恋愛の心理学

恵まれていることへの罪悪感 〜恵まれているのに幸せを感じないとき〜 

恵まれていることへの罪悪感とその心理とは

恵まれていることへの罪悪感を感じる女性

今日はそんな「恵まれていることへの罪悪感」をテーマにしたコラムです。

例えば

「私、自分でも恵まれていると思うのに、いつも幸せだと思えないんです」

「周囲からの評価もありますし、今が不幸ではないと頭では理解できるのに、全く幸せでだと思えないんです」

このようなお悩みって「自分のわがまま」のように認識されることも少なくないのかもしれません。

だから、誰にも相談し辛い悩みになる、といいますかね。

なので、多くの人は「なぜか幸せではない」と感じいても「気のせい」と扱われやすい性質があるのかもしれません。

ただ、この状態を続けたことによって

  • 仕事も恋愛もそれなりにうまくいっているのに、なぜか幸福感が得られず自分が削れていくような感覚ばかり感じる、とか。
  • 友人関係や仕事では問題なんてないのに、何故か婚期だけが遅れている、とか。
  • 恋人を作ることまではうまくいくんだけど、その関係を大切にしようと思っているときほど、なぜか相手から「別れよう」と言われてしまう、とか。

こういった問題を抱えることになる場合もあるようです。

このようなお悩みの心理的な背景に隠れている感情は

「燃え尽き感」
「生きる目的を失った状態」

であることも少なくないんですよね。

ただ、更に深く見つめていくと「恵まれていることへの罪悪感」が見えてくる場合もあるんですよね。

恵まれていることへの罪悪感とは

「恵まれていることに対する罪悪感」は

「自分が恵まれている何かを持っていること」で、周囲、家族、兄弟、仲間などに申し訳無さや引け目を感じてしまうことを指します。

そこではまるで「自分が恵まれていることで、誰かの不幸を作り上げているように感じる」のです。

だから、自分が幸せになる、成功する、ステータスを得る、などの状況が自分自身を悪者にしたげあげる理由になるんです。

そこでは「幸せになることが罪」のようにも感じますし、あれだけ努力してたどり着いた成功にも何ら意味がないと感じてしまうようになることもあります。

この罪悪感が生じる事情は実に多様なものなんです。

例えば、頭脳明晰、成績優秀、容姿端麗、といった自分自身にまつわる要素。

実家が資産家、名家と呼ばれている家、といった家族、生育環境にまつわる要素。

「私だけ親からとても愛されていた」「家族がとても仲良し」「兄弟の中で自分だけ特別な待遇を受けた」といったことからも生じてしまうこともあります。

本来は「感謝」や「喜び」を感じる要素に対して申し訳なさを感じちゃうわけです。

つまり、恵まれてることへの罪悪感を持つと、自分の価値や魅力を否定する癖がつく、といえます。

また、自分の長所を消して生きることにもなり、その結果、自分の良さがさっぱりわからなくなり、人からの好意や承認を悪意なく受け取れない状態になっていきます。

「恵まれている自分が悪い」と思うことでしか人と関われなくなる

恵まれていることへの罪悪感は

「周囲の人達から見ると自分が恵まれている環境にあると認識したとき」

に生じます。

人間、生きていればこの手の申し訳無さを感じることがあるわけですが、この申し訳無さが「罪」のように感じてしまうわけです。

例えば、幼少期から成績や容姿を褒めてもらうことが多く、実際に恵まれた暮らしを過ごしている人がいるとして。

なぜか嫉妬をかってしまったり、いわれのない文句を言われてしまって辛い思いをする方もいるのです。

もちろん嫉妬や文句はそう伝える側の問題と言えるのですが、ただ自分が存在するだけで嫉妬されたり文句を言われるとしたら、とても辛いことですよね。

そんな状況が辛すぎると感じると、自分自身が恵まれていることに申し訳無さを感じるようになる場合もあります。

「自分がいるから周りの人たちは嫉妬するし、攻撃をするのだ」

と、恵まれた才能を持った自分の存在を、自ら否定することになるのです。

が、これは一つの防衛反応で、自分を責めたり、自分の魅力を否定することで、なんとか辛い状況から逃れたいわけです。

ただ、この状態が続くと、常に自分を否定的に見るようにもなります。

すると、どこかで

「(恵まれている)自分が悪い」と思うことでしか人と関われなくなる

という状態ができあがることもあるんです。

