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「嫉妬」ってどんな感情なのでしょう
「私の彼が嫉妬深くて困っています」
「些細なことで嫉妬してしまう自分を変えたいんです」
このような嫉妬にまつわるご相談をいただくことがあります。
嫉妬とは誰もが感じる可能性があるものですが、感じている方も向けられている方も嫌な気分がしますよね。
そこで今日は「嫉妬」とはどういう感情かについて解説したいと思います。
よろしければどうぞ。
嫉妬は「大切にしてきたなにかが誰かの影響で失われる時」に感じる感情
「嫉妬」という感情は不快な感情のひとつであり、感じたくない感情のひとつです。
「嫉妬」について辞書で調べてみるとこのように書かれています。
1.自分よりすぐれている人をうらやみねたむこと。
2.自分の愛する者の愛情が、他の人に向けられるのを恨み憎むこと。やきもち。
(出典:Goo国語辞書)
ここからもまぁ嫉妬は依存的な感情を向けることだ、と書いてありますね。
※依存心の詳しい解説は関しては↓の記事をご覧になってくださいね。
また、「嫉妬」という感情は、自分以外の誰かの影響を受けて感じる感情でもあります。
いわば、誰かに負けたと感じることで生じる感情でもあるわけですね。
ただ、もう少し深く見つめていくと
嫉妬は
「自分が心を込めて大切にしてきたものが、誰かの影響によって失われる(た)と感じているときに感じる感情」
と解釈することができます。
なお、この「誰かの影響によって」という部分ですが
その誰かが実際に存在する場合(影響している場合)と、嫉妬を感じる人の中だけに存在する(いわば空想である)場合があります。
また、「自分が心を込めて大切にしてきたものが誰かのせいで失われる」と感じているならば、
嫉妬すると同時に、「自分の大切にしてきたものが失われる」という怖れや絶望などが伴っている場合が少なくないと思います。
例えば、素敵な彼がいる女性に嫉妬するケース
例えば、素敵な彼がいる女性に嫉妬する場合について考えてみると。
確かに「素敵な彼がいる女性」を妬む気持ちがあるのですが
同時に
「私に素敵な彼がいないのは、あの女(あのような女性)がいるからだ」
と感じている可能性がありそうですね。
この時、「私の欲しいなにかが、他の誰かや何かのせいで全く手に入らない」といった気持ちになっているならば
「その彼と以前付き合っていたんだけど、他に彼女ができた」
なんて場合なんでしょうね。
が、一度も付き合ったこともないならば、そもそも自分にないものを求めていることになるので、嫉妬とはいい切れず、むしろ「羨望」と解釈できる場合もあります。
とはいえ、どちらも気分としては相当嫌なものであるには違いないのですけどね。
ただ「素敵な彼がいる女性の存在」と「自分に素敵な彼がいないこと」に事実としての因果関係はあまりないと思います。
実際に、自分の彼を誰かに奪われた、なんて場合は別なんでしょうけど。
ただ、どちらの場合もなぜか「あの女のせいで私は不幸なんだ」と感じるとしたら、そこには怒り、攻撃性、引き下げたい気持ち、恨み、などの感情があるでしょう。
人はどうして嫉妬するのか
では、どうして人は嫉妬するのでしょうか。
その理由を3つほどご紹介します。
実際に失う危機があるから
嫉妬が「自分が心を込めて大切にしてきた何かを、誰かの影響で失う」という状態で成立しているなら
実際に大切な何かを失う危機が存在する
という場合も少なくないんですね。
僕自身、カウンセリングをさせていただく中で感じることがあります。
まぁ想像していただけるとおわかりいただけると思うのですが、今まで自分自身が大切にしてきた何かを失うだけでも辛いのに、他の誰かの影響で失うと思えば、まぁ相当につらく嫌な気分になりますよね。
例えば、パートナーの浮気や不倫問題がその典型例です。
今まで大切に愛してきたパートナーの気持ちが、他の誰かに移ってしまうと感じるとしたら。
実際にそのような事実があるかないかは別にして
「私が大切にしてきた人が別の誰かの影響でいなくなってしまうで嫌だ」
なんて感じることもあると思うんですよね。
そんな状況があるならば、正直言いまして、なかなか耐えがたい気持ちになると思います。
羨ましいと素直に言えない
次の理由は「素直に羨ましいと言えない」ことです。
素直に羨ましいと言えない人の中には、素直に「好き」だとか「大切にしている気持ち」などを表現しない人も少なくないんです。
いわば、自分の中だけで「大切な人や物を大切にしてきた」なんて場合も少なくないんですよ。
だから、少しでも大切なものが失われると感じるだけで、気持ちが暴発して「嫉妬」になる場合もあるんですね
