「なんとなく毎日がしんどいんです」
「毎日やることはこなしているけど、心が満たされないんです」
そんな感覚を言葉にするとき、僕たちはよく「生きづらい」という言葉を使うことがありますよね。
ただ、この「生きづらい」って一体どういうものなんでしょう?
そもそも「生きづらさ」という言葉は、医学的な診断名でもなければ、公式の心理学用語でもないのです。
ただ、不思議なことに、日常の中で何かしら「うまくいかない事が多い」と感じたと気、多くの人が共通して使う言葉のようでもあります。
僕自身、カウンセリングの現場で「うまく説明できないんですが、生きづらいし、毎日が辛いんです」と打ち明けてくださる方に、数え切れないほど出会ってきました。
つまり「生きづらさ」とは、私たちが 自分の内側の違和感を一番よく表すために編み出した“生活実感のことば” なのだろうと僕は推察しています。
Index
心理的に見る「生きづらさ」
心理的に整理するなら
「生きづらさ」とは 自分の気持ちや欲求と、日常で求められる役割や行動とのギャップが大きくなったときに生じる心の違和感や圧迫感のようなもの
と言えるでしょう。
たとえば・・・
- 本当は休みたいのに、「ちゃんとやらなきゃ」と動き続けてしまう
- 人と距離をとりたいのに、「いい人でいよう」と無理に笑顔を作ってしまう
- 自分の本音を大事にしたいのに、「わがままって思われるかも」と言葉を飲み込んでしまう
こうした 「内心」と「表面のふるまい」のズレが積み重なると、人は心のどこかで「私はここにいていいのかな」という疑問を抱くことがあるんですよね。
この疑問が、虚しさや焦り、不安といった形で日常ににじむ、といいますか。
それが恋愛や夫婦関係、仕事や対人関係の中でのうまくいかなさの根っこに存在するようになる、といいますか。
これが「生きづらさ」という感覚の正体なのだろう、と捉えています。
「生きづらさ」とは“気づいていない困りごと”
ここで大切なのは
「生きづらさは単なる気分ではなく、“気づいていない困りごと”のサインである」
という視点ではないか、と思いますよ。
たとえば・・・
表面上は「ちゃんとやれている」のに、なぜか報われない気がする。
人からは「しっかりしてるね」と言われるのに、なぜか自分の中には空洞感が残る。
このとき、実は
- 「嫌われないように」と人に合わせすぎている
- 「失敗してはいけない」と自分を過剰に追い込んでいる
- 「役に立たないと価値がない」と思い込んでいる
といった 自分でも気づけていない前提やパターンが働いていることがあります。
つまり「生きづらい」という感覚は、 “まだ見えていない心の課題”のアラームのようなもの、とも言えるんです。
とはいえ、誰しも完璧な存在ではないので、多少なりとも生きづらさを感じる部分はあると思うんですよ。
僕だってそうです。生きづらいなぁ、と感じる部分がないわけじゃないんです(笑)
問題は、自分自身が困っているのに、それを放置したり、うまく対処することができないままでいることなのかもしれません。
「生きづらさ」と発達障害との関係について
ここで一つ補足をしておきます。
「生きづらさ」という言葉はとても広い意味を持っています。
実際、発達障害特有の困りごと(感覚の敏感さや、特定の場面で適応が難しいことなど)から生じる“生きづらさ”も確かに存在します。
ただし、今回の記事は、そうした特性由来の困難さに限らず、誰にでも起こりうる心理的なズレや気づいていない困りごとにフォーカスしています。
「生きづらさ」という感覚は、いわゆる「得意・不得意」と同じように、多くの人が抱えるものなのかもしれません。
生きづらさがもたらす影響
「生きづらさ」を抱え続けると、具体的にはこんなことが起きやすくなります:
- 人間関係で相手の顔色を見すぎて疲れる
- 頑張っても成果や評価が心に届かず、虚しくなる
- やる気が急に落ちたり、自己嫌悪で動けなくなる
- 人といても孤独を感じる
-
幸せを感じる出来事があっても、素直に喜べない
こうした状態が続くと、心は次第に「生きている実感=自己存在感」を失っていきやすくなりますよね。
ここをひっくり返そうとして、恋愛関係に希望を見出そうとしたり、仕事に打ち込んだとしても、なぜか満たされない、うまくいかない、ということがが増えてしまうという部分も事実かもしれません。
恋愛も仕事も自分を充実させる要素の一つではあるのですが、生きづらさをひっくり返すために使うと、ちょっと目的がズレてしまうんですよね〜。
「生きづらさ」をほどくには?
