恋愛の心理学

「やってあげた」が口癖。恩着せがましい人の心理とその対処法

「恩着せがましい夫にウンザリしています」というご相談。

恩着せがましい夫にイライラする妻

私の夫は確かに家事に協力的です。何事も手伝ってくれます。

が、いつもその後が大変なんです。

夫はいつも「ちゃんとやってあげたよ」といいます。

いつも「やってあげた」という上から目線なんですよね・・・。

ときには私が何もしていないような口ぶりを繰り返すんです。

だから、もう夫には何も頼みたくないと思ってしまいます。

周囲からは「手伝ってくれるんだからいいじゃない」という人もいますが、毎回恩着せがましいことばかり言われると私も辛いです。

夫はどうして恩着せがましい発言をするのでしょうか?

そして恩着せがましい人にはどう接するといいのでしょうか?

協力してくれるのは嬉しいけれど、いちいち「やってあげた」と言われるとしんどいですよね。

まるでこちらがダメなような、相手に感謝していないような扱いをされていると感じる人も少なくないのではないでしょうか。

また、今回取り上げている事例は「夫」ですが、会社の上司・同僚・お局様や、姑、友達などが対象になる場合もあるかもしれませんね。

今日はそんな「恩着せがましい人」の心理について、実際の対処法までコラムにしてみます。

よろしければどうぞ。

「恩着せがましい」が示す意味

まずは「恩着せがましい」という言葉の意味から見ていきましょう。

恩着せがましいとは、「いかにも恩に着せるように厚かましい」という意味です。(出典:webilo辞書

また、「恩を着せる」とは、「恩を施したことについて、ことさらにありがたく思わせようとする」という意味です。(出典:webilo辞書

この意味から解釈する「恩着せがましい人」とは

「恩を施したことについて、ことさらにありがたく思わせようとする厚かましい人」

と解釈できるようです。

「恩着せがましい人」の心理と特徴

では、恩着せがましい人の心理とはどのようなものか、について見ていきます。

一般的な恩着せがましい人のイメージは

「恩を着せて優越感に浸る」
「承認欲求が強い」
「自己中心的、一方的で、損得で行動している」

といったものではないでしょうか。

ただ、じっくり心について見つめていくと

「恩着せがましい人」とは、「自分で自分の行動を選択できていない人」という可能性が見えてくるのです。

この話はもう少し後で詳しく説明しますが、

「相手に恩を着せないと気がすまない」という状態は

「こちらから恩を着せないと相手と関われない」という「選択肢の無さ」を暗示する、と考えることができるんです。

あえて言い方を変えるなら「手ぶらじゃ関われない」ってことです。

僕はこれこそが「恩着せがましい人の心理特徴」と考えています。

恩着せがましい人ほど対等な関係を持つことが苦手

恩着せがましい人がいいか悪いは別にして。

基本、僕たちが恩着せがましい態度や行動を取っている時って、相手のことなんて考えちゃいませんよね。

そもそも恩を着せる行動って、自分が何かを得るための行動ですよね。

だから、恩を着せる行動を取るなら、相手を手伝うことで得られる自分のメリットしか見ていないものじゃないでしょうか。

もしくは、自分の行動が本当に相手のためになっているか不安と感じるとき、といいますか。

それぐらい対等な関係性を持つということを苦手にしている、のではないでしょうか。

また同時に、

「人はメリットで動く」「メリットがないと動いてくれない」

という極端な発想を持っている可能性がありそうです。

たしかにその考え方が当てはまる場合もあるでしょう。

が、例えば、パートナーや同僚、友人などであれば

いわば上下のない、対等な相手として関わることこそ「メリット」ではないか

なんて僕は考えるんですけどね。

そもそも信頼関係って、利害関係を持ち込むと壊れやすい性質があるもの。

そう考えると恩着せがましい人って

「信頼関係を結ぶ目的に対して、信頼関係を壊すリスクが高い行動を取っている」

とも言えるんですね。

これは(対等に)人とつながることへ恐れ、親密感への恐れ、とも言い換えることができます。

恩着せがましい人が敬遠される理由

そう考えると、恩着せがましい人が敬遠される理由は

「相手の気持ちを確かめない部分」

にありそうですね。

いや、人の話を聞かないというより

何らかの事情で「人、相手」のイメージを決めつけて、その世界で生きているから

相手のことを理解する前に判断してしまっているのかもしれません。

この判断を押し付けられたほうは、まるで

「自分が誤解されている」

ように感じますから、いい気分はしませんよね。

例えば、夫が恩着せがましく家事を手伝うなら、妻は何もしていない人、夫によって助けられている人、という相手の判断を強く感じるのでしょう。

だから、妻もそれに反発したくなるといいますかね。

そう考えると、夫に恩を着せられていることよりも、妻が「夫に勝手に判断されているように感じること」が耐えられないのかもしれません。

で、この一方的な判断こそが恩着せがましい人の弱点でもあるんですよ。

恩着せがましい人ほど選択肢を持っていない

この一方的な判断という、恩着せがましい人の弱点は

「恩着せがましい人ほど選択肢を持っていない」という部分から生じている

と僕は考えます。

そう考える理由は

恩着せがましい人が見ている人、世界というものは、とてもシビアで

「自分が何かしらのメリットを提供できないと、誰も興味を持ってくれないのではないか」

という価値観で出来上がっている可能性があるからです。

よって、恩着せがましい人ほど、いちいち「他人をできない人扱いしたがる」なんて可能性があるんです。

