恋愛の心理学

過去の恋愛で感じた痛みとその対処法 ~6年くらい付き合っていた彼氏のことが未だに許せないんです~

許せない気持ちは「頑張った足跡」だと理解してみる

浅野さんへの質問

いつも興味深く読ませていただいています。
今、お付き合いしている人がいるのですが、お互い自立系なもので甘えや意思表示が難しかったのが、浅野さんのブログを読むようになってからすごく居心地の良さが変わりました。

その方と別の過去の関係というところでご意見をいただければ、と思います。

6年くらい付き合っていた彼氏のことが未だに許せないんです。
付き合い自体は10年くらい前で元々学生時代の知り合いで、いまの彼の奥さんも私の知り合いです。(そのまた知り合いや当事者から現在の状況は当時知らされました)

付き合いたての私は自信がなくて彼氏はとても肯定する言葉をくれたり、デートも全部奢ってもらい”与えてくれる存在”として大きかったように思います。

別れる1年前くらいからは仕事終わりに呼び出されて、デートというよりはセフレのような関係だった気もします。

時折、”付き合ってるみたいだね?”と確認するように言われるのも当時の私にはよく理解できず。
別れる時も彼氏から突然”好きな人ができたので”と切り出され、パニックになりながら次に付き合いたい人が自分の知り合いでもあることにも傷つきました。

“お互い暫く別の人と付き合ってみて、また再会したら交際するかもしれないよ”という言葉で一気に冷めて、二度とそんなことはない、と私から言ってお別れしました。

とにかく当時は傷だらけで辛かったです。

周りの友人や先輩に随分助けてもらいました。先述しましたが、その後も2回ほど、近況が綴られたメールが届いて、私が元気でいるか確認がありました。突然すぎてパニックになりながら返信したり無視したのを覚えています。当時LINEがあったらブロックしてたと思います(笑)。

いまは彼や奥さん、その周囲の人々の連絡先を知りませんし、会いたいとも思いません。ただ未消化な恨みや哀しみの感情が1人でいる時にこみ上げます。

彼と別れた後のいまの自分が好きですし、いまの周りにいる人達が大好きで感謝しており、何でこの感情が置いてけぼりみたいにあるのかなぁと不思議です。

お時間あるときにご意見いただけると嬉しいです。

ネタ募集ネーム:るんさん

 

るんさん、ネタのご協力ありがとうございますm(_ _)m

今、お付き合いしている人がいるのですが、お互い自立系なもので甘えや意思表示が難しかったのが、浅野さんのブログを読むようになってからすごく居心地の良さが変わりました。

 

マジですか!それは本当に嬉しいご感想です!ありがとうございますm(_ _)m

・・・もとい、ご質問でしたね。

なるほど、今ではなく過去の彼のことが許せないということですね。

では、どうしてこのようなことが起きるのか&癒やしのポイントについて、今日は解説したいと思います。

それでは本編へ。

純粋であるがゆえに傷つくこともある

6年くらい付き合っていた彼氏のことが未だに許せないんです。
付き合い自体は10年くらい前で元々学生時代の知り合いで、いまの彼の奥さんも私の知り合いです。(そのまた知り合いや当事者から現在の状況は当時知らされました)

付き合いたての私は自信がなくて彼氏はとても肯定する言葉をくれたり、デートも全部奢ってもらい”与えてくれる存在”として大きかったように思います。

別れる1年前くらいからは仕事終わりに呼び出されて、デートというよりはセフレのような関係だった気もします。

時折、”付き合ってるみたいだね?”と確認するように言われるのも当時の私にはよく理解できず。
別れる時も彼氏から突然”好きな人ができたので”と切り出され、パニックになりながら次に付き合いたい人が自分の知り合いでもあることにも傷つきました。

 

なるほど、そんなできごとがあったのですね。

それはホント傷ついちゃいますよね。

さて、では本題へ。

今回のご質問を紐解くカギは「付き合いたての私は自信がなくて」という部分が一つの鍵になるでしょうか。

物事の始まりや未経験なできごとの前での僕たちって「純粋」なんです。

「どうなるんだろう」「どうすればいいんだろう」といった不安を抱えつつも、純粋に今起き始めたことに対応して受け容れていこうとします。

恋愛で言えば、純粋に相手のことを思うし、いい意味で疑わないし、相手にも寛容でありたい、受け容れてあげたい、と思うものなんです。

一方で、これからどうなるの?どうすればいいの?という「不安」がある分だけ、相手の態度に依存した関係性を結ぶことにもなります。

「相手の言動で自分の感情が決まってしまう」

そんな状態になりやすいんですよ。

だからこそ、「自分の気持ちがよくわからなくなる」「相手に合わせるだけの関係になってしまう」ということが起きるのですが、このときに「癒着」のような状態になることも少なくないんです。

