こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
今日は、2025/11/20開催のオンライン講座「パワーストラグルと“学習性無力感”の心理学」にご参加いただいた方からいただいた質問にお答えします。
結構深堀って書いてみたので、よろしければご覧ください。
Index
ご質問内容はこちら
パワーストラグルで(恋愛や夫婦の)関係が悪くなり、学習性無力感が膨らみすぎると(何をやってもいい関係にならないと思うと)、無価値感に行き着くのでしょうか?
「助けてもらえない、愛してもらえない」と感じすぎてしまったら、「自分には価値がない」と思いそうです。
結論:イコールとはいえないが、“そう見える心理的な道筋”は存在する
僕なりの結論から言えば、
「必ず無価値感になる」わけではないものの、
心理構造として“そう感じやすい流れ”は確かに存在しますよね、って感じです。
講座の内容に沿いながら、一つづつ解説してみますね。
1:パワーストラグルは「関係の安全感」を削る
パワーストラグル(主導権争い)が続くと、今の関係や、相手と関わることに対する「安心感」が揺らぎます。
いわば「何を言ってもわかってもらえない」という小さな無力感が蓄積しやすいのですよね。
2:無力感が重なると、“学習性無力感”となりえる
すると、どんどん
「どうせ変わらない」「話しても逆効果」
という“学習”をしてしまいます。
ここを学習性無力感とよんでも差し支えないのかな、と思います。
3:長期化すると「無価値感のような揺らぎ」が出ることがある
こういった状況が長期化すると、これを無価値感と呼んでよいかどうかは別にして
「自分の気持ちをどう扱っていいのか分からなくなる」
という、自己存在感の揺らぎが起きます。
たとえば
「私は(僕は)相手のことを思って接していたつもりだけれども、それが正しかったのか?意味があったことなのか?わからなくなる」
みたいな感じです。
この疑いのような感覚が自分自身に向くと
「幸せなパートナーシップを得ようとしたけど、自分には無理なんじゃないか」
「そもそも自分自身が抱いている愛情や愛し方が間違っているような気もする」
なんて感覚を覚えることがあるんですね。
つまり、「愛されない → 無価値」ではなく、
◯愛し合いたいと願って関わる
→衝突ばかりする
→関係に安全感が失われる
→相手に助けを求められなくなる(自分から関わることに疑いや恐れを抱く)
→自分の気持ちを信じられない
→自分の存在価値が揺らぐ
といった流れになっていることが少なくないんですよね。
4:そもそも無価値感って結構強烈な感情なんです・・・
そもそも無価値感とは「自分には価値がない」という感覚をもたらすものです。
もう少し突っ込んで書けば・・・
「私の気持ちなんて扱っちゃいけない」(自分のことを扱うなんて価値がない)という結論にたどりついてしまった時に生まれる感覚なんです。
ね、これ、結構強烈だと思いませんか?
だから、必死になって良い関係を求めたのに、恋愛や夫婦関係がうまくいかなくなってしまった方の中には、「もう誰にも相談しない」と思われる方がでてくる、といいますか。
それは・・・
悲しいことなのかもしれませんけど、どこかで
「私の気持ちなんて扱っちゃいけないし、そんな価値はない」
と自分自身が感じてしまうからだろう、と思っています。
逆に、このブログを読んだり、講座やセミナーに出てくださったり、カウンセリングをご利用いただいている方って、そこから立ち上がろうとされている方、つまり、もう一度自分を大切にしようと思っておられる方だと思うんです。
5:何に対して「価値がない」と感じているのかでも、また違う印象がでてくる
ただ、いわゆる一般的に表現される無価値感って・・・
何に対して「自分には価値がない」と感じているのか、で、意味合いは変わってきますよね。
たとえば、パートナーに対しては「自分には価値がないと思えるほど関係がうまくいっていない」と感じていても、仕事面ではまだ自信満々だってケースもあり得るはずです。
もし、究極的な無価値感というものがあるとしたら・・・
「自分が何をしても誰も幸せにならない・うまくいかない」
と感じる状況じゃないか、と僕は考えています。
いくら仕事で稼いでも、パートナーの前で良い自分を演出しても、必死になって相手のことを思っても、誰も(自分の含めて)幸せになっていない、という現実こそ、まさに自分自身に価値などない、と感じさせるものだと思うのです。
もしこの状態のことを無価値感を感じている状態だと仮定するならば・・・
安全が失われた関係の中で無力感の積み重ねはたしかに無価値感に移行することはありえるでしょう。
が、常にすべての人が「私は何をしても誰も幸せにならない」ぐらいまで追い詰められるのか?といえば、そうではないのでは?とも思うのです。
実際、無力感ばかり感じるパートナーと別れて、別のパートナーを選んだ途端に幸せになる人もいますよね?
逆に、一生懸命に生きてきたのに「私は誰のことも幸せにできない」という思いを抱いて苦しまれ、だからこそもうパートナーを作らないと決めている方もいるやもしれません。
よって、僕は安易に「無価値感につながりますよ」とは言えないな、と思うのです。
そうなるケースもあれば、そうならないケースもあるだろう、という感じで。
関係回復の鍵は「価値の証明」ではなく、“安全の回復”
ということで、僕はこういった考え方を採用しているので
パワーストラグルや無力感ばかり感じる関係を回復させる鍵は「価値の証明」ではないですよ、とお話することが少なくありません。
まずは、“自分自身の心の安全の回復”。
その上で、関係においての安全の回復。
これが優先されるのではないでしょうか、とお伝えしているんです。
関係を壊すのは無力感よりも先に、今の関係が危機である(安全感がない)ということでしょうから。
なので、必要なのは、自分の価値や魅力を証明することではなく、
「パートナーに助けを求めてもいい」という安全感の回復こそ、関係回復の鍵になるんでしょうね。
もちろんそこまで持っていくプロセスは一筋縄ではいかない、と思われるかもしれませんけども・・・。
ただ、僕はそんなみなさまのプロセスの伴走者でもあり、関係回復のお手伝いをさせてもらっているところですよ。
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最後に:浅野ボヤキ的まとめ
結局、人が一番つらいのは
「理解してもらえないこと」でもありながら
「理解してほしいと言えなくなること」じゃないでしょうか?
しかし、「理解しほしいと言えなくなること」の苦しさを無意識的にも知る人は、その事実自体を否定したくなる。
だから、「理解してほしい」という依存的スタンスを批判的に捉え、実は自分自身が「理解してほしいと言えないことで感じる苦しみ」から目を逸らしているのかもしれないな、と僕は思うことがありますよ。
そう考えると、ご質問者様がおっしゃるような無価値感に見えるものの多くは、実は“安全さが傷ついた結果”ではないか、と考えています。
そもそも、そう簡単に人間や関係の価値は失われませんよね?
ただ、今の関係に安心がなっているから、それがわからなくなっている、ということ。
もちろん世の中には安全が回復しない関係、というものも存在すると思います。その場合は、残念だけれど、今の関係に区切りをつけるほうがいい場合もあるでしょう。
僕はそう思っています。
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