愛深き忍耐女子シリーズ

「無価値感」により夫婦の溝が生じる心理とその関係改善について解説します

怒る男性と泣き出す女性

浅野さんへ質問です。

カウンセリングでお世話になっています。
ブログネタになれば、そして自己理解の助けがほしく質問しました。

1年前、単身赴任の夫と喧嘩以降距離をとられていましたが先日話をする機会がありました。夫は私の言動に対して、自分の頑張りや努力を否定されたとずっとわだかまりがあるのだと話してくれました。自分の解釈なのかもしれないけど、と付け加えて。

そして、「自分は社交的でもないし、人間関係は上手くもない、だから根に持ってしまう」「家族としては大事だけど前みたいな気持ちには戻れない」「一緒にいるのがいいか分からないし苦しい」とも。そして「そんな自分と一緒にいたいと思うのか?」と聞かれたのです。

後から夫の発言を、自分なりに翻訳してみたところ、彼は

・自分の努力や頑張りを認めてもらえてなかったこと、自分を信頼されていなかったことに自分は傷ついている
・自分が与えてきた愛情を受け取ってもらえてなかった
・今の自分は妻を上手に愛せていないし妻の愛情を受け取れない
・そんな自分では妻を幸せにできない
・そんな奴でいいのか?どんな俺も受け入れるっていうのか!?

と理解しました。

その後の自分の気持ちなのですが、わだかまりは彼の問題で私にはどうにもできない。謝罪はしたのであとは待つしかない。

それから、「どんな彼も愛したい、受け入れたい、そんな自分になりたい」というものでした。

それは、相手の言動に揺れずに「私は彼を愛そう」という覚悟ができたような気もするのです。

どんな彼でも私の価値は変わらない、私は私で土台を整えながら待ってみよう、という感じ。

でもまるで女神かマリア様にでもなりたいと思っているような感覚のような気もして。与えたい忍耐女子に拍車がかかっているのか?と思ったり。

質問は、夫の発言の私の翻訳は適切か?そして、私の今の覚悟は客観的にどう見えるか?です。

ネタ募集ネーム:AIさん

AIさん、いつもありがとうございますm(_ _)m

またブログネタのご協力もありがとうございます!

さて、今回いただいたご質問、全般的に「夫婦の間で響き合う無価値感」の離しのように思うんですね。

わかりますかね?ご質問の中にある多くの発言、考えの根っこに

「心理的な自立」と「価値がない」という感覚がくっついていること。

なので、今回はその視点から、AIさんのご質問にお答えしたいと思います。

「無価値感」により夫婦の溝が生じる理由を解説します

無価値感が作る夫婦の溝を示すカップル

「自立タイプの無価値感」が作る夫婦の溝とは

まず、夫と妻、お互いが心理的に自立した状態で、自分自身の無価値さを嘆いている状態があり。

そこから生じる「相手との心理的な距離が戻らない状態のこと」をいいます。

「無価値感」とは「自分には価値がない」という感覚をもたらす感情です。

「自立」とは人を頼らず、アテにせず、自分の力だけで生きていこうとすること。

また、「いかに傷つかないか、失敗しないか」を考えて生きていく姿勢のことです。

「無価値感」が作る夫婦の溝が生じるまでの感情の動きを解説する

そもそも無価値感を感じている自立タイプのみなさんは

「何もできない自分を愛する人の前から消す」

という行動を取りやすいのです。

そうすることで、自分自身が無価値感というきっつい感情を切り離したくなるんです。

だから、多く男性側(夫側)は

「何もできない(与えているものに価値がない)自分なんて意味も価値もない!」

と感じています。

だから、価値のない自分を妻や家族から遠ざける、つまり、距離を取ろうとするのですね。

また、女性側(妻側)は

「夫から距離を取られている私(女性として愛されていないし、こちらの愛が伝わっていない)には意味も価値がない」

と感じています。

だから、夫との関係を取り戻そうとするのですが、その際に夫に「与える姿勢」ばかり見せてしまうことが多いんです。

すると、夫は「価値がないと思っている自分に与えまくってくる妻」を見て、更に無価値感を刺激される。

だから、更に妻から距離を取ったり、自己不信に陥る、なんてことが起き得るんですよね。

夫の発言をよくよく見てみると

ここで今回いただいたご質問にあるご主人様のご発言を見てみましょう。

「自分は社交的でもないし、人間関係は上手くもない、だから根に持ってしまう」

「家族としては大事だけど前みたいな気持ちには戻れない」

「一緒にいるのがいいか分からないし苦しい」

「そんな自分と一緒にいたいと思うのか?」

自分は社交的でも「ない」
人間関係は上手も「ない」
前みたいな気持ちには戻れ「ない」

このあたりの「ない」という言葉、これが指し示すものが無価値感だといえます。

だから、何もできない自分と一緒にいたいと思う妻の気持ちが理解できない(無価値感の方ばかりに気が取られている)

要は、自分にはこんなに価値がない部分がいっぱいあるんだぞ、という意識があり

そんな自分と一緒にいたいのか?という質問をされているように僕には見えました。

夫の発言に対する妻の解釈を見てみると

また、ご主人様の発言に対するAIさん(奥さま)の解釈を見つめてみましょう。

・自分の努力や頑張りを認めてもらえてなかったこと、自分を信頼されていなかったことに自分は傷ついている

・自分が与えてきた愛情を受け取ってもらえてなかった

・今の自分は妻を上手に愛せていないし妻の愛情を受け取れない

・そんな自分では妻を幸せにできない

・そんな奴でいいのか?どんな俺も受け入れるっていうのか!?