特に心理的距離が近く、親密感がテーマの恋愛では起きやすいことです。

純粋に相手のことを考えているわけですが、いつしか自分と相手の感情の境界線がよくわからなくなるんですね。

ある意味で「自分喪失状態」になることがあるんですよ。

これがきっと「自信がない」という表現につながっていると僕は思うのです。

自分がどうしたいか、自分は何を求めているか、という部分がわからないし、表現できなくなっていく感じ。

ただ、そうであっても「相手のことを受け容れてあげたい」という気持ちが消えるわけじゃないんです。

むしろ、そういった気持ちが消えることを怖れるんです。

特に心理的距離が近く、親密感がテーマの恋愛では起きやすいことです。

そして、別れた彼を「許せない」という気持ちは、このような純粋さゆえに感じることが多いものだろうと僕は考えています。

 

恋愛とハートブレイク その心のプロセスを知る

純粋な気持ちで、彼のことをたくさん受け容れていた。

これをあえて言い換えるなら、「恋愛関係の主導権を彼に渡して関係性を結んでいた」ともなりますが、この状態で相手に自分の気持ちを理解してもらえないだとか、ひどい扱いを受けたとしたら、ものすごく傷つきますね。

本当に「痛い」と感じる経験になりますし、なかなか忘れられない(乗り越えられない)ハートブレイクになることも少なくないものです。

ここで感じる痛み、なかなかブロックすることって難しんですよ。心のなかでジンジン響くんです。

悲しいし、辛いし、惨めな気持ちがしたり、寂しさにも襲われます。

この自分が感じている感情を真摯に受け止め、自分のこととして捉えることができなたら、それこそアカウンタビリティ~自分の感情に責任を持つ概念~となるのですが、そう感じることが難しい場合もありますね。

すると、今度は「怒り」を使い、痛みを感じないようにします。

「こんな痛みを与えた相手が許せない」と思うことで、この痛みをブロックしようとするわけですね。

「自分の大切な気持ちを傷つけられた」という被害者意識を強めるのもそのためです。

ここで感じる怒りや恨みは、自分が純粋だった度合いだけ強くなる、ともいえます。

この状態で別の恋愛が始まるとしたら、おそらく「相手を徹底的に試す」恋愛画になる場合が多いでしょう。

相手の様子を伺いながら、相手が「好き」と言ってくるならその言葉を試すように突っぱねたり、わがまま放題な態度をとったり、いいたくもない文句を言ってみたり、悪い態度をとってみたり。

これは過去に感じた心の傷が大きいほどそうなる、といえます。

相手のことを許すと、自分が痛みを感じるので、どうしても許したくなくなるのですね。

が、この怒りや恨みを感じていることも辛いので、多くの人はこう考えるようになります。

「いつまでも怒っていても、大人げないし自分も辛い。なのに恨んでしまう自分ってダメなのかな。」

ここで自分を恥、責める気持ちが出てくる。

自分の心の傷を癒やすのではなく、「恨みつらみを持っている自分」を否定的に思う気持ちが「正しい」と思うようになるんです。

つまり、自分自身に対する罪悪感を感じるようになり、自分をどこか否定するようになるんですね。

この状態で恋愛が始まると、いわゆる犠牲的で尽くす恋愛をしたり、過去の恋愛の失敗経験を反省材料にしすぎてしまい自分に自由のない、いつダメになちゃうだろう?という恐れを感じながら恋愛をするようになるんです。

もちろん恋愛に対する自信も感じられませんし、愛されても嬉しくありません。

相手にすがりたくなる気持ちも出ますし、見捨てられる不安もたくさん出てきますから、執着心も強まります。

自分の痛みを放置し、自分を許せない度合いだけ、辛い恋愛になっていくんですね。

そんな関係性に嫌気が差すと、今度は自立しはじめます。

「もう誰かに振り回される関係はイヤ」だと思い、自分だけで生きていく人もいれば、パートナーがいても深く関わらない関係になっていったり、お互いの邪魔をしないような関係性を作ろうとします。

