こんにちは。

心理カウンセラーの浅野寿和です。

今日は、少しだけ「書きづらい話」ではあるのですが、少し整理して書いてみます。

テーマは、「弱さを受け入れられない人」です。

このテーマって、語り方を間違えるとすぐに

  • 「弱さを認めない=傲慢」
  • 「弱い人に厳しい=性格が悪い」

みたいな話になりやすいんですよね・・・。

ただ、カウンセリング現場にいますと、

弱さを受け入れられない人って、全て同じタイプばかりじゃないんですよ。

厄介なのが、責任感の強い人ほど、自分のことを甘いと誤認しやすいという点です。

今日はそこをざっくり二つのタイプに分けて整理していきます。


弱さを受け入れられない、とは何が起きている状態か

「弱さを受け入れられない」と言うと、なんとなく

  • 自分の非を認めない
  • ミスを指摘されると過剰に反発する
  • 困っている人を見るとイラッとする
  • 助けを求められるのが苦手

そういった振る舞いが思い浮かぶかもしれません。

たしかにそういった部分も弱さと言えば弱さなんでしょうね。

ただ、ここで大事なのは、

その振る舞いの“動機”まで同じだとは限らないということです。

外から見ると「この人自分の弱さを受け入れられないんだな」と同じに見えていても、

  • 「ただ、自分が負けたくないだけで拒む」のか
  • 「これ以上崩れたら持たないから拒む」のか

で、意味が変わってきます。

ここを混ぜてしまうと、特に責任感が強い人ほど、

「自分は傲慢なんだ」「冷たい人間なんだ」と誤認して、さらに自分を追い込みやすいんですよね。


タイプA:負けたくないだけの人|非を認めると負けになる

ひとつめは、いわゆる負けたくない気持ちだけが前に出るタイプです。

このタイプは、弱さを認めることが

  • 負け
  • 屈辱
  • 価値の崩壊

みたいに感じられやすい。

だから、反射的に

  • 言い訳が増える
  • 論点をずらす
  • 相手の粗を探す
  • 「でも」「だって」が先に出る

そういう方向に行きやすいのかもしれません。

ここで重要なのは、本人がそう思っている自覚を持っていないことも多いという点です。

本人としては、たぶん「正しいことを言っている」つもり。

ただ、「自分の尊厳を守っている」感覚しかないつもり。

悪気があるかないかは別ですよ。

ただ、関係性の中では、こういう人ほど

  • 対話が成立しにくい(話してもこちらが悪者にされる)
  • 謝罪や修正が遅れる(何を考えているか分からない)
  • 相手が疲れて離れていく(話しになんねーよ、と思っちゃう)

という流れになりやすい。

なので、ここは“優しさ”で放置するというより、

ちょっと頑張って「その人と対話をするための線引き」が必要になることもあります。


タイプB:限界まで責任を背負ってきた人|弱さを認める余裕がない

ここが今日のメインテーマです。

このタイプは、ざっくり言うと

「責任意識や自己責任感を引き受けすぎてきた人」です。

この人たちは、普段から

  • 人のせいにしない
  • 自分で抱える
  • 何とかしようとする
  • 弱音を吐く前に耐える

そういう生き方をしてきた可能性があります。

だからこそ、いざ問題が起きたり、ミスをしたり、

人間関係の中で追い込まれてくると、

「弱さを認める・助けを求める」が、ただの“正論”では済まないんです。

弱さを認めた瞬間に、心の中で

  • 「もう立て直せないかもしれない」
  • 「ここで折れたら終わってしまう」
  • 「誰も助けてくれない、居場所がなくなる」

そういう恐れが動くことがある、というか、その前提で毎日生きている。

だから、これ以上弱さを引き受けられないわけです。

すると何が起きるかというと、

本来“他責ではないこのタイプの人”が、突然、人を責めるなんてことが起きます

外から見ると、急に攻撃的になったり、厳しいことを言ったりして、

「この人って結局そういう人なんだ」と見えてしまうことがある。

でも、その内側では、

「もう無理だ、これ以上は耐えられない」「でも崩れるわけにもいかない」

そんな気持ちが同居していて、かなり激しい消耗を伴っていることも多いんです。

つまりこれは、性格の問題というより、

“エネルギーの枯渇”が表に出てしまっている状態なのかもしれません。


この2タイプは、どう見分ければいいのか

もちろん、ここはケースバイケースです。 ただ、見分けるときの手がかりとしては、こんな視点があります。

1)普段の「責任の取り方」

  • タイプA:基本的に責任が外に出やすい(説明より防衛が増える)
  • タイプB:普段は責任が内に入りやすい(抱えすぎて限界になる)

2)攻撃が出たときの“違和感”

  • タイプA:攻撃が通常運転になりやすい
  • タイプB:攻撃が出たとき、本人もどこか戸惑っていることがある

3)謝罪・修正への反応

  • タイプA:謝罪=負け になりやすい
  • タイプB:謝罪したい気持ちはあるが、余裕がなくて苦しそう

繰り返しますが、ここは決めつけるための分類ではありません。

むしろ、「相手を裁くため」ではなく、「自分の誤認を減らすため」に使う整理だと思ってください。

「弱さを受け入れる」って、具体的に何をすること?

