恋愛の心理学

パートナーの誤解や決めつけで苦しいときの対処法 ~飲み込んだ感情はちゃんと吐き出そう~

パートナーの誤解や決めつけで苦しいときは

恋愛やご夫婦関係のご相談をいただきますと

「パートナーの思い込み、誤解からうまれる決めつけ」で責め立てられて辛い、というお話を伺うことがあります。

「君は〇〇なんだ!」とか「あなたが裏切ったんだ!」などの言葉をぶつけられてしまうことで、自分に非がなくても、怖くて何も言い返せなくなったり、自分が悪いような(汚れているような)気分になって、毅然とした態度でいようと思っても、難しくなってしまう方もいます。

だからこそ、相手の誤解をなんとか解こうと頑張ってみるけど、激しい抵抗にあってしまうこともしばしば。

こういった経験から、自分に自信が持てなくなったり、恋愛や結婚に前向きな気持ちが持てなくなった、というお話もありますね。

このようなときはどう対処したらよいか、簡単ですが解説していきたいと思います。

 

人から誤解や決めつけを受けたときの反応あれこれ

僕たちは、人から責められたとき、以下のような反応をすることが多いものです。

  1. 他人から誤解や決めつけを真に受けて、強い罪悪感を覚え、「自分はダメだ」と自分を責め続ける。
  2. 自分が誤解や決めつけされているという事実にも、その理由にもほとんど関心を持たない。
  3. 他人から誤解や決めつけられていることを受け止め、その点について改善しようとする。

この中で最も辛い思いをすると考えられるのは、「1」のタイプの人。

他人からの誤解や決めつけを真に受けてしまう完璧主義者さんや理想主義者さんは、ついつい「期待と失望」の心理が強く働くので、誤解や決めつけで苦しむし、自分を信頼できなくなる、といった感じです。

自分だけでなく他人や物事に対して、つい「期待」をしてしまう傾向が強い完璧主義者さん・理想主義者さんは、「自分が誤解されたり、決めつけられる」と「自分は期待はずれだ」と感じ、「人のから誤解され、決めつけられる」と、また「やはり自分は期待はずれだ」と感じる傾向があるから、そう感じやすいのです。

正当な根拠がないにもかかわらず、自分を誤解や決めつけ続け、罪悪感をかき立てる人がいた場合も、ひどい自責感にさいなまれるような場合もあるかもしれません。

これを、「今、私のメンタル豆腐だから」とか、「私、すごく打たれ弱いんだ」と表現する人も少なくないですよね。

でも、そんな自分が悪いわけじゃないんですけどね。

あまり人と関わらず、遠慮していたり、何事も一人で頑張ってきた人ほど、そう感じやすいものだと僕は思います。

また、この3つのパターンの中で、最も罪悪感を感じないであろうタイプは「2」の人でしょうか。

自分に向けられた誤解や決めつけなどを否認して「聞く耳を持ちませんよ」という姿勢を示すんです。これは一種の「防衛」で、「自分はダメだ」と思わずにすむための反応だと考えられるんですよ。

もし、「2」のタイプの人が、他人の誤解や決めつけで悩んでいる「1」のタイプの人から相談を受けるとしたら、「人の誤解?あぁ、そんなの気にしなければいいんだよ、私はそうしてる」と答える可能性は高そうです。

まさに「人は自分の成功体験を善意で伝える」といった感じでしょう。「2」タイプの人に全く悪意などなさそうですよね。

が、「1」のタイプの人にとっては「それが難しいんだけど・・・」と思ってしまうかもしれませんね。

・・・難しいなぁ、人間関係って(笑)

なお、最もおすすめできるのは「3」のタイプでしょうか。

ただし、誤解や決めつけを受ける理由になっている点については改めることは必要でも、必ずしも「自分はダメだ」と思う必要はないんです。

ちゃんと「相手から非難されていること」と「自分自身」を切り分けて考えてみるといいでしょう。

特にいわれのない誤解、決めつけが起きているなら、それは相手との関わり方の問題かもしれないし、相手の事情が理由になっているかもしれないし、なにか自分が悪いという答え以外のところに、答えが転がっている場合がありますね。

 