その分だけ怒りも、罪悪感も、不安も感じないので楽だと感じるのですが、過去の抱えた「痛み」が癒やされているわけではなく、感じないようになっているだけなんです。

だから、本当に自分とつながろうとしてくれるパートナーがいても、自然と距離をおいたり、拒絶的な態度をとるしかなくなる。

これが「自立の恋愛パターン」になるんです。

そばにいたいと思うのに、近づけない。

まるでヤマアラシのジレンマと呼ばれるような状態になるわけですね。

その結果、「私のそばには誰もいない」という感覚がやってきて、「結局こんなものなのか、恋愛って」と思いこんでしまう人もいます。

あれだけ「ロマンス」を求めていたのに、それが感じられず、この世の中にそんなものなんて存在しないんだ、と思うようになる。

しかし、ロマンスは僕たちにとっての大好物なので、それを欲する。

すると、自分の恋愛における「感情が止まった部分」の「恋愛パターン」が何度も登場することになります。

例えば、

・痛み・ハートブレイクで止まっている人は、怒りや恨みつらみが出やすいし、何度も相手を試すことになり。
・罪悪感で止まっている人は、尽くす恋愛や浮気の問題、また自分自身の執着心にさいなまれることにもなり。
・自立で止まっている人は、近づきたいけど近づけない関係ばかりになってしまったり、恋愛の喜びを感じられずにいる。

簡単ですけど、恋愛とハートブレイクの感情的なプロセスを簡単にまとめてみました。

 

残した痛みは「自分が頑張った足跡」

いまは彼や奥さん、その周囲の人々の連絡先を知りませんし、会いたいとも思いません。ただ未消化な恨みや哀しみの感情が1人でいる時にこみ上げます。

彼と別れた後のいまの自分が好きですし、いまの周りにいる人達が大好きで感謝しており、何でこの感情が置いてけぼりみたいにあるのかなぁと不思議です。

 

なるほど。

たくさんの方に支えてもらえて、たくさん癒やされた部分があるのではないでしょうか。

きっと、るんさんの周りには素敵な人がたくさんいて、それほどの人望があなたにもおありなのでしょうね。

ただ、あえてこう考えてみるとどうでしょう。

「素敵な人にたくさん支えてもらえたのだから、自分の許せない気持ちはなかったことにしないといけない」

もし、あなたがそう思ったとしたら、という話ですけど。

「元彼が許せない」と、「私はたくさん傷ついた」と、表現できない状態になりはしないでしょうか。

そう感じるもの、きっと、るんさんが周りの人に対して感謝や思いやりをお持ちだからだと思うのです。

ただ、「あなたの純粋さに対する痛み」が残っているとしたら、これが取り残された「許せない」という気持ちとして存在する可能性があるかもしれない。

これが僕の見立てです。

僕たちは辛いとき、なかなか全力で人の手を借りていないことが多いんです。

みんなが良くしてくれるから、こんなにも良くしてくれる人がいるから、その人達のために頑張ろう、元気になろうって思うことって多いんですよ。

もちろんそう思える人がいることは幸せなことですし、そう思える自分にも優しさがあるんですよね。

ただ、その反面、ちゃんと自分の気持ちがスッキリするまで「本当に辛い・痛い」となかなか言えないし、「まだ、あのときのことが忘れられない」と、言えなくなっていくことも少なくないですね。

「うん、これだけみんなに支えてもらったのだから、大丈夫なはず」と、周りの思いや、その期待に答えようとする人ほどそう感じやすいものだろう、と僕は思いますよ。

もちろん、このことをネガティブに見る必要はないんです。

つらい痛みを抱えたとき、自分を支えてくれる人の想いを受け止めて、一生懸命に頑張ったのも、きっとあなたでしょうから。

ただ、未だ「許せない」という気持ちが残るとしたら、これが「未消化の過去の痛み・傷」と呼ばれるものになる。

だから、今も残った痛みは「自分が頑張った足跡」と考えてみてはいかがでしょうか。

純粋で、愛があって、優しい自分が抱えた痛みは、自分自身が一生懸命だった足跡。

少なくとも僕はそう思うから「何も悪いものなんてないよね」と思うんです。

るんさんも、どうぞ過去の自分を大切に、そこにあった自分自身の思いを丁寧に見つめていただくのはいかがでしょうか。

そこで気分が軽くなれたり、ジーンとあたたかくなれたなら、いい方向に気持ちが流れていくと思います。

また、もしその時の相手の行動や言葉で、自分の内面に取り込まれたもの、イメージがある場合は、飲み込まずに吐き出すことも必要になることもありますよ。

このお話はまた別の機会に書きますねー。

 

