「がんばって自分を磨いているのに、何も変わっていない気がする」
そんな声を、カウンセリングの中でもよく聞きます。
例えば・・・
「仕事、頑張っているつもりなんだけど、成長しているように思えない」
「昔の未熟な自分のままこじらせたまま過ごしてきてしまった」
「婚活しているけど、もう全く自分がダメダメなままのような気がして気が滅入る」
「相変わらず安定してパートナーにムカついている私って成長がないのかも?」
みたいなお話ですね。
中には、
「自分なりに向き合ってきたし、本を読んだり、カウンセリングを受けてみたり、 時には勇気を出して人に相談してみたりもしたけど、それでも変われてない、やっぱり何も進んでない気がする」
そんなふうに感じてしまうとき、落ち込んでしまう、なんてお声も伺いますよ。
・・・ねぇ。
今、このブログを読んで新しい知識や視点を取り入れているのに「何も変わっていない気がする」わけですよね(笑)
僕のカウンセリングや講座に申し込んで、実際に変化のプロセスを歩んでいるのに、一人になると「何も変わっていないんじゃ・・・」と感じてしまうんですよね?
・・・もとい。
ただ、確かに、僕たちは「自分なりに変化や発達を重ねているのに、何も変わっていないように感じる」ことがあるんですよねぇ。
ということで、今回は、そんな「進んでない感」の背景にある心の構造について、 少しだけ整理してみたいと思います。
Index
変化は“螺旋階段”のようなもの
まず前提としてお伝えしておきたいのは、 心の変化は、右肩上がりの直線ではなくアップダウンするものであり、時には「螺旋階段のようなもの」だということです。
確かに上がっているんだけど、 角度的に“前に戻ったように見える地点”がある。
過去と同じような場面に出くわしたとき、 「なんだ、またここか…」と思ってしまうこともある。
でも、実際には以前とまったく同じではないはず、なんですよね。
- 反応の仕方が少し違っていたり
- 落ち込みの深さが浅くなっていたり
- そのあと自分を立て直すスピードが早くなっていたり
そういう「変化の微細さ」を華麗にスルーしてしまうと、 私たちは「何も変わっていない」と感じやすくなるわけですねぇ。
あと、微細な違いを「誤解じゃね?」と常に無双状態で踏み倒す人もいるんですが、それは、うん、やめておいたほうがいいと思いますよ〜。
“自己存在感”が薄いと、「変化」がわからない
ここでひとつ、少しだけ専門的な話をすると
この「変わっていない感」は、“自己存在感”の揺らぎとも関係しています。
“自己存在感”というのは、「私はここにいる」「私は私である」という実感のこと。
この感覚が弱まっていると、 たとえ行動や結果が変化していたとしても、 「自分が変わった」という感覚を持ちにくくなるのです。
「確かに変化してるけど、“私が”変わった感じがしない」 そういう違和感が、“進んでない感”につながることがありますよ。
まぁ、変化や発達の跡でさえ、よくわからん、とか「みんな同じじゃないの?それで当然じゃないの?」みたいに感じるわけですよ。
感情の否認クセがあると、変化が実感できない
もうひとつ見落とされがちなポイントとして、 「自分の感情を受け取ることに慣れていない」という傾向もありますよ。
変化というのは、行動の変化であると同時に、 “感じ方の変化”でもあるんですよね。
でも、感情の動きを自分で拾うクセがないと、 その“変化した感情”を見過ごしてしまいます。
とくに、もともと人に頼らず、感情を抑えてきた人ほど、 “感情を感じ取るセンサー”が弱くなっている場合もありますからね。
また、そもそも、感情を表すことで人間関係がこじれてきた過去などがあると、自然と“感じない”ことでバランスを取ろうとするものですしねぇ。
*
とはいえ、「何も変わっていない」と感じる理由のすべてを、感情の受け取り方次第だと考えるのはちょっと行きすぎだろう、と僕は考えていますよ。
人間の認知やいわば”実感”って、たしかに感情によって左右される部分があります。
が、それだけで決まっているわけじゃなくてね。環境、過去の学習、心の防衛にあり方、人との関わり、健康状態・・・様々な影響を受けているのでね。
“何も変わってない気がする”ときの、上手な過ごし方
さて、「何も変わっていないなぁ、私」と感じるときって、確かに凹んだり、アンニュイな気分になりがちなんですけども。
基本、僕はそういったときも「早寝、早起き、適度な運動、バランスの取れた食事」的な健康的な日々の過ごし方って大事ですねん、とお伝えしていますよ。
生活リスムが崩れまくっていると、それだけでネガティヴになりやすいですからね。
ただ、それだけじゃ「この記事を読んだ意味ねぇよ」というお声も聞こえてきそうなので(笑)もう少しだけ、日常の中でできることをお伝えしておきます〜。
1:「そう感じてるんだな」と、自分に言葉をかけてみる
「変われてない」「意味なかったのかも」と思うとき、 そこには少なからず“がんばった自分”がいます。
まずはその事実を否定せず、 「そう思うくらい、ちゃんと向き合ってきたんだな」と受け止めることが第一歩です。
気持ちのあり方を認めてあげるだけでも、少し心がゆるみます。
2:「何もしない日」を、あえて1日つくってみる
変われてない感覚が強いときほど、焦って何かを“足そう”としがちです。 でも、無理に何かを始めるより、何も決めずに過ごす時間が、回復を助けてくれることも。
気分で散歩に出たり、 湯船につかったり、 部屋でぼーっとしてみたり。
“行動しない選択”もまた、自分に優しくする方法のひとつです。
3:日記ではなく、“観察メモ”を書いてみる
自分がどう変わったかを記録する「レコーディング」も悪くないんですけどね。
「今日はどんなことがあったか」「どんな気持ちがあったか」を淡々と書いてみることも結構気持ちの整理になりますよ。
・朝からちょっと体が重かった
・電車の中で赤ちゃんが泣いてて、なんか泣きそうになった
・コンビニの棚がいつもと違ってて、地味にイラついた
こんなふうに、感情を判断せずにただ“観察”していくことで、 だんだんと自己感覚のズレが整っていくことがありますよね。
ポイントは善悪判断をあまり入れずに、素直に見つめることかな、と。
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おわりに
「変わってない」と感じるときほど、 実は“変わってきた自分”を見失っているだけ、ってことが少なくないかもしれません。
まぁ、たしかにサボって何もしなければ変わらない部分もあるんですけど、「あ、サボってきたな私」と気づくだけでも変化じゃないでしょうか?
心の変化は、いつも明確なかたちでやってくるわけではなくて、 気づいたら、前とは違う場所に立っていた、みたいにに、しれっと進んでいくことのほうが多いんです。
まぁ、いつの間にか髪が伸びていたことに気づく、みたいな変化ですね。
だからこそ、自分の内側を丁寧に感じ取っていくこと。 “私という存在”の感覚を取り戻していくこと。
その積み重ねが、進んでないように見える時間に、 本当は「大切な変化が起きていたんだ」と気づく力を育ててくれますよ。
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