すれ違う夫婦の心理

「心が通じてない気がする感覚」がなぜ起こるのか?  〜通じなさだけが積もる日々の正体〜

考え込む女性

こんにちは。心理カウンセラーの浅野寿和です。

毎週水曜は「恋愛・夫婦などのパートナーシップの心理」をお届け。

今日のコラムはこちらです。

「パートナーとちゃんと話してるけれど、なぜか虚しい」

カウンセリングでもとても多く聞く言葉です。

「会話はあるんです。でも、通じ合ってる感じがしない」
「否定されたわけじゃないけど、心が置いてけぼりになる」
「大事にされてるのか、よくわからない」

これ、関係が壊れているわけじゃないんです。むしろ、日常は回っている。けれども、“通じなさ”だけが積もっていくような感覚。

そんな状態が続くと、人はどこかで「もういいかな」「このままじゃ無理かも」と思い始めます。

でも本当は、「通じない」ことが耐え難いのであって、「関係そのもの」を壊したいわけじゃないことも多いんです。

では、どうして「心が通じてない」と感じてしまうのか? その理由を、構造的に見ていきましょう。

「伝えたこと」と「届けたかったこと」は、ちがう

たとえばパートナーに対して、

「最近、冷たくない?」
「なんでLINE返してくれないの?」
「もうちょっとちゃんと向き合ってよ」

そんな言葉を投げかけたくなるとき。

でも実際には、その言葉の奥に

「寂しい」
「つながりが欲しい」
「私は、まだ大切に思われてるのかな?」

といった、もっと柔らかい気持ちがある場合が少なくないんですね。

もし、言葉と感情が一致しているなら「通じないとは感じない」はずなので。

ただ、そういった「本当に届けたかった気持ち」は、言葉にされないまま、「責め口調」や「不満」という形で相手に届いてしまうことも少なくないんです。

結果、相手は「また責められてる」「うまくやってるつもりなのに」と身構えてしまい、やりとりの中に“つながり”が生まれない。

つまり、伝えたはずなのに、まったく届いていないような「むなしさ」を感じる。

それが「心が通じてない気がする」の正体の一つです。

通じなさが積もると、人は「相手を諦める」

この「通じない」という感覚は、短期的には耐えられても、長く続くと、だんだん「通じ合う努力そのもの」をやめたくなってきます。

「何言っても無駄だし」
「どうせわかってくれないし」

そうやって、気持ちを言葉にしなくなる。
でも、心の奥ではまだ期待している。

その“諦めと期待の板挟み”にいると、気持ちの扱い方がわからなくなってきます。

そして最終的には、
「何を感じているのか自分でもわからない」
という状態に。

こうなると、“関係の再起動”が非常に難しくなってしまうんです。

だからこそ、「通じない感じがある」ときは、なるべく早めにその感覚を扱ってあげることが大切になります。

通じなさの正体は、「自分の気持ちの所在がわからない」状態

多くの人が誤解しているのは、「通じない」のは相手の問題だ、ということ。

もちろん、相手に受け取る力や余裕がないこともあります。

でも実は、「自分の中で、自分の気持ちのありかが曖昧になっている」ことが、「通じなさ感」を引き起こす最初の要因だったりします。

「本当は、どんなふうに感じているのか?」
「自分は何を求めていたのか?」

こうした問いに向き合ってみると

  • 寂しさなのか
  • 愛されているかの不安なのか
  • 自分の存在が軽視されている感じなのか

ようやく自分の感情の所在が明らかになってきます。

そのうえで、それを“伝える”ことができると、ようやく「通じた」と感じる瞬間がやってくるんです。

ただ、多くの通じない感覚でお悩みの方ほど、この「自分の感情を曖昧にしない」ということに抵抗感があるようです。

それは「言わなくてもわかってほしい」という要求なのか。

それとも「今まで自分の感情をごまかすことで人間関係をうまく回してきた」という経験によるものか。

または、今疲れていて「自分の気持ちと向き合う余裕がない」という事情があるのか。

など、人それぞれ違うものなんですけどね。

通じないときの、上手な過ごし方

では、「通じてない気がする」とき、どう過ごすのがいいのでしょう?

まずは

  • 無理に会話を盛り上げようとしないこと
  • 無理に感情を飲み込まないこと
  • 「このままじゃいけない」と急がないこと

この3つが大事です。

通じなさを感じているときほど、「なんとかしなきゃ」と思って焦ってしまうもの。

でも、その焦りが「わかってもらえなさ」に繋がり、また通じない・・・という悪循環になります。

なので、

  • 今の自分は何を感じているか
  • どんなふうに伝えたら、相手に届きやすいか
  • 言葉にできないとしても、まずは自分が受け止められているか

こうした“自分との対話”に少し時間を使ってあげると、「通じない」が少しずつ溶けていくことが多いです。

ただ、その根っこには「自分の気持との向き合い方」というテーマも存在する、といいますかね。

いいか悪いか別にして、自分の気持ちを上手く扱えないときは、そこから見つめ直すことがオススメです。(よくカウンセリングでもお伝えすることですね)

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まとめ:「心が通じてない気がする」は、関係の終わりではない

「通じてない」感覚は、たしかにしんどいものです。

でも、それは“関係の終わり”のサインではなく、
「ちゃんとつながりたいと思っている」からこそ生まれる感覚でもあります。

だからこそ、

  • 自分の気持ちを見失わないこと
  • 通じなさにフタをせず、丁寧に扱うこと

この2つを意識してみてください。

ほんの少しでも、自分の気持ちを「自分自身が」受け止められたとき、そこから「通じる」が始まるのかもしれません。

あなたの感じている“通じなさ”は、決して一方的なものじゃない。

そこには、ちゃんと意味があり、そして、その感覚を超えるとその先の希望を見つめることもできるのです。

ABOUT ME
浅野寿和 | 心理カウンセラー/トレーナー
恋愛や夫婦関係、仕事、対人関係、生き方の”こじれ感”を「甘すぎない心理学」で解決。ただ、気持ちを受け止めるだけでなく、背景にある心理構造や関係性のパターンを整理し、「現実的で納得できる選択」を一緒に探っていきます。 臨床実績9000件/東京・名古屋・オンライン対応。
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