浅野さんへの質問
癒着は「過保護・過干渉」と目に見えて分かりやすい癒着が取り上げられることが多い印象です。
私は「過保護・過干渉」から真逆な家庭で育ちました。だからといって、ネグレクトや無関心だったわけでもありません。やりたいことはやらせてもらえましたし、むしろ恵まれていた環境だったと思います。現在も親子の交流は頻繁にありますし、関係は良い方だと思います。
ただ、振り返ると「情緒的寄り添い」が少なかったなと思います。(例:痛かったね / 怖かったんだね / それは悔しいよね、のような)
これが原因かは分かりませんが、人と距離感がありますし、子供の頃から冷めた子供でした。
過保護・過干渉の癒着パターンを聞いてもピンとこないため、私のような波風が少ない幼少期を過ごした人に起こり得る癒着パターンを教えていただけたら嬉しいです。
ネタ募集ネーム:Thursdayさん
「癒着」という言葉を聞くと、多くの人は「過保護」「過干渉」といった分かりやすい親子関係をイメージすると思います。
ところが、「見えにくい癒着」も確かに存在しているのですよね。
ということで、今日は癒着の中でも「見えにくい癒着」の話をコラムにしてみようと思います。
癒着とは何か?
心理学でいう「癒着」とは、人との間で心の境界線があいまいになり、自分と相手の気持ちや欲求の区別がつきにくい状態を指します。
「母子癒着」という表現が広く使われるため、母子関係だけの話だと誤解されがちですが、実際には家族関係全般に起こり得ることなんですよね。
例えば「親が子」を、「パートナーのこと」を、大切に思う気持ちが強くても、心の境界線が整っていなければ癒着は起きる、ってことですね。
見えにくい癒着の特徴
癒着の中でも、いわゆる「過保護」や「過干渉」ならまだわかりやすいんです。
が、表面的には“良い関係”に見えるけれども、心の深い部分では「自分の感情を受け止めてもらえない関係」というものもあるわけです。
これが「見えにくい癒着」の正体です。
見えにくい癒着を抱えた人は、大人になってからこんな特徴を持ちやすいです。
- どこか冷めているように見える
- 人との距離感を取りがち
- 感情を出すのが苦手
外からは「自立している」ように見えても、実際には「心を寄せ合う体験が少なかった」ために、感情的なつながりが築きにくいのです。
よって、パートナーや友人などと親密な関係を作るのではなく、どこか孤立した関係を作りやすかったり。
その逆で、普段は自立しているのにパートナーシップになるとめっちゃ依存的な態度が増えてしまうなんてことが起きたりします。
・・・いやぁ。
これほんと分かりにくいんですよねぇ。
過保護とか過干渉なら“あぁ癒着だね”とすぐわかるといいますか。
むしろ、こういう“見えにくい癒着”の方が厄介だったりしますよ。
本人も家族も気づかないから、なかなか修正のきっかけが持てないんですよね〜。
癒着が「悪」ではない理由
ここで強調しておきたいのは、癒着自体が「悪いもの」ではないということ。
癒着が生じるにはそれなりの理由があるわけで、それがあかん、と言ってしまうとしんどいことになります。
ただ、癒着傾向を抱えたまま大人になったときに生きづらさが生じることがある、という点で、解決しておくほうがいいことって感じなんですよね。
「見えにくい癒着」に気づいて、自分の感情を自分で扱えるようになることが大切なんです。
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まとめ
癒着とは、心の境界があいまいになっている状態を指します。
「どこまでが自分で、どこからが相手なのか」という線引きがうまくできず、お互いの気持ちや欲求が混ざり合ってしまうのです。
そして、この見えにくい癒着は、表面的には「いい家庭」に見えることが多いため、本人も家族も気づきにくいのが特徴です。
しかし大人になったときに、「人との距離を取りすぎてしまう」「感情を素直に出せない」といった形で表れてくることがあります。
大切なのは、癒着を「悪いもの」と決めつけないことです。癒着にはもともと家族がつながって生き延びるための役割もあります。
ただ、そのまま残っていることで生きづらさにつながることがある。
だからこそ、気づいて調整のきっかけにしていくことが大切なのですね。
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