恋愛の心理学

「できる女性」の恋愛問題とその解決法

与える女性・できる女性の恋愛問題

例えば、周囲からも「あなたに彼がいないなんて不思議」なんて風に語られる方がいます。

そういった方って、仲間、同僚、家族、友達など、多くの人が納得するだけの、器量も、魅力も、行動力も、愛情もお持ちなのですよね。

だから、それがいいか悪いか別にして、「なぜパートナーがいないの?」と不思議がられることもあるようです。

もちろんとても謙虚な方が多いので「私、そんなにすごくないんです」と仰るエレガントさをお持ちなわけですけども。

ただ、実際のご相談となると少し様子が変わってきて、恋愛や結婚生活がうまくいかない・・・例えば、最近も彼と別れたとか、向き合ってくれない男性ばかり追いかけてしまって、夫との関係が冷めちゃってて、といったお悩みを伺わせていただくことになるんです。

そこでは、漠然とした心細さをお感じの方もいるでしょうし、自分やこれからについての不安を抱えておられるのかな、と思うのですけどね。

(あ、ちなみに今日の話は30代〜40代の女性に当てはまるお話だと思ってくださいませ)

 

本気で与えてダメならしょうがないって思えるものだけど

人って、自分なりにやりきった、愛しきった、ベストを尽くしたと思えていると、「ダメだったけど、しょうがないか」と現実を受け容れて次に進むことができます。多少後悔することや、心がチクっと痛むことがあっても、次第に前向きになっていきやすい、といいますか。

だから、カウンセリングや心理学界隈の話の中で「与えつくしましょう」「自ら考動する」といったことはよく語られる話です。

もちろんこの話が伝えていることが間違っているとは僕も思いませんよ。それは必要なことですから。

しかし、いわゆる「与える女性」のお悩みには、この考え方が当てはまらないことも多いのです。

なぜなら、このタイプの方はいつも自分のベストを尽くされている事が多いからなのです。

僕もお話を伺うたびに「うーん、ちゃんと愛されてますよねぇ」と感じるお話がとても多いのですよ。

だとしたら、先に書いたようにうまくいかないことがあっても次に進めるはずで、過去の彼や恋愛に思いを残さないってことになるわけですよ、理屈上は。

しかし実際は、過去の後悔や未来への不安、元カレ・元夫のことで後ろ髪を引かれる思い感じていたり、うまく恋愛できない自分にがっかりされていることもあるわけです。

もちろん、だからといって、自己肯定感を失っていたり、ひどく心が傷ついているとも限らないんですよ。自分から与える意識が強い方だと、自分の価値を見失うことも少なくなりますから。

ただ、「なぜ恋愛がうまくいかないのか、その理由を知りたい」と思われてカウンセリングにお越しいただく方が多いです。

中には、こっそり相談した家族や友達に「あんたは男を見る目がないなー」と言われ悩まれていたり、「私ってやっぱり男運がないのかも」と感じている方もいますよ。

ただ、うーん、あの・・・男運については「然るべきところでご相談ください」といつもお願いしています(^^;

僕は占いができるわけでもなければ、未来が見えるわけではないですからねぇ。

ただ、「運でそうなっているのかどうかは別にして、あなたの恋愛がいつもそうなる理由&より良い方向に進む方法はお伝えできるかもですね」とお伝えしているんですけれど。

では、どうしてこのようなことが起きるのでしょうか。

 

受け取らなくても愛せてしまう愛深き女性

これは心理学の成長課題をもとにしている考え方ですが、僕たちは「人の世話や面倒を見る立場に立つことによって、より自分の心が充足し、成熟していく」と考えられています。

だから、仕事やコミュニティなので責任のある立場にたち、人のお世話をし成長を促す立場に立つこと、リーダーシップを発揮することにより自分が成長していきます。

それ自体がとても素晴らしいことであり、そんな方のもとには人(人望)も集まってくるものです。

が、この考え方をそのまんま恋愛に持ち込むと、なぜか愛し与えているのにうまくいかない関係と出会うことにもなりかねないんです。

実は、「人のお世話やリーダーシップを発揮する」という成長プロセスの一つ手前に、「親密な関係を作る」という成長プロセスがある、と考えられています。

「愛する人と親密な関係を作り、絆を結ぶ」ことが心の成長課題だよ、という考え方です。

しかし、何かしらの事情でこのプロセスをスキップしてきちゃった場合、「与える力もありとても魅力的な人なのに、恋愛だけうまくいかない」というなんとも切ない問題が発生する可能性があるのです。

