こんにちは。

心理カウンセラーの浅野寿和です。

恋愛相談やパートナーシップのご相談で、わりと頻繁に出てくる言葉があります。

「君に申し訳ない。だから別れてほしい」

この一言、言われた側はかなり混乱しますよね。

  • え、私は一緒にいたいのに?
  • 苦しいなら支えたいのに?
  • なんで一人で決めるの?

しかも彼は、どこか“優しい顔”をしていることも多い。

だからなおさら、怒りと悲しみと、置いていかれた感じが同時に出てきます。

今日はこの状態を、できるだけ短絡的に「愛がない」などにまとめず、

「無力感」と「期待(ハードル)」という視点から整理してみます。

なお、ここで扱うのは「こういうケースが多いかもしれない」という整理です。

すべての人に当てはまるとは限りませんので、あなたの状況に照らし合わせながら読んでみてください。

いただいたご質問はこちら

浅野先生へ質問です。

遠距離で4年交際している彼についてです。

結婚の話が進んでいたのですが、彼が急にそっけなくなり、趣味や友人との時間を優先するようになりました。

話を聞くと「責任の重さを感じている。別れてほしい」と言われました。

なぜ相談してくれなかったのか、
寄り添えたかもしれないのにという悲しさ、
私は簡単に手放せる存在だったのかという怒りでショックを受けました。

別れたくないと伝え交際は続いていますが、以降はお互いに顔色を伺い、よそよそしい関係です。

彼は「特別な人だから幸せになってほしい」「申し訳ない」と言いながら、連絡は減り、約束も避け、距離を取ります。

彼に良い影響を与えたいのに、悩みの種になっている現状が苦しいです。

どうすれば彼に自信を取り戻してもらえるでしょうか。

私が離れることが最善なのでしょうか。

ネタ募集ネーム:風音さん


「申し訳ないから別れてほしい」は、別れの理由というより“逃げ道”になりやすい

なるほど、これは本当に悩ましい状態ですよね。

急に去っていく、勝手に距離を取る彼の姿を見ると、ショックですよね。

でも、あなたは大切な人の悩みのタネではないはずです。

ご質問を読む限り、あなたには本当に優しい、彼を思う気持ちがあると思います。

それは、決して軽いものではないですよね。

では、ご質問にお答えしていきます。

まず、こういったとき、ここが大事になるかもしれません。

「申し訳ない」は、彼の“優しさ”でもありますが、
同時に自分を守る言葉になっていることがある、ということ。

つまり、

  • 本音を言うのが怖い
  • 弱さを見せるのが怖い
  • 向き合って崩れるのが怖い

そんな状態のときに、「申し訳ない」という言葉が、全部を丸く包んでくれるんですね。

だからこの言葉が出るとき、彼は「あなたを嫌いになった」というより、

自分の中に立ち上がっている“無力感”や“怖さ”を処理できていないことが多い印象です。


無力感は、罪悪感(申し訳なさ)に“変換”されることがある

少しだけ、心の動きとして整理します。

彼の内側にあるのは、こんな感覚かもしれません。

  • 自分は十分に与えられていない気がする
  • 期待に応えられない気がする
  • これ以上、ちゃんとできる自信がない
  • でも、それを言うのは情けない

この「情けなさ」「できなさ」をそのまま抱えるのは、かなりしんどいものです。

そこで起きやすいのが、

無力感 → 罪悪感(申し訳なさ)への変換です。

罪悪感に変換されると、彼の中では論理が成立しやすくなります。

  • 俺はちゃんとできない
  • →君に迷惑をかける
  • →だから離れた方がいい

この流れは、ある意味で“筋が通っている”ように見えるので、本人も止めにくい。

ただ、ここで見落としやすいのは、

「離れること」自体が、無力感からの回避になっている可能性ですね。


「人とは関われるのに、パートナーとは難しい」と感じる心理

ご相談を聞いていると、こういう現象が同時に起きていることがあります。

  • 恋人(あなた)とは距離を取る
  • でも友人や仕事の場では明るい
  • 予定を埋めていないと落ち着かない
  • 一人になると“どうしたらいいか分からない”

