深読みさんと忍耐女子

「この人だけはわかってくれる」と思った恋が、続かない理由。

相手の気持を考える女性

「ずっと一人で頑張ってきたんですね」

あなたは、そう言われて、涙が出そうになったことはありますか?

それまで誰にも見せなかった感情が、 その一言でふっと緩んでしまうことがありますか?

だとしたら、今日のコラムは読んでおいた方が良いと思います。

このコラムは、恋愛心理・夫婦の心理として書きますが、対象を「友人・同僚」に置き換えてていただくと、「この人はわかってくれる」と思った人との関係がこじれた理由が見えてくると思います。

「この人だけは分かってくれる=惚れてまうやろ」。その“緩み”の正体

「ずっと一人で頑張ってきたんですね」

そのひと言に、 その瞬間だけ、自分がずっと抱えてきたものが一気にあふれそうになる。

もう無理だ、と思っても言えなかったことが、丁寧に拾われたような感覚がする。

誰かに助けてと言いたくても、言えなかったけど、それが分かってもらえたような気がする。

それを誰かが、たった一言でそっと触れてくれたような気がして、 ふっと心の奥が緩んでしまう。

自分でもびっくりするくらい、安心してしまって、「この人には頼ってもいいかもしれない」と思ってしまうことがある。

・・・。

はい、これ、いわゆる「頼らない人の惚れてまうやろスイッチ」ですね。

どこか今までの自分の生き方を認めてもらっているような。

少なくとも気づいてもらえているような。

そんな感覚がする。

だから、自分でも気づかないうちに「あ、この人には頼ってもいいかもしれない」と思ってしまう。

これ、、まさに「惚れてまうやろ」に近い感覚ではないでしょうか。

でも、なぜそこから関係が壊れやすいのか?

深読みさんや忍耐女子さんは、 普段から人に迷惑をかけないように気を張っていたり、 相手の気持ちを読んで自分を抑えたり、 「ちゃんとしなきゃ」と自分を律して生きてきた人たち。

だからこそ、ふいに受け取ったやさしい一言に、 心があっさり持っていかれてしまうことがあるわけですよねぇ。

もちろん、普段はめちゃくちゃ警戒しているはず。

「は?甘い言葉?通じるわけないじゃん」ぐらいの自信家でもある。

感覚的に「その言葉にも裏があるんじゃ?」「本当に分かって言ってるの?」って警戒するし、相手の気持ちを読んでしまうわけですよね?

ただ、なんていうんだろう。

たった一瞬ではあるんだけど(それを「不覚」「しくじった」と呼ぶのかもしれないけど)

「ちゃんと自分を見てもらえたような気がした?」

という感覚が先に入り込んでしまうと(笑)

心だけじゃなく、身体も、気づけば先にゆるんでしまうことがあるみたいですねぇ。

自分で決める前に、 誰かのやさしさに触れて「この人なら…」って、 ふっと気をゆるしてしまう。

だから、まぁその相手が「こっちを理解していない」と分かると、180度逆にふれる。

それも、わりとアッサリ。そして地味にざっくり傷つく。

むしろ、コッテリしてるときは執着になる。

ね、どこかのラーメン店のメニューと同じなんだねぇ。

でも、そうなりますよね。

むしろ、それって「ちゃんと真面目に生きてきた証」だと僕は思うんですけどねー。

見落としやすい落とし穴

「この人は私のことをちゃんと見てくれる」
「この人だけはわかってくれる」

そう信じたくなるし、信じることで安心したくなる。

けれど、そこで関係性のバランスが崩れてしまうことがある。

まだお互いの信頼関係が育っていないうちに、「わかってくれた気がした」瞬間に全部を預けてしまうと、相手との温度差や、期待と現実のギャップに苦しむことになる。

「わかってくれると思ったのに」
「信じたのに、なんで」

でも実は、相手はただ「言葉の選び方がうまかっただけ」かもしれないし、 そのとき、たまたま調子が良かっただけかもしれない(笑)

それくらいで崩れてしまうほど、 関係性の土台がまだ育っていなかった、というだけのこと。

でも、深読みさんも忍耐女子さんも、相手選びの基準は低くないし、相手を見る目やその感覚には結構自信があるはずなんで、どんどん「相手の良いところ見ちゃう」んですよね。

それは盲信ではなく、「好きな人の良いところを見て、誰よりも寄り添って支えてあげたい」という誠実さ。

愛といえば、愛なんですよ。

ただ、そもそも深読みさんや忍耐女子さんの心の隙間にスライディングできる男も少ないわけで。

特に真面目で誠実で口下手な男は、補欠でベンチスタートにもならない。スタンドで応援させてももらえない。そもそも球場にすら入れてもらえないわけですよ。

そうなると、相対的に「ちょっと刺激的な男」が選ばれるか、「一切こちらにスライディングしてこなそうな男」が選ばれるわけです。

それをいちいち「ロックマンの心理が云々」と言っている場合じゃない、が僕の本音かもね(笑)

「あんた、めちゃくちゃ愛が深いけど、めちゃくちゃ心が開くタイミングが少ないんだよ」

そこ自覚してる?と説教はしませんが、セッションに来なさいとは言いたくなるかな(笑)

じゃあどうしたらいいのか?

「惚れてまうやろ」な瞬間は、 決して悪いことじゃないし、否定するものでもありません。

むしろそれがなければ始まらない関係もある。

でも、そこから関係を育てていくには、 “わかってくれた気がした”という印象と、 実際の関係性の深まりには距離がある、ということを ちゃんと知っておくことが大事なんです。

誤解されたくないので、もう一度言っておきますが、 惚れるのが悪いんじゃない。

ただ、「その瞬間に全部預ける」という、全振りはやめとき、と(笑)

あとで自分がつらくなる可能性がある、というだけのこと。

あなたの心がゆるんだその一瞬。

それは、あなたが誰にも見せなかった強さの裏側。

妙なたとえですけど、地球儀で見た「日本から見た南米大陸」みたいなものですよ。

その裏側にある気持ちだけで関係を作ろうとしないこと。

その上で、関係を急がずに育てること。

急がず関係を作れたら、他人もあなたのその気持ちに寄り添えますから。

それができたら「惚れてまうやろ」から始まる恋も、 ちゃんと育っていくんだと思います。

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恋愛や夫婦関係、仕事、対人関係、生き方の”こじれ感”を「甘すぎない心理学」で解決。ただ、気持ちを受け止めるだけでなく、背景にある心理構造や関係性のパターンを整理し、「現実的で納得できる選択」を一緒に探っていきます。 臨床実績9000件/東京・名古屋・オンライン対応。
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