 

どこかこのタイプの女性は、親密感ではなく、どこか自分の意識や責任感のようなものだけで「男性をまるっと愛せてしまうし、相手の面倒を見れてしまう」のです。

親密感やつながりを感じること以上に、相手の役に立とうとするスタンスが強いんです。

それほどまでに、行動力、実行力、面倒を見るハート、相手を受け入れる力がある、ということなんですね。

だからぶっちゃけ、相手からの何かしら愛を受け取らなくても、関係を続けることができちゃうわけです。

これは「与える喜び」、つまり愛することによって自分自身がエネルギーチャージできている状態を意味していて、かなり大人な考え方、感覚なんです。

※ちなみにこの話はいわゆる「おかんキャラ」の女性とはちょっと違います。おかんキャラさんの場合自分が女性であることを認識することが苦手ですが、この与える女性、できる女性は、女性としての自分、「私」というものをしっかり肯定している部分も強いのです。

 

ただ、こうなってしまうと、自分の周囲の人が「自分から与え、世話をする人」になり、「自分を愛する人・支える人」とはならなくなっていきます。

その結果、その女性に向かって、なにか与えようとチャレンジをする人が少なくなりますし、周囲の人からの愛情、親密感、承認、などを受け取らないままでいることも起こりえます。

例えば職場などでも「すごい仕事ができて、包容力もリーダーシップもある人」と思われるようになりますから、そこかどこか眩しくて「自分が与えてもきっと箸にも棒にもかからないんだろうな」なんて考えちゃう人が登場し始めるんです。

恋愛であれば、実際に男性から「君のようにはできない」(君の望むような関係は作れない)と言われたという女性もいらっしゃいます。

そう言われちゃって悲しい思いをしつつ、しかし彼からものすごく愛されたり助けてもらっている感覚も感じられず、なんだか愛されていない意識ばかりが強まって、ことさら恋愛や男女関係に苦手意識を持つようになる方もいるとかいないとか。

ときには、離れていきそうな彼に極力負担や迷惑かけないようにと考えて、たくさんの気遣いを注ぐわけですけど、それでもなかなか彼の気持ちが・・・みたいなね。

そういった経験から「私って彼の求め過ぎなのかしら?」「重い女になっていないかな」と考え込んでしまう方もいるようですが、僕の見解ではそうではありません。

あなたは十分に愛せるし、できる人だ、と僕は見ています。

ただ、周囲から「あなたは何もエネルギーを貰っていないようにみえるのに、ここまで与えられる人なんだ」と思われている可能性がある、ということを考えてみていただきたいのです。

だから、周囲から「あなたに愛され、あなたを満足させるには相当頑張んないとな」と感じさせている「なにか」があるのかもしれませんよ。

それぐらい「相手はあなたのことがわからない」のではないでしょうか。

なぜ、そばにいるのか、何故愛してくれるのか、なぜなんだ、と・・・。

相手は「相手のイメージの中のあなた」を基準に、現実のあなたを見て判断しているのかもしれません。

しかし、それは現実のあなたの気持ちではないかもしれない。

すると、相手は勝手に「自分に何を求めているのだろう」と考えた結果、距離をおいたり、期待に応えられない、などと考えるようになっているのではないだろうか、ということです。

この感覚は、お互いの素晴らしさは分かりあえるけれど、「親密感や絆」があまり感じられていない関係の中でよく起こることなんです。

 

この感覚・イメージが恋愛関係・夫婦関係の中に入り込むとどうなるでしょうか?

