恋愛の心理学

パートナーを理想の人扱いしてしまう人の心理

「パートナーに理想の人扱いされて辛い」というお悩み。

パートナーを理想の人扱いする女性

「パートナーを理想の人扱いしてしまう」

「彼や彼女に理想の人扱いされてつらくなったことがある」

この言葉を聞いて「わかるわ〜」と思われる方は、今まで人には言いづらいご苦労なされたタイプかもしれませんね。

人は見たいようにものを見る、といいますが

僕たちはつい「パートナーに理想の人扱いしてしまうこと」があるようです。

これ、実は恋愛や婚活などでもよく起きるだろうと推測されることの一つです。

一般的な話として

「人と接するときは人の良い部分を見て接しなさい」

という対人関係における黄金ルールがありますよね。

だから、パートナーのことを褒める、素晴らしい人扱いすることだけに特化する人もいらっしゃるのです。

もちろん人の良い部分を見て付き合うことが悪いわけじゃありません。

僕も基本的に、人の良いところを見て接するように心がけています。

ただ、「相手のことを見て褒める」のではなく、「自分にとって都合のいい理想の人にしてしまう」としたら、それはそれで注意が必要かもしれませんね

という話を今日のコラムにします。

よろしければどうぞ。

「理想の人扱いにウンザリしている」という男性の話

これはあくまで架空の話だと思って読んでくださいね。

ある男性(Sさん・独身・30代)は、今の彼女さんとの関係について悩んでいました。

「今の彼女といても一緒にいて息が詰まる感じがして辛いです。

もちろん僕も彼女のことが好きで付き合っています。

きっと彼女も僕のことが好きでいてくれるのだと思います(違ってたら相当恥ずいけど)

彼女が結婚を考えているということも僕なりに理解しています。

ただ、彼女はいつも言うんです。「あなただったら」とか「あなたは他の人と違うよね」と。

最初はその言葉を彼女からの好意だと思って受け止めていました。

僕も褒められて嫌な気持ちがするわけでもないし、そんな贅沢なことを言える人間でもないと思うんです。

ただ、最近になって「彼女は彼女の中の僕を見ている」ような気がしてならないんです。

僕ではなく、彼女にとっての僕が大切なんじゃないかと。

そう思うと、僕は昔からそんな経験ばかりしてきた気がして虚しくなるんです。

両親にとっての理想の子供を演じてきたこともありましたし、会社にとっての理想の社員であろうとしてきましたし。

そう思うとなんだか虚しくなってきて、彼女を傷つけたいわけじゃないけれど、でも別れたほうがいいような気になってしまうんです。

パートナーを理想の人扱いする人の心理

さて、僕たちは時々「パートナーを理想の人扱いする」ことがあるようです。

もちろんそれ以外にも

「仕事がデキる人を理想の人扱い」したり

「自分の家族や子供を理想の人扱いする」なんてこともありますよ。

もし、パートナーを自分にとっての理想の人として扱いたがる人がいるとしたら

それは自分の不安や隠している自信のなさ、かつての傷心の影響や、満たされていないニーズによって生じる

と考えることができます。

言い換えるならば

「パートナーが理想の人であってくれないと困る」

と感じる何らかの事情があるということですね。

これは誰にだって起き得ることで特別なことだとは言えない、と僕は考えています。

「相手も一人の人間だから完璧ではない」と思いやることができたら

ただですよ。

例えば「パートナーも生身の、心を持った人間だ」という部分がちゃんと見えているとしたら。

例えば、相手も自分と同じように、何らかの不安を抱えているかもしれないし

全てにおいて自信を感じられているわけでもないかもしれない、と理解しているとしたら。

相手を理想の人扱いし続ける前に、相手に理解を示したり上手に愛せるかもしれません。

そう考えると、「パートナーを理想の人扱いする人」が、いいか悪いかは別にして

人に理想を強く求める人ほど、自分の中にある不安や自信のなさ、満たされていないニーズなどを、良いものではないと感じている可能性がある

なんて風に考えることができそうです。

要は、自分の弱さやニーズが最悪だと思っていたり

その投影の作用によって「他人の弱さやニーズも最悪だ」と感じているからこそ

「好きな人にはそんな人であってほしくないと願ってしまう」という感じ。

パートナーを理想の人扱いする人もまた、自分を理想に当てはめている?

