こんにちは。

心理カウンセラーの浅野寿和です。

今日は、仕事や生き方の話です。

「役割から降りようとすると、なぜか強い罪悪感が出てくる」

このテーマ、相談の場でもかなり頻繁に出てきます。

・聞き役をやめたいと思ったとき
・支える側から一歩引こうとしたとき
・ちゃんとやる人を降りようとしたとき

そんな瞬間に、

「申し訳ない」
「無責任なんじゃないか」
「私だけ楽をしようとしてる気がする」

こうした感覚が、ぶわっと出てくる。

今日はこの罪悪感の正体と、その奥にある不安

そして、そんなときに人が取りがちな行動について整理してみます。

いただいたご質問はこちら

浅野カウンセラーへの質問です。

私(男性)は、人から相談を受ける事が多々あります。
他人の話を聴く事はあっても、私自身が辛い時には聴いてもらえないという状況に陥ります。
たまには自分の話も聴いて欲しいと言うと、拒否されてしまいます。
話した内容が重たい、と言われた事もあります。

だから、自分の悩みを話す事が出来ず、他人の悩み相談を受けるだけの状態が続き、時々、ひどく疲れてしまいます。(何もしたくなくなる)

周りからは、しっかりしている、悩み事がなさそう、話を聴いてくれそうと言われます。実際は悩み事があるし、必ずしもしっかりしているとは言えないと思います。
しかしながら、周囲のイメージとのギャップが埋まらず、むしろ広がるばかりな気がしています。
相手のペースに合わせすぎて、都合のいい人になってしまい、深夜~早朝にかけて悩み相談に乗り、体調を崩してしまった事もありました。(さすがに今はやっていません)

過去にお付き合いした人もいましたが、私が悩みごとを相談すると、
「何であなたが私に相談するの?あなたは、私の相談を受けるポジションでしょ」と言われた事は未だにトラウマになっています。

私の何がいけないのか、答えを探していますが、見つかりません。

ブログネタとして、ご回答頂けたら嬉しいです。

(あきさん ※原文のまま掲載しています。)


役割から降りるときに出てくるのは「罪悪感」だけど

まず表に出てくるのは、だいたい罪悪感です。

・迷惑をかけている気がする
・期待を裏切っている感じがする
・ちゃんとやらなきゃいけない気がする

一見すると、これは「気遣い」や「責任感」に見えます。

でも、もう一段深く見ると、

実際に人を動かしているのは、別の感覚だったりします。


本体は「存在不安」であることが多い

役割を外そうとした瞬間に立ち上がるのは、

「これをやらなかったら、私は何者になるんだろう」

という問いです。

・役に立たない自分でも、ここにいていいのか
・必要とされなくなったら、どうなるのか
・私は、ただの空気にならないか

これは罪悪感というより、存在レベルの不安

だから、

「罪悪感を手放しましょう」
「もっと自分を大事にしましょう」

と言われても、うまくいかないことが多い。

罪悪感を外す=これまで自分を支えてきた“存在理由”を、一度失うような感覚

になるからです。


なぜ「役割=存在」になりやすいのか

聞き役・支え役・ちゃんとする役を担ってきた人ほど、

  • 役に立つことで居場所を作ってきた
  • 空気を読むことで関係を守ってきた
  • 迷惑をかけないことで安全を確保してきた

そんな経験を積み重ねています。

その結果、無意識のうちに

「私は、役割を果たしているときに価値がある」

という感覚が根づいていく。

だから、役割から降りようとすると、

手を抜く=悪い
楽をする=無責任
降りる=価値が下がる

こんな変換が、ほぼ自動で起きる。

これは思考というより、身体に染み込んだ反応に近いものです。


存在不安が出てきたとき、人は何をしがちか

ここ、かなり重要なところです。

存在不安が立ち上がったとき、人はたいてい、次のどれかをやります。

① 役割に戻る・役割を強化する

怖くなると、慣れた場所に戻りたくなる。

・また聞き役に戻る
・また支える側に回る
・また全部引き受ける

「やっぱり私がやらなきゃ」という形で、
役割を以前より強化することも少なくありません。

② 正しさ・努力・自己管理に逃げる

存在が揺らぐと、人は「正しさ」にしがみつきやすい。

・もっと頑張ればいい
・ちゃんとすればいい
・自分が未熟なんだ

こうして、
生き方を努力で固め直す方向に進むこともあります。

③ 自分を責める

「こんなことで不安になる自分がダメ」

そうやって自分を叩くことで、
一時的に“理由”を作り、安心しようとする。

でもこれは、
存在不安を解消しているわけではなく、
ただ形を変えて押さえ込んでいるだけだったりします。


だから「直そう」とすると、余計に苦しくなる

存在不安が出てきた状態で、

・もっと自分を大事にしなきゃ
・役割から降りなきゃ
・変わらなきゃ

と自分を急かすと、
かえって不安は強まります。

なぜなら、

存在が揺れているときに、
「今の支え」をいきなり壊そうとしている

から。


役割から降りるとは、「無になる」ことではない

役割から降りるというと、

・何もしない
・甘える
・無責任になる

そんなイメージを持つ方もいますが、
実際に起きている変化は、もっと静かなものです。

役割にしがみつかなくても、
関係が続くかを、確かめ始める段階

まだ、

・完全に降りなくていい
・うまくできなくていい
・怖さがあって当然

むしろ、

存在不安が出てきた=役割だけで生きる段階を越えかけているサイン

と捉えることもできます。


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最後に

役割から降りようとするとき、罪悪感が出てくるのは自然なことです。

ただ、罪悪感が出るから優しい、という解釈は少し横においておいてもいいのかもしれません。

その奥にあるのは、

「私は、役に立たなくても存在していいのか」

という、とても人間的な不安かもしれないからです。

それは欠陥でも弱さでもなく、ここまで生きてきた適応の結果です。

だから今は、

「ああ、今ちょっと存在が揺れてるんだな」

そう気づける位置に立つこと。

そこから、少しずつ、役割以外の自分が呼吸できる余白が生まれていきます。

よろしければ、その一歩目として、この視点を持ってみてください。

ABOUT ME
浅野寿和 | 心理カウンセラー・トレーナー
恋愛・夫婦・仕事・生き方の中で、「ちゃんとやってきたのに、どこか噛み合わない」そんな感覚を抱えやすい人のご相談を多くお受けしています。 正しさや結論だけを急がず、今どこに立っているのかを一緒に整理する個人セッション(カウンセリング)が人気。 キャリア16年・臨床実績10,000件/東京・名古屋・オンライン対応。リピーターさまが多いカウンセラー。口癖は「どんなことにも事情があるよね」。
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