自分が悪いと思っていないと、また人から責められたり、嫉妬や文句を言われるという怖れが拭えないからです。

自分の幸せを自ら壊したくなることもある

また、さらに「恵まれていることへ罪悪感」が強烈になると

自分が持っている素晴らしい要素を自ら手放す、もしくはぶち壊すような行動を取る

そんな場合もあります。

例えば

パートナーが大好きなんだけど、なぜか別れたくなる(別れなきゃいけない気がする)とか。

自分の努力で成し遂げた成果であっても、自分のものにしてはいけないと感じて他人に渡してしまう、とか。

突き詰めていけば、自分なんて存在してはいけないという気持ちになることだってあるでしょう。

いわば「幸せになってはいけない」という自分への呪いがかかってしまう状態ができあがるというわけです。

恵まれていることに対する罪悪感が作る問題

さて、ここからは具体的な恵まれていることに対する罪悪感が作る問題について少し解説していきましょう。

自分の価値が感じられない

恵まれていることに対する罪悪感でなにより厄介なのは

「自分が傷つかないために設定したキャラが、周囲の人との間でうまくハマってしまうこと」

です。

例えば、友達、家族、兄弟間などで、自分が何かしらのキャラを演じたことでその関係性が円滑に回りはじめるなんてことが起きるなら・・・

いいか悪いか別にして「成功体験」となってしまうんですね。

すると、その成功体験こそが「人から責められないための秘訣」になっていくわけです。

しかも、そのキャラ設定にほとんどの人は気づきません。むしろ「その人の長所」と認識し、悪意なく承認することもあるでしょう。

すると、自分も守れるし、周囲からの受けもいい、となりますよね?

だから、どんどんそのキャラから降りることは難しくなるんです。

その代償、とまでは言えないでしょうが、しかし、次第に本当の自分(その姿や欲求)が分からなくなることも起こります。

同時に、自分が知られる近い距離での人間関係、つまり恋愛や夫婦関係の中で問題を抱えやすくなっていくことにも繋がっていくのです。

自分の個性・才能が分離感を強めるという問題

また、「恵まれているけれど幸せを実感できない」というご相談をいただく方ほど

「家族との考え方、感じ方がかなり違う」という環境の中で過ごされてきた方が少なくないようです。

それは家族と自分と個性、才能、考え方が違ったという事実を指し示しているのでしょう。

しかしこれがものすごく強い分離感を生み出しているケースが少なくないな、と僕は見ています。

まるで、みにくいアヒルの子の話のように

自分は「違う」存在、自分は望まれていない存在

といった気持ちすら感じることもあるんですね。

だからこそ、幸せを感じられない居場所=「自分の家族」を嫌悪してしまうこともあるでしょうし、自分自身に才能や魅力などが存在するという実感すら持てないこともあるんです。

人に見られることへの怖れの問題

さて、このような仮面(キャラ設定)の目的は

「自分自身に恵まれたなにかがあることで、他人が嫌な思いをしないようにすること」

それを通じて「これ以上自分が傷つかないため」なのです。

だから、恵まれている罪悪感を強く感じている人は、いつもどこか対人関係の中でヒヤヒヤしていたり、落ち着かない感覚を覚えやすいものなんです。

いつ、何時、誰に自分をどう見られているかわからない。

いつ、本当の自分がバレて相手に責められるかわからない。

そんな「(周囲から)見られることへの怖れ」を感じやすくなるのです。

この怖れは結構強烈なものになることが多く

「自意識過剰じゃね?」

と笑い飛ばせるような範疇で収まってくれるものではないことが少なくありません。

むしろ

「私って自意識過剰かも?」「プライドが高いのかも?」

と考えてしまうことで、更に自分を否定して問題が複雑になり肥大化してしまうケースも少なくないのです。

恵まれていることへの罪悪感が生じる時期と、その理由

さて、この恵まれていることへの罪悪感を感じ始めるのは、概ね「思春期」だと考えていいでしょう。

私たちは思春期に「強烈な自己嫌悪」を感じるようになります。

自分自身の心も体もオトナに変化していく時期に、私たちはその変化する自分自身に強烈な嫌悪感を抱くようになるのです。

この自己嫌悪が強まる時期に「周囲とは違い恵まれている状態」があり、かつ、周囲からの嫉妬などを感じるとしたら、おそらく「自分自身への嫌悪感」は更に強力になる可能性がありそうです。