そう考えると、パートナーを理想の人扱いする人自身も

普段からいい人、素晴らしい人を演じていないとだめだ、ぐらい感じている可能性もありそうです。

そんな人にとっての理想のパートナーとは

「自分を満たし愛してくれる理想の人でなければ困る」と思うこともあるのではないでしょうか。

その結果、パートナーの不安や自信のなさなどは、見えていてもなかったことにして、自分にとっての理想の人のように扱いたくなるのかもしれません。

パートナーを理想の人の仕立てて苦しめたいと思う人も少ないもの

ただですよ。

「パートナーを理想の人の仕立てあげて苦しめたい」

と思っている人も少なそうなんです。

誰だってパートナーへの願望や理想を多少なりとも持つものですけど、だからといって愛する人を苦しめたいと思う人もまた少ないのでしょう。

ただ、つい自分の弱さを受け入れることが嫌で、素直に認めることができない分だけ、自分の外側に「完璧な何か」、いわば理想を求めたくなってしまうわけです。 

つまり、パートナーを理想の人に仕立て上げている人もまた苦しいし、自分を許せないでいる、と見ることもできるんですね。

そこにどんな事情があるのかは、まさに人それぞれなんでしょうが

例えば

  • 親にいい子や完璧な子供であることを求められ続けた、だとか
  • 強い劣等感に苛まれていてつらい思いをしたからこそ、完璧な存在でありたいし、どうしても譲れない幸せがある、とか
  • 自分ではどうすることもできない問題、例えばコンプレックス、家柄、家族の社会的な立場などの影響で、自分が不完全であることが許せる状況ではなかった

そんな様々な事情があるのかもしれませんね。

パートナーを理想の人扱いしてしまうパターンを癒やす方法

もし、パートナーを理想の人扱いしてしまうパターンを癒やす方法があるとしたら

まず「自分の気持ちや考え方を見つめ直すこと」にあると言えるでしょう。

相手に自分の理想を押し付けたり、逆に、相手から向けられた理想から逃げられなくなる理由の多くは

自分自身が「理想の人間でなければいけない」とか

「不安やニーズを隠さなきゃいけない」などという思いが強く

自分の不安やニーズ、弱い部分を否定的な観点で見ている可能性があるんですよね。

僕が言うのもなんですが、人間、誰しも不安やニーズを抱えるものです。

ただ、その自分を嫌って否定しても、不安やニーズは消えません。

それよりも、不安やニーズも自分が感じるものとして捉えて嫌わず「そういう気持ちもあるよね」と受け入れてみたり。

自分が得られなかった安心感や愛情(自分のニーズを満たすもの)をパートナーなど人に与えていくことで、不安やニーズを嫌うことはなくなっていくと思いますよ。

特に自分の不安やニーズ嫌いを手放すと

「あなたは理想の人でないと困るよ」から

「どうしたの?」と相手の様子が見えやすくなるんですよね。

自分が相手の理想に沿ってしまう場合

また、今回の例で取り上げた男性のように、つい自分自身が相手の理想に沿ってしまう人もいるかもしれませんね。

その場合も、基本的に考え方は同じです。

自分の不安やニーズをなかったことにすると、その我慢が苦しいのでどんどんパートナーや恋愛(ときには家族や仕事までも)嫌いになってしまいます。

ここで出てくる好き嫌いや善悪判断が、いわば自己完結的な発想を作るんです。

「あぁ、もう嫌だ」
「パートナーは僕のことを愛していない」
「誰も愛してなんていないんだ」

とね。

そのお気持ちも個人的には分からなくもないのです、

が、可能であれば、丁寧に自分の気持ちや観念をを見つめてみることをオススメします。

例えば、自分が自分のニーズや不安を嫌いすぎていないか、それによって追い詰められすぎていないか、と見つめ直したりね。

そのために、信頼できる家族、親、友人、時にはカウンセラーなどと分かり合って話してみる、とか。

ポイントは「話を聞いてくれる人に話すこと」なんですけどね。

そのような気持ちをシェアする経験が不安やニーズをとことん嫌う自分の価値観を変えてくれることもあります。

最後に

パートナーを理想の人扱いする人も、いつも理想の人扱いされてしんどくなる人も、自分の不安やニーズを嫌っている傾向があると言えます。

自分の不安やニーズを否定して、ある意味いい人間でいようとし続けた結果、どんどん自分の感情や人を受け入れる余裕がなくなってしまうのです。

自分が不安やニーズを嫌っているから、自分の気持ちを認めないし、だからパートナーともシェアしない。

ただ、このままではあなたの苦しみを理解できないパートナーさんにとっても、手痛い結末を導いてしまいますよね。

だから、一度冷静に、自分も相手も悪者にすることなく、話し合うことをオススメしたりするのです。

(それでもお互いの気持ちが通じ合わないなら、そこで答えは出ませんか?という話でもあるのですが(^^;)

よほど恐れや不安が強い人出ない限り、パートナーに自分の理想を押し付けたい、なんて考えている人は少ないものですしね。

 

※本記事は2023/6/28にアメブロ恋愛テクニックに投稿した記事の加筆・再編集版です。

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