こんにちは。

心理カウンセラーの浅野寿和です。

今日は、夫婦やパートナーシップの相談で、かなりの頻度で出てくるテーマを。

夫:「ちゃんと話を聞いているのに、なんで“わかってない”って言われる?なんで機嫌が直らない?」

妻:「・・・ちゃんと話してるのに聞いてない」

まぁ、これはすでに擦られ続けて摩耗しているようなネタではあるんですが・・・。

これ、

男性側は、「話を聞いてるのになぜ」という不思議(いい加減にしてくれ)

女性側は、「・・・どうしてそう思えるのか」という不思議(ほんといい加減!)

それぞれ不思議さを感じる方がいるようなのです。

そこで、今日はこの「不思議さ」の正体に少し迫ってみようと思います。

が、男性は事実の生き物で、女性は感情の生き物で、という話を書きたいわけじゃございません。

今日は時間軸という視点から整理してみたいのです。

ここでズレているのは、愛の量でも共感力でもなく、二人が、”それぞれの気持ちをどう扱っているのか”

それでは今日の本編へ。


話を聞いているのに、妻(彼女)が落ち着かないとき

よくある場面。

  1. 妻(彼女)が何かを訴える。
  2. 夫(彼)は真面目に聞く。
  3. 状況を整理して、要点をまとめて返す。
  4. すると、妻(彼女)がさらに不機嫌になる。

男性側はこう思うかもしれません。

  • え、ちゃんと聞いてるのに
  • 理解しようとしてるのに
  • 解決策も考えてるのに
  • なんで怒られるの?

一方で、女性側はこう感じていることも。

  • 話したのに、伝わってない
  • 受け止められてない
  • なんか、軽く扱われた気がする

ここ、事実としての会話としては成立しているのに、実感としては繋がっていないんですよね。

だからお互いに”不思議”。

どうして”聞いてるつもり””受け止めているつもり”なのかが分からない、となるようですよ。


話を聞いているのに妻の機嫌が直らないのはなぜか

「話を聞いているのに妻の機嫌が直らないのはなぜ?」

この話とそのズレを整理するとき、僕がよく使う問いがあります。

「いま、相手のどこを見て、どう扱おうとされていますか?」

何が正解で、何が間違っている、という話ではなく、です。

多く、男性側(聞いている側)は、こういう意識で聞いているようです。

  • 妻に何が起きたのか。
  • 妻が伝えたいことの要点はどこか。
  • その話を聞いて、どう反応すればいいか。

一方・・・

女性側(伝えたい側)が扱っているのは、出来事そのものというより、

「その場(その時々)の私」

だったりするんですね。

ここで重要な考え方が、できごとの”時間軸”。

ここで「意識されている対象」がズレていると、会話が噛み合いにくくなる、という話。

・・・ますますわからなくなるかもしれませんので、もう少し話を続けます。


なぜ「気持ちが伝わらない」と言われるのか|会話のすれ違いの正体

たとえば、

女性が何かを話しているとき、実は「私」が2つ出てくることがあります。

ひとつは、

① 話している内容の中にいる私(あの時の私)

もうひとつは、

② 今、話している私(いまの私)

具体的に書きましょう。

たとえば、

「今日会社でこういう事があってね、こうだったの」と奥さんが話した。

その時点で登場するのは、会社での私と今の私、ですね?

でも・・・全ての男性の皆さんがそう思う、とまでは言いませんが、

ここで話を聞こうと思うと、こう意識しませんか?

  1. 「会社で起きた話を聞けばいいのだな」
  2. 「なぜその話を今するんだろう?でも、聞こうか」

おそらくこのどちらかの位置に入ることが多いと僕は思ってますよ。

そして、おそらく会社でのできごとと、その時の奥さんの気持ちに意識が向く。

それ、間違ってはいないです。

・・・ただ、このどちらかの視点を選んだ時点で、見えないズレが生じているようです。

できごとと今、感情は2つある

何が言いたいかと言うと、

  • 女性の語りは、できごとの話。
  • 女性が語ってるのは、今。

つまり、この会話の前提には、過去の私今の私が同時に存在していて、それぞれに感情がある。

そんな形になっているようなのです。

これも自然なことなのです。

感情というのは、その時々の中で変わり、動くものですし、

「あの時そう感じた」と「今こう感じている」が、同居することがある。

これはきっと男性も同じだとと思うのです。

たとえば、

会社でむしゃくしゃしたことがあった。これは「その時の自分」。

今イライラしている。それは「今の自分」。

きっとここはご理解いただけると思うのです。

一つのチャンク(塊)か、そうではないか

ただ、男性の理解って、

この”2つの自分”は”一つのチャンク(塊)”のようになっていませんか?

「会社でむしゃくしゃしたから、今イライラしている」。

しかし、どうやら女性の中では、

そもそも1つのチャンクになっていないことがあるようです。

その時の私(の気持ち)と、今話している私(の気持ち)は別。

だって、気持ちが一緒とは限らないから。

そんな仕組みになっていることがあるようです。(いつもそうではないでしょうが)

ここが、どうやら会話の中の「焦点のズレ」のようです。


妻が同時に伝えている“2つの私”とは何か

たとえるなら、こんなイメージ。

彼女の話は、2枚の写真

  • あの時の写真(その時の私)
  • いまの写真(いまの私)