あまりに激しく誤解や決めつけをされると

しかし、どんな人もあまりに激しく他人から誤解や決めつけを受けると

「もしかして自分がものすごく悪い存在なんじゃないか」
「自分が間違ってるんじゃないか」
「少なくとも何か間違いがあるからこんな思いをするのではないか」

など感じ始めることが少なくないもの。

これが僕たちのココロの繊細な部分でもあり、難しいところなんですよね。

普段から自分に自信があったとしても、不特定多数の人や自分の身近にいるパートナーから強い誤解や決めつけをされ続けると、自分を疑いはじめることがあります。

もちろん、誰しも「人に悪く思われる」ことは嫌なことですし、自分も嫌な感情を感じますから、不安にもなりますし、ときには、相手の誤解や決めつけをなんとか解消しようと必死に抵抗したくもなります。

だから、相手の誤解や決めつけを正さないと気持ちが落ち着かなかったり、あまりに相手の誤解や決めつけがひどいときには、相手に報復したい気分になることもあるでしょう。

ある心理学者によると

「報復したいという欲求は、生物学的な視点から見て、飢えと同じく満たされるまで消えない」

とも言われていますから、あまりに相手の誤解や決めつけばかり意識してしまうと、根深い恨みつらみになることも少なくないです。

すると、先に書いた「2」のタイプの人のように、相手の耳が痛いことも一旦受け止めて、改めるところは改めて、自分を責めないということが難しくなるんですね。

まぁ、死なばもろとも、といいますか、相手と相打ちになっても報復したい、という気持ちになる人もいるやもしれません。

まさに「相手が許せない」という気持ちが生じるわけですよね。

ただ、先にも書きましたが、この状態に陥りやすいのは「期待が強い人」。

なにかに期待を強めている状態が続くと、ついつい相手の意見を飲み込んじって、自分を見失うこともが起きるのですね。

 

問題を切り分けて、飲み込んだ感情はちゃんと吐き出そう

こういった場合の対処法の第一歩は、「問題の切り分け」です。

相手の言動をすべて鵜呑みにせず、改めるところは改める、自分自身のことは大切にする、といったふうに考えることなんです。

ただ、これがうまくできないこともあるんです。

例えば、パートナーから(家族や親、恋人などから)

「君はすごくいい加減で、愛のかけらもない」と何度も誤解や決めつけをされたケースがあるとしましょう。

失恋や浮気などの案件なら「もう君のことは愛していないし、君はいつもわがままだ」と何度も言われた、というケースです。

相手の誤解や決めつけによって、自分自身がネガティブなイメージ、感情を飲み込んでいきます。

人によっては、「人にこう言われたから、私はきっと〇〇な存在なんだ」と思いこむことさえあるでしょう。

ホント、苦しいことですけどね。

万が一、自分がこういった状態になったなら、まずこう考えてみましょう。

もし、自分のためを思って善意から叱責する人は、「ダメな点だけ」をより具体的に指摘するはずで、自分の存在や能力などを全否定して、けなしたり軽蔑したりするようなことはしないはずです。

 

つまり、相手は相手の事情で、自分の罪悪感をかき立てようとしているのではないか、傷つけようとしているのではないか

(※相手が悪い、自分が被害者だ、ではなく、自分と相手は別の人間である、と理解することがポイントです。)

そのように、まず問題を切り分けを意識してみるといいんです。

そして、今の苦しい状況を続けると、自分も同じように「相手の罪悪感をかきたてたくなるかもしれない」と気づければ最善でしょうか。

もちろん誤解や決めつけで苦しむと、許せない、恨みつらみを持つこともありますよね。

ただこれは、被害者意識から生まれる「相手の罪悪感」を掻き立てたいという気持ち。

そういった思いを持ってしまうのは仕方がないことしても、パートナーの誤解や決めつけで苦しいんだのに、今度は自分が相手と同じような感覚を感じてしまうと苦しいのは自分、なんです。

これが、僕がお伝えしている「相手の感情を飲み込んじゃってる」という意味でもあります。

あんなふうにはなりたくなかったのに、自分がそうなってしまう、というわけです。

こんなに切ないことはないですよね。

なので僕は「飲み込んだ感情は吐き出しましょう」とお伝えしています。

言い換えれば、「外で体が汚れたらお風呂で汗を流すように、相手から受けた影響は浄化しましょうか」みたいなものです。

飲み込んだものは吐き出しましょう、と。

実際のカウンセリングなどでは、吐き出すイメージワークセッションで行うことが多く、思考ではなく心に響くセッションのほうがスピーディに効果を発揮することが多いですね。

セルフワークとしては、相手と自分を切り離す感じがいいでしょう。

「私とあの人は関係がありません」のような言葉がいいかな。

逆に、「私は〇〇な人間じゃない」「人に〇〇のように思われたくない」とか「相手への恨みつらみ」を持つと、どんどんネガティブな感情やイメージが膨れ上がっていくので注意してくださいね。

