恋愛・夫婦の心理学

パートナーを理解するために埋めるといい「心の空白」の話

パートナーシップの問題の多くは「思いのすれ違い」によって生じる

今日はパートナーシップの問題を解決する視点についての解説をしてみます。

いつもよりちょっと真面目で硬い話を一つお届けしようかと思います。

若干ややこしい話を書きますが、もしよろしけばお付き合いくださいね。

パートナーシップの問題の多くは「思いのすれ違い」によって生じると僕は考えています。

思いがすれ違うことで自分の気持ちを受け止めてもらえない、理解してもらえないと感じる。

そこに悲しみや不安が生じる。

その結果、自分を理解しない相手へ批判的な視点を持ったり、思いが伝わらない現実に打ちひしがれて理解されることを諦める、といったことが起きます。

この時、どこかで「パートナーは私の何を理解していないのだろうか」という観点でものを見ることって少ないのかもしれません。

「パートナーは何が見えていなくて、何が見えているのだろうか」とも考えないようなのです。

つい「どうして(私の気持ちが・伝えていることの意味が)分からないのか」とばかり考えてしまうのかもしれません。

これを僕の学ぶ心理学では「自分の感情・観念などだけで今の状況を判断している」といった風に考えるのです。

自分の価値観、思い込み、投影(自分の感情などを映し出してみている世界)で、起きることのすべてを見て判断している、ということです。

だから、パートナーに気持ちが伝わらないときに、人それぞれ反応が異なることもありますよ。

例えば「気持ちが伝わらないのは私が愛される価値がないからだ」と無価値感の投影や、過去の傷心に基づいて状況を判断する人もいるでしょう。

「私の気持ちが伝わらないのは私が悪いことをしたから?」と、罪悪感の投影や同様の過去の体験に基づいて状況を判断する人もいるでしょう。

自分の判断が世界の全てだと感じている私達

こういった判断は「自分以外の人・物の存在の意味」「相手や周囲の人が何を感じて今の状況をどう理解しているのか」といった考え方を阻害するものです。

そもそも判断とは「自分がどのように感じ、何をどう解釈しているか」を周囲に(相手に)証明して見せるようなものなので、相手を判断して理解しているつもりになりますけど、しかし実際は自分の価値観を当てはめているだけで、真に相手を理解しているとは限らないわけです。

だから、今の状況を理解し、相手の気持の有り様を感じ取ることが難しくなります。

この判断がまぁパートナーシップをややこしくしてしまうのですね。

ただ、ついつい自分の判断で物事を捉え、それ以外の物事の味方に対して批判的になること自体、まぁふつうのコトといえばそうなんです。

難しい話は端折りますが、私達の自我の成長プロセスの中に「自分の価値観、やり方、観念、目的・信念を元に自分の道を切り開き自信を獲得するプロセス」が存在するのです。

自分なりに考え、行動していく中で成功体験を積むプロセスであり、私達が自立するプロセスそのものです。

このように私達は日々、自分で考え、行動し、努力して努力して生きているわけですから、つい「自分以外の人の価値観」と対立してしまうことも、まぁしゃーないことだと僕は考えております。

そう感じること自体に罪はない、と僕は見ているところです。

「じゃ、本当のところはどうなのさ」と思える自分は偉大

もし、自分の価値観や判断を超えて人を理解し、愛することができるなら、きっと幸せなパートナーシップを得ることができるでしょう。

そこで感じられるのは「なんと人は美しく素晴らしいものか」といった世界です。

人は自分の意志で人を愛し、与えようとしますが、その姿が自分だけではなくて、パートナーも同じだったのだ、ということに気付けるようになるのです。

いわば、あなたがパートナーを愛するように、相手もあなたを愛そうとしている、ということに気づけるわけですね。

しかし、自分の判断の世界だけで物事の良し悪しを判断していれば、自分の価値観に会わない愛し方は「NG」であり「価値がない」ということになります。

自分が獲得した自信、成功体験を肯定したいとついつい思ってしまうのです。

実は多くのパートナーシップの問題は、この相手に突きつける「NG」と「相手の愛し方には価値がない」という判断の積み重ねで起きると言っても過言ではありません。

要は、自分と相手と違う人間であり、違う考え方をしている、ということを受け入れるつもりで一緒になったのに、それが受け入れられないことで幸せになれずにいる、といいかえることができるでしょう。

