恋愛の心理学

彼への不安や疑いが消えないときの処方箋 〜自己概念という考え方〜 

パートナーシップ問題と自己概念について深く知ろう

さて、今日はちょっと真面目な話(いつも真面目に書いているつもりですが)をまとめたいと思います。

今日扱う「自己概念」の話は、ちーとばかり混乱しやすい話でもありますのでゆっくりじっくりご覧くださいませね。

この「自己概念」の影響が、実際のパートナーシップにおけるトラブルの要因となっていることがすごく多いんですよ。

では、よろしければお付き合いくださいませ。

心理学には「自己概念」という言葉があります。

自己概念とは「自分で自分を捉えたときのイメージ、自己像」のことを指します。

言葉だけ書くと分かりにくいので具体的に少し解説します。

例えば、自分がパートナーのことを考える場合。

これは、私である「自分」が、他人である「パートナー」について考えることになりますね。

その際、自分の主観や今までの関係性、人から聞いた話など様々な情報から「パートナー」のイメージが形成されていくわけです。

このように「自分」が「パートナー」についてイメージ形成をしていていく、ということはご理解いただけると思います。

一方、「自己概念」となると、「自分」が「自分」についてイメージを形成していくことになるわけです。

主体と客体がどちらも自分ってことになりますよね。だから、主体としての自分と客体としての自分が明確に分けられなくなるのですね。

だから、自己概念は、自分で自分を観察することでのみ作られるものではなくて、人から自分に関する評価・意見を聞いたり、自分の言動に対する人の反応を自ら観察しするなどの中で少しずつ形成されていくと考えられています。

いわば、自分で自分を捉えたときのイメージ、自己像ってものは、自分が関わる人からの情報の影響を少なからず受けるということでもあります。

※ちなみに、実は自己概念には、さらにいろいろな細かな概念(社会的自己、精神的自己など)があるのですが、本題を優先して書きたいので今回は省略させてもらいますー。

彼への不安や疑いが拭い去れないという問題事例

さて、ここからが今日の本題。

この自己概念は、実際のパートナーシップにおけるトラブルの要因となっていること多く、特に「彼(夫・彼女・妻)への不安や疑いが拭い去れない」というお悩みを解決していく際に、この自己概念という考え方は超重要なファクターになります。

もう「これを知っているかどうか」で、パートナーとの関係が(もちろんその他の人間関係も)ガラッと変わってしまう可能性があるよね、と僕は思っております。

ここでも具体例をあげてご説明しましょう。たとえばこのようなご相談があったと仮定します(今回は架空のケースですけど、意外とよく伺う話ですね)

「浅野さん、もう聞いてくださいよ!信じられないことが起こったんです。

私と彼は付き合って1年半ぐらいなんですけどね。ここ2〜3ヶ月、彼からあまり連絡が来ないな〜と思っていたんです。連絡がなくなったわけじゃないけれど、なんだか減っている気がしていたんですよ。

でも、私から「どうして連絡くれないの?」とか伝えるって重い感じがして言いたくなくて、不安を我慢しながら過ごしていたんです。

そんな時、先日、街を歩いていたら偶然彼を見かけたんです。

・・・女性と二人で喫茶店から出てきて、その後も二人で歩いてどこかに消えていったんです。

私、彼を見た時、何が起きたのか分からず頭が真っ白になってしまいました。

その後からはもう「これって浮気?彼は他の女性と一緒にいたから連絡してこなかったの?」としか思えなくて。

私も動転しちゃって冷静になれないし、その光景を思い出せば彼に対する激怒も出てくるし、悲しいし不安でたまりません。

私が彼を見たのはたしかに平日だったから、彼もその女性もスーツ姿でした。だから、もしかすると会社の同僚なのかもしれません。

でも社内恋愛だって十分ありえるじゃないですか。私が言うのも気が引けますが、彼はかっこよくてモテる人なんです。だから女性も彼に好意を向けているんじゃないかとしか思えなくて。

