それでは今日のコラムです。
今日もご質問にお答えしております。 よろしければどうぞ。
浅野先生へ質問です。
はじめまして。いつも楽しく拝見しております。男性目線の考え方や、自分の心の持ち方など、勉強させて頂いています。
質問をお願いします。私の彼なのですが、お酒を飲むと同じ愚痴を何度も繰り返すことがあります。
私30代、彼は17才年上の50代です。
普段は概ね仲良くやっていますが、お酒が入ると以前も散々話した愚痴をひたすら話します。仕事の愚痴なのですが、今メインにしている仕事ではなく、以前15年ほどしていた仕事です。現在もアルバイト程度にですがその仕事にも関わっています。
彼としては、その仕事を本当にプライドを持ってやっていて、当時の責任者さんにとてもお世話になり、尊敬していました。
今は責任者が替わり、事業自体も相当小さくなってしまったこと、今の責任者が従業員をないがしろにし、人がいなくなってしまったこと、昔と比べ物にならないくらい組織がなくなってしまったことが悔しくて悲しいらしく、時々思い出したように愚痴が始まります。
翌日になると、お酒も入っていましたのであまり覚えていないようですが、でも嫌な気持ちになったこと等は残っているようです。
私も最初はちゃんと聞いてあげられるのですが、すでに何度も繰り返し聞いている内容であること、毎回こちらがなにを言っても受け入れず、結局自分の言いたいことを言っているだけなので、最終的には疲れてしまいます。
愚痴であるので、アドバイスなどせずただ心から聞いて上げられればいいのだ、とは思っているのですが、上手くいきません。
このような時、男性はどのように接して欲しいと考えているのでしょうか。
また、上手に聞いて上げるにはどのように心を持てばよいでしょうか。
よろしくお願い致します。
(あまのがわさん ※原文のまま掲載しています)
あまのがわさん、いつもご覧いただきありがとうございます。今日はあなたのご質問にお答えしますね、お待たせしました。
なるほど・・・。彼の話を上手に聞いてあげたいって素晴らしいですよね。
彼の止まらない愚痴の意味
こういった彼の愚痴、特に過去の仕事に関する愚痴って、本当に大切にしていた仕事だからこそなんでしょうね。そしてお世話になった過去の責任者さんに対する恩、じゃないですが、彼なりの思い入れもあるような気がします。
男性間の対人関係、特にお仕事に関する上下の関係性って、意外と深いつながりになっていることも多いものです。
だから彼が過去の仕事に対する思い入れもあれば、「世話になった人」への思いもヒトシオなのかな、と感じましたよ。
彼にとって愚痴になるぐらい悔しいこと、それぐらい彼にとっては大切なお仕事であり、人だった、ということのように感じますし。
翌日になると、お酒も入っていましたのであまり覚えていないようですが、でも嫌な気持ちになったこと等は残っているようです。
だとすると、彼はどこか責任感や、自分が関わった物事への思い入れなどが強いタイプなのかもしれませんね。
そこに彼の良さもあり、まぁそんな部分を人に気づいてほしい部分なのかもしれませんよね。
もちろんあなたがそう伝えて、彼がそれを自分でお認めになるかどうかは別にして。
私も最初はちゃんと聞いてあげられるのですが、すでに何度も繰り返し聞いている内容であること、毎回こちらがなにを言っても受け入れず、結局自分の言いたいことを言っているだけなので、最終的には疲れてしまいます。
愚痴であるので、アドバイスなどせずただ心から聞いて上げられればいいのだ、とは思っているのですが、上手くいきません。
そうですね、疲れてしまいますね。だとしたらあまのがわさんは、ちゃんと相手の話を聞いているんですよ。じゃなきゃ疲れはしませんよね。
が、あなたが話を聞いて疲れるということは、どこかあなたの内面に意識が向いてしまうことがあるのかもしれませんね。
ちゃんと聞いてあげたい、と。
もちろん人の話って、一生懸命に聞くことは大切なんですが、過剰にしっかり聞こうとすると、これがまぁ疲れるわけです。そう思えば思うほど、意識を絞らないといけませんしね。