ちなみに、この切り分けがある程度できている人、なんとかしたいと思われた人は、自らのカウンセリングやワークショップにお越しいただくことが多いです。

実は、ここには一つのからくりがあってですね。

相手の誤解や決めつけを取り込みすぎて、「他人に叱責されたらどうしよう、変だと思われたらどうしよう」と恥の意識が強まってしまうと、人と関わることが怖くなりすぎちゃうことも多いんです。

本来は自分が持つイメージではなかったとしても、他人の誤解や決めつけで受けたイメージが自分の内面に取り込まれると、そんな自分を知られたくないと思うようになるんですよ。

だから、人と関わるワークショップや、癒やしをすすめるカウンセリングですら怖くなるものですよね。

・・・その気持ちは僕なりに分かりますし、だから、僕もできるだけ安全な場所をご用意しようと心がけているんですけどね。

こんなときほど、考えてみていただきたいことは

「本当にあなたは、誰かの誤解や決めつけがふさわしい人なんでしょうか?」

ということ。

こういったお悩みは、誰にも相談できず長い間抱え込んでいる場合がとても多いもの。

自分の中の不安や怖れを解決したいと思っても、なかなか人に話すことにためらいを持つものです。

が、もし、「本当の自分を取り戻してみたい」と思われたなら、その誤解を解く一歩を踏み出してみていただければ、と思っています。

もちろんこれは、あなたのタイミング、あなたの意思で決めていただければいいことですよ。

今、動くことが私のベストだと思って。

あなたの選択に早いも遅いもありません。

誰かに言われて行動しても、むしろしんどいですからね。

 

癒やしを効果的に行うポイント

最後になりますが、この「飲み込んだ感情を吐き出す」プロセスをより効果的に行うポイントをまとめてます。

・自分を責めない

自分が悪いと思っても、飲み込んだ感情は消えないから苦しいですよね。
実は、自分が悪いのかな、と思いすぎると、どんどん感情を飲み込んじゃいますから、要注意です。
自分が飲み込んだ感情は、自分の中で区別・整理して、しっかりリリースしていきましょう。

ちなみに、このようなときほど、身内などではなく、客観的な立場の第三者と話してふれあうほうが、飲み込んだ感情の整理もしやすいですし、なにより自分の気持ちが楽になるのでおすすめです。カウンセラーもその一つの選択肢に入れてやってもらえると嬉しいですね。

・相手が悪いとだけ考えず、自分のこととして取り組む

人を呪わば穴二つ、といいますが、相手が悪いとだけ考えると、相手の誤解や決めつけの影響からなかなか抜け出せなくなることもしばしばです。

こちらが相手を非難する理由が「相手の誤解や決めつけ」ならば、その根拠として相手の誤解や決めつけを自分が握りしめてしまうことになります。

もちろん心情として、相手に対する怒りなどを持つことはあると思いますし、僕もそういったお話は丁寧に聞かせていただいています。今、感じることにいいも悪いもないのです。

ただ、怒りや苦しさ、または「なんで私ばかりこんな目に・・・」という気持ちがあるなら、実はこれ、自分で自分を嘆き、ちっぽけに扱っている、ということに気づいてみてください。

自分が全て悪いわけではないのですから、その気持ちを解放し、自分自身にメリットのあることから取り組んでみてください。

また、何かしらの事情で相手の誤解や決めつけが変わったとしても、自分が飲み込んだ感情が残り、「また同じ目にあったらどうしよう」と感じる理由になることも少なくないです。

実際に癒やしに取り組むときは、自分のこととして取り組むことがモアベターな選択となりますね。

・期待を手放す

相手の感情を取り込むパターンは、なにかに期待する心理から生じていることが多いものです。

「これに取り組めば、きっと楽になれる」
「誰かに愛してもらえれば、幸せになれる」

これは自分自身に対する過小評価から生まれている、それこそ誤解なんだ、と考えてみてください。

相手に何を言われようと、自分には幸せになる力も、それを与えていく力も、幸せを受け取る価値もあります。

自分のことをアテにしよう、自分を応援してくれる人のサポートを受けよう、という意識を持つと、相手の意見と自分自身を切り分けていくことも容易になりますよ。

ABOUT ME
浅野 寿和
カウンセリングサービス所属心理カウンセラー。名古屋を中心に東京・大阪・福岡で〜旅人のように〜カウンセリング・セミナーを開催。心理学は現実で使えてなんぼ、がポリシー。
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