「あなたみたいな人に彼がいないのが不思議」
周りにはそう言われる。
仕事も家族も友人もちゃんと大事にできるし、パートナーには誠実に尽くせる。
なのに、なぜか恋愛だけは報われにくい。
そんなご相談をいただくことがあります。
なんとも切ないお話ですけどね・・・。
確かに、与えることはできるのに、受け取るがスルッと抜けると、関係は“温かいのに、どこか寂しい”状態になりやすいんですよね。
ここ、僕的なボヤきで表現すると「与えられる人って、だいたい自分のための酸素が薄め」。
そこで今日の記事は、「できる女性ほど、受け取る力を整えると恋が好転する」を仕組みから具体的な行動までフラットに解説したいと思います。
Index
まずはチェックリスト:当てはまるほど“受け取り不足”のサイン
以下のチェックリストに2つ以上当てはまるなら、今日のこの記事が刺さるはずです。
- ありがとうと言われる側が多い/言う側になるとソワソワする
- 「迷惑にならない私」でいようとしがち(頼み事が苦手)
- 相手のキャパに合わせて“先回りで与える”のがデフォルト
- 「彼は頑張ってるから」と自分の希望を後回しにしがち
- ふたりでいても、根っこに説明のつかない寂しさが残る
なぜ起きる?与える力は高いのに、恋がこじれる心理構造
1: “親密さの課題”を飛ばして“世話役”が板につく
発達心理の観点だと、心は
「親密さを築く」→「世話をして人を育てる」と発達します。
できる女性は後者の要素がけっこう強いんですよ。
普段から向上心、向学心が高い女性ほど、この傾向があると言えます。
親密さを選ぶより、自分が成長できる状態でありたいと考えるので、発達心理的な課題を先取りするというか・・・要は、あま~い関係へ向かうより、意味や価値のある関係をもとめるというか・・・。
だから、相手の思いを受け取らなくても、なんとなく愛せてしまうんです。
その結果、相手はこう誤解してしまうこともあるんですよ。
- 「彼女は自分で満ちてる。自分が与える余地、ある?」
- 「求められてない気がする。失望させる前に距離を取ろう」
- 「彼女レベルには応えられない…仕事に逃げよう」
これは、女性に対する悪意じゃなく、男性側の萎縮なんですよねぇ・・・。
2:「受け取る=依存」の誤解
受け取るは“甘え倒す”でも“相手に丸投げ”でもない。
相手の与える気持ちに、こちらの喜びで応答する力のこと。
ここが欠けると、いくら与えても関係の熱が循環しません。
3: “役に立つ私=価値がある”という条件づけ(有用性依存)
幼少期や職場経験で、役に立つほど愛される、という価値観を強くしている人がいます。
その結果、恋でも 「助ける/与える」で心の安全を確保していて、“受け取る”は危険に感じるんですよ。
このタイプの人は、「受け取る=弱み/わがまま」と誤解していることが少なくないんですよね。
たとえば
「頼むくらいなら自分でやろう」
「お願いして断られたら終わる」
そう思いがちな人は、このタイプかもしれないですね。
4: 過剰適応と“過機能/低機能”ペアの固定化
恋愛関係において、どちらか一方が過機能(オーバーに頑張る)になると、
もう一方は“低機能(任せる)”に傾くのが人間のバランス感覚です。
つまり、あなたが先回り/段取り/感情ケアまで担うほど、相手は「自分の出番がない」となるんです。
その結果、相手の意欲ダウンし、あなたはさらに頑張る、のループにハマることもありますね。
「あるあるな話」としては・・・
旅行の手配・支払い・連絡・当日の気遣い、全部あなた。
彼は「すごいなぁ」で終わり、次回も“観客”のまま、のような感じですね。
5: 高感度レーダーが“境界線”を薄くする(同一化)
共感力が高い人は、相手の不安/苛立ちを自分の内側で感じることがあるんですよね。
これを心理学では同一化と呼ぶこともありますけど。
すると「彼の機嫌=自分の責任」になり、自分がいつも関係を整える側に回り続けることになるんです。
短期的には関係が平和になるのですけど、長期的に見ると、自分の欲求が満たされず、虚しさや寂しさが残ります。
6: “完全な誠実さ”がプレッシャー化(理想の自己像)
「誠実であれば関係は壊れない」という思いが強い人ほど、その思いを自分の軸に据えようとします。
真面目で誠実な自分でい続ければ、きっと関係は良くなる、と願っているんですよね、きっと。
ただ、その裏側で「うまくいかないこと=私の誠実さ不足」に変換され安い傾向もあるんです。
だから、隙がなくなるというか、恋愛関係においても完璧主義傾向が出てきてしまう人もいます。
結果、今の関係が心地よいものから、隙がなくプレッシャーを感じるものに変わってしまう場合もあるわけですよ。
7:受け取りの失敗体験が“学習された無力感”に
過去の恋愛経験などで、「頼んで断られた」「こちらの気持ちが通じなかった」といった印象深い経験があると、
「どうせ受け取っても満たされない」
が心に刻まれてしまうことがありますね。
すると、関係の中で自立しすぎてしまって、要は常に自己完結する傾向が出てきます。
相手に何か頼むとしても、自分でやったほうが早いと感じる。
その裏側には「受け取ってもらえない経験」から学んだ無力感が隠れている場合もあるんです。
要は、好きな人に何かお願いして受け取ってもらえなくなることを、怖れているって感じですね。
