恋愛の心理学

浮気しないタイプの男性が浮気するという悲劇

浮気しないタイプの男性が浮気するという悲劇

あまりいいことではないのかもしれませんが「彼が夫が浮気していたことが発覚しました」というご相談をいただくことは稀ではありません。

これは意外と男女のトラブルの中でもメジャーなものでもありまして、やはりお互いに痛みが伴う問題になるんですね。

そして、浮気のご相談の中にはいくつかパターンがありますよ。

  • もともと浮気性といいますか、浮気がやめられないパートナーを持っている方のご相談。
  • そもそも浮気しそうにない人が浮気して、関係がとにかく大変なことになっているというご相談。

当たり前ですけど、男性にもいろんな方がいらっしゃいまして、そもそも浮気がやめられないと感じている人もいれば、そもそも浮気しない人もいれば、浮気したい気持ちがないわけじゃないけど浮気しない人もいます。

さて、今回のコラムは「浮気したい気持ちがないわけじゃないけど浮気しない人」が浮気しちゃったというケースについてまとめてみようと思うのです。

浮気ばかりするタイプの人のご相談とはちょっと内容や対応が変わってくるものでもありますからね。

よろしければお付き合いくださいませ。

パートナーが悲しむようなことはしたくないと思う男性が浮気したとしたら

女性のクライエントさまから「浮気しない人っているんですか」というご質問をいただきますが、浮気したことがない男性はかならずいて、実際にそういった男性とお愛したことは一度や二度ではありません。

そもそも浮気しないタイプの人がよく口にするのは「彼女、奥さんが好きすぎる」って言葉です。めっちゃ好きだし大切だし、と素直に思えている感じですね。そもそも女性を好きになれるタイプです。

この場合、ほぼほの浮気の心配はないでしょうし、そんな不安もパートナー間に生じることはないでしょう。

中には、浮気をする勇気がない人もいて、この場合も浮気をしないかもしれませんが、これは「浮気したいのに浮気ができない事情がある」ってことなので、浮気ではない理由で関係がこじれる可能性があっても不思議ではないかもしれません。

で、ですね。

本来「浮気したい気持ちがないわけじゃない」けれど、どこかで「パートナーが悲しむようなことはしたくない」と思って浮気しない人がいます。

浮気の可能性がないわけじゃないけど、パートナーのことを思って「それはないわ」と思う人ですね。おそらく浮気しない人の多くはこのパターンだろうと僕は思っています。

そもそも僕たちの日常には、浮気の種なんてものはそこかしこに散りばめられていて、浮気を想像しないコト自体が難しいものだと僕は考えているからです。

よく例えるんですけど、もし一途であることが「一つのものに決めたら気持ちがブレない」ってことならば、好きなカフェが2件以上あることも浮気になりますし、転職も浮気になりますし、気が変わってしまうことも浮気になっちゃいます。

だから、浮気しないってことは、浮気したい気持ちはあるけど「相手のことを思うからしない」って人が多いものなのです。

この浮気の話は、僕たちの自我意識の成長プロセスからも同じようなことが考えられると僕は思っています。

僕たちの子供の頃は「自分のやりたいようにやる」という気持ちしかないものです。

しかし、自分自身の成長とともに「人の顔色や社会のルールに合わせて生きる」ようになっていくんですよね。いわゆる「いい子ちゃん」ってやつです。

ただ、このとき「バレなきゃ自分のやりたいようにやっていいだろう」って気持ちが残る場合があるんですね。いつも周囲に合わせて頑張ってんだから、少しぐらい好き勝手していいだろう、的な発想です。

浮気する人って「バレなきゃいいだろう」って考えている人が少なくないもので、このあたりのプロセスにいる人は浮気する可能性はあるかな〜と僕は思っています。

更に僕たちが成長すると「自分なりの規範・ルール」によって生きるようになります。いいことはいい、ダメなことはダメと自分で決めて、志を持って生きるようになるんですよ。このあたりのプロセスにいるのが「浮気したい気持ちはあるけど、自分の意志で浮気しないようにしている人」なんでしょう。

