こんにちは、心理カウンセラーの浅野寿和です。

パートナーや家族のことを、誰よりも深く愛し、大切に思っているはずなのに、なぜか関係がギクシャクしたり、いつも自分が無理をして疲弊してしまったり、最悪の場合、関係そのものが壊れてしまうことさえある。

なんだか不思議に思える話です。

しかし、実際こういった事は起きえることなんですよね。

ただ、そんな人が常にネガティヴな人なのかというと、そうとは限らず。

周囲から「本当に優しいね」「気が利くね」「あなたみたいな人がパートナーなら幸せだろうね」なんて言われることもあるかもしれません。

ご自身でも、相手のために良かれと思って、懸命に尽くしているつもり。

なのに、なぜか報われない。むしろ、苦しい。

もし、あなたがそんな矛盾した状況に心当たりがあるなら、それはあなたの「愛」が、もしかしたら「いびつな愛」という、少し悲しい形になっているサインなのかも。

今日は、その「いびつな愛」の正体と、そこから抜け出し、ご自身も相手も大切にする、より健全な関係性を築くためのヒントについて、少し深くお話ししてみたいと思います。

「いびつな愛」とは何か? 〜 愛情そのものは本物だが〜

ここで言う「いびつな愛」とは、あなたの「愛」そのものが偽物だったとか、間違っていた、という意味では決してありませんよ。

あなたの中にある、パートナーを思う、ご家族を思う気持ち自体は、非常に純粋で、本物であることが少なくないのです。

しかし、その愛の「表現方法」や「行動」が、結果として、まず「あなた自身」を深く傷つけるかたちになっている。

その結果、恋愛や夫婦関係の中で育まれるであろう、お互いの肯定感を妨げ、関係性の健全な発達をも歪めてしまっているってことなのです。

例えるならば、あなたの「生き方の基本的なOS」のようなものに、自分自身がめちゃくちゃ苦しくなるプロンプトが打ち込まれているようなものなんですよねぇ。

例えば、自己犠牲的な責任の引き受け

パートナーやご家族を大切に思うあまり、本来は相手が負うべき責任や、家族全体の問題を、一人で過剰に背負い込んでしまう。

「自分が我慢すれば家族はうまくいく」というような反応が無意識的に連続して続いている。これは、愛に基づきながらも、自己を犠牲にする点でいびつな愛といえそう。

例えば、自己否定による関係性の維持

「何をされても自分が悪い」と思い込むことで、自分の内面に湧き上がるネガティブな感情(怒り、失望、批判など)を抑圧し、表面的な関係性の安定を(自分を犠牲にして)キープしようとする。

これも、愛ゆえかもしれませんが、健全な自己主張や境界線を犠牲にしている、といえますよね。

なぜ「いびつな愛」では報われないのか?

この「いびつな愛」は、どんなに懸命に続けても、残念ながら、あなた自身の本当の自信や、「自分はこれでいいのだ」という深い自己承認(自己肯定感)にはつながりません。

なぜなら、その行動の動機が、純粋な喜びや貢献意欲というよりは、「愛されなければならない」「価値を証明しなければならない」という恐れや欠乏感(=自己目的化)に基づいている事が多いからです。

それは、常に「これで十分だろうか?」という不安を伴い、相手からの見返りを無意識に期待してしまい、それが得られないと、報われない感覚や、時には恨みにさえ繋がってしまいます。

結果的に、あなた自身が燃え尽き、消耗し、そして皮肉にも、あなたが本当に望んでいたはずの、対等で温かい関係性を、自ら遠ざけてしまうのです。

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「見てきた景色」と、その「影(シャドウ)」にある新しい可能性

では、なぜこのような「いびつな愛」のパターンが生まれるのでしょうか?