これが起きると、言われた側はこう感じますよね。

「私だけがダメなの?」と。

ただ、ここは少し見方を変えてみてもいいかもしれません。

彼が避けているのは、あなたそのものというより、

「親密さの中で露呈する自分」であることがあるからです。

友人関係は、近いようで“安全な距離”が残りやすい。

でもパートナーは、人生や将来、価値観、責任…そういう領域に入ってくる。

そのとき彼は、

「ダメな自分がばれる」という怖さを抱えやすいのかもしれません。


「期待(ハードル)が高い人」ほど、申し訳なさを抱えやすい

もう一つ、現場でよく見かける軸があります。

「期待が高い」です。

ここでいう期待は、あなたが彼に押し付けている、という意味だけではありません。

むしろ彼自身が、

  • 恋人とはこうあるべき
  • 結婚とはこうあるべき
  • 男はこうであるべき
  • 自分はちゃんとしていないといけない

そういう“内側の基準”を強めていることがあります。

心理学的には、こういう「基準の高さ/失敗への過敏さ」を、

完璧主義とか、自己評価の脆さと関連づけて説明することもあります。

ただ、呼び名よりも大事なのは、

彼の中でハードルが上がりすぎるほど、無力感が出やすくなるという点です。

そして無力感が出ると、先ほどの変換が起きやすい。

無力感 → 申し訳なさ → 別れという流れです。


優等生的に生きてきた人ほど「ルールが守れない自分」を怖がることがある

これは、僕の現場感としての話ですが、

いわゆる“優等生的に”生きてきた人ほど、

「できない自分」「崩れる自分」に耐性がない場合があります。

外側から見ると、誠実で、ちゃんとしていて、頑張り屋。

でも内側では、

  • 一度つまずいたら終わる気がする
  • 弱さを見せたら価値がなくなる気がする
  • 頼ったら負けみたいに感じる

だから「申し訳ない」という言葉で、上品に撤退する。

そのほうが、“ちゃんとしている自分”を保てるからです。

あなたがここで彼を責めると、彼はさらにこう感じやすい。

「やっぱり俺はダメだ」と。

そうなると、関係が改善するというより、逃げが強化されることもあります。


じゃあ、どうすればいいのか|「正解」より、立ち位置の調整

ここから先は、万能な対策を書くというより、

「意識しておくと揉めにくいかもしれない視点」に絞って書きます。

なぜなら、ここは本当に個別案件になりやすいからです。

相手の性格というより、二人の歴史、距離感、今の生活状況、体力、過去の傷つき、いろいろ絡みます。

その前提で、ポイントをいくつかだけ。

1)「説得」より先に、彼の“無力感”の奥を見に行く

彼が「申し訳ない」と言ったとき、

すぐに「別れない」「大丈夫」「私が支える」へ行くと、彼のハードルが上がることがあります。

こういう言い方のほうが、通りやすいこともあります。

  • 「そこまで追い詰められてた感じがあったんだね」
  • 「“申し訳ない”って言葉でしか言えない何かがあるのかもね」
  • 「いま、何が一番しんどい?」

ここは“甘やかす”というより、彼の気持ちや言葉の奥を見に行く感じです。

2)あなたが“背負いすぎる立ち位置”に入らない

「彼を救わなきゃ」と思うほど、あなたは苦しくなります。

そして彼も、あなたの“正しさ・善意”を、期待として受け取ってしまうことがあります。

だから、あなたの中での立ち位置としては、

「一緒に考えたいけど、彼の人生を代わりに背負う場所には入らない」

このラインが大事になりやすいです。

3)「自己完結が正しい」タイプには、価値観の翻訳が必要になる

自己完結型の彼には、

「相談して」だけだと通らないことがあります。

たとえばこういう翻訳。

  • 「相談してほしい」→「二人のこととして扱いたい」
  • 「勝手に決めないで」→「私の存在をプロセスに入れてほしい」

彼にとって“正しいやり方”を否定するほど、彼は防衛しやすい。

だから、否定ではなく目的の共有から入るほうが、現実的なことも多いです。


「本当に見せたい私」と「相手を理解する私」|両方が必要になる場面

この手のテーマで、最後に残るのはここかもしれません。

あなたは、

  • 本当は寂しい
  • 怒っている
  • 置いていかれた
  • それでも好き

そういう気持ちを抱えているはずです。

それを全部飲み込んで「理解する私」だけで立つと、あなたが削れます。

反対に、「本当に見せたい私」だけでぶつけると、彼が逃げやすいこともある。

だから、両方が必要になりやすい。

あなたの気持ちは大事にしつつ、彼の無力感や怖さの仕組みも見ていく。

ここに、関係を動かす余地が生まれることがあります。


まとめ|「申し訳ない」は、愛の不足というより“無力感の処理”かもしれない

「君に申し訳ないから別れてほしい」

この言葉を、すぐに愛の不足や冷たさに結びつけると、話が荒れやすいことがあります。

もちろん、現実として関係が終わるケースもあります。

ただ、少なくとも現場では、

無力感・期待(ハードル)・親密さへの怖さ・自己完結の価値観が絡んで、同じ言葉が出ていることも多い印象です。

あなたにできることは、彼を“変える”ことではなく、

あなたが背負いすぎない立ち位置に戻りながら、状況を見立て直すことかもしれません。

そのうえで、どう関わるか、どこまで待つか、どこで線を引くか。

そこはあなたの人生の判断になります。

もし、いま一人で抱えてしんどいなら、

「この関係をどう扱えばいいのか」を一緒に整理することもできます。

言葉になりにくい混乱を、静かに切り分けていきましょう。

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ABOUT ME
浅野寿和 | 心理カウンセラー・トレーナー
恋愛・夫婦・仕事・生き方の中で、「ちゃんとやってきたはずなのに」そんな感覚を抱えやすい人のご相談を多くお受けしています。 個々のご相談を心理学の視点で整理して、明快に言葉にしていくカウンセリングが人気。 キャリア17年・臨床実績10,000件/東京・名古屋・オンライン対応。リピーターさまが多いカウンセラー。口癖は「どんなことにも事情があるよね」。
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