「生きづらさ」を和らげるために大事なのは、問題を一気に解決しようとすることではありません。
むしろ、「自分の中の小さな“ズレ”を認め、修正したり、うまい対処法を得ていくこと」が大切じゃないか、と僕は考えています。
こう、生きづらさを感じている時ほど、空想的な「生きづらくない人生」を思い描き、その理想を求めようとすることもあると思うのです。
が、これって今の自分のあり方をある意味否定している、って側面もあるんですよ。
もちろんあまりに生きづらくて、うまくいかないことが増えると、どうしたって自分以外のなにかに価値を見出したくなる、その気持ちも理解できるのです。
が、それが「自分ではない何かになる」ということなのであれば、生きづらさの根本は変わらないかなぁ、と。
究極的なことを言えば、生きづらさを手放すことって、自分らしい生き方、スタンスを認めて整えることだと思うのです。
たとえば「受験勉強の方法」一つとっても、人それぞれでうまくいくやり方が違うように。
何かの法則に自分を当てはめて染まる、というより、自分なりの心地よさ、うまくいくやり方、無理のない感じ、整う方法などを身につけること、ではないか、と。
「生きづらさ」を和らげるための一つの考え方
・・・ちなみに、どうでもいい話ですけど(笑)
僕の受験勉強スタイルは、テキストから入ると絶望的に理解が遅くなるので、まず人の声、つまり講義を徹底的に聞くから入る感じなんです。
その理由は、テキストから読むと、いちいち深読み考察してしまうので時間がかかりすぎるのです。あと、耳から聞いた方が理解が早いタイプなのでねぇ・・・。
これ、優劣で語れる話なんでしょうか?
そうじゃないですよね?
そこには違いはあれど、優劣はない。
まず、このスタンスで自分自身を見つめたり、物事を考えることがオススメです。
が・・・いわば無力感や劣等感が強くなると、ここがね、まずうまくいかないというか、そう思えない。
だから、より優秀に見える方法を取り入れようとするんだけど、それが自分にフィットしていないと、さらにしんどいんですよね。
そう考えると、いわゆる健全な自立には”自分に合った生き方・目的”が存在している方が良いってことになるんですよね。
また、このスタンスで物事を考えるなら、自分なりにやりやすい方法が、例えば目の前の友人と同じでした、って話なら、それを真似すればいい。
けれど、違うなら、真似したって生きづらいし、心地よくはない。
ズレ、がありますからね。
このあたりのズレがない生き方を見つけていく、どんなやり方がベターなんだろうと模索していく部分って、僕のカウンセリングでもものすごく重要視している部分なんですよ。
自分にフィットした生き方を見つけるための3ステップ
ただ、実際、自分らしい生き方、スタンス、目的などを見つけるのは容易ではないかもしれません。
確かに世の中には多様な価値観があるのですが、多くの人が共通で認識しているステレオタイプの影響も多大に受けるからです。
まぁ、自分らしい生き方よりも、トレンドに乗っかったり、誰かと同じ価値観を共有していたほうが安心する、という人も少なくないと思いますしね。
結果、自分らしく生きたらいいと理解していても、うまくやってる誰かのようにできなきゃ価値がない、といった思考に陥りやすいといいますか。
なので、ここは一旦自分を見つめる、自分を知る、というプロセスが必要になることも少なくないんですよね。
例えば
- 自分の前提に気づく
「嫌われないように」と自分を抑えていた、などの思い込みを見つける。
- 小さな自己主張を試す
「今日は休みたい」と一言伝えるだけでも、“言っても大丈夫”という経験になります。
- 安心できる人とのやりとりで練習する
受け止めてもらえた経験が、心の「大丈夫感」を育ててくれます。
これは一つの例ですが、こうした積み重ねが、自分を理解し、そのなかで「生きづらさ」という感覚を少しずつほぐしていくために必要になることもありますよね。
最後に:生きづらさは“気づき”のサイン
「生きづらさ」という言葉の裏には、たいてい「まだ言葉にできていない困りごと」が隠れているようにも思います。
それは、怠けや弱さではなく、むしろ「あなたの心がSOSを出している」サインかもしれません。
そして、そのサインを無視せず受け止めることができれば、「私はここにいていい」という「自己存在感」が少しずつ取り戻されていきます。
生きづらさを感じたとき、それは“自分がぶっ壊れているサイン”ではなく、「自分を見直すチャンス」でもある。
そう捉えることが、次の一歩を踏み出す大切なきっかけになるのではないかな、と僕は思っています。
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