でも男性は、その写真を見ているつもりで、

写真に付随した解説文を読んで解釈している感じになるようです。

「(つまり、この写真にはこんな光景があるわけで、このとき君はこんな気持ちになったということね。なるほど、分かったよ)それは大変だったね。」

ただ、写真として差し出した側からすると、

「・・・そうやってレポートにされると、なんか違う気がする。写真見て何も思わないの?」

「あと、もう一枚写真はあるんだけど、気づいてる?(今の私が何を感じて話しているか)」

となることがある。

これが正確な心理描写かどうかは別にして、しかしどうやらこんなイメージらしいと書くと、男性の皆様にも伝わりやすいのではないかと思っています。

そう、1方向ではないのです。

2方面作戦が必要なのです。

さらにいえば、感情はコロコロ変わりやすいので、3方面、4方面作戦が求められる場合も・・・。

そんなん無理ゲーやん、と思ったあなた。

・・・わかります。

だから男性もイライラするんです。

話を聞くつもりあるのに、一体何を分かってほしいのかさっぱり、だから。

ただ、ここでは

「少なくとも”2つの流れ”を会話の中でキャッチする必要がある(らしい)」

そう頭の片隅にでも置いておかれるといいのかもしれません。

・・・なんとなく、言いたいこと伝わりますでしょうか?


感情は、出来事とセットで保存されている

ここで少しだけ、感情の性質の話をします。

僕たちはよく「気持ち」と言いますが、

気持ちというのは、それ単体で固定されているものではないことが多いです。

思い出や事実、ストーリーと一緒に残っている。

これは記憶と感情のしくみから考えても、妥当だと思います。

だから、

「あの時、その瞬間、こう感じた」

「今、あなたに話している私はこう感じてる」

という形で、気持ちは残る感じ。

一方で、そもそも感情は、さっと現れて、さっと流れていくものでもあります。

だから僕たちは、アルバムや出来事などに紐づけて、感情を思い出している、とも言えます。

ここで、出来事だけを取り出して

「そういうことなんでしょ」と要約されると・・・

「感じていたこと価値が、あなたの反応によって消された」

ように感じることがあります。

共有したかった気持ちは、まるで”なかったこと”にされたように感じる。

・・・でも、実はこれ、男女問わず、そうかもしれません。

たとえば

男性のみなさんも、ものすごく苦労して完了させた仕事の話をして、

奥さんに「そう、おつかれ」で切られたら、「はぁ?」となりませんか。

(あえて塩対応して、こっちの話を聞くように仕向けてる女性もいますが・・・)

それは事実の話というより、そこに込めた気持ちへの反応の問題だからです。

ただ、その気持ちの話の、更に前の”前提”がちょっと違う。

できごと、感情、話す行為まで一つの塊で認識する夫と

そういう形にはなっていない奥さん、というね。


過去の出来事を持ち出す理由

この話を象徴する、よくある例がこれですね。

「・・・出産のときの、夫のあの言葉は忘れられない」

これ、男性側からすると「え、いまさら?」となりやすい。

別に悪気があったわけじゃないんだよ、謝ったじゃん、と。

でも、女性側が言っているのは、必ずしも「恨み」だけではないことがあります。

特徴的な出来事に付随した

“その時の私の気持ち”

が、いまも立ち上がってくる。

そして、同時に

「いま思い出すとムカつく」

という現在の反応もある。

つまり、

  • あの時、そう感じた(過去の私)
  • いま思い出すとムカつく(いまの私)

この2つが同時に出てくる。

ただ、本人が冷静なときは、さらにこういう層もあります。

「それでも、夫のことは好き」

だから話している。

ここで男性が

「え、何?何が言いたいの?(責めたいの?謝ってほしいの?どっち?)」

と言うと、女性は

「はぁ?」

となることもある。

この反応は違いであって、優劣じゃないと思います。

が、明らかに何かが違う、ということ、おわかりいただけましたでしょうか。


話を要約すると逆効果になる理由

じゃあどうすればいいのでしょう。

大げさな正解はないのですが、ひとつ提案できるとしたら、

要約の前に、2つの相手の気持ちを意識する

たとえば、

  • 「その時、そう感じたんだね」
  • 「いま思い出してもムカつく感じなんだね」
  • 「その場での“私”が浮いた感じがしたのかもね」

この一言が入るだけで、彼女側は

「写真を見てもらえた」

という実感になりやすい(らしい)。

それが奥様側の

”手加減という名の理解だった”

という説もありますが、もう・・・そこまで気にしていたら身が持ちません。


まとめ|伝わらないにも理屈があるらしい

今日の話は、いわゆる基礎心理学の認知や記憶の話をベースに僕なりに考察した話です。

必ずしもこうなっていると断言できるものではないですが、僕のカウンセリング現場では、この解釈で通じ合えたご夫婦がいらっしゃるのも事実。

男性側は「この話には2つの気持ちがあるらしいぞ」。

女性側は「相手が見落とす私がいるらしいぞ」。

それだけで、“なんでわからないの?”の温度は少し下がるのかもしれません。

もしこの記事を読んで

「あ、これ私だ」と思った方がいるなら、

あなたの感覚は、そんなに妙なものではないのかもしれません。

伝わらないのは、想いの量の問題というより、見ている位置の違い。

そう捉えられると、会話の景色は少し変わるのかもしれませんね。

こちらの記事も続きにどうぞ

ABOUT ME
浅野寿和 | 心理カウンセラー/トレーナー
恋愛・夫婦・仕事・生き方の中で、「ちゃんとやってきたのに、どこか噛み合わない」そんな感覚を抱えやすい人のご相談を多くお受けしています。 正しさや結論だけを急がず、今どこに立っているのかを一緒に整理する個人セッション(カウンセリング)が人気。 キャリア16年・臨床実績10,000件/東京・名古屋・オンライン対応。リピーターさまが多いカウンセラー。口癖は「どんなことにも事情があるよね」。
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