夫婦のための心理学

責任感・燃え尽き感から生じる癒着 〜苦しくて自分を保てないときの対処法〜

さて、今日のコラムも癒着の心理に関するお話です。

今日は「責任感から生じる癒着」というテーマのコラムです。

癒着は相手と心がくっついちゃう状態ですから、いわゆる「依存的なイメージ」を持たれる方も少なくないかと思います。

自分がさみしいから相手とくっついてしまう、みたいなね。

ただ、癒着って寂しさを感じたくないから起きる、と決まっているわけでもないんです。

実は、過剰な責任感や心の重荷を抱えている方にも癒着傾向は見られるのです。

今日はそんな責任感や心の重荷を抱えてしまうからこそ生じる癒着の話をお届けします。

よろしければどうぞ。

 

責任感・燃え尽き感から生じる癒着とは

さて、今回のテーマ「責任感・燃え尽き感から生じる癒着」とは

僕たちが抱く責任感や使命感、または心の重荷をたくさん背負い込んだことで、心が消耗する感覚を感じるので、自分が頼れるもの(依存できるもの)に癒着傾向を見せてしまう

という心理状態のことです。

要は、責任感、使命感、心の重荷をたくさん抱えて苦しくなってしまうので、何か自分が依存できるものを求める、依存的な気持ちが生じる、ということ。

ただ、そもそも責任感や使命感、心の重荷などをたくさん抱えている人ほど、自分自身が苦しい状態にあるので、この苦しみを周囲に伝えたくない、という優しさを持つことも少なくないわけですよ。

すると、周囲の人と、信頼関係や絆、相互理解の中で依存することができなくなってしまうんですね。

「今、めっちゃ自分は苦しいし大変。本当は自分を支える何かがほしい。でも、これは自分の問題だし、他人に依存してしまうと相手も同じ思いをするかもしれない。迷惑をかけないようにしないと。」

例えばそんな風に感じて、人との信頼関係や絆のなかで支え合うことが難しくなってしまう場合があるのです。

しかし、自分の中である意味燃え尽き観や限界を感じていることには変わりがない。

この状況が続くと・・・

信頼や絆、相互理解という形ではない形で、人や物と関わるようになっていくことがあるのです。

それが「癒着」となる、ということなんですよ。

そもそも癒着とは信頼や絆、相互理解ではない形での人や物と関わっている状態ですからね。

責任感や使命感を強く抱く人に見られる癒着傾向

僕たちは仕事ならば「この仕事を責任を持ってやり遂げる・関わる」なんて思いを抱くことがないでしょうか?

恋愛や結婚生活ならば「パートナーと(家族と)関わり続ける、一生添い遂げる」と決意することもあるやもしれません。

それ自体、大変素晴らしいこと。

何ら問題はありません。

が、中には責任感が強い方や、困っている人を見ると「なんとかしてあげたい」と思う情熱的な方がいらっしゃるわけですね。

すると、ついついたくさんの責任を背負ったり、なんとかしてあげたい相手のためにしんどい思いを体と心に縛り付けていくかたがいらっしゃるのです。

例えば

パートナーのことを心から心配してなんとかしてあげたいと心を砕く人。心を砕きながら、相手の苦しさや辛さをなんとかしてあげたくて、相手の気持ちをまるで我が事とのように受け止めようとされる人。

部下や会社のことを心から心配し、使命感から粉骨砕身頑張っておられる人。部下の失敗をまるで我が子とのように心配してフォローしたり、会社の業績が悪化すると、それはまるで自分の責任でしかないような感覚を覚える人。

責任感や使命感を強く抱く人だから「ニーズなんてない」と思われちゃうのです

このような人って周囲から見ると、責任感があり、優しく、情があり、しっかりしている人のように思えません?

実際、周囲からの信頼を得ている人って少なくないんですよ。

だから、この信頼というつながり方を使い、うまく支援を得ていくことができるなら、心理的な癒着を引き起こす必要はない、とも言えるんです。

が、多く僕がカウンセリングで伺うお話は、真逆に触れるケースが多いんですよ。

実は、責任感や使命感を強く抱く人って、周囲の人から「あなたはきっと依存心やニーズなんてない大人なんだろう」と思われちゃう事が少なくないんです。

そもそも依存心は人間である以上かならずあるものなので、ニーズがない人っていないはずなのです。

が、そんな幻想を周囲に抱かれてしまうんですね。

すると、その周囲からの期待などを守ることが、自分の役割やキャラになってしまう場合もあるようです。

「周囲の期待や信頼を裏切ってはいけない」

そう思う人がめちゃめちゃ多いんです。

だから、信頼してくれる人を当てにするのではなく、相手に負担をかけてはいけない、相手の力を借りてはいけない(依存してはいけない)と思ってしまう人の多いこと多いこと・・・。