だから、何度も何度も同じ話を聞くとなれば「またか・・・」となるわけですよ。
だからつい説得したくなるんですね。全く悪気なんてないけれど、つい相手の気持ちを変えたい、押さえ込みたいといった感じになりがち。
ここに人の話を聞く難しさがあるわけです。
なので、僕たちカウンセラーにとって、どう人の話を伺うか、のトレーニングは欠かせない要素なんですけどね。
相手をどうにかしてあげたいと思うと、何故かイラッとすることも
あまのがわさんのお話の中にこうありますね。
このような時、男性はどのように接して欲しいと考えているのでしょうか。
相手の思うように接してあげたいという思いって素晴らしいですよね。
が、今回のお話では、彼はおそらく「彼の中で整理がつかない記憶をぐるぐる感じながら、普段は吐き出せない感情を吐き出している」という事のように僕は感じます。
彼の話している内容も大事ですが、彼にとっては「話すこと」に意味があるように感じるんですよ。答えなんて出ないことが分かっていても話したいことって誰にだってありそうですよね。
だから時にはそっと見守るようなイメージで接していいかもしれませんよ。
しかしそこであなたが「彼をなんとかしてあげたい」と思うからこそのストレスもある、といいますか、だから、ついひとこと言いたくなるといいますか。
これは男女問わず、パートナーさんとの関係でよく起きることの一つ。
相手をなんとか楽にしてあげたいと思うけれど、それがなかなか上手く行かないと「相手は私の気持ちを分かってないんじゃないか、何度言っても話を聞かないじゃないか」と感じやすいですからね。
どこか自分の愛情を拒絶されている感覚がするんですね。
そこにハマらないように気をつけることでしょうか。
ちなみに、僕の感覚でいう「人の話を上手に聞く」って、相手の話をうまく聞く、または適当に聞く、ではないんですよね。
相手の話をちゃんと聞き、ちゃんと忘れる(手放す)ということ。
それは相手の話を忘れてどうでもいいものと扱うわけではなく、自分の中でリセットして、「いつも自分らしくいられるように意識する」感じ。
つまり、人の話を聞いている時に、ついあなたが「私らしくいられなくなること」も、また切ないわけですよ。
そういう意味では、あなたは彼の話をここまで丁寧に聞いているのだ、ということを腑に落とし、ご自分を許したりお認めになるといいと僕は思いますよ。
すると、あなたに心の余裕が生まれて、私らしくいられる時間が増えていくと思います。これはとても大切なことですね。ここが上手く行かないと物事そコントロールしたくなりますから。
そもそも、人の話を聞くって、分かっていてもなかなか難しいことがあると思うんです。いくら好きな人であっても「受け止め続ける」ことを考えるとなかなか、ね。
だから、うまく話が聞けないこともあるよ、と理解されてもいいでしょうね。
これも一つの許可ですよね。私らしくいるための、ね。
*
今回のお話を伺って僕が気になるのは、今の彼の心のコンディションですね。
もし、彼が今、自分なりに凄く納得して生きているのであれば、過去の愚痴を話してもそこまで嫌な気持ちにはならないかもしれない。
僕達が過去の何かしらの記憶・感情にこだわっている時って、今も何かしらすっきりしないことがあることが多いものですからね。
だから、どれだけ彼との関係が信頼と喜びに満ちたものになるか、という視点を持ってみるのもいいかもしれないですよ。
あなたが彼の愚痴をどう聞くか、というフォーカスの仕方より、「私は普段から彼にどう接したいか」といった部分に興味を持つイメージ。
例えば、普段の彼との関わり合いの中で、感謝やあなたの思いを伝えていくなど、日常での彼との関わり方に意識を向けてみると、彼に少しづつでも変化が生まれることもあります。
ちょっと意識を切り替えて考えてみていただくといいかもしれませんね。
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