こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
今日は、恋愛やパートナーシップの相談の中でも、
とても静かで、でも深く残り続ける苦しさについて書いてみたいと思います。
別れてから、しばらく時間が経っている。
日常生活も、それなりに回っている。
仕事もしているし、笑うこともある。
それでも、ふとした瞬間に、理由のわからない重さが胸に残る。
夜、ひとりで部屋にいるとき。
電車の中で、ぼんやり外を見ているとき。
「あの別れ、あれで本当によかったんだろうか」
戻りたいわけじゃない。
連絡を取りたいわけでもない。
ただ、
「私、冷たい人間だったのかな」
そんな感覚だけが、なぜか残っている。
愛していたのに、別れを選んだ。
ちゃんと考えたはずなのに、別れたことに納得もしているのに
今もどこかで、自分を責めてしまう。
友達に相談するほどでもない。
でも、ひとりで抱えるには、少し重たい。
今日は、そんな感覚の正体を、少し言葉にしてみようと思います。
Index
別れたあとに後悔や自己否定が強くなるのは、心理学的にも自然な反応
ここで少し、心理学の視点も補足しておきます。
別れたあとに
「あのとき別れなければよかったのでは」
「私が間違っていたのではないか」
と考え続けてしまう心の動きは
心理学では 反実仮想思考(counterfactual thinking) と呼ばれています。
これは、「起こらなかった別の可能性」を繰り返し想像してしまう思考のことです。
研究では、
「自分で決断した選択ほど、反実仮想思考は強くなりやすい」
ことが分かっています。
つまり、
自分で別れを選んだ人ほど、後悔や自己否定が残りやすい
これは、性格の問題でも、未熟さでもありません。
また、愛着理論の観点から見ると、
関係を大切にしてきた人ほど、
「別れた私=冷たい私」
と結びつけてしまいやすい傾向もあります。
関係が自己価値の支えになっていた場合、
関係を終えることは、自分の価値が揺らぐ体験になりやすいのです。
だから、
正しい別れだったと頭では分かっていても、心だけが取り残される。
これはとても人間的で、心理学的にも説明のつく反応、と言えるんですよね。
なぜ優しい人ほど、「自分が冷たい選択をした」と感じてしまうのか
ここで、もう一段深い話をしておきたいと思います。
愛していたのに別れを選んだ人の中には、
心のどこかで、こんな感覚を持っていた方も多いのではないでしょうか。
「これ以上、この関係を引っ張ることはできない」
「もう、私自身がこれ以上引き受けられない」
それは、頭で考え抜いた結論というより、
もっと手前の、言葉になる前の感覚だったかもしれませんよね。
相手の状況、関係のバランス、
これ以上一緒にいることで生まれる歪み。
そういったものを、無意識のレベルで、すでに感じ取っていた。
でも問題は、無意識は、自分では説明できないということなんですね。
「限界だった」
「もうこれ以上は無理だった」
そう感じていたとしても、それをそのまま言葉にできない。
すると人は、別れたあとに、こんなふうに考え始めます。
「私が冷たかったのではないか」
「私が見捨てたのではないか」
本当は、
相手のことも、関係の現実も、
ちゃんと見ていたからこその選択だったのに。
それを説明できないまま、結果だけを見てしまうと、
「別れた私=ひどい私」
という短絡的な評価に、自分自身を追い込んでしまうことがあるのです。
特に、優しく、誠実で、相手のことを大切にしてきた人ほど、
「自分が傷つく選択をした」
「自分が壊した」
そう解釈してしまいやすい。
でもそれは、冷たさではなく、
「もうこれ以上、誰も傷つけないための限界感覚」
だったのかもしれません。
この苦しさの正体は、後悔ではなく「立ち位置」
ここで、浅野的な視点をひとつ。
この苦しさの正体は、
「別れをどう評価しているか」ではなく、
「どこに立って、その出来事を見ているか」にあります。
多くの方は、無意識のうちに、
「幸せにできなかった私」
「関係を終わらせてしまった私」
という立ち位置に、立ち続けています。
この場所に立ったままだと、
どんなに理屈で「仕方なかった」と理解しても、
感情だけが、ずっと有罪判決を出し続けるんですね。
忍耐して別れた人ほど、自分を裁きやすくなる
特に、
- 相手を支えてきた
- 我慢を重ねてきた
- 「私が頑張れば」と思ってきた
こういう関わり方をしてきた人ほど、
別れたあとに、強い自己否定が残りやすくなります。
なぜなら、
「ここまでやったのにダメだった」
「最後まで愛しきれなかった」
という意味づけが、
自分の中で完成してしまうからです。
でも、ここで一度立ち止まって考えてみてほしいんです。
その別れは、
本当に「逃げ」だったのでしょうか。
その別れは、「引き受けた選択」だったのかもしれない
別れるという選択は、
関係を壊す行為のように見えるかもしれません。
でも実際には、
どうにもならない現実を、
自分の人生として引き受けた選択だった、
という場合も少なくないんです。
一緒にいたい気持ちがあったからこそ、
このままでは、どちらも幸せになれないと気づいた。
それは、愛を放棄したというより、
愛を軽く扱わなかった結果とも言えるかもしれません。
前に進めないとき、無理に進まなくていい理由
別れたあと、前に進めない自分を見て、
「もう終わったはずなのに」
「いつまで引きずっているんだろう」
そう思ってしまう方も多いです。
でも、ここで無理に答えを出そうとすると、
心はさらに硬くなってしまいます。
大切なのは、
「あのときの私は、何を守ろうとしていたのか」
「何を大切にして、その選択をしたのか」
そこに目を向け直すこと。
別れた事実ではなく、
その選択に至るまでのプロセスに、
あなたの誠実さは残っています。
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最後に
愛していたのに別れを選んだあなたは、間違った人ではないのでしょう。
むしろ、簡単な答えに逃げなかった人ではないでしょうか。
今、心が前に進めないのは、
その選択が、まだあなたの中で「意味づけを変える途中」にあるだけかもしれません。
立ち位置が変われば、同じ過去でも、見え方は静かに変わることもありますしね。
今日は、ここまでにしますね。
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