だって、彼はその人と笑顔で歩いていたのは間違いないことですし。

そう思うと悲しいし不安が湧き上がってきて、一人でいるときは悲しくて涙が止まらなくなっているんです。

浅野さん、これってどういうことですか?彼はやはり浮気しているんでしょうか?私、どうしたらいいんでしょうか。

今は彼に連絡して聞いてみたくても、怖くて連絡できないんです。」

もし、彼の浮気現場を目撃しちゃった?みたいな自体に遭遇すれば、不安だし、怒れるし、悲しいし、ショックだし、人によっては冷静でいられなくなるかもしれませんよね。

そのお気持ちは個人的にわかる気がします。

だから、一人で抱え込まず、誰かに聞いてもらうなど「外に出す」って大切なことです。不安や悲しみを我慢ばかりして抱え込んでいると、いろいろ余計なことを考えてしまいますからね。

このようなケースのカウンセリングでは、まずその不安や恐れなどを解放する部分から始まっていくことが多いですし、何度もこのプロセスを繰り返すことで冷静になれることも多いんですよ。

※ここからの話は、この「ある程度気持ちが落ち着いてきた後のプロセス」についての話だと思ってくださいね。

このようなご相談を伺いうと、もう「必ず」といっていいほど同じご質問をいただきますよ。

「・・・彼はやっぱり浮気しているんでしょうか?」

もちろん僕もクライエント様からいただいた情報を元に、ある程度の彼の様子を分析し、お伝えすることができますよ。

ただ、「これは浮気です!」とか「浮気じゃないです!」ってよっぽどわかりやすいケースじゃないと言い切れないものなんですよ。真実は彼のみが知る、ってことですしね。

でも、そのままじゃ気持ちは落ち着かないし、不安だし、どうしたらいいかわからないわけですよね。

妙な書き方になっちゃいますけど、仮に僕が「浮気かどうかはまだ分からないよね」とお伝えしても、「そうなんですか?でも私はそう思えません」とお感じになることは、僕からすると目に見えているわけです。

だから、彼のことなど「自分の外側」の情報だけで推測しつづけていることもまた、結構しんどい状態が続く理由になるものです。彼を疑い続けたり、ちょっと試してみたくなったりしちゃうわけですよ、不安だからね。

ちなみに僕も過去、同じように相手を試したことがありましたけど、それでいい結果が出たことは一度もございません_| ̄|○

なのであまりおすすめしない方法ではあります。

 

そんなときに僕がお伝えするのが「自己概念」のお話なんです。

ほう、そりゃどういうこっちゃ?という話ですけども、しっかり自己概念について整理できれば、意外と「ふーん」と思えるような話なんですよ。

「そう感じているのは誰?」という視点から自己概念を見つめればいい

今回の事例でいうなれば、こんな感じです。

今回の事例において、クライエントさまが不安や怖れを感じる理由って、以下のようにまとめられると僕は思うのです。

  • 「女性と二人で喫茶店から出てきて、その後も二人で歩いてどこかに消えていったんです」
  • 「でも社内恋愛だって十分ありえるじゃないですか」
  • 「私が言うのも気が引けますが、彼はかっこよくてモテる人なんです。だから女性も彼に好意を向けているんじゃないかとしか思えなくて。」
  • 「だって、彼はその人と笑顔で歩いていたのは間違いないことですし。」
  • 「これって浮気?彼は他の女性と一緒にいたから連絡してこなかったの?」

で、ここで、一見すると身も蓋もない印象を受けるかもしれませんけれど、すごく重要なことを書きます。

「そう思っているのは、一体誰でしょうか」

「え、彼でしょ?」と思ったあなた、ほぼ不正解です。

それは「彼はきっとそう思っているに違いない」というあなたの判断ではないでしょうか。その判断が強すぎて、彼を疑うことになり苦しんでいるのではないでしょうか?

そう、正解は「私」です。

私が感じていることです。

「ん?それはどういうこと?確かに私は彼が他の女性と笑顔で歩いているところを見たし、彼が浮気しているんじゃないか、って思っていますけど・・・」

そう思われたあなた。惜しい!惜しすぎる!