ただ、よくよく恩着せがましい人の見ている世界を見つめてみると

自分が何かしらのメリットを提供できないと、誰も興味を持ってくれない世界の中で「ボーっとしている」なんてことは、ある意味自らの首を絞める行為になると思うのです。

だから、いつも自分が何かしらのメリットや、他社に比べて優位性を持っていないと、誰も興味を持ってくれないと感じている可能性が高いんです。

このような価値観の中では「常にメリットを提供する」という選択肢しか持てないと思うのですよ、僕は。

「相手の役に立てないことがあってもいい」
「別に目立たなくても愛してくれる人はいる」

そんな選択肢が心のないから、その行動は選択されているものではなく「こうあるべき」という判断によってなされている可能性があるんです。

選択していない行動に自信を持つことは難しい

また、僕たちは

「2つ以上の選択肢の中から自分で選ぶ」という行動によって

「自分が決めた、選んだ」という感覚を得ることができます。

選択肢が一つしかない、そうすべきという考えによって行動しても

どこかでやらされ感が出たり、選ぶ選択肢がなかったという言い訳ばかり考えてしまい

「自分の選択の価値を見出すことができない」のです。

例えば、ブティックでたくさんの商品の中からお気に入りの一着として選んだ衣装には、やはり価値を感じますよね。

しかし、同じ衣装を選んだとしても、ブティックの最後の売れ残りの一着であったなら、その衣装から感じる価値は低減すると思いません?

この「自分で選んでいない」という部分は、いわば「自信の無さ」を刺激します。

このように「自分が選ぶ」からこそ大切にするし、覚悟もできるし、相手のことを考えるようになるものですよね。

しかし、そもそも選べない事情があったり、選ぶ選択肢を持たなかったならば

自ら選んだものを大切にできないだけじゃなく、積極的に関わることも難しくなる場合が多いのです。

自分で選んでいないから、相手から選ばれていることがわからない

よって、恩着せがましい人ほど

自分が選んでいる感覚が少ないので、自分が選ばれているという感覚もよくわかっていない可能性があるんです。

恋愛や夫婦関係で言えば

自分が選んでいないので、相手から選ばれて一緒になったという部分がキャッチできないのです。

職場の上司やお局さんでいえば

自分が選んでいないので、部下からも選ばれないだろうという思い込みが強くなるのです。

よって、本来はやりたくもない恩着せがましい態度を続けることでしか、人とか関われないと思いこんでしまうわけですね。

これもまた理解されるべきことというか、恩着せがましくしてしまう人の切なさと言えるのではないか、と僕は思うのですけどね。

恩着せがましい人との関わり方を考える

僕は今まで書いた考えから

「恩着せがましい人をあからさまにウザがると、余計に絡まれる可能性が高まる」

と考えています。

相手に選ばれている感覚が薄い人をこちらが突き放せば、相手も意地になって追いかけてくると思いませんか?

なので、もし恩着せがましい人と上手に関わることを考えるなら

適切な相手との距離を図りながら(近づき過ぎず、逃げすぎず)「尊敬している部分があります」「感謝しています」といった態度を示しておくといいと僕は考えます。

その上で適度なコミュニケーションを重ねるほうが得策かな、と。

逆に構いすぎたり、嫌いすぎると、相手のパターンは強化されるので要注意です。

相手は「自分にメリットがないとダメ」という世界に生きていることを忘れないほうがいいかな、と思います。

パートナーが恩着せがましい人の場合は

相手が彼や彼女、夫や妻の場合は、他の対人関係とは別で「対等な関係になることが理想」。

なので、怒らずキチンと

「私はあなたをちゃんと自分で選んでいるから一緒にいるんですけど、なにか?」

という態度を定期的に示されてみてはいかがでしょう?

(ただ、あなたがまだ相手のことを選ぶ気があるなら、という条件付きですが(^^;)

ここでのポイントは「私が選んでいる」ということを見せる、という部分。

相手を変えようとか分からせようとすると、お互いにコントロールしたくなり逆効果になります。

「ダメだったら自分を大切にする」という選択肢を持ちながら、「自分の意志を示すこと」です。

対面で言えないなら手紙でもいいですが、キチンと素直に伝えることがオススメですね。

とはいえ、恩着せがましい人と関わると非常にウンザリしたり、傷つくこともあると思います。

一緒にいることが無理だと思うなら、距離を置く選択もあると思います。

どうしたらいいか分からなかったり、今がとても苦しいと感じるなら、無理をせず信頼できる人やカウンセラーに相談してください。

自分を整えることで明確な意思表示がしやすくなりますし、自分の人生の選択も行いやすくなりますからね。

無理をしても嫌気が差すだけ、ということも多いので(それもまたしゃーないことです)

丁寧に自分を整えることを考えてみてほしいなと思います。

自分が恩着せがましい態度を取ってしまう場合は

また、自分自身がつい恩着せがましい態度を示してしまうことでひっそり悩まれているなら

その場合もカウンセリングなどの選択肢も考えてみてください。

あなたの心の中で

「対等さを感じられない、」「自分が誰にも選ばれていない」「何かしていないとダメと思いこんでしまう」

その理由あたりに、解決の鍵があることが多いですよ。

自分と向き合い、無理のない生き方が選べるようになれば、誰しも恩着せがましいことなんていいたくないと思うことが多いものですからね。

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