甘すぎない恋愛心理学

彼はいい人だけど結婚できないと思ってしまう問題

いい人だけど結婚できない問題

「彼はいい人。だけど、この人とは結婚できないと思ってしまうんです。」

そんなご相談をいただくこともあるのです。

もちろん、今の彼(彼女)が私史上最高のパートナーだと感じられるなら、悩むことはないと思うんです。

また、今の彼(彼女)とずっと関係が続くイメージが持てないこともあると思うんですよね。なんていうんでしょう、いわゆるリハビリくん(さん)とか、リリーフくん(さん)とか・・・。

が、しかしこのようなご相談となると少し深刻です。

「今の彼は大事にしてくれるし、とてもいい人です。けれど、やっぱりこの人とは結婚できないな、と思うんです。

友達に相談すると「そういうことはよくあるよ」と言ってくれます。私も、そうなのかーと思っていたんです。

ただ、私、彼ができるといつもそう感じるんです。同じ気持ちになるんです。

いい人だなと思うし、素敵だなと惹かれてお付き合いするんです。私も一人でいたいわけじゃないですから。なのにこの人とは結婚できないな、と思っちゃうんです。

いつもそう感じるから、私になにか問題があるのかなってずっと気になっています。」

うーん、なんとも切ないお話ですよね。

本当は幸せになりたいのに、一人でいたいわけじゃないのに、しかしこの人との未来はないな、と思ってしまうってね。

・・・実はですね。

僕の経験上、その深層心理を見つめていくと、「夢見るユメ子ちゃんパターン」か「いつの間にか毒を痛み止めに使っちゃったパターン」が原因で決められなくなっていることが多いんですよ。

夢見るユメ子ちゃんの場合は、他のもっといい人がいるのではと延々考え続けるタイプ。

毒を痛み止めに使っちゃったパターンは、私は毒なので幸せにはなれません、と感じているタイプ。

どちらも幸せから遠ざかってしまうパターンなので、幸せを手に入れるときには手放しておきたいパターンと言えますね。

 

夢見るユメ子ちゃんはいつまでも決められない

夢見るユメ子ちゃんタイプは「他のもっといい人がいるのではと延々考え続けるというより、「決める」ということが苦手な人が多いんです。

「自分の選択よりもいいものが外の世界にあるんじゃないだろうか、だから後で後悔するのではないだろうか」と考えやすい人でもあります。

人によってはいつか来るであろうと思う白馬の王子様をずっと待ち焦がれてしまう方もいます。

本当はこんな恋がしたくて、とか。こんなタイプの人とあんなことをしたくて、と考えているので、今のパートナーの良い部分ではなく、足りない部分ばかり見て相手の価値を減点してしまうのです。

いわば、目の前にいる人やモノの価値を華麗にスルーしてしまうタイプとも言えます。

実は、どんなことでも、とりあえず自分で決めて、動いて、その後で結果を吟味するほうが後悔することが少ないものですよ。

なぜなら、自分で決めることで目的がはっきりしますし、自分に必要かどうかも実感として分かるわけですから。

つまり「自分で決めないから後悔しやすい」のですが、逆のことを考えているわけですね。

だから、このタイプの「いい人だけど結婚できない問題」は、まず今の自分が手に入れている環境や人のありがたさや価値を実感することがポイントになります。

とはいえ、それが嫌だから白馬の王子様の出待ちをしちゃうわけでもあって、ここが難しいところ。

そこで、もうちょっと突っ込んだ話をするならば

「その決められなさは無価値感の影響です」

なんてことにもなるわけですよ。

無価値感ってのは自分に価値がないという感覚をもたらす感情でしてね。

自分に価値がないと感じる自分の決断に、さてどれだけの信頼できるでしょうかね、という疑問もあるわけです。

なので、夢見るユメ子ちゃんタイプの方には、無価値感を手放すアプローチが有効になりますね。

 

毒を痛み止めに使っちゃったのは、それぐらい辛かったから

さて、もう一つのパターンのお話をしましょう。

僕たちは知らずしらずのうちに「感情の中和」を行うことがあります。

中和という言葉は「性質の異なるものが、互いに融和してそれぞれの性質を失う」という意味がありますね。また「何かしらの成分を薄める」という意味もあります。

例えるならば「いつも優しくて穏やかな彼といると、心配性の私の性格が中和される」といった表現が分かりやすいでしょうか。

この中和は感情面でも起きると考えられます。

特に「自分では抱えられない感情(辛い気持ち)を感じたとき」に起きやすいんです。

 

例えば、やっと結婚ができそうだと思った彼から急に別れを告げられた、というケースがその代表例です。

ようやく結婚、と思っていた矢先に別れがやってきた。しかもそれが自分の想定外の出来事であればあるほど、なかなか現実を受け止めることが難しい場合もありますよね。

このとき、その心は激しい痛みに見舞われても不思議ではありません。もう耐えることも辛いほどの痛みであったり、茫然自失となるほど自分を見失ってしまうことだってありえます。

もうこれ以上、今の痛みを感じていられなくなるわけですね。

その時に、なぜか「罪悪感」が痛みの中和材料として使われる事が少なくないんですね。

例えば

「そっか、彼を信じた私が間違っていたんだ」
「きっと自分には結婚なんて無理だったんだ」
「自分には魅力なんてないんだ」
「うまくいっていると思っていた自分がバカだった」

そんな風に思うことで、痛みを中和しようとすることがあるわけです。

ここでの罪悪感はまさに痛み止めの役割をしていますから、ぶっちゃけた話、痛みを感じないようにするためには自分を罰していたり、悪いものだと思っていないとやってられなくなるのです。

この状態が続くと、やはり色濃く罪悪感の影響を受け入れてしまうことになります。

どこか「自分は魅力がない」「うまくいくはずがない」「私が相手と関わっても相手は喜ばない」と感じやすくなるわけです。

だから、いくらいい人と付き合っても、その次に進むことに躊躇するのです。

意識としては「またダメになったらどうしよう」という不安を捉えるかもしれませんが、その深層心理では「私は相手を幸せにしてあげられない」と感じている場合も少なくない、といえます。

もちろん罪悪感を痛み止めに使うという意識なんてないでしょうし、それだけの痛みがあれば致し方ないことなのですが、しかしなんとも切ない話なのですよね。

この場合は、そもそもの痛みを見つめ直して癒やしたり、自分の再評価を行ったり、と、罪悪感だけでなく、そもそもの痛みを癒やすアプローチをご提供することが多いでしょうか。

ここで「やっぱり彼に決められない私が悪いんですよね」と自分を責める(罪悪感を選ぶ)と罪悪感を強めてしまうので、出口がなくなったような感覚になってしまうことも多いのです。

特に自分を責めやすいタイプの方は要注意なのです、ホント。

ABOUT ME
浅野寿和 | 心理カウンセラー/トレーナー
恋愛や夫婦関係、仕事、対人関係、生き方の”こじれ感”を「甘すぎない心理学」で解決。ただ、気持ちを受け止めるだけでなく、背景にある心理構造や関係性のパターンを整理し、「現実的で納得できる選択」を一緒に探っていきます。 臨床実績9000件/東京・名古屋・オンライン対応。
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