日常に使える心理学

愛情とイライラは共存するとしたら 〜子供に厳しくなりすぎると悩む親を事例に〜

愛情とイライラは共存するのか

愛情とイライラが共存する女性

みなさんは「愛情とイライラは共存する」と聞くとどう思います?

「そんなの当たり前のことじゃないか〜」と思います?

それとも「それって一貫性がないよね」と思います?

確かに、大切に思う人に対して愛を持っているのに怒りを表現したり、イライラをぶつければ、怒る方も、その周囲も

「愛がないよね〜」

と思うものかもしれません。

が、いいか悪いか別にして「愛情と愛情を向ける対象へのイライラ」を同時の持つことはあり得るよなぁと思うんですね。

例えば

「私、子供にすごくイライラしてしまうんですが、やはり愛のない親なのでしょうか」

という切実なお声をうかがうことがありますけど、イライラするから愛がないとか、愛があるならイライラしない、とは限らないと僕は考えています。

むしろこのようなお声をうかがうと、その切なさと同時に「そう思えるって愛がある証じゃない?」なんて思うんです。

ただ、愛情を向ける対象に対して素直に愛をアウトプットできるかどうか、という課題があるだけかも?とかね。

ということで、今日は「愛情とイライラは共存する」という話をコラムにまとめてみます。

よろしければどうぞ。

愛情とイライラは共存するとしたら、それはなぜか

もし僕たちが大切な人や物に対してイライラするとしたら

多くの場合、自分自身が

「愛するものや大切にするものを(自分が思うように)大切にできていない」

と感じるときなのでしょう。

「思うように大切にできていない自分」に対してイライラするものなのです。

そのイライラを自分で消化できないとき、ついつい外側に向かってイライラをぶつけてしまうわけです。

だから、多くイライラした際に「なんで私の気持ちが分からないの!」と怒りたくなるのですよ。

ですが

その自分自身の気持ちを誰よりも先に蹴飛ばしていたのは自分だった

なんて話はめちゃくちゃ多い話なんです。

子供に厳しくなりすぎると悩む親の事例から

最も分かりやすい例は、

「私、子供に厳しくなりすぎているのかもしれません」なんてお悩みになっている親の事例です。

子供さんのことをとても大切に思っていらっしゃるから、お子さんの様子を見ては心配したり。

お子さんが、親である自分が想定する状態でなかったときに

「子供がこうなってしまったのは親の私のせいだ」

と自分を責めてしまい、その結果お子さんにイライラする(怒りでお子さんをコントロールしようとする)

なんて場合もあると思うんです。

もちろん、親として子供の思いや成長プロセスを信頼して、大きく受け止めていけるなら、それに越したことはないのかもしれません。

例えば

「今、目の前で少し子供が失敗し躓いていたとしても、長いスパンで考えれば、今は子供にとっての一つのプロセスでしかなく、今だけで子供の未来が確定するわけでもない」

なんて思えると、大きく構えていることもできるかもしれません。

が、子供さんのことを思うがあまり、先に心配ばかり強くなると、子供さんを自分の期待通りに動かしたくなるもの、とも言えるかもしれません。

そう考えると

自分の力や愛が足りないと思うからこそ、僕たちはイライラするとも言えそうですし。

自分に愛がないなら、このようなイライラは生じないよな、と思うのです。

自分には愛がないと失望していると、イライラは止まらなくなるかもしれません

ただし、その例外もあります。

例えば、あまりに自分を否定的に見すぎていると、大切な人や物に対して、向けたくもない怒りやイライラが勝手に向いてしまうことがありますよ。

言い換えるなら

「自分には愛がない(それだけの価値がない・愛されたこともない)」などと自分で自分に深い失望をしていると

愛するものや大切なものと関わるだけで、イライラは止まらなくなるかもしれません。

これは「心の痛み」がもたらす作用ともいえます。

どこかで心の中で痛みを抱えていると、大切なものに怒りをぶつけたくなってしまうことがあるのです。

一つ例え話をしましょう。

例えば、学生時代、自分の成績が思わしくないときに、親友がとても優秀な成績を収めたとしましょう。

ここに「成績が良くないことで自分を責める気持ち」があったとしましょうね。

すると、いくら仲の良い親友で信頼していても、相手の成績の良さを見ると、羨ましいやら悔しいやら、自分が情けないやら、まぁ感じたくない気持ちを感じることもあるでしょう。

