・折れるべきは相手でこちらじゃない!」
と思いますよねぇ。
特に、自分を信じて頑張る方ほど、真剣に
「・・・それができたら苦労しないし、あなたに相談していないわ」
って、セッション中に思うやつです。
でも、ここが分岐点になりやすいのです。
主導権争いを手放すなら「幸せになること」に集中する
主導権争いを手放して、信頼しよう、幸せになろう、と決めた途端に、
人はなぜか別の問題を持ち出したくなることがあります。
- 急に仕事のことが心配になる
- 急に子どものことが気になり出す
- 急に「将来の不安」が大きくなる
- 急に相手の欠点が目につく
これ、意地悪な言い方をすると、
「正しさ」に戻るための材料探しみたいなことが起きるんですね。
もちろん、心配は心配で正しいし、大事なテーマでもあります。
ただ・・・持ち出すタイミングが絶妙すぎるのです(^^;
幸せになる方向へ進もうとする瞬間に、足を引っ張るように出てくる。
もちろんこれも意図的に、ではなく、無意識的に、なんですけど。
だからこそ、ここで大切なのはシンプルなことです。
問題に引っ張られるのではなく、「本当に欲しいもの」に意識を戻すこと。
この準備をまず先に整えましょう。
ここを飛ばして主導権争いを手放そうとすると・・・
「はいはい、わかりました。もう何も言いません。何も求めません。相手のお好きにどうぞ・・・」
みたいな”諦めモード”になるか・・・
「今まで何だったんだろう。自分なりに頑張ってきたつもりだったんだけど、ケチョンケチョンにやられるだけで、もう何も残ってない。あー、もう溶けてなくなりたい」
のような”燃え尽きモード”になってしまいかねないのです。
これも一つの”自分の立ち位置”を整えることなんですね。
※とはいえ、そういったお気持ち、僕も無視したいわけでもないし、分からなくもないので、必要であればいつでもお話伺わせていただきます。
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最後に
この手の”対立”は、なかなか乗り越えることが厄介のように思えます。
たしかにそうなんです。
なぜなら、対立の原因の根っこには、あなたの愛や相手への想いがあるから。
なにも自分勝手に思いを突き通したいわけじゃないんですよね。
ただ、こちらが考えたこと、伝えたい思いが届いてくれさえすればよかった・・・。
でも、いま現実は違う。
血で血を洗う・・・もとい、
激しい口論や対立、氷点下よりも厳しい冷戦状態が続いているのかもしれない。
そんなときに、「相手を信じろ」なんて、無茶苦茶なんですよ(笑)
だから、冷静に考えて二人が別々の道を歩むことも、マイナスの選択肢ではないですよね。
でもね、僕はあえて言い続けます。
準備ができてからでいいんです。
いくらだってあなたの壁打ち相手になりますよ。
相手を信頼すると決めたなら、肚をくくってみてください。
任せると決めたなら、任せてみてください。
いま気になる問題は、後で対処してもいいことが多いです。
少なくとも、幸せになることから目を背けるために「正しさ」を使うのは、ちょっと損かもしれません。
価値観が違うふたりが、同じ場所に立つ。
それは「一致」ではなく、共同作業です。
勝つことよりも、幸せになること。
正しいことよりも、つながりを選ぶこと。
それができたとき、価値観の違いは「敵」ではなく、
関係を豊かにする素材になっていくのだと思います。
このサイトでは、
「人は裁かない。でも、構造はごまかさない。」
というコンセプトで、夫婦や家族の関係の中で揺れやすくなる“心の立ち位置”を、心理学の視点から整理しています。
「離れるべきか」「我慢すべきか」
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