ここでの「そう思っているのは私」の意味は、「私が今、彼が浮気しているんじゃないかと疑っていることや、悲しみや不安を抱えていること」を指しているわけじゃないんです。

 

いいですか?今から超重要なことを書きますよ。

「そう思っているのは私」=「もし私が彼のような人、もしくは、彼のような状態なら、絶対浮気するわ、と思ってる」

気づいているかどうか、悪意があるかどうかは別にして、「私がそう思っている」ってことです。

これが「私のワタシ像」、つまり自己概念なんです。

この視点で先に書いたポイントを書き換えて表現してみましょう。

  • 「私が異性と二人で喫茶店から出てきて、その後も二人で歩いてどこかに消えていった」としたら、そりゃ私が浮気しているときよ、きっと。
  • 「私が気になる異性と社内恋愛する可能性だって十分ありえるよ」
  • 「もし私がイケててモテる人なら、浮気する可能性は十分あるよね。」
  • 「私が異性と笑顔で歩くとしたら、それはきっと浮気しているとき。」

自分がどこかでそう感じている可能性がある、ということです。

だから「これって浮気?彼は他の女性と一緒にいたから連絡してこなかったの?」と想像したのは誰でしょうか、という話なんです。

もし「付き合っている人がいるうちは浮気なんてしないわ」「そもそも浮気なんて興味がない」「私がイケてても浮気はしない」「彼がいるのに社内恋愛とか、仕事中に口説かれて本気になるとかありえないわ」といった自己概念を持っているなら、そうは思わないってことになるわけです。

「自分だったらきっと〇〇だ」と思うから、相手の行動もその感覚を使って判断しているわけです。これも一つの投影でもあるわけですけどね。

自分が作った「自分像」の影響は大きいのです

この考え方はありとあらゆる場面で使えます。

例えば、「お金持ちってのはきっと汚いことをしているんだ」という観念がある人は、お金や経済力を持つ人へのイメージが悪いだけでなく、「自分が金持ちなら、多少汚いことも通用するし、そうやって自分本位で生きられるのに」と思っている可能性がある、ということですね。

例えば、「恵まれている人はいつも満たされているに違いない」という観念がある人は、自分が恵まれてさえいれば満たされる、と思いこんでいる可能性がありますし、恵まれていないから満たされないんだ、と思いこんでいる可能性がある、ということ。

こういった観念は自分を制限し、恐れを生じさせ、不自由さを感じさせるものですが、それはどこかで自分が作り上げた「自己概念〜自分像〜」でもあるわけです。

自分が作った「自分のイメージ」の影響は大きいものなのですね。

 

ただ、今回の話は、どんな自己概念を持っているから良い、悪いという話じゃありません。

そうは解釈なさらないでください。そこで自分を責めたり罰しても何の癒やしにもなりませんよ。

もし、自分が望まない観念を持っていたとしても、きっとそこには事情があるはずです。何らかの誤解をしたとか、人の影響を受けたなどなど、きっと事情があるでしょうから、ね。

ここでお伝えしたいことは、「自分をどう認識しているのか」次第で(今の自分をどう感じているか、自分がどんな人でありたいのか、など)、人や物事の見え方が変わってくる、という事実です。

そう考えますと、今回の事例で言えば、「彼がどう思っているか」「本当に浮気しているのか」ばかりに意識が取られていれば、その不安や疑いはなかなか消えてはくれない、つきまとわれることもある、ということです。

自分でも意識できないところで、「私がその状況になれば、〇〇してしまう」と感じているから生じる不安や疑いはたくさんあるのです。

だからこそ「私がどうありたいか」「どんな自分を表現していきたいのか」と考えて、その自己概念に沿った言動を続けていくことで、実は自分が望む未来が手に入るってことなのです。

つまり、「もし彼が浮気しているかもしれないけど、でも、私はどうしたいの?どんな自分を彼の前で表現したいの?」という部分が問題解決の鍵なのです。

もし彼が浮気していたとしても、その彼の前でどんな自分でいようか、と考えて行動できれば、「うん、私は私でいい」「私らしくいられた、私は大丈夫」と感じられるでしょうからね、きっと。

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