その結果、心はさらに燃え尽きていってしまう・・・。

しかし、この状態に耐えることは相当難しいので、自分を支えるために何かしら癒着するものを探すことになってしまうのです。

癒着の対象は人によってさまざま

このような形で癒着、その対象は人によってさまざまです。

例えば、以下のようなケース画素の一例となります。

お酒やギャンブルなど

お酒やギャンブルなど、刺激の強いものに癒着する人もいます。

過剰にアルコールを摂取していないと心のバランスが取れない、と思う人もいるでしょう。

異性・恋愛関係

異性に癒着してしまう場合もありますね。

パートナーに癒着する場合は、パートナーの言いなりになる人もいれば、パートナーにだけめちゃくちゃ攻撃的な態度や距離を取る人もいます。

また、望まない恋愛関係を使って癒着する人もいます。

いわゆる浮気や不倫と呼ばれるもの。浮気相手・不倫相手にだけ癒着できる、という状況を作り出すので、浮気や不倫、その相手に対して強い依存性を抱き、相手を理想化しすぎてしまったり、相手の気持に振り回される、なんて状況を作り出しやすい、とも言えます。

仕事やお金、趣味

仕事やお金、趣味と癒着するという人もいます。

要は、自分がなにか没頭できて心の支えになるものとべったり癒着するのです。それがないと今の自分が保てない、といった状態になることも少なくないですね。

その結果、。ワーカホリック傾向を見せたり、お金に対してシビアになったり、逆に散在ばかりしたり、趣味の世界にはまりこんで抜け出せなくなったり、ということも起こります。

責任感・燃え尽き感から生じる癒着を手放すには

では、今回ご紹介した「責任感から生じる癒着」を手放すには、というお話なんですけどね。

実は責任感や燃え尽き感から生じている癒着を手放していく最初のプロセスは

「自分自身が背負ってきた心の重荷を下ろすこと」

から始まります。

心の重荷に気づいて下ろすプロセス

そもそもこの手の癒着は

心の中にたくさんの重荷を抱え込んでいるからこそ生じている可能性が高い

という理解をしていただく部分がとても重要なんです。

それぐらい自分自身が担うべき責任や使命以上のものを背負い込んでいることが多いのです。

例えば、望まない不倫関係を続けてしまう人のカウンセリングをさせていただくと、その前提に強い親の期待や、妻や子どもの期待などを感じていて、それが苦しすぎて燃え尽きそうになっていた、なんてケースは意外と少なくないものなんです。

他にも、仕事に癒着している人の中には、家族や妻、子供の未来を過剰に心配して背負い込んでしまっている方も少なくないのです。

このような背負い込みは、本人にとっては「当たり前」であり「愛(責任)」と認識されている事が多いので、なかなか下ろす、という発想になり難いようなんですよね。

しかし、この背負っているものが多ければ、どうしても癒着対象を探してしまいかねない、というジレンマも存在します。

だから、まずは「自分が抱えている心の重荷」に気づくこと。

そして、それを下ろすことが優先されるのです。

実際のカウンセリングでも、「自分が抱えてきた責任や重荷を背負っているイメージ」をつくっていただき、それを下ろすというイメージを作っていただくことがありますよ。

でもね、なかなか下ろせないんです。

周囲に申し訳ない気がしたり、自分の存在意義が失くなるような気がしたり。

でもこれって「罪悪感」なんですよ。つまり、この罪悪感で癒着していた、ということが見えてくるんです。

自分自身のマインドを取り戻すプロセス

心の重荷を下ろせたな、と感じられたら

次は、「癒着している対象とくっついてしまっている自分自身のマインドの一分を取り戻すプロセス」に入っていきます。

癒着している対象が、パートナー、不倫相手、仕事、お金、趣味、などだとしたら

「自分自身が癒着対象に明け渡したマインド、預けてしまっている自分自身の一部ってどんなものだろうか?」

と、直感を使いながら見つめていく感じなんですよね。

この「自分自身が癒着している対象に預けてしまっている部分」こそ、今の自分が喪失しているマインドを示すものなんです。

例えば、仕事に癒着しているパターンの場合

「自分自身が感じるべき自由さ、努力の結果得られる心の面での報酬、喜び、充実感」などなどを仕事に明け渡してしまっているケースってとても多いんです。

だから、自分自身が自由さ、報酬、喜び、充実感を感じられず、仕事に対しての感情も悪化していってしまうんですね。

だから、これを自分のために、自分らしく生きるために取り戻す、引き戻すプロセスが有効なんです。

一度考えてみてほしいのです。

あまりに自分が苦しくて、なにかに依存(癒着)したとき、あなたは癒着対象から何を得ようとしましたか?

そのとき、あなたはその癒着対象に

自分の何を相手に明け渡したでしょう?

何か犠牲する約束はしたでしょうか?

どんな自分の一部を相手に投げちゃったでしょうか?

このあたりに取り戻すべき自分のマインドがあったりするので、一度考えてみていただくといいかもしれませんね。

ただ、ここは一人で取り組むには少し難しいプロセスなので、できればカウンセリングなどを上手にお使いになってみることがおすすめではありますね。

最後に

さて、今回は責任感や燃え尽き感から生じる癒着に関してご紹介しました。

最後になりますけど、もしあなたが責任感・燃え尽き感から生じる癒着の中にいたとしたら、そんな自分をお責めになることは一切必要ありません。

自分のことを顧みない形で頑張り続けた結果生じるのが、責任感・燃え尽き感から生じる癒着なのです。

心理的に追い込まれるからこそ依存対象を求めることは、誰にでも起こり得ることですからね。

だから、どうか自分を整える、癒やす意識を持っていただけるといいのかもしれません。

そう心から願っていますし、僕で良ければいつでもお手伝いさせていただきますよ。

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