問題をしっかり切り分けてみましょう

【ここからはおまけです】

今回取り上げたような過去の痛みは、「自分自身の純粋さ」に対する痛みですから、この痛みを残しておくと「今の自分が自分が誰かのお役に立っていて、喜びである」という感覚、自尊感情を感じにくくなる理由となることが多いんですね。

いわゆる「受け取れない」「何事も疲れやすい・燃え尽きやすい」という状態を作る理由になることが多いもの。

もし、気になるならば、癒やしておいてもいい感情かもしれませんよね。

ということで、最後はこういった痛みの対処法についてまとめてみます。

心の痛みも一つの感情。

受け入れていくことで、解放につながっていきます。

ただ、僕たちは実際に感じると「痛い」「辛い」を感じる感情を感じないようにしたいものですし、心の防御システムのようなものも持っています。

痛みをなかったコトにしようと頑張ると、「許せない」とか「自分を責める」など、痛み止めのようなものが必要になるんです。

他にも、怒り、攻撃性、恨みつらみ、言い訳、自己攻撃、罰、補償行為・・・いろんなものがありますけどね。

だから「どのようにして自分の感情と上手に付きあうか」という視点が大切になってきます。

もちろん、失恋などの強い痛みを感じたとき、その瞬間、自分を守るために誰かを恨んだり、自分を責めたり、といったことは、起きえることでしょう。

ただ、その気持ちを持ち続けているデメリットは大きいし、何より自分が苦しい。

結局は自分の傷に、さらに塩を塗り込んでしまうような状態になることが多いんです。

いい気分が感じられないだけでなく、自分のイメージが怒りや許せないという気持ちの分だけ悪くなったり、不要な罪悪感や恐れを感じることも増える場合もあるのでね。

こんなときは「問題の切り分け」を考えてみてください。

もちろん、多くの失恋・ハートブレイクに対しては、その時のパートナーは関係しています。

が、ここで相手の存在にこだわると、自分の感情から遠ざかることになるので、更に苦しくなったり、嫌な気分になり、また痛み止めのようなものが必要になるものです。

大切なことは、自分が感じた痛みをどう癒やし、自分がいい気分になっていくか、ではないでしょうか。

もちろん心に余裕がないときほどごっちゃになるものですから、まず気持ちの整理が必要になることもありますよ。

この「問題の切り分け」という視点は、自分自身の癒やしの優先順位を上げる効果があります。

いわゆる「恨みつらみ」や「許せない」という気持ちは、自分が癒やされる優先順位を下げてでも、痛みを感じないために持つ痛み止め、という意味になることも多いものです。

ただ、もし自分の感情と向き合うならば、できる限り自分の心のコンディションを整えながら向き合うことを僕はオススメしています。

やっぱり無理は禁物、なんですよね。

辛いときに辛い感情を引き受けるって、ちょっとハードコアな感じがしません?

今の僕はそんなハードコアマッチ、あまり好みませんよ~。(昔は大好物でしたが(^^;)

できれば、心をゆっくり休めたり、楽しいことをしたり、美味しいものを食べたり、好きなものや人と触れ合ったりと、心の余裕を作ってみたり。

カウンセリングという安全な場所で、自分の気持ちを整えてみてください。

ABOUT ME
浅野 寿和
カウンセリングサービス所属心理カウンセラー。名古屋を中心に東京・大阪・福岡で〜旅人のように〜カウンセリング・セミナーを開催。心理学は現実で使えてなんぼ、がポリシー。
カウンセリングを利用する
カウンセリングを受ける

本当の幸せを見つめる・見つけるカウンセリングが人気!
心理カウンセラー浅野寿和のカウンセリングのご利用方法はこちら。

カウンセリングのご案内ご予約可能時間のご案内