ここで一度、言葉の整理をしておきたいと思います。

「弱さを受け入れる」と聞くと、

  • 何でも人に頼ること
  • できない自分をそのまま放置すること
  • 感情を全部ぶつけること

そんなイメージを持つ方もいるかもしれません。

でも、ここで言っている「弱さを受け入れる」は、そういう話ではありません。

もっとシンプルに言うと、

「いまの自分は、ここまでが限界だと認めること」です。

  • これ以上は一人で抱えきれない
  • これ以上は気合ではどうにもならない
  • 頑張り続ける前提で物事を考えると、どこかが壊れる

そういった事実を、他人との比較や、善悪・評価をつけずに確認すること。

つまり、「弱い自分を好きになろう」でもなければ、 「できない自分を正当化しよう」でもない。

現状認識を、正確にする作業に近いものだと僕は考えています。

特に責任感が強い人ほど、

「まだやれる」「自分がやるべき」と、

限界ラインを無意識に引き上げてしまいませんか?

弱さを受け入れる、というのは、

そのラインを現実の位置まで戻すこととも言えるかもしれません。

受け入れ方を間違えるとどうなる?(「開き直り」との違い)

もうひとつ、大事な点があります。

それは、弱さの受け入れ方を間違えると、

それが「開き直り」に見えてしまうことがある、という点です。

たとえば、

  • 「私はこういう人だから仕方ない」
  • 「これが私なんだから、周りが合わせて」
  • 「弱いんだから責めないで」

こうした態度は、一見すると自己受容のようですが、

実際には自分自身の立ち位置や、誰かとの関係性から降りてしまっている状態です。

弱さの受容と開き直りの違いは、とてもシンプルで、

「そのあと、関係をどう扱おうとしているか」です。

  • 自分の限界を認めた上で、どう関わるかを考えているか
  • 相手に丸投げせず、責任の置きどころを探しているか
  • 修正や対話の余地を残しているか

ここが残っているなら、それは開き直りではありません。

これは、無理を続けて関係を壊すより、よほど誠実な態度です。

おそらく責任感の強い方は、苦しい中でも

どうするべきか、自分にできることはないか・・・

そうずっとお考えになっているはずです。

であるならば、開き直ってはいない。

そうではなく、もう自分に支えるだけのエネルギーが残っていないということです。

だから、弱い自分を受け入れろと言われても飲めないのです。

逆に、弱さを理由にして対話を拒み、「私は悪くない」で話を終わらせてしまうと、

それは受容ではなく、ただの遮断になってしまいますよ。

弱さを受け入れる、というのは、

責任や関係性を放棄することではなく、続けるための再調整の入口なんですよね。


関わる側ができること|「正しさ」より先に位置を整える

弱さを受け入れられない人に対して、つい言いたくなる正論ってありますよね。

  • 「もっと素直になればいいのに」
  • 「楽になればいいのに/頼ればいいのに」
  • 「自分の非も認めたら?」

もちろん、正論としてはその通りの場面もあります。

ただ、タイプB(限界タイプ)にそれを正面からぶつけると、さらに追い込みになってしまうこともありますよ。

それは仕事でも、恋愛でも、夫婦関係でも同じです。

なので、関わる側ができることとしては、いきなり“助けよう”とする前に、

  • いま相手に余裕が残っているのか
  • 話し合いが可能な状態なのか
  • 助けを受け取れる状態なのか

このあたりを見て、対話の位置を整えることが現実的な対応になると思います。

具体的には、

  • 「正しさ」ではなく「状態」を扱う(いま疲れてる?余裕ある?)
  • 結論を急がず、いったん落ち着く時間をつくる
  • 攻撃が出たときは、内容より“背景(追い込み)”を確認する

こんな感じですね。


こちらの記事も参考にどうぞ|

最後に|弱さは“甘え”ではなく、回復の入口かもしれない

弱さを受け入れられない人は、たぶんそれなりに頑張ってきた人です。

ただ、その頑張り方には

  • 自分を守るための頑張り
  • 責任を背負うための頑張り

のように、違う背景があることがある。

もしあなたが今、

  • 人に厳しくしてしまう
  • 助けを求められるとイラッとする
  • 弱さの話になると心が固まる

そんな自分に気づいているなら、

「自分は冷たい人間なのかも」と決めてしまう前に、

「いま、自分はどっちの状態(どの立ち位置)に近いんだろう」

少しだけ立ち止まってみてもいいのかもしれません。

弱さを受け入れることは、人格の敗北ではなく、 回復の入り口になることもあります。

その入口に立つのに、今までとはちょっと逆の勇気が要ることもある。

でも、その勇気が、関係の質も、自分の呼吸も、変えていくことがあるんですよね。

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