だから、お互いの違いを乗り越えるということは、幸せになるためにとても重要なプロセスです。

そこでは、自分の見ている世界は「自分(判断)が作り上げた世界だった」という気づきを持つことが求められます。

「じゃ、本当のところはどうなのさ(本当のパートナーの気持ちはどうなのさ)」と、自分が見ているもの、関わる人、もちろんパートナーに対して「興味を持つ」こと。

言い換えるなら「上手なネガティブなエネルギーの使い方」が求められるというわけです。

自分が感じている感情、判断を一度疑って、否定して、より真実に近づこうとするエネルギーや意識の使い方です。

ときには一旦自分の判断・価値観を横においたり、一時的に否定する必要も出てきますが、それこそがオトナとしてさらに成熟するというプロセスに向かう感じなのです。

ここに行き着けば、おそらくパートナーシップは安泰ですし、違いを超えて愛し合うということを通じてより大きな幸せを実感することができるようになる、というわけです。

 

パートナーを理解しづらくする「空白」の存在

ただ、まぁ僕が書いているように簡単には物事が運ばないことが多いかもしれません。

なぜなら僕たちには「分からないという空白」を必ず持つからです。

ここでの「心の空白」とは、自分の思い込み(判断)で埋めているパートナーに対する認識のことを指します。

言い換えれば「なぜ相手がそう思うのか、そう感じるのか、その言動を取るのかの理由が分からない」ということ。

誰の中にもこの要素が存在していて、おそらく全てを理解し知ることはできないでしょう。

だから僕たちは分からない不安に蓋をしながら生きるために、防衛的に「分かったつもり」で物事を見ることが多くなるわけです。

まぁこれもしゃーないことなんですけども。

この話はちょっと具体例を出して解説しないとわかりにくいと思いますので、一つの事例をここでご提供します。

例えばこんなケース1

ある男性が彼女と別れたい、と急に言いだしました。

二人の関係はうまく言っているものだと思いこんでいた彼女は驚きパニックになり「どうして?」と彼に詰め寄りました。

その彼はいつも彼女に優しく、彼女のペースに合わせてくれるようなできた彼だったので、彼女はいつしか「この人と一緒に」と考えていたのです。

しかし彼は「もう無理だと思う」としか伝えない。

彼女はその言葉で深く傷つき、仕事も手につかない様子。

その彼女は「自分のどこが間違っていたのだろう」と真剣に考え、悪いところがあったら訂正しようと必死に自分を見つめます。もちろん彼にもそう伝えました。

しかし、その姿を見た彼は更に心を閉ざし、「君は何も分かっていない」と伝えました。

更に絶望した彼女はどうしたらいいか分からず、しかし別れたくない一心で彼に気を使いまくりました。が、やはり状況は改善せず途方に暮れてしまいました。

この問題のポイントは「彼がどうして別れを切り出してきたのか」が、彼女の空白になっている部分です。

彼が別れを切り出すにはそれなりの事情があるのでしょう。

多くのオトナは「この人を愛そう」と一度決めたら、なかなかそこから降りることを良しとしないものです(罪悪感男子・女子は除く)。

しかし、それでも別れたいと思うなら、その多くは「自分の気持ちが伝わっていない」と感じるときなのでしょう。

それはきっと彼女の「このままでいいはず」という気持ちが先行した結果、彼の不安、彼の葛藤を見逃したという事実につながっていったのかもしれません。

「自分が理解されない」「自分を見てもらえていない」ということはとても深い悲しみを感じさせるものなのでね。

つまり、別れようという彼が親密感にビビって逃げ出しているわけでないならば、彼は「自分がここにいても意味がない」と感じるに至る何かしらの出来事があった、と考えるのが妥当ではないか、と僕は思うのです。

ここでは彼女が見えない「空白」、彼の気持ちとはなにか、がポイントになりますね。

彼は彼女といてもずっと孤独だったのかもしれません。

多くの男性は「自分のことを見てほしい」とは言えないし、言わないものですからね。

このようなことを今から理解して間に合うかどうかは二人のプロセス次第ですが、しかし彼の気持ちを理解しない限り、取り付く島がない状況のようです。

しかし、彼女はその空白を「自分のダメなところ」だと考えた。

そこで欠点を必死で訂正しようとし始めたとしたら、確かに彼は「何も分かっていない」と話す理由が見えてこないでしょうか。

「君がダメだといっているんじゃない。僕の気持ちが宙に浮いたまま(ないことと同じ)なんだ。」

 

