こんにちは。

心理カウンセラーの浅野寿和です。

仕事ではちゃんとしている。

相談もされるし、任されることもある。
評価も、たぶんそこまで悪くない。

むしろ「頼れる人」「しっかりしている人」と見られていることのほうが多いかもしれない。

けれど、恋愛になると急にわからなくなる。

好きな人のちょっとした態度が気になる。
LINEの文面が少しそっけなく感じる。
会えた日はうれしいのに、そのあとで妙に不安になる。

仕事の場ではそこまで揺れないのに、恋愛になると急に自分の価値がよくわからなくなる。

そんなことって、ありませんかね。

こういうとき、
「仕事はできるのに、恋愛になると弱い」
みたいにまとめたくなることもあるかもしれません。

ただ、実際にはもう少し細かい心の流れがあるようにも思うんです。

今日はそんな話を書いてみます。

仕事ではちゃんとしているのに、恋愛になると急に揺れる

たとえば、職場では落ち着いて見られている人がいます。

急ぎの案件が重なっても、そこまで表情を崩さない。
後輩や同僚が困っていれば、状況を見てさっと手を貸す。
自分の担当外のことでも、その場が回らないと自然に拾ってしまう。

「助かりました」
「やっぱり〇〇さんがいると違いますね」

そんなふうに言われることもあるのでしょうね。

本人としては、そこまで特別なことをしている感覚はないのかもしれません。
その場で必要だと思ったから動いただけ。
自分がやったほうが早いと思ったから引き受けただけ。

ただ、こういうことが続くと、周囲からは少しずつ
「この人は大丈夫な人」
に見えていくことがあるんですよね。

困っていても、なんとかする人に見える。
頼れば受け止めてくれそうな人に見える。

すると、信頼はされる。

任されもする。

でもその一方で、抱えている疲れや戸惑い、ちょっとした寂しさみたいなものは、案外見過ごされやすくなることもあるんです。

「大変だよね」と言われたとしても、そこで終わる。
「でも〇〇さんなら大丈夫でしょ」みたいな空気で流れていく。

そうなると何が起きるか。

周囲から感情の細部が置いていかれることが、少しずつ普通になっていく。

自分でも自分の感情の細部を置いていくことが普通になっていく。

そして・・・ここに”心の隙”もできる。

見てほしいけど、見られると危ない。

そんな心の隙、が。

役に立てる場所では、自分を保ちやすい

こういうタイプの人は、自己肯定感が著しく低いわけではないようです。

ただ、いわゆるイケイケさんに多い、過剰な自己肯定感じゃないんですよ。

適度な肯定感。

だから、偉そうにもならないし、常識的。

仕事でも、ちゃんと積み上げてきたものがある。
役に立てる実感もある。
判断できる場面もある。
必要とされる位置もある。

だから、職場では比較的安定していられる。

ここで自分を支えているのは、能力だけではなく、

「自分がどう振る舞えばいいかが分かりやすいこと」

なのかもしれません。

任された仕事がある。
求められている役割がある。
動けば何かしらの反応も返ってくる。

そういう場所では、自分が自分でいられる感じを持ちやすいことがあります。

もちろん、それ自体が悪いわけではないんです。
人は誰でも、見通しがある場所のほうが安心しやすいですからね。

ただ、恋愛になると少し話が変わってくるようなんです。

恋愛では「ちゃんとしていること」が、そのまま安心につながらない

恋愛や夫婦関係では、仕事ほど役割がはっきりしていません。

何をすれば正解なのかが見えにくい。

どこまでやれば安心できるのかも、あまり決まっていない。

ちゃんとしていることが、そのまま関係の近さにつながるとも限らない。

ここが、仕事と親密な関係の違いであり、ややこしいところなのだと思います。

仕事では、頼られることが自信につながることがあります。

でも恋愛では、頼られることと愛されることが、いつも同じとは限らないんですよね。

相手の話をちゃんと聞く。
気を遣う。
空気を読む。
相手が困っていれば支える。

こうしたことは、もちろん関係の中で大切になることもあります。

けれど、それをどれだけやっても、

「ただ好かれる」
「愛されているって分かる」
「そのままの自分を受け取ってもらう」

という感覚を感じられるか、というとそうではないんです。

仕事では気にしないことも、恋愛では気になる。

「最近関係が不安定?何か足りないのかな」
「もっと近づいたほうがいいのかな」

そんなふうに、自分の価値を“動き”や“気遣い”で確かめたくなる流れが出てくることもあるのかもしれません。

相手のテンションひとつで、自分の価値まで揺れた気がする

恋愛のしんどさって、出来事そのものより、反応の揺れ幅に出てきます。

恋愛なんて些細なこと、と割り切ろうとしても、揺れる。

いつもやさしい彼が、少しそっけない。
LINEの文面が短い。ちょっと怒ってる感じもする。
会っているときの目線が合わない。

それだけで、少しだけ不安になる。

頭では、相手にも事情があるのかもしれないと思っている。
忙しいのかもしれない。
疲れているだけかもしれない。

でも、心のほうが少し揺れる。

こういうとき起きていることは、揺れ、であるからして、相手からの刺激だけの問題じゃないんですよね。

もしかすると、

仕事では“役に立つ自分”として保てていた感覚が、恋愛になると揺れる

ということなのかもしれないんです。

何をしたら正解かわからない。
「愛されている」ってどういうことか分からない。
ただ相手の気持ちを見て、反応するしかない。

なぜ揺れるのかは意外とシンプルで、「それが恋愛だから」なんです。

全く感情が動かない恋愛なんて恋愛ではないですよね?