「あぁ、自分が悪いんだ」「自分という存在が周囲のためになっていないんだ」と思い込むようになっても不思議ではないのです。

ただ、この状態でい続けることはとても辛いことなので、多くの人は「仮面(ペルソナ)」をかぶります。

いわば、キャラ設定をして「防衛」することを学ぶようになるのです。

人によっては、超優等生で全くミスも問題も起こさない清純派なキャラ設定をする場合もありますよね。

他には、急におどけてみせたり。

自分を低く見せるピエロやおバカキャラを演じたり。

急に献身的になり、人のお世話をしはじめる面倒見のいい人になる

などいろいろなキャラを演じるようになるのです。

素晴らしい自分でないと人と関われない、という苦しみ

また、恵まれていることに対する罪悪感を抱えてきた人ほど

「誰かの喜びになりたくて、誰かの幸せに貢献したい」と願っている人が多い傾向があると僕は考えています。

どこかで

「心から人の幸せを願う気持ち」を持ちながら

同時に

「いつも凄いことをしなければならない」
「誰かの幸せを実現しなければならない」

そんなプレッシャーと戦い続けている方が少なくないのです。

ただそれは

「恵まれていることへの罪悪感が強いからこそ、いつまでもヒーロー・ヒロイン願望を手放せないまま」

と考えることもできるんですね。

もちろん「人の役に立ちたい気持ちが強いこと」が悪いだなんて言えません。

が、恵まれていることへの罪悪感が動機の行動であるならば、

「誰かに何かを与えていたり、自分が相手に合わせたキャラを演じることでしか他人とつながれない」

という状態が続いてしまうことにもなります。

だから、いくら人の役に立っていても、その価値を実感できなくなってしまうんです。

そして、その状態のまま「人の役に立たねば」という思いだけが残る。

このとき、本当の自分はどこかに隠れてしまっていることが多いんでしょう。

恵まれていることに対する罪悪感を手放す方法

さて、ここからは恵まれていることに対する罪悪感に対する対処法についてまとめてみます。

この罪悪感を抜け出すカギは

確かに「今の自分を受け取る、受け止めること」にあるわけです。

恵まれていることも一つの個性と考えるなら、それを受け止められるようになることは重要なことなんです。

が、なかなかそれが一筋縄ではいかないのが厄介なところなのです。

なぜなら

「自分という存在が、そのままの状態で、他の誰か(親、家族、友人など)とつながることができない(良い関係性を築くことができない)」

という、悲しみが存在するからです。

要は、自分が自分として存在しているだけでは、他人と繋がれない、繋がってはいけないという価値観や感覚が強くなるんです。

だから

「自分の価値を認め(恵まれていることを)受け取ると更に人から責められる、嫌われる」

と思うのです。

つまり、「もっと自分を認めましょう」という考え方は正解なのです。

が、それは、ピーマンが嫌いな子供に「どうすれば食べられるようになるの?」と聞かれたときに「食べればいいんだ」と答えるようなものなのかもしれません。

人とつながる経験が心を癒やす

さて、恵まれていることに対する罪悪感を手放していくには

「自分が心を開いて人とつながる経験を積むこと」

が重要なポイントだといえます。

特に「飾らない自分」「そのままの自分」で人とつながる・関わる体験が重要。

「今のままの、そのままの自分を受け止めて、その状態で人と関わり合うこと」

これが難しくなるのが「恵まれていることへの罪悪感」のもたらす問題ともいえます。

だからこそ、人とつながる経験を何度も重ねていくうちに

「本当の自分は恵まれていることで苦しみたかったわけではなく

自分を通じて誰かが喜んでくれたらそれでよかった」

そんな思いを抱く自分と出会う方も少なくないんです。

同時に、「飾らない自分で相手を喜ばせること」を感覚として学ぶといい、と言えるんです。

あなたが誰かを大切に思うように、あなたの存在を大切に思っている人がいること。

それを学び直すプロセスが重要なんですよね。

最初は勇気がいるかもしれませんが、あなたが信頼できる人とまず触れ合って。

今の自分のまま人と繋がれる対等さを感じる経験は、大変貴重な罪悪感を手放す一つの手段なんですね。

(僕の場合はカウンセリングやセミナーなどで、「そのままの自分で人と関わり、つながる体験」をしていただく場所や時間を提供させてもらっています。)

恵まれていることへの罪悪感は人とのつながりが癒やしてくれる

恵まれていることに対する罪悪感は

「今の自分が理解され、愛されるとはどういう感覚か」

「人の愛はどのように自分に向くのか」

そこが実感できていない場合に起きること、とも言えます。

だから、できれば「人との関わり」の中で自分を癒やすことを考えてみてほしいですし。

僕もそのようなご提案をさせていただくことも少なくないんですよ。

その学びを通じて、あなた自身がホッとできて、良い気分を感じることもできますしね。

どうか、人との関わりの中で

人の思いや愛とはどのようなものかを

もう一度知っていただければと思います。

ABOUT ME
浅野 寿和
カウンセリングサービス所属心理カウンセラー。名古屋を中心に東京・大阪・福岡で〜旅人のように〜カウンセリング・セミナーを開催。心理学は現実で使えてなんぼ、がポリシー。
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