私たちは皆、子供時代から「見てきた景色」、つまり経験してきた人間関係のパターンから、「愛とは」「人間関係とは」という無意識の「地図」を心に描いています。

そして、その古い地図に従って、大人になってからも行動してしまうのです。

だから、たとえ心の奥底で「本当は、互いを尊重し、信頼し合い、温かく支え合うような関係性を築きたい」と切望していても、それが自分の「見てきた景色(過去)」とあまりにも違う場合。

それはまるで非現実的な、自分には縁のない「パラレルワールド」のように感じられてしまう。

そう。パラレルワールド。

「もう一つの世界」なのです。

つまりこれが指し示すものは「シャドウ(心の影)」。

ここでの「シャドウ」とは

「欲しくても手に入らなかったもの(例えば、温かく健全な関係性など)、その象徴」。

あなたが無意識に『心の影の部分に追いやったもの」」を指している、と考えてみてください。

「欲しかったけれど手に入らなかった」という痛みを恐れたり、「どうせ無理だ」という過去の景色からくる諦めによって、その望ましい可能性(シャドウ)から目をそむけ、結果的に、触れることのできない「パラレルワールド」のように感じてしまうのです。

ここが重要なのですが

「本当に望んでいる、温かく健全な関係性の可能性」そのものが、あなたの「見てきた景色」とは対極にあるがゆえに、あなたが無意識的に「そんなものは存在しない」「自分には手に入らない」と否定し、見ないようにしてきた、という事実。

この事実が見逃せないのです。

この「自分の心のあり方が、今の現実を作っている」という考え方ができるのです。

新しい景色を描くために 〜 気づきとバランス、そして勇気〜

この「見てきた景色」の呪縛から自由になり、その「パラレルワールド(=シャドウとして追いやっていた可能性)」へと足を踏み入れるには、どうすればいいのでしょうか?

それは、「気づき」「新しいバランス感覚」「勇気」という、3つの要素が鍵となります。

  1. 「気づき」

     まず、ご自身の「見てきた景色」がどのようなものであったか、そして、それが今のあなたの「関わり方の癖(OS)」や「いびつな愛」のパターンに、どう影響を与えているかに、深く「気づく」こと。

    そして、「本当に望んでいる関係性(シャドウ)」の存在にも気づくこと。

  2. 「新しいバランス感覚」

    次に、その気づきに基づいて、「愛」と「自己犠牲」を意識的に切り離し、「自分を大切にしながら、相手を想う」という、新しいバランス感覚を、日々の生活の中で練習し、身につけていく

    これは、過去のOSに、新しい価値観(プロンプト)を上書きしていくような作業です。

  3. 「勇気」

    そして、最後に。その新しいバランス感覚を頼りに、今まで「手に入らない」と思い込んでいた、温かく健全な関係性という「パラレルワールド」へと、恐れを感じながらも、一歩踏み出す「勇気」を持つこと。

これは、「自分を大切にする」という、地道で、しかし力強いプロセスそのものです。

この実践を通して、「自分が見ている景色は、変えることができるのだ」と、体験的に学んでいくことになります。

特に、「自分の内面では愛と認識される」ものでありながら、実は自分自身を縛り付けている「自分が我慢しないと誰かが傷つく」という恐れ、強く自分を縛るものから解放されていくこと。

この解放は対人関係全般をとても楽にしますし、人と人との境界線を明確にする感覚をもたらします。

つまり、誰かが傷つくという恐れで行動しなくなる、ということ。

これはこの境地に至るとわかるのですが、とても心が軽くなり、「人のために傷つく」から「自分も人も傷つけない生き方」を模索することができるようになりますよ。

最後に

いかがでしたでしょうか。

このお話が、ご自身の「愛し方」や「生き方」、そして「見ている景色(と、その影にあるもの)」を見つめ直す、何かのヒントとなれば幸いです。

そして、その先に、あなたと、あなたの愛する人との関係性が、本当の意味で豊かになる、新しい世界の扉が開かれることを、心から願っています。

ABOUT ME
浅野寿和 | 心理カウンセラー/トレーナー
恋愛・夫婦・仕事・生き方の中で、「ちゃんとやってきたはずなのに」そんな感覚を抱えやすい人のご相談を多くお受けしています。 個々のご相談を心理学の視点で整理して、明快に言葉にしていくカウンセリングが人気。 キャリア17年・臨床実績10,000件/東京・名古屋・オンライン対応。リピーターさまが多いカウンセラー。口癖は「どんなことにも事情があるよね」。
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