ただ、いちいち内面の深いところにあるものまで揺れたような感じがしてしまうのはしんどいですね。

いくらそれが恋愛、としてもね。

ここにあるのは、恋愛の適性や経験、能力の問題ではないのでしょう。

恋愛関係の中で、自分に合ってないスタンスを取っていると、そうなりやすいんです。

いつも頼られる私が、それだけで喜べるとは限らない。

いつも気を使う私が、私らしいと思っても、それが本当に立つべき位置とは限らない。

でも、忙しい毎日の中で、そんな事いちいち考える余裕なんて、ない。

だから、「これが私」と思う立ち位置に立ち続ける。

もちろん、それは間違いなのではありませんよね。

ただ、カウンセラーの目で見ると、「もっと揺れない立ち位置があるかも」という感じです。

「受け取ること」に慣れていないとき

もうひとつ、親密な関係で揺れやすい背景として、

受け取ることへの慣れにくさ

もあるように思います。

仕事では、自分から動くほうがやりやすい。
相手の必要を読んで、整えて、支える。
そういう関わりのほうが得意な場合があります。

でも恋愛では、ときどきそれとは逆のことが起きますよね。

相手の好意を受け取る。
何かをしてもらう。
支えてもらう。
自分の弱さを見せる。
言葉にならない不安を、そのまま持っていてもいい時間を過ごす。

こういうことは、頭で理解する以上に、感覚としては落ち着かないことがあるんですよね。

何かしていないと不安、というわけでもない。
役に立っていないと、そこにいていい感じがしないわけでもない。

ただ、私がここにいて、受け取る、ということが漠然としすぎている。

そんな感覚があると、恋愛の中で「ただ大事にされる」ことより、

「必要とされる」
「頼られる」
「役に立てる」

ほうに安心感を感じやすくなります。

漠然として捉えられない感覚ではなくて、具体的に馴染んでいる感覚を選ぶのが僕たちですからね。

ただ、受け取らない位置にいると、揺れます。

揺れるというか、揺れざるを得ない。

本当はあなたの支えになる相手の気持ちが、支えにならないままですからね。

本当に揺れているのは、魅力ではなく立ち位置なのかもしれない

こういうとき、人はつい

「自分に魅力がないのかな」
「恋愛になるとダメなのかな」

と考えてしまうことがあるようです。

そんなご質問をうかがうことも少なくないです。

ただ、実際には魅力の有無の話というより、

自分がどんなスタンスでいれば、安心しやすいのかが見えにくくなっている

ということもあるのかもしれませんよ。

少なくとも僕はそこを整えるカウンセラーです。

おそらくこのタイプの女性の皆さんは、実際には、相手の反応がそこまで悪いわけではないことも多いんですよね。

目立ってしんどくなりやすいのは“揺れること”なのだと思います。

だから、

「揺れるって切ないし、苦しいですよね、でもなぜなんでしょうね?お話聞かせてもらっていいです?」

という部分だけ扱わせてもらいます。

それは未熟さとか弱さとか、そういう言葉で片づける話でもないのでしょう。

これまで自分を支えてきたやり方が、親密な関係では少し通用しにくくなることがある。

そんな話として見たほうが、分かりやすくていいと思うんです。

最後に

職場では頼れる人なのに、恋愛になると急に自信がなくなる。

そんなことが起きると、自分の中に別人がいるような感じがするかもしれません。

ただ、その二つはまったく別のものというより、同じ心の仕組みが、違う場所で違う形を見せているだけなのかもしれません。

人の必要に応えられること。
その場を見て動けること。
役に立とうとすること。

それ自体は、きっと大事な力。

ただ、その力だけで立ってきた時間が長いほど、

「何もしなくても気持ちを向けられる」
「支えなくても、そこにいていい」

という関係には、少し戸惑いやすいのかもしれません。

もし恋愛の中で自信がなくなることがあるなら、
それは魅力が足りないという話ではなく、
これまで自分を支えてきた立ち位置が、親密な関係では少し揺れやすい
そんな見方もできるのではないでしょうか。

そのあたりが見えてくると、恋愛のしんどさも、少し別の角度から読めるようになるかもしれませんね。

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浅野寿和 | 心理カウンセラー/トレーナー
恋愛・夫婦・仕事・生き方の中で、「ちゃんとやってきたはずなのに」そんな感覚を抱えやすい人のご相談を多くお受けしています。 個々のご相談を心理学の視点で整理して、明快に言葉にしていくカウンセリングが人気。 キャリア17年・臨床実績10,000件/東京・名古屋・オンライン対応。リピーターさまが多いカウンセラー。口癖は「どんなことにも事情があるよね」。
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