この状態、僕は「浮気しない可能性は高いけど、ゼロじゃない」と見ています。

つまり、積極的な意志で浮気するわけじゃないパターンであって、そもそもパートナーを裏切るなんていけないことだ、と理解している人。しかし、その理解を感情が超えたときに、うっかり浮気するなんてケースが有るのです。

一時的にであっても激しいストレスを抱えていたり、夫婦・恋愛関係の不満が溜まりに溜まって持っていき場所がなくなっていたり、恋愛や夫婦関係以外に深い悩みを抱えていたり。

どこか一人で抱えるには辛い感情を抱え、その受け皿が異性になってしまった、といった感じでしょうか。

本人もとても苦しいし、心から望んだことではないからこそ、浮気したという加害意識で苦しむ方も少なくないようです。

さて、そもそも「パートナーを悲しませることはしたくない」という意思がある人の浮気が発覚すると、まぁ非常に関係性がこじれるようです。

なぜならお互いに選んだ人が「間違っていない」から。

そもそもは自分の意志でパートナーを愛する人だからですよ。

そして、相手のことを思う気持ちがないわけじゃないからです。

だから、浮気をされた側としては、かなりの確率で「浮気相手に本気なんだ」と思うはずなのです。

いくら人から「浮気するにもきっとなにか別の理由があったのよ」と諭されても、なかなかそう思えないかもしれません。

なぜなら、パートナーは今まで浮気しない人、つまり「私のことを考えてくれていた人だ」と信じていたからですね。その人が自分以外の人を好きになるってことは、それ相当の事情があってのことだし、自分から気持ちは離れていっていると感じるし、きっと本気なんだろうと想像してしまうわけです。

一方、そもそも「パートナーを悲しませることはしたくない」という思いがある男性の場合、どんな事情があるにせよ、浮気した自分を許せずクズ扱いしてしまう男性もいますし、一生かけて償わないといけない、と真剣に考えたり、自分で自分をボロボロにしてしまう人も出てきます。

そんな男性の姿を見ながら、浮気をされたという痛みを抱えている女性の皆さんのお声もたくさん伺ってきました。

これはもうかなりキツい話だと思うのです。

パートナーのことを信じ、思っていたのはお互い同じ。しかし浮気という問題が生じ、浮気した側は自分を責めつづけて許さず、浮気された側は信頼や愛情を溝に捨てられた感覚で苦しむことになるわけですよ。

だから、どうしても自分自身のことが許せないので、自分で自分の首を絞めるかのような状態になり、その自分を相手に見せ合うことになる。

この苦しみから逃れたいし、相手に助けてほしい、と思うけれど、しかしそれは難しい。

だから、自分ひとりで苦しみや痛みを抱えることにもなる。

相手のことを信じたり、もう一度愛そうと思うけど、お互いにそれができない、やっちゃいけないような気がして関われなくなる。

だからどんどん二人の間に距離ができたり、そばにいるだけで息が詰まる関係になっていってしまう。その結果、激しい口論や批判の応酬になることもあるでしょう。

それもこれも「もう苦しい、助けて欲しい」という心の叫びなのだろうと僕は思うんですけどね。

ただ、こんな時間を長く過ごしてしまうとお互いの気持が燃え尽きてしまって、ついには別れるしかないと考えてしまうようにもなりかねないだろうと僕は見ています。

別れたほうがお互いのため、自分も苦しまないし、相手のためにもなると考えてしまうことが多いのではないでしょうか。

もちろん浮気をされた側からすれば辛い話ですが、しかし自分自身もあれだけ信頼していた人を愛せなくなってしまう苦痛から解放されると思うと、それもやむなしと考えてしまうケースも少なくないのかもしれませんね。

 

もし本気で好きなら浮気しないんじゃ?