例えばこんなケース2

ある男性が彼女から「少し今後のことを考えたい」と言われました。

彼は彼女のことをどうしても失いたくなかったので「どうしてだ!」「他に男ができたのか!」と怒り狂って詰め寄ってしまいました。

すると彼女は「あなたはいつもそう。何も私の気持ち分かっていない」と伝え、一度距離を置こうと提案してきたのです。

それすら受け入れることができない彼は、本意ではないにせよ彼女を疑いました。

「きっと他に男がいるに違いない」

彼は彼女が他の男性に取られると思い、必死になって彼女の様子をうかがいます。SNSも毎日見るし、彼女の動向ばかり気にして気が気じゃありません。

ただ、そうすればするほど彼女はうんざりしてしまい、「やっぱりもう一緒にはいられない」と関係を切ってきたのです。

彼はどうしていい関係だったと思っていた二人が別れなきゃいけなかったのか、と悩み苦しみ始めました。

どうすれば関係が維持できたのか、それが全く分からず苦悩ばかりが深まりました。

このケースでのポイントは「距離を置こう」といった彼女の気持ちにありますね。

どうして彼女は付き合っている人と距離を起きたがるのか?

この事実をどう理解するかは人それぞれなのかもしれません。ぶっちゃけ個々の投影、判断、過去の経験などが影響するでしょう。

ただ、僕としてはこう考えるのです。

女性がまだ好きでいる彼に「距離を置こう」と伝えるなら、それは相手の気持ちを確かめたいという駆け引きか、もしくは「これ以上彼を嫌いになりたくないから」か、そのあたりに答えがあるだろう、と。

もしこの彼女が「彼のことがまだ好きだから、これ以上嫌いになりたくないから距離を起きたい」と思っているなら、彼女はおそらくそれまでに深く傷ついたり、彼に合わせて我慢してきた可能性が非常に高いと僕は思うのです。

ここには、きっと多くの女性が感じる「好きな人を嫌いになりたくはない」という思いがあろうかと思いますよ。

しかし、多くの男性にはこの感覚がよくわからないという傾向があると僕は見ています。

事実で物事を判断し、目で見えているものを重視する男性にとって、距離を置くという事実は拒絶にしか感じないのかもしれません。

だから、彼は嫉妬に狂った。「他に男がいるだろう」と疑い判断した。

この時、彼には彼女を理解できない、という空白があったのです。

そしてそれが埋まらない限り、彼は彼女の真意を汲み取ることは難しいのでしょう。

「そうか、たくさん我慢させていたんだね。一度距離を置こうと言ってくれることもきっと君の優しさなのかもしれない。僕も冷静になってみたい。言ってくれてありがとう。」とは言えないのでしょう。

そして、彼女を責め、疑い続けた彼女は、きっともう「好き」という気持ちを手放すしかなくなってしまうわけですよね。

 

「空白」を埋めるために、何を知り、どう相手を理解するかこそ「愛」といえる

多くのパートナーシップのすれ違いを解決していくには、この「自分の空白」を埋めることが求められるケースが少なくありません。

しかし、ついつい自分の価値観、判断にこだわってしまうと、更に相手の気持ちを見逃してしまうだけでなく、相手の愛情すら否定しかねないわけですね。

本当は自分のことを考えてくれている。

にも関わらず、それが受け取れない自分がいることで、関係を壊してしまうとしたら、今まで努力して生きてきた自分の価値すら疑ってしまいかねませんよね。

もちろん今までの自分をすべて疑う必要はありません。

自分が生きてきたプロセスはそれとして価値があるのです。

ただ、もしパートナーと幸せな関係を培うことを考えるなら、妥協ではなく、自分の判断を超えることが求められる場合が少なくないんです。

そこではどこか「自分を否定するような感覚」がするので嫌なものかもしれませんが、しかし大切な人のために自分自身のトランスフォーメーションに取り組むとしたら、それも一つの愛情の形なのかもしれません。

また、僕たちはついつい「相手が理解してくれない」と責めたくなるときがありますけど、これはまさにお互いさまではないでしょうか。

全知全能・完全無欠な自分でいられればいいのかもけれど、おそらくそれは現実的ではないし不可能です。僕たちは完璧ではありませんから。

いわば、知らないことはしょうがないのです。

だから、知ればいいだけなんです。

自分を責めたり、嘆く必要はありませんし、そんなことをしても誰も救われないのです。

「もし相手のことを理解していない部分があるとしたら、それはなにか」という空白を埋めればいいのです。

それを知る時間はいくらだってあるのですよね。

そしてその空白の多くは、パートナーが自分に向けた「本当に大切な気持ち」であることが非常に多いものだと僕は感じているところです。

究極まで突き詰めていくと、「あなたのことが好きだ」という気持ち、「あなたの役に立ちたい」という気持ちであることが多いのです。

だから、空白を埋めるための自分の判断は「相手の愛情を否定する材料」になってしまうというわけですね。

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