「パートナーは感情を共有する」という視点で関係修復を考えてみる
こんにちは。
心理カウンセラー浅野寿和です。
今日は、「そんな見方があるのか」と感じるかもしれない視点から、
パートナーシップの関係修復について考えてみたいと思います。
パートナーと話しているはずなのに、なぜか同じところで、何度も苦しくなる。
そんな経験はないでしょうか?
ケンカの理由はその都度ちがう。
生活のことだったり、
態度のことだったり、
言い方だったり。
でも、話し合いが終わったあとに残るのは、
「どうして分かってもらえないんだろう」
「結局、私はひとりなんだな」
そんな感覚だけ。
問題は違うはずなのに、毎回、同じ苦しさに戻ってきてしまう。
こういった状況を心理的に見つめていくと、こんな見方ができることがあります。
「パートナーは、感情を共有することがある」。
内容はやや考えながら読むコラムですが、
パートナーシップを立て直すうえで、とても大切な視点です。
よろしければ、ゆっくり読み進めてみてください。
Index
なぜ二人は、同じような苦しさを抱えてしまうのか
感情というのは目に見えないぶん、少し分かりにくいものですが、
僕たちは知らず知らずのうちに、パートナーと感情を共有することがあります。
もちろん、
「いま何を感じているのか」
「その感情をどう理解しているのか」
といった意味づけは、男女や個人によって違います。
それでも、関係がこじれているときの状況を丁寧に見ていくと、
二人が同じ感情を共有したまま、
その中にはまり込んでいるから、分かり合えなくなっている
そんなケースが、実は少なくありません。
ケンカの内容は違っても、感じているものは似ている
たとえば、
激しいケンカが続いていたり、連絡が途絶えていたりする状況。
そのとき多くの人は、
- つらい
- 悲しい
- どうして理解されないのだろう
- もう相手のそばにいないほうがいいのかもしれない
そんな気持ちを抱えます。
そして相手の言動をよく見ていくと、
相手もまた、ほぼ同じような感情を抱えていることがある。
ここで起きやすいのが、感情が行き来するような状態です。
こちらが苦しさを感じているときは、相手はそれを表に出していなかったり、
相手が苦しさを感じているときは、こちらがそれに気づいていなかったり。
まるで、感情のピンポンをしているような関係になることも少なくありません。
「違う苦しさ」に見えて、実はかなり近い
そもそも二人が一緒にいたという事実自体、
ある程度、感覚や価値観が近かったからこそ、という場合が多いものです。
だからこそ、気づかないうちに同じ感情を共有してしまう。
一見すると、まったく違う苦しさに見えても、
ふたを開けてみると
感じているものは、かなり似ていた。
これは、僕の経験上、決して珍しいことではありません。
共有されたネガティブな感情は、関係を疲弊させる
こうしたネガティブな感情の共有が続くと、
関係は感情的に「共倒れ」に近い状態になります。
一緒にいることで、
安心ではなく、
つらさ・苦しさ・不安を分かち合ってしまう。
それが続けば、
「そばにいること自体が苦しい」
と感じてしまうのも、無理はないのかもしれません。
「つらいのは自分だけ」と感じやすい理由
とはいえ、
パートナーシップが危機に陥ると、多くの人は
「一番つらいのは自分だ」
と感じます。
相手はもう私のことなど考えていないのではないか。
自分の気持ちだけが、取り残されているのではないか。
そう思いやすくなる。
けれど実際、関係が悪化する背景には、
お互いが、同じようなネガティブな感情を抱え続けていたこと自体が、何より苦しかった
という構造が隠れていることも少なくありません。
寄り添っているはずの関係の中で、
二人ともが「感じたくない感情」を感じ続けていた。
だからこそ、もう一緒にいることができない、と感じてしまう。
そんなケースも、確かにあるのです。
どちらかが変わったとき、関係が苦しくなる理由
一方で、
パートナーと感情を共有できなくなったときにも、
関係のバランスは崩れやすくなります。
特に、
どちらかが新しい価値や方向性へ進み始めたとき、そのズレは表面化しやすい。
たとえば、
パートナーが仕事で成功し、自信をつけていく一方で、
自分は「愛されなくなる不安」を抱えたままだとしたら。
このとき、
自信をつけた側は、自分の中に生まれた喜びや前向きな感覚を、パートナーと共有しづらくなります。
にもかかわらず、不安を抱えている側が、これまでの自分のスタンスを変えずに、
「あなたは変わったよね」
と相手の変化だけを指摘し続けたとしたら。
相手は次第に、
「もう、二人は合わなくなったのかもしれない」
と感じやすくなる。
そして、
いまの自分の感情を共有できる場所を、別のところに求めたくなってしまう。
そんな流れが生まれることもあります。
もちろん「私は私だし」という姿勢自体が悪いわけではありません。
ただ、相互に影響し合う関係の中では、
相手の変化に合わせて、自分の反応やあり方を見直す必要が出てくることもあります。