さて、このような話に対して女性の皆さんからこんなご質問を受けることがあります。

「もし本気で好きなら浮気しないのではないでしょうか?」

「もし相手のことが好きなら、失うことは怖いから傷つけたくないって思わないんでしょうか。」

そのお考えはなるほど、と思うんです、僕もね。

もちろんそう思う男性もいるでしょう。

ただし、もしパートナーを悲しませたくないと思う人が、何かしらの事情で浮気をしたとしたら、おそらく「パートナーを失ったほうがいい」と考える可能性は極めて高い、と僕は考えています。

なぜなら「パートナーを裏切り、ひどい悲しみを与えたのは自分」だからです。

失って当然だと思うでしょうし、相手からの責めも引き受けなきゃいけないと思うでしょう。

だから、なにもできないし、自分から何かを望んじゃいけないとも思うでしょう。人によってはパートナーを突き放すような言動を取る人もいるでしょう。

その根っこには、本来こうありたいと願った誠実な自分でいられなかった自分を責める気持ちがあります。

自分を毒だと感じる、いわば罪悪感だらけになってしまいますから、自分から大切な人を愛するなんてことはやっちゃいけないと考えてしまうもの。

だから、自分から離婚や別れを告げる人もいますし、それこそが自分が果たせる責任だと考える人がいても不思議ではないでしょう。

もちろん「それで責任をとったつもりなん!」というお気持ちも分かるんですけどね。

 

もう一度関係性を再構築するための第一歩

本来、浮気をしたくないと願っていた人が浮気をするなら、いいか悪いかは別にして、それなりの事情がある事が多いです。

パートナー間、夫婦間にそれなりの事情が存在したからこの問題が起きた、とか。

あまりに浮気した側が自立しすぎていて、誰にも頼れず、人の支えを受け取ってこなかったから、自分を支えるものが欲しくなって浮気したとか。

将来の不安ばかりが募り、誰にも分かち合えなくて、地下に潜るようなカタチでその不安を解放するために浮気を必要としたとか。

もちろんパートナー間の性的な欲求が満たされていなかった、といった事情もそれにあたります。

だから、まずこの浮気に至った事情がある程度解消していないと、関係性は取り戻せないことも少なくないようですよ。

 

ただ、そもそもパートナーのことを悲しませたくないと思っていた人ほど、「まさか自分が浮気をするだなんて」と自分に激しい失望を感じておられる方もいるものです。

だから、自分を許せない分だけ、パートナーから「こっぴどく責められている」「自分は罪を犯した」と感じやすいのです。

こんなときに一時的にではなく、継続的に「私は裏切られた」「傷ついた」といった言葉を投げかけられると、おそらくその事実から遠ざかりたくなってパートナーと距離を置き始めるでしょう。

もちろん起きた問題は大きいですよ。

ただ、お互いに自分や相手を罰しても、あまりいい結果は出ないのかもしれません。とはいえ、叫びたくなるものかもしれませんけど。

だから、お互いの気持ちの安定、癒やしが大切だと僕は考えます。

傷つけたことも、傷ついたことも事実です。

だから、それを受け止めるにはそれなりの時間が必要なのかもしれません。

どこか加害意識や浮気された痛みで自分を見失ってしまっていると、本当に自分が大切にしたいものを壊してしまいます。

ここでは自尊感情(大切な人の喜びになり、お役に立ちたいという気持ち)の影響から「自分という存在は大切な人をただ傷つけるだけの存在なのではないか」という疑いが存在していていると考えられます。だからこそ、今の現実や感じる感情を受け入れることが非常に困難なのです。

あまりに自分をちっぽけに感じるので、「自分には価値のある関係性・大切な存在などふさわしくない」と感じてしまうのです。これは無価値感・罪悪感による影響です。

こんなときは、パートナーとの間で冷静に話ができるならそうしてみてもいいでしょう。

が、そうではない場合は、信頼できる第三者に話を聞いてもらう、冷静になる時間を作る、カウンセリングを受けてみるなど、どんな方法でもいいので、自分が「大切な人を傷つけてしまう存在だ」と感じている感覚を少しでも和らげ、もう一度自分を見つめ直していくことがいいかもしれませんね。

なぜなら、お互いに「パートナーを裏切りたくないという気持ち」があったのでしょうから。

その自分を感じられないときには、どれだけ相手のために頑張っても「自分は十分じゃない」感じてしまうので、ついパートナーと距離をおいたり、相手に詰め寄りたくなるものでしょうから。

繰り返しになりますけど、そうなってしまうのは「それだけのことが起きたから」なのですよ。

そもそもの自分はパートナーを裏切りたくない、大切にしたいと思っていたのでしょう。

そんな自分にもう一度立ち戻る時間やプロセス、具体的な行動が今は必要なのかもしれませんよね。

 

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