こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
「もう終わったことにしたい」
「前を向かなきゃ」
「いつまでも引きずってる場合じゃない」
頭ではそう思っているのに、ふとした瞬間に、胸の奥がきゅっと縮む。
仕事中、電車の中、寝る前。何でもない場面で急に、何かが戻ってくる。
そういうとき、僕たちはついこう考えます。
「私が弱いからだ」
「気持ちの切り替えができないからだ」
「まだ執着してるんだ」
でも、ここで一つ別の見方もできるんです。
それは、あなたがダメなんじゃなくて、
感情を置き去りにしたまま“次の場所”に行こうとしているだけかもしれない。
今日はこの話を、少し丁寧に整理してみます。
Index
「前に進めない」は、止まっているのではなく“立ち位置の更新できていない”だけ
「次に進めない」と感じるとき、心はサボっているわけじゃないんです。
むしろ真面目な人ほど、先に進もうとします。
ただ、そのときに起きやすいのが、
“感情を置いたまま”先に行こうとするという現象です。
言い換えるなら、自分の気持ちをなかったことにして先に進む感じ。
ただ、これを続けると、身体や心はこう反応します。
- 急に苦しくなる
- なんでもないのに泣きたくなる
- 「あのとき」を考え始めると止まらない
- 何かを始めようとすると気持ちが沈む
- 幸せな話ほど距離を感じる
これ、怠けではなくて、立ち位置が更新されていないサインとして理解できることがあるんですね。
感情は「消すもの」ではなく、「居場所を与えるもの」
感情って、厄介ですよね。
理屈で整理できないし、終わった話をもう一回持ち出してくるし、場合によっては人生の邪魔すらしてくる。
だから僕たちは、感情を“消そう”とします。
でも、多くの場合、感情は消されるほど強くなるんですよね。
ここでポイントは、
感情を無理に消すのではなく、「ここにあっていい」と居場所を与えることです。
僕はこれを、セッションの場ではよく「許可」という言葉で整理します。
「今の気持ちに、許可を出す」
つまり、
- 悲しいなら、悲しいと認める
- 悔しいなら、悔しいと認める
- 納得できないなら、納得できないと認める
- 好きだったなら、好きだったと認める
この「認める」が、けっこう難しい。
なぜなら、多くの人は「認めたら負け」「認めたら戻ってしまう」と感じるからです。
でも逆なんですよね。
認めない限り、心はその場に残り続けることがあるんです。
よくある例:別れたのに、気持ちだけが終われない
たとえば、大切な人との別れがあったとします。
頭では理解している。
もう戻れないことも、相手の事情も、現実も。
それでも、心のどこかが言います。
- 「終わったことにできない」
- 「あのとき、もっと何かできたんじゃないか」
- 「こんな終わり方は納得できない」
- 「好きだった気持ちはどこに置けばいいの」
ここで無理に前を向こうとすると、心はついてこられない。
だから、苦しくなる。
この状態は、いわば
「気持ちの完了が起きていない」
とも言えるんです。
「完了」と言っても、スッキリ忘れるという意味ではありません。
むしろ、
「あのとき確かにあった気持ちが、ちゃんと扱われる」
という意味合いに近いです。
「感情への許可」が出ないとき、人は“感じない工夫”をする
感情を認めるのが怖いとき、僕たちはいろんな方法で回避します。
- 忙しくする
- 考え続ける(理由探し、答え探し)
- 自分を責める
- 相手を分析し続ける
- 「次の恋」を急ぐ
- 逆に、全部を止めてしまう
この中でも特に多いのが、「考え続ける」ということ。
考えることで、感情よりコントロールしやすいからです。
たしかにそういった対応が間違っているとは言えないのです。
ただ、考え続けても感情が整うわけでもない、という側面も確かなのです。
そのときは、
感情を整えることでしか、今の疑問・問いの答えが出ない
という可能性があるんです。
つまり、思考の問題ではなく、感情の問題として扱ったほうがいい局面です。
立ち位置が更新されるとは、「気持ちを否定せずにすむ位置に戻る」こと
僕の言う「立ち位置」って、要はこういうことです。
・感情を否定しながら生きる位置
・感情を認めた上で生きる位置
この違いは、ほんの少しのようで、体感は大きく違います。
感情を否定しながら生きていると、
- 「早く立ち直らなきゃ」
- 「ちゃんとしなきゃ」
- 「こんな自分じゃダメだ」
という圧が強くなります。
でも、感情を認めた位置に戻れると、
- 「そう感じてたよね」
- 「そりゃ苦しいよね」
- 「それでも、今ここにいる」
という静かな足場ができます。
これが「更新につながるプロセス」です。
人生を変えるというより、自分の足場を戻す感じに近いですね。
自分の感情に許可を出すための、3つの問い
もし今、あなたが「前に進みたいのに進めない」と感じているなら。
ここで、無理に答えを出そうとせず、次の問いを置いてみてください。
1)本当は、何を感じていた?
悲しみ?悔しさ?寂しさ?怒り?安心したかった?守りたかった?
一番最初に出てくるものが正解、というより、今のあなたに近いものでいいです。
2)その気持ちは、何を守っていた?
たとえば悲しみは、愛を守っていることがあります。
怒りは、尊厳を守っていることがあります。
不安は、関係を失いたくない気持ちを守っていることがあります。
3)「感じてはいけない」と思ってきたのは、どの感情?
泣いたら終わり、怒ったら嫌われる、寂しいと言ったら重い。
そうやって封印してきた気持ちが、置き去りになりやすいんです。
感情に許可が出ると、なぜ次に進めるのか
ここまで読んで、
「でも、感情を認めたら余計つらくなりません?」と思った方もいるかもしれません。
たしかに、一時的につらくなることはあります。
だからこそ、できる限り安全な場所で、信頼できる人と”感情を扱う”ということが重要になるんですよね。
そして、そのつらさは多くの場合、
“置き去りにしてきたものに触れた痛み”
なんです。
そして、人は不思議なもので、
本当に触れた感情は、少しずつ形を変える
ことがあります。
涙が出て、少し落ち着いて、気持ちが言葉になって、
ある瞬間「あ、ここまでだったんだな」と腑に落ちる。
その腑に落ちが起きると、気持ちが軽くなると同時に、自分の立ち位置(要は物事を見る視点や推し量るものさし)が更新されるんですね。
だから、”今まで”を忘れるのではなく、持ったままでも歩けるようになる。
これが「次に進める」の正体なのかもしれません。
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まとめ:前に進めないときは、あなたが止まっているのではない
「前に進めない」と感じるとき。
それはあなたの弱さでも、未熟さでもないことがあります。
感情が置き去りになっていて、立ち位置の更新が起きていない。
ただ、それだけのことがある。
だから、焦って正解を出そうとしなくていいです。
まずは、
今ここにある気持ちに、居場所を与える
その作業からでいいと思います。
もし一人で抱えるのが苦しいときは、信頼できる人に話してみてください。
あるいは、カウンセリングのような安全な場で、ゆっくり言葉にしていくのも一つの方法です。
あなたの感情は、あなたの足を引っ張るためにあるのではなく、
あなたを“本来の場所”に戻すために出てくる
こともあるんですよ。
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