うん、大体あっているように僕は思いますよ。

が、「自分の努力や頑張りを認めてもらえてなかったこと、自分を信頼されていなかったことに自分は傷ついている」に関しては、奥様側の無価値感からの解釈かな、と思わなくもないです。

自立タイプの無価値感を抱える人は優しいが、自分のための選択が苦手

また、おおむね自立タイプの無価値感を抱える人は優しい性格の方が多いです。

自立タイプさんなので

普段から相手のために何ができるかを考え、相手が喜ぶことをしてあげたい、と思う人が多いんです。

でも、無価値感が強いので、実は「自分のための選択」がとても苦手なんです。

価値のない自分が、自分のためだけに行動するなんて申し訳ない。

そう感じてしまうんです。

だから、恋愛でも夫婦関係でも、自分のために行動するだけで、「自分はなんて勝手な振る舞いをする悪いやつなんだ」と思っちゃう人が少なくないんです。

これも無価値感の影響、といえます。

そんな人が夫婦関係の中で「一人になりたい(自分のために行動したい)」と思うとしたら

すでにかなり気持ちの面で追い詰められている可能性を僕はみるんですね。

「できれば妻のために役に立ちたい、でももう無理なんだ・・・」

そんな葛藤がそこにはあるのかもしれません。

無価値感により生じた夫婦の溝を修復するためのいくつかのアイデア

夫婦の溝を越えたカップル

では、ここからはいただいたもう一つのご質問にお答えしながら

無価値感により生じた夫婦の溝を修復するためのいくつかのアイデアをご紹介しますね。

夫(相手)の気持ちに気付けなかったことへの謝罪を行う

夫婦関係の溝が生じ、その上で二人が話し合うとき

なかなか相手の葛藤や不安、気持ちに気付けなかった、なんてことも大いにあるはずなのです。

そんなときは「相手の葛藤などに気付けなかったこと」を素直に認めて謝罪することはアリです。

もちろん何度も繰り返し謝る必要はないんですよ。やりすぎるとそれはそれで問題なので。

その後の自分の気持ちなのですが、わだかまりは彼の問題で私にはどうにもできない。謝罪はしたのであとは待つしかない。

なので、このAIさんの考え方、僕は指示したいと思います!

どんな夫(相手)のことも愛したいという気持ちを抱く

また、どんな夫(相手)のことも愛したい、愛してあげたいという気持ちを抱くことは素晴らしいことです。

むしろそう思えないとなかなか相手を理解したり、受け入れることが難しくなるんです。

それから、「どんな彼も愛したい、受け入れたい、そんな自分になりたい」というものでした。

それは、相手の言動に揺れずに「私は彼を愛そう」という覚悟ができたような気もするのです。

でもまるで女神かマリア様にでもなりたいと思っているような感覚のような気もして。

与えたい忍耐女子に拍車がかかっているのか?と思ったり。

なので、このAIさんのお気持ちは素晴らしいものだと僕は思います。

ただ、だからといって「与える姿勢」ばかり見せてしまうと、自立タイプの無価値感夫さんは凹むと思うんですよ。

もう少し心理的に考えてみると

恋愛や夫婦関係というものは、お互いが「自立」と「依存」の立場ををぐるぐる変えながら進むものなのです。

だから、夫婦の溝ができているような状況であっても

奥さま側が「与える」という自立のスタンスを取ることで、相対的に夫側は依存のスタンスに移行するのです。

つまり、夫側が追いかける側になるのですね。

だから、どんな彼も愛する、という選択は正しい。

ただ、夫側に無価値感の影響が強く出ている状況なので、それを煽るような選択肢はちょっと使いづらいんですよね。

なので、ここでの愛する与える姿勢とは

  • 「夫(相手)を理解する姿勢」
  • 「相手のやりたいようにやらせてあげる」という心の器

を示すことが少なくないものですよ。

特に「夫(相手)が、離れることで妻(あなた)に示そうとしている意思、気持ち」を受け止めることはとても重要なんですよね。

ここをスルーすると、夫(相手)は

「結局自分はなにもできなかったってことか」と無価値感のど真ん中にはまり込んでしまう可能性がありますね。

自分の存在価値を信じて待つ

また夫婦関係修復のためには、夫側だけでなく妻側の無価値感をできる限り手放すことも重要です。

妻側が「私には価値がない」とはまり込んでしまうと、自立タイプの無価値感夫さんとしては、もう「詰んだ」感じがしてしまうんです。

でも、夫婦は鏡、なんていいますけど

よくよく夫婦関係を見てみると、お互い似てたりするんですよ。

「お互いに相手に与える意欲はあるし愛もある。

でも、どうしても何もできない自分は無価値、という感覚が消えずに囚われている」

といった感じで。

どんな彼でも私の価値は変わらない、私は私で土台を整えながら待ってみよう、という感じ。

なので、自分の存在価値、いわば基本的自尊感情を高めることは大正解だと思います。

そのためには自分を認める視点も重要でありながら

  • 「今自分がつらい気持ちを抱えていることを誰かに分かってもらうこと」
  • 「今のこの状況から何を学ぶか」
  • 「夫の心理を理解して何を学ぶか(自分が愛されていることを知ることができるか)」

という視点も重要になってくると僕は考えています。

 

今回は以上です。何か参考にしていただければ幸いです。

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