その結果、親友を見ているだけで嫌な気持ちになったり、相手を妬んでしまうこともあるかもしれません。

このように「自分はダメだ、不十分だ」と思いすぎていると、大切な人や物が側にいるだけでイライラしたり、攻撃したくなる場合もあるんですよね。

愛する人や大切な人との関係はプラスとマイナスの感情が入り交じるもの

愛する人や大切な人との関係では、プラスとマイナスの感情が入り交じるものです。

「えー、私、友達にはマイナスな気持ちにならないんですけど」

というお声もいただきますけど、それもその通り!って話なんです。

心理的に見て、友情ってプラスの感情がメインのつながりだと考えられるんです。

ただ、親子関係や恋愛関係、夫婦関係などは、プラスの感情だけでなく、憎しみや恨み、怒りなどのマイナスの感情も感じるものなんですよね。

これを言い換えて

「親子関係、恋愛、夫婦関係では自分が隠していたニーズが出やすい」

なんていう場合もあるんですけど。

これをめちゃくちゃ前向きに捉えれば

「普段は隠しているニーズが出るほど、相手と近い関係・信頼がある関係」

とも言えるのです。

が、まぁねぇ(^^;

実際に、ケンカばかりが起きたり、激しく意見が対立して揉めてしまうとそうも思えないものかもしれません(^^;

イライラより愛を選択できる私になるために

最後に、イライラより愛を選択できる私になるためにできること、を少しまとめておきます。

まぁ大切なものや愛する人と接してイライラしない自分になれるならで理想的なんでしょうね。

ただ、現実として実際に子供さんやパートナーや家族などにイライラしてしまうなら。

その怒りをただただ我慢して爆発させるぐらいなら、自分の気持ちを認めて寄り添うほうが前向きな選択になることが多いです。

つまり、まずはイライラしない私になることだけを考えるより、イライラした時にどう自分の気持ちを整えていくかを考えたほうが現実的かな、と僕は思うんです。

それは、イライラしていることが正しい、相手が悪いってことではなく。

「今、イライラしてるんだな、自分」と自分のこととして見つめていく感じですね。

もちろん日常の中で気持ちを発散する方法を見つけておくことも大切です。

早寝早起き、体を適度に動かす、心が喜べる楽しみを見つける、一人で悩まず人と関わる・話す、など。

ただ、イライラしている自分をただ否定的に見ているだけでは、またイライラした時に「また私、イライラしている悪い(嫌な)自分になった」と責めてしまうことが続くかもしれません。

なので、

「なーんで、そこまでイライラするかねぇ、私?」

という部分を見つめていくことも、一つのやり方としていい方法だとは思います。

 

多くの場合、僕たちは大切なものだからこそ、それに対して怒りや怖れを抱くものです。

そこに気づいて「自分のほんとうの気持ち(大切なものを大切に思っている気持ち)」に少しでも触れてあげる勇気が持てると、フーっと肩の力が降りて、イライラも和らぐことがあるようですよ。

ま、僕の場合、ついつい

「それってあなたの中に(お子さんへの)愛があるからですよね」

とか、すぐ余計なことを言ってしまうんですけどね(^^;

「やっぱり私の愛って役に立たないんじゃん」と思ったときの処方箋「やっぱり私の愛って役に立たないんじゃん」と思ったら これは僕がカウンセラーという仕事をさせていただいているからかもしれませんが。 ...
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