それが結果として、理解し合うことや、支え合うことにつながる場合も多いのです。
「運命」ではなく、二人の間に起きていた変化
相談の中で、
「こうなるのは運命だったのでしょうか」
と聞かれることがあります。
そう感じたくなる気持ちも、よく分かります。
ただ、「必然だった」という見方は、たいてい後付けです。
大切なのは、
- なぜ、今の状態に至ったのか
- そのとき、二人の感情のバランスに何が起きていたのか
- どんな誤解や感情のズレが積み重なっていたのか
ここを見ていくこと。
これが見えなければ、
関係をどう扱うかを考えること自体が、難しくなります。
表面的に関係を戻せたとしても、
感情のバランスが変わっていなければ、
同じことは繰り返されやすい。
だからこそ、
「なだめる」「尽くす」「我慢する」だけでは、
関係は前に進みにくいのです。
二人の関係を前向きに進めるために必要な視点
そこで大切になるのが、
「パートナーは感情を共有することがある」という視点です。
- 二人は、どんな感情を共有していたのか
- どんな感情を共有できなくなったのか
- これから、どんな感情を共有できたら心地いいのか
ここを見つめ直すこと。
関係をどうするか、という結論よりも前に、まず立ち位置を整える。
その視点を持つことで、
選択そのものが、少し違って見えてくることがありますよ。
だからもし、今、パートナーと関わること自体がしんどいな、と感じている方がいたら、
こんな問いかけをしてみてもいいかもしれません。
「もし仮に、いま私が感じているこの気持ちを、パートナーもどこかで共有しているとしたら?」
この問いを立てたときに浮かんでくる感覚が、
これまであまり感じたことのないものだったとしたら。
そこには、
「分かり合えなかった理由」ではなく、
「分かり合うための別の視点」が、立ち上がってくることがあります。
もちろん、この問いは簡単なものではありません。
一人で考えていると、
どうしても自分を責める方向に引っ張られてしまったり、
相手の問題探しに戻ってしまうこともあります。
もし考えれば考えるほど苦しくなってしまうようであれば、
個人セッションを通じて、一緒に感情の整理をしていくという方法もあります。
一人で抱え込まず、
「立ち位置を整えるための時間」を持つことも、
関係を前に進めるための大切な選択のひとつです。
こちらの記事も読まれています
- 感情を抑える人は、相手の気持ちがわからなくなる? 〜「不機嫌なのは分かるのに、理由が分からない」すれ違いの心理〜
- 結局のところ、答えなんて出ないと感じるときに
- 最初は追いかけてきた彼が今は私と別れたがっている時の対処法
- 別れ話が出た後でも、彼の気持ちに期待してしまう心理
最後に:共有していた感情に、気づくということ
関係がうまくいかなくなったとき、
「相手が変わった」「自分だけが苦しい」
そう感じるのは自然なことです。
けれど、もし二人が
同じ不安や孤独、苦しさを共有したまま、
その感情の中に閉じ込められていたとしたら。
関係を変えるために必要なのは、
相手を動かすことでも、自分を責めることでもなく、
二人の間に、どんな感情があったのかを見つめ直すこと
なのかもしれません。
そこに気づいたとき、関係をどうするかという選択も、
少し違った景色で見えてくることがあります。
このサイトでは、
「人は裁かない。でも、構造はごまかさない。」
というコンセプトで、夫婦や家族の関係の中で揺れやすくなる“心の立ち位置”を、心理学の視点から整理しています。
「離れるべきか」「我慢すべきか」
そんな二択で考え続けて、少し疲れてしまったときに。
今の関係を、今の自分のままで扱い直すための場所として、このサイトを使ってもらえたらと思っています。
一人で抱え続けなくていい時間|個人セッション
そのときのあなたの状態に合わせて、対話を重ねていく個人セッション。
夫婦の問題は、努力や話し合いだけでは整理しきれないことも少なくありません。
- 何が正しいのか分からなくなってきた
- もう十分考えたはずなのに、答えが出ない
- 自分の感覚が鈍っている気がする
今の夫婦関係をどう扱っていくのか。
続ける/距離を取るといった判断も含めて、理想論だけでなく、現実的な選択肢を一緒に整理していきます。
誰にも知られることなく、今の状況を丁寧に扱う、あなただけの時間です。
対面(東京/名古屋)・オンラインで対応しています。
今までのあなたに、新しい視点を足す”心理学講座”
心理学講座は、「こういう見方もあるのか」という発見を、ゆっくり増やしていく場所です。
毎月テーマは違いますが、夫婦関係に活かせる心理を扱う講座を開催することもあります。
オンライン受講できる講座もご用意しています。
一人で考えすぎる日常から、少し離れるために|無料メールマガジン
まだ誰かに頼るほどじゃないけれど、
このまま誰かとの関係のことを、一人で考え続けるのは、少ししんどい。
そんなときの、「考えすぎないための視点」を、週3回(火・木・土)お届けしています。