つまり、嫉妬になる前に「羨ましい」「いいなぁ」「凄いなぁ」「素敵だなぁ」と素直に表現できるならあまり嫉妬まで至らないことが多いです。
しかし、それがなかなか言えない。
なぜなら、「羨ましい」と言ってしまうと、今以上に自分が惨めで価値のない存在のように感じるからですね。
これは無価値感の影響や、正しく自分の価値を認めていないこと、健全な自己愛が育っていないことが理由となっている場合が多いです。
平たく言えば「自分を正しく愛しておらず、過小評価しているから」とも言えますね。
欲しい物に触れてはいけないという観念
僕たちはどこかで「欲しい物に触れてはいけない、求めてはいけない」と思うことがありますよね。
自分から求めるのではなく
与えられることを待たないと叱られる、周囲から引かれる、責められる、なんて経験をされた方もいるかも知れません。
すると、欲しい物を手にするために「欲しい物に触れてはいけないという観念」を持つようになります。
具体的には
- いい子でいれば
- ちゃんと親の言うことを聞けば
- 理想的な(模範的な)子供であれば
- 優等生であれば
- 周囲に迷惑をかけない存在であれば
- 懸命に頑張っていれば
- 自分になにか優れているものがあれば
きっと欲しい物が手にはいる、と信じている。
そんなことを学んでいる側面があります。
ただ、これは依存時代の学習の効果によるものです。
「こうすれば愛される」という秘訣であり、自分の意志で決めたことを相手に与えているようで、実は「愛されることを待っている」ような状態でもあるんです。
ここにいわば依存的なスタンスが見えるわけですね。
言い換えるなら
「自分から欲しい物に触れてはいけない」
そんな心の中のルールや観念に縛られているので、欲しいものは待つか、羨むしかないのです。
その結果、嫉妬を覚えるようにもなるのです。
嫉妬を手放す方法
では、どうすれば嫉妬をしない自分になれるのでしょうか。
実は「嫉妬しないように我慢しても、嫉妬してしまう」のです。
そうではなく、嫉妬は素直に認めて、自分を丁寧に扱うことが求められているのです。
そして未だ残っている依存心を訂正するといいんです。
自分を認めること(正しく自分を愛すること)
これはシンプルに、今の自分を良い部分からでいいので「認めること」(正しく自分を愛すること)です。
例えば、自分の長所や強みを書き出すなど、目に見える形で見続けてください。
自分に価値がないと感じる度合いだけ、素直に羨ましいが言えず、更に嫉妬することになります。
誰かと比較することなく、自分を認める習慣を持ってみてください。
自分の幸せは自分のものだと考えること
これは「誰かが幸せにしてくれる」「誰かの許可を得ないと幸せになれない」という思い込みを打ち破ることを意味します。
もう誰かの許可を待たなくてもいいんですよ。
あなたは自分で幸せになっていいのです。
そう思うには「自分の幸せは自分のものだ」と自分の幸せに責任を持つと決めてください。
誰かが幸せにしてくれるのでは、という期待は常に失望に変わります。
だから、待つのではなく「自分で幸せになろう」という態度を整えてみてください。
いいものはいい・好きなものは好きと表現しましょう
嫉妬しやすい人は、普段から「いいものはいい」「好きなものは好き」と表現してみてください。
実は嫉妬しやすい人ほど、嫉妬したくなくて「物事のネガティブな側面」を見る癖がついている人が少なくないんですよ。
例えば
「あの服かわいいね」と思っても「でも、高いし」
「あのレストランに行ってみたい」と思っても「ハズレだったら嫌だし」
「あの先輩すごく仕事ができる」と思っても「雑なところもあるよね」
そんな引き下げの視点が身についてしまうことがあるのです。
ただ、この視点は「嫉妬(期待して失望しない)しないように考えた戦略」なので、そこまで否定的に考える必要もないでしょう。
が、このままでは嫉妬しやすいままになってしまいすから、少し視点を変えてみることがおすすめです。
普段から「いいものはいい」「好きなものは好き」と表現してみてください。
この習慣を身につけると「素直に羨ましいな」と言いやすくなります。
「いいものはいい」と人や物の価値を認めると、「私が何かを大切にしている」という認知が生まれます。
これによって「与える、愛する」に類似した効果を得られるんです。
つまり、「素直にいいものを肯定している自分もいい存在」となり、自分を肯定的に感じやすくなります。
そういう意味では、普段から好きなことをしているだけで、随分と変わるかもしれませんね。
以上、なにか参考にしていただければ幸いです。
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