おそらく「男性がどれだけ愛しても彼女には届かないかも」と感じる可能性が出てきます。

この場合、男性が無価値感・罪悪感を感じますから、次第に「女性を包容しよう」と思えず、距離を置き始める場合があるわけですね。

また、そう考える男性と、距離のある関係や、なんとなくうまくいかない関係を作ると、今度はそうではない相手、たとえば「自分のことで手一杯で恋愛する余裕がない男性」をえらんで、その男性をせっせと支えようとすることもありますよ。

例えば、「俺って役立たずなのかしらん」と感じている男性や、「彼女のことを眩しく思って一歩ひいたスタンスを取る」「普段は隠している妙な劣等感を刺激されて遠ざかる」「彼女はすごい人だから自分ももっと頑張らなきゃなと考えて(前向きな意味で)仕事に没頭しはじめて恋愛どころじゃなくなる」という男性と向き合っていくことになる、なんてケースが典型例ですね。

そして・・・そんなできるあなたに近づいてくるのは、女性の気持ちをそこそこ知っている既婚者だけだった、みたいな話もまぁ結構な確率で伺う話でもあります。それがいいいかどうか別にして、です。

ここであえて問題になるポイントを挙げるとしたら「寂しさ」という感情でしょう。

あなたはとても素晴らしく愛を与える意識があるのですけれど、どこかパートナーと親密感やがつながっている感じがないと、どれだけ愛を与えても寂しさが消えないのです。

素晴らしい二人が、愛を与え続けているのに、お互いに寂しがっている。

そんな構図が続けば、「これ以上何をどうすればうまく行くの?二人はよろこびあえるの?この寂しさは消えるの?」と思っちゃっても不思議ではないと僕は思うんですよね。

 

「受け取る」が抜け道

だから、できる人・与える人の恋愛にとっての課題は「受け取ること(依存)」になることが多いんです。

受け取るとは、心理的には、自分には愛される価値があると感じながら、相手の好意を理解し、それが自分に向けられているのだと感じ取り、かつ、その思いを実感できることにあります。

「愛してクレクレ星人」になることや、「世界の中心でなんで分かってくれないの!と叫ぶ」こととはちょいと違います。

それこそ「ロマンス」を感じることであり、相手の愛情を受け止める力、相手の愛情を察し、感じる視点・感覚のことなんです。

なにより「私ってめっちゃ愛されている(それだけ素晴らしい存在なんだ)」と実感すること。

恋愛においての「自分は相手の喜びなのだ」という自分の価値、偉大さを受け取ることです。

特に自立した人ほど依存ベタなことも少なくなくて、「依存とは相手に甘え、何もできない自分になることだ」と感じている人も少なくないんですよ。

そう思うにも事情があり、いつも頑張り続けている素晴らしい人なんだけど、極端に依存(受け取る)の経験が少なくて、受け取る意識やイメージがよりよいものになっていない場合が多いんです。特にシャイな人、恥を隠したい人ほど、人の好意を避けちゃう傾向があるのでね。

だから、ついつい相手に与えることを考えちゃうわけですけど、それでぶつかってしまい親密感を作れずにいるケースも多々ありますよ。

だから、与える人・できる人ほど「与えているから」ではなく、「あなたの存在」がパートナーにとってどれだけの喜びであるかを受け止めて、そこからまた愛を与えていくイメージをしっかり作ってみてください、と僕もカウンセリングでお願いさせてもらうことも少なくないですよ。

ここで自分の本当の価値や、相手の好意を受け取れないことが「与えているのに悔いが残る感覚」を作る事が多いんです。

いわば「受け取る」ことができずに、相手の愛情を価値あるものにすることができなかった、相手の愛情の価値を下げてしまった、という罪悪感やら無力感が、やり残し感につながるのではないか、と僕は感じています。

だから、与えること以上に、親密感によって繋がる、受け取ることを意識しておくと、お互いの愛情の価値をより高め会える関係になれる、というわけです。

なので今回の記事のサブタイトルは「実は問題じゃないんだけどね」とさせていただいたわけです。

問題なのではなく、受け取る、という課題、テーマ。

次の恋愛こそは!と頑張る意識を持ってみても、「でもこれでいいの?また同じことにならないかな?」といった違和感を感じるなら、ぜひ自分がどれだけ「喜び」であるかを受け取って見る意識を高めてみてくださいね。

その価値を受け取る手段の一つとして、親子関係(親密感のルーツ)を見直してみたり、周囲の人の好意を受け取る意識を持つ、感謝を伝えるといった、カウンセリングでよく扱う内容が効果を発揮していくことになるんですね。

どうか、あなたの素晴らしさ、愛される力を感じてみようと意識してみてくださいね。

 

※今日のコラムは2020/7/15に「アメブロ・恋愛テクニック」に投稿した記事の加筆・再編集版です。

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