8:男性側の心理:失敗回避の防衛反応
できる女性の隣の席にいる男性の気持ちって、「自分の不器用さが露呈することへの恐れ」であることが少なくないんですよね。
だから、できる彼女に対して積極的に「こうしよう?」「これはどう?」「今度ここにいかない?」と言ったとて、門前払いされそうだ、なんて考えている人もいたりするのかも。
これはお互いの愛情不足ではなく、「失敗回避の防衛反応」なんです。
相手のことが好きだから、相手の前で失敗したくない、と考えている。
ただ、失敗ばかり考えているので、何もできなくなる、という罠。
そんなとき「男なんだからしっかりしなさい」的な意見で、この気持ちに蓋をされてしまうと、多くの男性は「彼女のことを考えて(リスペクトして)いるだけなのに、否定されちゃうんだなぁ・・・」と切なくなっちゃうんですよね。
結論:鍵は「受け取る力」。言い換えれば“応答力”
結論として、関係の鍵を握っているのは「受け取る力」です。
言い換えれば、“応答力”とも言えます。
「与える」という行為は、あなたの優しさの表れです。
相手のために動くこと、支えること、気持ちを察して動くこと。
それ自体が、あなたという人の誠実さや包容力の象徴でもあります。
一方で、「受け取る」というのは、相手の優しさを“価値”に変える技術です。
たとえば、相手の小さな気遣いを「ありがたい」と感じ取ること。
あるいは、「そんなことしなくていいのに」と照れずに、ただ“嬉しい”と伝えること。
それだけで、相手は「自分の思いが届いた」と感じ、関係の中に安心が生まれます。
この「与える」と「受け取る」が両方向に流れ始めたとき、関係には“循環”が起きます。
それは、どちらか一方が頑張る関係ではなく、お互いが安心して息をしていられる関係です。
人は、与えるだけでは息が詰まり、受け取るだけでは罪悪感を感じてしまうのです。
だけど、どちらもできるようになると、恋愛は驚くほど自然に安定していくんです。
受け取る力は、甘えることでも依存することでもなく、
「あなたの存在が、誰かにとっての喜びなんだ」と
素直に受け止められる柔らかさのこと。
その柔らかさが、愛を循環させ、関係を“機能”から“つながり”に変えていくんです。
今日からできる「受け取る力」を整える5ステップ
(全部やらなくてOK。1つ決めて、今週やってみるだけで十分です)
① “ミニお願い”から再開する(所要30秒)
「帰りに炭酸水1本、お願いしてもいい?」
「来週の映画、あなたのおすすめで選んでほしい」
このような”ミニお願い”の成功体験によって、“受け取ること”を再学習します。
② 「ありがとう」だけで着地する練習
つい補足しがちな「ありがとう、でも私も○○するから」は封印。
“ありがとう。”で止める。
沈黙がムズムズしたら深呼吸3回してみてください。
③ “希望の可視化”を1日1行
ノートかスマホに
「今日は○○してもらえると嬉しい」
を1行。伝えなくてもOK。自分の希望を見える化すると、相手に伝えるハードルが下がります。
④ 受け取り言い換え辞典(保存推奨)
- NG:「大丈夫」→ OK:「助かった、ありがとう」
- NG:「ごめんね」→ OK:「してくれて嬉しい」
- NG:「悪いね」→ OK:「あなたに頼れて良かった」
⑤ “境界線を優しく見せる”フレーズ
「今週は私も余裕がないから、できる範囲で一緒に考えたい」
距離を作るのではなく、ペースを見せる。これが“隙=入れる場所”になります。
よくある反応とリフレーム
Q. 受け取るの、怖い。
A. 怖いのは普通。だから小さく始めることがおすすめです。(ミニお願い/ありがとうで止める)。
Q. 彼に負担じゃない?
A. 与えたい人にとって「受け取ってもらえる」はご褒美ですよ。彼への負担を考えているようで、実際は自分の不安を隠したいのだと思います。
Q. それでも動かない彼は?
A. “受け取り”を見せても応答がゼロなら、相性ではなく相手の準備段階の問題です。あなたの価値とは無関係だと考えてみましょう。
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まとめ:受け取るは、わがままじゃない。関係を“育てる行為”です
「受け取る」という行為は、決してわがままでも甘えでもないんです。
それは、関係を育てるための大切な呼吸のようなもの。
そもそも「できる女性」の優しさは、もう十分なのです。
だからこそ、そこに“受け取る”という柔らかさが加わると、相手の中に眠っていた優しさや行動意欲に火がつきます。
誰かの愛を受け取ることは、その人の“与える力”を肯定することでもあるのです。
与えるだけの恋は、どうしても一方向に流れがちです。
けれど、受け取ることを覚えた瞬間から、関係は静かに、けれど確実に循環しはじめます。
それは、愛を「使い切る」関係ではなく、お互いに補い合いながら育っていく関係です。
だから、今日の一歩はほんの小さくていいので、何かをしてもらったときに、ただ「ありがとう」で止めてみてください。
それだけで、流れが変わり始めます。
あなたが受け取るその瞬間、きっと相手の優しさも呼吸をしはじめるでしょう。
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